近年では、働き方改革や収入アップのニーズから、正社員として働きながら副業を始めたいと考えている人が増えています。準備と計画次第で、本業に支障をきたさず副業も着実に進めることは十分に可能です。
ただし、正社員が副業を考える際には、基本ルールを知った上でメリットや注意点についても把握しておく必要があります。正社員が安心して副業を始めるステップや正社員向けのおすすめの副業と併せて確認しましょう。
この記事のポイント
- ・正社員が副業をするメリットは?
- 正社員が副業を始めると収入アップだけでなく、スキルアップや新たな人脈構築といったメリットも得られます。
- ・正社員が副業を始めるステップは?
- 副業の目的と目標を明確にする、無理のない時間配分を考える・副業案件を探し応募する・契約を締結する・定期的に振り返りを行うといったステップを踏むことが重要です。
- ・正社員が副業する際の注意点は?
- 本業に影響が出ないように気を付けることと、副業により生じる収入によっては確定申告が必要になる点に注意が必要です。
正社員は副業しても問題ない?

勤務先の給与だけでは足りないのならば、収入アップの手段として副業が選択肢に挙がります。しかしそもそも、正社員として雇用されていても副業はできるのでしょうか?基本的なルールを解説します。
基本的にはOK
一般企業の場合、正社員は副業をしてはならないという法律はありません。つまり法律上はOKと考えて問題ないでしょう。
厚生労働省は働き方改革の一環として、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発表しています。政府としても、民間企業に対して副業を促進する狙いを持っていると考えられるでしょう。
なお公務員の副業は原則禁止ですが、条件を満たせば認められることもあります。副業によってスキルアップを目指し、キャリア形成をサポートできるのであれば、副業のメリットは大きいとされています。
出典:
国家公務員法104条 | e-Gov法令検索
地方公務員法38条 | e-Gov法令検索
副業・兼業の促進に関するガイドライン|厚生労働省
就業規則で禁止されていないかが重要
正社員が副業をする際には、会社の就業規則を事前に確認することが重要です。一般企業で副業・兼業を禁止する法律はないものの、就業規則で副業の禁止を掲げている会社も存在します。
就業規則で禁止されている場合、副業をすると規則違反となり、処分の対象になる可能性もあります。
どうしても副業を認めてほしい場合は、例外的に許可を取る必要があるでしょう。ただし、本業に専念してもらうために副業を禁止する会社も多く、許可を得るのは難しい可能性があります。
副業先を探す際にも就業規則は重要です。本業の会社が副業を認めていても、副業先が認めていないケースもあります。採用面接の際にダブルワークであることを伝えておくと、安心して仕事を始められるでしょう。
正社員が副業するメリット

正社員が副業を始めると、収入を増やすことが可能です。しかし、副業の効果は金銭面だけではありません。本業以外の仕事を持つことのメリットについて確認しましょう。
収入を増やせる
正社員がオフタイムを利用して働けば、その分収入が発生するため、金銭面で余裕が生まれます。
時給制の副業なら、働いた時間の分だけ確実に収入を増やせるでしょう。開業資金も不要で、少ないリスクで収入アップできるのがメリットです。
副業収入は、本業の収入だけでは難しかった、趣味や自己啓発など、さまざまなチャレンジを後押ししてくれます。今よりも金銭的な余裕を望む人は、副業を検討する価値があるでしょう。
スキルアップの期待
副業で経験を積むことで、スキルアップが狙えます。本業と近い分野であれば、経験が早く積めるようになるため有利でしょう。
副業先の規模や方針によっては、勤務している会社ではできない仕事を任せてもらえる可能性もあります。
異業種の場合でも、違う分野のスキルを磨くことで転職の際などに生かせます。将来的に転職を考えているのであれば、目指す分野に関する副業をすると転職活動で有利に働くでしょう。
人脈を増やせる
働くことで新たな人とのつながりが生まれます。勤務先以外の場で人脈を増やしたい場合には、副業がおすすめです。
社会人になると、人脈を増やす機会が限られるのが一般的でしょう。新しい場所で働ける副業は、人とのつながりを増やすチャンスといえます。
勤務先と同じ業界で副業をすると、それまで知らなかった同業種の仲間と知り合う機会が増えるでしょう。仕事の依頼や相談など、本業でも役立つ人脈を構築できるかもしれません。
異業種の場合には新たな業界を知る機会になるため、人脈を生かして新しいビジネスチャンスを生むきっかけにもつながります。
正社員が副業を始める5ステップ

