プログラマーの仕事内容とは?やりがいからおすすめの資格まで紹介

IT業種にキャリアチェンジしたい人の多くは、エンジニアの第一ステップである「プログラマー」を目指そうと考えるのではないでしょうか。プログラマーといっても分野は多岐にわたり、扱う言語もさまざまです。仕事内容やキャリアパス、取得しておくべき資格について解説します。

プログラマーの仕事内容とは

プログラミング画面

(出典) photo-ac.com

プログラマーは、システムやソフトウエアの開発に関わる職業で、システムエンジニアなどが設計した内容を元にプログラミング(コードを書いて実装)を行います。小学校でプログラミング学習が必修化されたことで、プログラマーの重要性・将来性を認識し始めた人も多いのではないでしょうか?

プログラマーの仕事内容や、活躍できる場面について詳しく見ていきましょう。

基本の仕事は「プログラミング作業」

プログラマーの主な仕事は、仕様書や求められる機能に沿って、プログラミングを行うことです。「プログラミング=ソースコードを書いてコンピューターに仕様通りの処理をおこなわせる作業」と考えると、分かりやすいでしょう。

コンピューターは、人間のように自分で思考して動くことができません。そのため、コンピューターが理解できる「プログラミング言語」を使って、人間がどのように処理を行う必要があるか指示を出す必要があるのです。このときの処理の手順にあたるのがソースコードです。

またプログラマーは、実装したプログラムが仕様通りに動くかどうかのテストを行い、そこで見つかったバグ(プログラムの誤り・欠陥)の修正なども行います。

プログラマーが活躍できる分野

プログラマーは、多方面で活躍できる職業です。分野によって、必要とされる知識やプログラミング言語、業務内容が大きく変わります。

以下は、プログラマーの種類を大まかに区分したものです。

  • web系(webサイト関連のプログラミング・システム開発)
  • 組み込み系(家電・スマホなどの機械の制御)
  • 設備制御系(交通機関・工場・研究室などの設備の制御)
  • アプリケーション系(アプリの開発)
  • ゲーム系(ゲームの開発)
  • 汎用系(メインフレームを基軸にしたシステム開発)
  • 業務系(企業などの業務に必要な機能を提供するシステム開発)
  • 通信系(ネットワーク関連のシステム開発)
  • データサイエンス/AI系(データ分析やAIの開発)

これからプログラマーを目指す人は、「将来的に何を開発したいのか」「興味のある分野は何か」を明確にしておきましょう。

システムエンジニア(SE)との違い

システムエンジニア(以下、SE)は、プログラムやソフトウエアの設計をする職業です。SEは広汎な名称であり、設計だけでなく実装まで行う人もいるため、一概に「設計はSE、プログラミングはプログラマー」と分けることはできません。

ただ、プロジェクトの設計等の上流行程を担い、人員・工程を管理する大企業のSEの方が設計や管理業務を行わないプログラマーよりも年収が高くなる傾向にあります。

システム開発では上流工程と呼ばれるシステム全体の概要を決定し、「基本設計→詳細設計」といった設計の詳細化を行った後、下流工程と呼ばれるプログラミングを行う実装や試験の工程に移行します。

試験工程では単体試験や結合試験、総合試験といったさまざまな試験を行った後、現場での受け入れを行い運用に入ります。

プログラマーの役目は、主としてSEが設計した内容に基づいてプログラミング作業を行うことですが、SEが設計からプログラミングまで一貫して行う場合もあります。SEとプログラマーで役割が分かれている場合、一般的には上流工程をSEが担い、プログラマーは下流工程を担います。また、他にもテストを専門で行う、テストエンジニア或いはQA(Quality Assurance)エンジニアといった職種のエンジニアが下流工程のテストを担う場合があります。

IT系職種が未経験の場合、まずはプログラマーとして経験を積み、SEへのキャリアアップを目指すケースが多いでしょう。

プログラマーに求められるスキル

タブレットで作業をする

(出典) photo-ac.com

「プログラミング言語さえ身に付ければ仕事ができる」と思われがちですが、プログラマーには技術力以外にもさまざまなスキルが求められます。

IT業界で長く活躍するためには、どのようなスキルを獲得する必要があるのでしょうか?

