医師の具体的な仕事内容は?なる方法と求められるスキルを紹介

医学の専門知識を持つ医師は、さまざまな分野で活躍しています。医師の仕事内容や、医師として働くために必要な資格・スキルを見ていきましょう。医師に向いている人、向いていない人の特徴や、医師の仕事に関する疑問も紹介します。

医師の仕事内容は?

パソコンに向かっている医師

(出典) photo-ac.com

医師は医学に関する知識を生かして、さまざまな医療行為に携わっています。専門の診療科目や働く場所によって対応する業務に違いはありますが、一般的な仕事内容を見ていきましょう。

患者の診察・病気やケガの予防

医師は、病気やケガを患った患者を診察します。問診・検査から症状や病状を確認し、対処すべき患部や病名を特定するのが仕事です。医師は全ての医療行為に対応できますが、一般的に検査は看護師や臨床検査技師などが役割に応じ、医師の指示に基づいて行います。

治療に必要な生活指導や、症状を悪化させないための注意点を伝えるのも医師の役割です。健康診断や人間ドックで注意すべき点が浮かび上がれば、予防目的で指導するケースもあるでしょう。

人間ドックや健康診断において、検査を担当するのも主な仕事です。健康診断でも問診・触診・機器の利用を通して、体に問題がないかどうかチェックします。

患者の治療

病気やケガが見つかると、医師は患者を治療します。主に投薬治療と手術があり、患者を回復させるのが目的です。

投薬治療では内服薬・塗り薬・点滴・注射など、症状に応じた薬を選択します。手術にはケガの縫合・患部の摘出・レーザー照射などがあり、外科医が対応するケースが多いでしょう。

自然治癒や生活習慣の改善が必要な病気では、症状を抑える目的で投薬を行う場合もあります。完治が難しい病気でも、投薬により生活の質を改善できるでしょう。

研究医という仕事も

医師の中には、患者の診察・治療ではなく、研究医として働く人もいます。大学や製薬会社などで、新しい治療法・薬剤の研究開発を担当するのが仕事です。

治療法を見つけるために、詳細が分からない病気のデータを集め、主な症状や経過を研究する場合もあります。

研究のみで、患者の診療に携わらないのであれば、医師免許は必須ではありません。しかし、治療と並行して研究を進める臨床研究を行うため、多くは医師免許を取得する必要があるでしょう。

医師になる方法

勉強する男性

(出典) photo-ac.com

医師になるには、受験資格を得た上で免許を取得しなければなりません。免許を取得する方法と、医師として本格的に働き始めるまでのロードマップを紹介します。

国家資格の「医師免許」が必要

医師になるには、医師免許が必要です。医師免許は国家資格であり、大学の医学部(医科大学)を卒業または卒業見込みとなった者のみに受験資格が与えられます。

原則は、日本で指定されている医学部・医科大学の卒業が条件です。外国の医学校を卒業した場合、個別の審査に通ると受験が認められるケースがあります。

医師国家試験の合格率は90%を超えることが多く、医学を学んだ学生にとってはそれほど難易度は高くないようです。

医学部への入学や在学中の課題の難易度が高いため、卒業時には多くの学生が国家試験に合格するに足る知識を身に付けていると考えられます。

参考:医師国家試験の施行について|厚生労働省

医師になるためのロードマップ

医師になるには、大学医学部への進学が必須です。6年間、医学についての知識を学び、医師国家試験の受験資格を得ます。国家試験に合格すると、医師免許が発行されます。

国家試験合格後の身分は、研修医です。2年間は臨床研修を目的として、医療現場で働くことになります。

医師免許を取得しても、すぐに個人開業はできません。最低2年間は、研修先として都道府県知事に指定されている病院、または厚生労働省が指定する外国の病院で働きます。

研修を終えると、各専門分野の医師として、自由に開業や勤務先が選択できるようになります。

医師に向いている人・向かない人

カルテと聴診器

(出典) photo-ac.com

どのような性格・特徴の人が、医師に向いているのでしょうか?医師に向いている人の特徴と、向いていないとされる特徴を紹介します。

医師になるには、難易度の高い大学受験・国家試験に合格する必要があり、前提としてトップクラスの学力が求められる点には注意しましょう。

向いている人

臨床医は、患者と関わるのが仕事です。病院やクリニックで働く場合、人とのつながりを大切にする人が向いています。看護師や薬剤師とのやり取りも多く、一定のコミュニケーション能力が求められるでしょう。

