介護の仕事内容はどんなことをする?仕事のやりがいと大変な点も紹介

高齢化社会で需要が高まる介護職ですが、具体的にはどのような仕事をするのでしょうか?介護職の主な仕事内容ややりがい・メリット、大変な点について説明します。やりがいも大変さも大きい仕事なので、どちらも理解した上で介護職を目指しましょう。

介護職の主な仕事内容

食事の介助をする男性

(出典) photo-ac.com

まずは、介護職の仕事内容について知りましょう。資格の有無によって対応できる範囲は異なりますが、主に以下の業務を行います。

食事介助

身体機能や認知機能の低下により、1人で食事をすることが困難な人には、食事介助を行います。食事介助はただ単に食事を利用者の口に運ぶだけでなく、一人一人に合った形状やペースに配慮することが大切です。

高齢になると噛む力や飲み込む力が弱くなるため、正しい食事介助を行わないと誤嚥が起こりやすくなります。一口食・きざみ食・ソフト食・ミキサー食など、利用者の状態に合わせた形状の食事を用意し、声掛けをしながら介助を行いましょう。

利用者の中には、食事を1日の楽しみとしている人も多くいます。おいしく楽しい食事ができるよう、スピードや食べさせてあげる角度、会話内容などの細かい点まで意識すると喜ばれるでしょう。

入浴介助

入浴介助は、利用者のQOL(Quality of life:生活の質)向上や尊厳の維持につながる重要な業務の1つです。入浴前の健康確認・衣類の着脱・洗体・洗髪など、入浴に関する一連のサポートを行います。

個浴・一般浴・機械浴・リフト浴など、入浴についても利用者の状態によって方法が異なります。入浴そのものができない利用者についてはシャワーや清拭を行うなど、1人1人に適切なサポートをすることを心がけましょう。

なお、滑りやすい床で転倒したり、やけどや脱水の危険性があったりと、入浴介助には事故のリスクも伴います。利用者の安全のため、慎重かつ丁寧に作業を行うことが重要です。

排泄介助

排泄介助では、おむつの交換やトイレへの誘導・補助などを行います。

排泄はそれぞれのタイミングで行うものであり、決まった時間に決まった作業をするというものではありません。利用者の体調やそのときの状況に合わせ、柔軟に対応することが求められます。

また、排泄はデリケートな問題であるがゆえに、できるだけ人の助けを借りずに自分でやりたいと考える人も少なくありません。利用者の尊厳を損なうことのないよう、相手の気持ちに寄り添った対応をしましょう。

生活援助

生活援助とは、利用者の体に触れることなく日常生活のサポートを行うものです。主に、以下のようなことが該当します。

  • 居室の掃除
  • 衣服やシーツの洗濯
  • ベッドメイク
  • 食事の準備
  • 日用品・食料品の買い物
  • 薬の受け取り

あくまで利用者がスムーズに日常生活を送るためのサポートなので、家族の世話や草むしり・大掃除など、直接的に日常生活に関係ないことは対象になりません。

グループホーム内だけでなく、利用者の自宅へ訪問して行う場合もあります。

介護職のその他の仕事「訓練・イベント」

折り紙でレクリエーションする介護士と老人

(出典) photo-ac.com

リハビリやイベントの開催も介護職の業務の1つです。働き始めてから「これも介護職の仕事なの?」と驚くことのないよう、あらかじめ対象業務を理解しておきましょう。

機能訓練・生活リハビリ

理学療法士や作業療法士が行う身体的な機能訓練の他に、介護職員が行う生活リハビリがあります。

生活リハビリとは、日常生活を送る上で最低限必要となる動作を通して行うリハビリです。無条件に全てをサポートするのではなく、利用者が自分でできることは自分で行い、自立した生活を送ることを目的としています。

例えば、箸で食べるのは難しいけどスプーンでなら1人で食べられるという場合は、自分でスプーンで食べてもらうことで食事のトレーニングになります。

また、座った状態でなら自分で体を洗えるという場合には、シャワーチェアを置くなど、できるだけ自分で行うための環境を整えるのも仕事の1つです。

レクリエーション

介護施設では、定期的にレクリエーションが開催されています。利用者同士や介護者とのコミュニケーション促進だけでなく、頭や体を動かすことで心身の活性化を図ることが目的です。