本業と副業を上手に両立させるためには、いくつかのステップを踏む必要があります。目的設定から時間管理・案件探し・契約締結・定期的な振り返りまで、各ステップで押さえるべきポイントを具体的に確認しましょう。
副業の目的・目標を明確にする
副業を始める際に最も重要なのは、目的と目標を明確にすることです。明確な目的があれば、困難に直面したときでもモチベーション維持につながります。
まず「なぜ副業をしたいのか」という問いから始めましょう。収入アップが目的なら、「家族との温泉旅行のため」「子どもの学費のため」など、具体的な使途を考えます。
スキルアップが目的なら、「将来の転職に備えて」「本業での昇進を目指して」など、キャリア目標とひも付けましょう。
副業に充てる時間を決める
副業を成功させるポイントは、無理のない時間配分といえます。本業と副業を両立させるには、明確な時間区分が重要です。例えば「21〜22時は副業の時間」と決め、その時間以外は副業のことを考えないようにしましょう。
また、睡眠時間を削って副業をすることは避け、体調管理を最優先にすることが長期的な成功につながります。
効率的に時間を活用するコツは、「同じ時間・同じ場所・同じ手順」で取り組むことです。毎週土曜の午前中や平日の早朝など、固定の「副業タイム」を設定し、家族にも理解してもらうことで、集中できる環境が整います。
副業の案件を探し応募する
正社員が副業を探す際には、本業との親和性や自分の強み、時間的制約を考慮することが大切です。また信頼できるプラットフォームで案件を探すことが重要といえます。
案件に応募する際は、プロフィールや職務経歴を丁寧に作成し、自分の強みを明確に伝えます。未経験でも、本業での経験や自己学習の成果をアピールすることで採用確率を高められるでしょう。
正社員の副業では、本業に支障がないことを示す工夫も効果的です。
幅広い業界・職種の仕事を探せる国内最大級の求人情報一括検索サイト「スタンバイ」では、ダブルワーク向けの仕事も探せます。まずは興味のある仕事を探すところから始めましょう。
契約を締結する
副業を安全に進めるためには、適切な契約の締結が不可欠です。特に正社員が副業を行う場合は、本業との兼ね合いを考慮し、労働時間を取り決める必要があります。
契約書を確認する際は、業務範囲を明確に定義し、予期せぬ業務拡大を防ぐことが大切です。また報酬と支払条件を確認し、具体的な支払い時期や方法を把握しておきましょう。納期とスケジュールは余裕を持った設定にし、機密保持に関する条項も確認すべきです。
さらに、著作権や知的財産権の帰属といった権利関係や、契約違反時のペナルティについても事前に把握しておくことで、トラブルを未然に防げます。正社員の副業では特に、情報漏えい対策や競業避止義務に注意が必要です。
定期的に振り返る
副業は始めたらそれで終わりではありません。長期的な成功を得るためには、定期的な振り返りと戦略の修正が重要です。月に一度は副業による本業への影響を確認しましょう。
具体的には、収益面では月次の収支を記録し、目標達成度を評価します。スキル向上の観点からは副業での経験を意識的に内省し、その学びを本業に生かす方法を考えましょう。
これらの振り返りをもとに、必要に応じて副業の種類や時間配分を柔軟に修正することが、副業成功への道です。
正社員が副業する際の注意点