病気やケガに悩む人と向き合うため、誠実さや責任感の強さも医師に必要な資質です。患者と真摯に向き合い、誠実に対応すれば、多くの人から感謝されます。

個人で開業する場合は融通が利きますが、勤務医として働く場合は多忙になることも多い仕事です。体力や勉強し続ける向上心も、医師として活躍するには欠かせない要素でしょう。

向いていない人

医師は患者に対して、正確な診断と治療を施すことが求められます。適当な考えでは重大な病気を見逃すリスクがあるため、性格が大雑把な人には不向きです。また、頑固で人の意見を聞けない性格では、患者が離れていく可能性もあります。

医師は安定した収入を得られる仕事ですが、お金を稼ぐことを重視するのであれば、効率はそれほどよくありません。医学部の学費や難易度を考えると、ほかにもさまざまな道があります。

時間外勤務も多く激務になりやすいため、患者を第一に考えられる人に適性がある職業です。

医師の仕事に関するQ&A

Q&A

(出典) photo-ac.com

医師の働く場所や平均年収、求められるスキルは、仕事をする上で気になる情報です。医師として働く上で知っておきたい疑問を、Q&A方式で解説します。

病院以外に活躍の場はある?

医師の勤務先は病院がメインですが、クリニックでも勤務医を募集しているケースがあります。最近では患者の自宅に伺う訪問診療も多く、地域に出て活躍する医師も増えています。

病院以外の選択肢は、大学での研究職や一般企業、公的施設です。大学には、病気の研究・治療法の確立・新薬の研究など、本人のスキルや専門に応じた仕事があります。

企業の産業医は、企業で働く人の健康を守るのが主な仕事です。生活指導や健康診断に携わります。

そのほか、保健所・介護老人保健施設・障害者支援施設・製薬会社など、医師を必要としている施設も選択肢でしょう。

医師の平均年収は?

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、2021年の医師の平均年収は企業規模計(10人以上)の場合では約1,135万円です。勤務医と自分で医院を開業する開業医では違いがあるものの、日本人の平均よりもはるかに高い水準となっています。一般の平均年収が400~500万円であることを考えると、2倍以上です。

20代前半は研修医として働くため、一般企業と同様に給与水準はそれほど高くありません。勤務する病院にもよりますが、400万〜500万円程度が目安となりそうです。

30代になると平均年収に近づき、40代には平均以上の収入を得る医師が多いでしょう。

参考:

賃金構造基本統計調査 令和3年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 3-sanko【参考】職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)(役職者を除く) | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口

令和3年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口

医師に求められるスキルは?

医師に必要なのは、医療に関する知識です。患者の症状から病名を推測するには、幅広い知識が求められます。

医師免許を取得している時点で基礎的な知識は得ているものの、現場ではさまざまな能力が必要です。

患者から具体的な症状を聞き出すコミュニケーション力や、複数の症状から可能性の高い病気を導き出す推察力、緊急時や多くの関係者と調整していく柔軟な対応力など、求められるスキルは多岐にわたります。

幅広い知識を得るためには、常に情報をアップデートし続ける向上心も大切です。患者を助ける医師であるという自覚を持ち、責任を持って仕事に向き合うことを心掛けましょう。

人の命に関わる尊い仕事

問診する医者

(出典) photo-ac.com

医師は患者の病気を治療・予防し、人の命に深く関わる仕事です。大学の医学部卒業と医師免許の取得が必須となっており、医師になるには難易度の高い試験に合格しなければなりません。

患者を診療する臨床医と医学研究を行う研究医で仕事内容は異なりますが、どちらも医学に関する知識を生かして病気やケガの治療・予防に貢献しています。

研修医として働く期間もあり難易度の高い仕事であるものの、平均年収は高く安定した収入を得られる職業です。

藤澤一馬
【監修者】All About 看護師 / 在宅介護と生活設計ガイド藤澤一馬

医療・お金・法律分野における三種の専門資格取得。医療、介護現場の生の声に応える、本当に知りたい情報を発信。企業、個人への医療・介護教育にも取り組む。
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