プログラミングスキル

プログラマーにとって、最も重要といえるのがプログラミングスキルです。コンピューターが理解できるようにルールが定められた言語のことを「プログラミング言語」と呼び、このルールに基づいてプログラムの処理内容を実装していく作業であるプログラミング、あるいはコーディングのスキルを習得する必要があります。

代表的なプログラミング言語には「C言語」「Java」「PHP」「Ruby」「Python」などがあり、分野やプロジェクトごとに使用されるものが異なります。

中でも、Javaは多くの開発現場で利用されている応用力の高い言語です。Javaが使えるプログラマーの求人数も多く、最初に習得する言語としては有力な候補になり得るでしょう。

しかしながら、優秀なプログラマーとして活躍していくためには、単にプログラミング言語の書き方だけを理解していれば良いわけでなく、どのようにコンピューターに処理をさせるかという処理手順である「アルゴリズム」を考えられる思考力が求められます。

論理的な思考能力

プログラミングはコンピューターを動かすためのロジックを構築する作業であり、論理的思考能力(ロジカルシンキング)が欠かせません。論理的思考能力とは、複雑なプロセスを整理しながら、筋道を立てて考えていく能力のことです。

コンピューターは、論理的な指示・命令によってのみ稼働します。プログラマーに論理的思考が欠けていた場合、設計されたロジックが読み取れず正しくプログラミングが行えなかったり、プログラム上のロジックを理解できないために不具合の原因を発見できなかったりして、業務に支障をきたします。

複数のメンバーが関わるプロジェクトにおいても、論理的思考にもとづいたコミュニケーションが要求されます。特に不具合が発生した場合などは、その事象と原因、対策を論理的に説明することが求められます。

情報収集能力

プログラマーには、情報収集能力や学習に対する向上心が求められます。
IT業界は日々進歩しており、トレンドの移り変わりもスピーディーです。プログラミング言語や開発環境も日夜アップデートされています。自ら情報を収集し、知識・技術をアップデートしていかなければ、最新技術やトレンドから取り残されてしまい開発現場でも苦労することになります。

業務では、未知の問題に直面したときに情報収集能力が役立ちます。起きている問題の解決策をインターネット上で探す際にも、適切な情報源を見つけ出し、そこに書かれている情報の信憑性を見極める力が求められます。

また、インターネット検索からの情報収集だけでなく技術書などの書籍や動画学習サイトからの学習も非常に有効です。体系的に特定ジャンルの技術知識を身につけられたり、やりたいことから逆引きで情報が見つけられるなど開発効率の向上にも寄与します。そのため、優秀なプログラマーの中にも技術書を傍らに置いて開発を行っているエンジニアは少なくありません。

実は国語力も重要

プログラマーに限りませんが、ソフトウエアの開発に携わる人は「国語力」や「文章を書く力・読み解く力」を鍛えておくのが望ましいでしょう。

プログラマーの場合、SEをはじめとする多くの人と共にプロジェクトを進めていきます。

国語力が不足していると、「企画書の意図が読み取れない」「相手に分かりやすく伝えられない」という問題に直面するでしょう。

プログラミングではコンピューターが理解しやすいようにプログラミング言語を用いて処理手順を記載しますが、コンピューターに正しく指示を出すために処理を正しく言語化する能力は非常に重要です。

自分が実装したい処理を正しくプログラミング言語で表現できる力、すなわち「言語力」の根幹として国語力は重要となるでしょう。

プログラマーに資格は必要?おすすめの資格

パソコンを前にメモを取る

(出典) photo-ac.com

職業によっては、仕事に従事するために国家資格が必要なものもあります。プログラマーになるには、どのような資格が必要なのでしょうか?

プログラマーになるための特別な資格はない

プログラマーになるための特別な資格・免許はなく、プログラミングができる人であれば、誰でも「自称プログラマー」を名乗れます。医師や看護師といった国家資格が必須の職業に比べると、未経験者でも挑戦しやすいといえるでしょう。

ただし転職においては、資格があった方が自己アピールがしやすくなります。能力が可視化されるので、仕事を依頼する企業側としても声をかけやすいのです。

プログラマーを目指す人は、転職活動を始める前にスクールに通い、資格を取得しておくことをおすすめします。

取得していると有利な資格

取得すべき資格は、活躍したいジャンルや目的によって異なります。代表的な資格をいくつか紹介しましょう。

  • 情報処理技術者試験「基本情報技術者」
  • 情報処理技術者試験「応用情報技術者」
  • Javaプログラミング能力認定試験
  • Pythonエンジニア認定試験

「情報処理技術者試験」は、経済産業省が実施する国家資格です。情報技術の知識・技能を総合的に評価する試験で、4つのレベルと12の専門区分に分かれています。

IT初心者は、「ITパスポート試験(iパス)」からスタートするのもよいでですが、こちらの資格ではプログラマーとしての能力を示すことは難しいため、プログラマーとしての転職を目指すのであれば最低限「基本情報技術者」や「応用情報技術者」の取得を目指して学習することを推奨します。

その他、特定の言語スキルに関する資格としては、「Javaプログラミング能力認定試験」や「Pythonエンジニア認定試験」などがあり、情報処理技術者試験よりも個別具体的なプログラミング言語のスキルを証明する場合はこれらの資格取得が有利です。

プログラマーのやりがい

パソコンでプログラミングをする

(出典) photo-ac.com

いくらプログラマーの需要があるといっても、仕事にやりがいを見出せなければ、続けていくのは難しいものです。現役のプログラマーは、仕事のどのような場面で充足感や喜びを感じるのでしょうか?