副業はあくまで副業であり、メインの仕事は本業です。本業の給与以外の収入を得ることで、どのような変化が生じるのでしょうか。副業を行う場合の注意点を紹介します。
本業に影響が出ないように気を付ける
正社員は、基本的に本業によって生活が成り立っています。無理な副業は本業に影響するリスクがあるため、おすすめはできません。
まずは、本業の繁忙期や残業要請に対応できるかを慎重に考えましょう。繁忙期のシフト変更や残業の依頼に応えられないようであれば、残業代や休日出勤が減り、収入ダウンにつながる可能性があります。
本業を優先するとしても、長時間労働が続くのは好ましくありません。本業と副業を合計した勤務時間を計算し、無理のないスケジュールを組むことが重要です。
万が一無理な副業を続けて体調不良になると、会社を休む事態になりかねません。急な休みや遅刻が増えると、社内での評価が下がるリスクがあります。支障なく働ける時間の長さや仕事内容を考えましょう。
収入によっては確定申告が必要
正社員の副業には、さまざまな就業形態があります。アルバイトのように給与が支払われるものと、業務委託のように給与以外の形で報酬が支払われるものに大別されるでしょう。
正社員が別の会社でアルバイトをするように、2カ所以上の給与支払者から給与を受け取る場合、年末調整は本業の会社で行います。このとき、アルバイト先の年収が20万円を超えると確定申告をしなければなりません。
給与以外の方法で収入を得る場合は、売上から経費を除いた所得が20万円を超えると確定申告の義務があります。
どちらのケースでも、翌年2〜3月の確定申告の時期に、それぞれの収入を申告しましょう。確定申告書は、確定申告の相談会場や郵送、インターネット経由などで提出できます。
正社員におすすめの副業3選

正社員は、副業ができる時間に限りがあります。本業の繁忙期や、急な残業にも対応できる仕事には、どのようなものがあるのでしょうか。正社員におすすめの副業を紹介します。
在宅ワーク
勤務先まで移動しなくてもよい在宅ワークは、時間に余裕がない正社員におすすめの副業スタイルです。
内職や事務作業のような簡単なものから、エンジニア・デザイナー・ライターなどスキルを生かせるものまで、さまざまな仕事があります。本業のスキル次第では、高額な案件が見つかる可能性もあるので、自分に何ができるのか考えた上で、興味があるものに応募してみましょう。
本業の勤務時間帯と重ならないよう、短時間の仕事や自由にスケジュールが組める仕事を選ぶとスムーズに進められます。
ハンドメイドの作品を売る
細かい作業が苦にならない人や、おしゃれなデザインの作品を作るのが好きな人は、ハンドメイド作家を目指すのもおすすめです。
材料費はかかるものの、自分が使いたいものを作るなら、もし売れなかったときのリスクは軽微といえます。まずは出品してみて、手応えがあれば増産してもよいでしょう。
趣味の延長線上で収入が得られるため、ストレスを感じにくいのもメリットです。アクセサリー・雑貨・インテリア用品など、好みのものを製作し、ネットショップやイベントを通して販売しましょう。
アルバイトやパートをする
在宅ワークは出来高制の仕事が多く、成果物を納品して初めて報酬を得られます。作家業も作品が売れなければ、収入を得られません。
副業で安定した収入を求める場合は、時給制のアルバイトやパートを検討しましょう。本業に支障がない時間帯で、週1〜2回から働ける仕事もあります。
飲食店やコンビニ、インターネットカフェなど営業時間が長い店舗では、早朝や夜間のスタッフを募集しているケースも多いでしょう。定期的にできる仕事を見つければ、継続的な収入が見込めます。
中には短期や単発で働けるアルバイトもあり、本業を優先したい人には最適です。
副業のほかに転職という方法もある

収入を増やしたいと考えているなら、まずは副業を検討してみましょう。しかし本業との兼ね合いがうまく図れないケースや、会社が副業を禁止しているケースもあります。
収入アップが目的であれば、転職も視野に入れましょう。求人情報の検索には、幅広い業界・職種から探せる国内最大級の求人情報一括検索サイト「スタンバイ」がおすすめです。副業と転職のどちらを選ぶにしても、自分の希望に合った求人に巡り合えるでしょう。