プログラムが完成したときの喜び

多くのプログラマーは、プログラムが完成して意図通りに動作したときにやりがいを感じます。難しい設計内容が正しく設計できたときや、無駄の少ない効率的なプログラムが書けたとき、今まで行われていた手作業が自動化されたときなどに喜びを感じるプログラマーも多いです。

バグがなく品質の高いコードが完成したときや既存のコードをよりスマートに改良できたとき、クライアントに成果物を高く評価されたときにも、「プログラマーをやっていてよかった」という充足感を覚えるようです。

SEがいかに素晴らしいシステム設計を行ったとしても、プログラマーがそれを実装しないことには動くシステムは生まれません。その意味で、SEもプログラマーも等しく重要な役割であり、チームとしての協力は不可欠です。

他にも、ゲームプログラマーなどもゲームプランナーやグラフィックエンジニアなどとと協力して初めてゲームを生み出すことができます。実際に自分がチームと共に作り上げているという実感を得られるのもプログラマーの醍醐味といえます。

最先端のモノづくりに関われる

IT業界は技術革新が著しく、たとえベテランのエンジニアでも技術の習得を怠ることはできません。「最先端のモノづくりに関わっている」という自負心により、高いモチベーションを保っているエンジニアはとても多いです。

近年はAIやブロックチェーン、IoTなどが台頭し、IT人材に求められるスキルも変わり始めていますが、こういった分野でエンジニアとして活躍するためには依然としてプログラミングスキルが重要です。、プログラマーとして最先端の技術を学び続ける事は大変ですが、その分大きなやり甲斐が得られる職種だと言えそうです。

プログラマーに関するQ&A

Q&A

(出典) photo-ac.com

プログラマーを目指す上で気になるのが、年収やキャリアパスです。どんなに将来性が高い職業でも、具体的な数値や事実がなければ、前に進むのをちゅうちょしてしまうものです。

多くの人が気になる質問を、Q&Aでまとめました。

プログラマーの年収はいくら?

国勢調査の職業分類において、プログラマーは「ソフトウエア作成者」に該当します。「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、ソフトウエア作成者の平均給与(企業規模10人以上・男女計)は約483万円です。

企業規模・勤務地・勤務年数・活躍するジャンルなどによっても年収は変わってくるため、あくまでも1つの参考にしましょう。

なお、国税庁の「令和3年分民間給与実態統計調査」では、給与所得者(男女)の平均給与は443万円となっています。男女差はありますが、プログラマー全体の年収は、給与所得者の平均よりもやや高いと見てよいでしょう。

参考:
3-sanko【参考】職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)(役職者を除く)| 政府統計の総合窓口
令和3年分民間給与実態統計調査|国税庁

プログラマーのキャリアパス

プログラマーには、複数のキャリアパスがあります。プログラマー一筋の道もあれば、上流工程を担う道もあります。人によっては、フリーランスとして独立することも可能でしょう。

代表的なキャリアパスは、以下の通りです。

  • システムエンジニア
  • データベースエンジニア
  • インフラエンジニア
  • フリーランス

プログラマーとして一人前に仕事がこなせるようになると、プロジェクト全体を指揮・管理するSEへの道が開けます。特に、マネジメント職に興味がある人や、設計などの上流工程に携わりたい人に向いているでしょう。

キャリアチェンジをするのであれば、データベースの開発・運用を行う「データベースエンジニア」や、IT基盤(インフラストラクチャ)の構築を行う「インフラエンジニア」を目指す手もあります。いずれの職種でもある程度のプログラミングスキルは必要です。

一方、十分なスキル・人脈があれば、フリーランスとして独立するのもよいでしょう。時間・場所に縛られずに働ける上、会社員時代よりも収入が増える可能性もあります。

スキルを磨いて、なくてはならない存在に!

パソコンに向かう男性

(出典) photo-ac.com

国家資格を取得しなければ従事できない仕事がある中で、プログラマーは資格・免許を必要としません。年齢制限もないため、未経験者でもチャレンジしやすい職業といえるでしょう。

初心者がプログラマーを目指すには、プログラミングスキルの習得が欠かせません。トレンドの移り変わりが激しいIT業界において、学びには終わりがないため、常にスキルを磨き続ける覚悟を持ちましょう。

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北真也
【監修者】All About デジタルガイド北真也

モバイル業界のシステムエンジニアとして18年以上勤務し、サーバやネットワークのインフラ構築から大規模システムのプロジェクト管理、設計、開発まで幅広く携わる。自身が主宰するブログ「Hacks for Creative Life!」と「アシタノレシピ」、勉強会「東京ライフハック研究会」にて実践的な仕事術を研究・発信中。
All Aboutプロフィールページ

著書:
新時代のワークスタイル クラウド「超」活用術
シゴタノ!手帳術―クラウド&スマホ×アナログ手帳で人生を楽しく自由にする方法