このレクリエーションの企画や運営も、基本的には介護職員が担当します。ゲーム・運動・工作・歌など、高齢者でも無理なく楽しめるイベントが理想的です。

正月やクリスマスなどの季節のイベントの他、利用者の誕生日会をするところも多くあります。中には運動会や発表会を行うケースもあるなど、介護職員の裁量次第で利用者に楽しんでもらうためのさまざまなイベントが生み出せるでしょう。

介護職のその他の仕事「書類関係」

バインダーに書き込む女性

(出典) photo-ac.com

介護職の仕事には、利用者の介助だけにとどまらず、書類関係の仕事も多くあります。デスクワークの内容についても把握しておきましょう。

介護記録の記入

介護記録とは、利用者の健康状態や様子、行った介護の内容などを記録するものです。介護の現場においては、記入が義務付けられています。

スタッフ間での情報共有だけが目的ではなく、利用者の異変に気付くためや適切な処置を行うためなどに活用される、重要な記録です。介護記録を基に判断することも多いので、他の人が読んでも理解できるように、分かりやすく記入することが求められます。

より質の高い介護サービスやケアプログラムを組むために、介護記録を参考にする場合もあります。日々のケアにおいても、未来のケアにおいても、最高のサービスを提供するための指針となるものといえるでしょう。

利用者家族の相談・援助

利用者本人だけでなく、利用者家族とのコミュニケーションも業務の一環です。

利用者家族には、要介護者である親や兄弟を自分の目の届かない施設に預けることに対して、不安を抱えている人も少なくありません。施設で行う介護内容について質問や相談をされることも多いため、相手の気持ちに寄り添って丁寧に回答しましょう。

なお、病気や治療・薬といった医療的な相談についてなど、専門職に対応してもらう必要があるケースもあります。業務外の質問や相談については無理に回答せず、専門家への相談を勧めましょう。

介護職の仕事で大変なところは?

介護の仕事は、大変なことも多いのが現実です。実際に介護職として働く上で、悩みの種となり得る2つの大変な点について説明します。

利用者・家族との信頼関係の構築

利用者やその家族との信頼関係は、質の高いサービスを提供するためには不可欠です。しかし利用者の中には、なかなか心を開いてくれない人やコミュニケーションを避けようとする人もいます。

信頼関係が築けるまでに時間がかかるケースも珍しくなく、苦労する介護職員も多いようです。さらに、利用者の家族にもさまざまな人がいるため、クレームを受けたり、きつい言葉をかけられたりすることもあります。

うまくいかないことがあってもすぐに気持ちを切り替えられる、メンタルの強さも介護職には必要でしょう。

体力仕事である点

利用者の体を支えたり抱えたりする場面も多く、介護の仕事はかなり体力を必要とします。基本的には立ち仕事であるため、1日の仕事が終わると体がヘトヘトということも珍しくありません。

介助の際に力が加わる腰や手首などを痛める職員もいるなど、自身の体のケアもきちんと行わないと長く続けるのは難しいでしょう。他にも、シフト勤務や夜勤などで生活リズムが崩れることもあり、体調を崩したり苦労したりする人も少なくありません。

体が資本なので、介護職として働くためには自分の体もしっかりいたわってあげる必要があります。体力も筋力も必要な仕事なので、体力に自信のある人には向いているでしょう。

介護職のやりがいやメリットは?

介護する女性と高齢者

(出典) photo-ac.com

介護の仕事は大変なことも多い分、やりがいも十分にあります。介護職のやりがいやメリットについて紹介します。

感謝の言葉をもらえる

介護の現場において、利用者やその家族から感謝の言葉をもらう瞬間が最もやりがいを感じるというスタッフが大半です。仕事で大変なことがあっても、ありがとうの一言で心が温かくなって疲れも吹き飛ぶというのは、介護職の大きな魅力でしょう。

特に介護の仕事は、利用者と毎日のように顔を合わせることが多く、まるで家族のような身近な存在になります。そのように近い関係の人からの感謝の言葉は、格段に嬉しく感じるはずです。

誰かの役に立ちたいと考える人や、人を喜ばせるのが好きな人は、日々大きなやりがいを感じながら働けるでしょう。

日常生活を取り戻す手伝いができる

介護の目的は、利用者が自立して日常生活を送ることです。そのため、サポートをするだけでなく、自分でできることを増やすのも介護職の役割です。

以前はできなかったことができるようになったり、最初はふさぎ込んでいたのに笑顔が多くなってきたり、利用者の状態が以前よりよくなっているのを見られると、やりがいを感じられるでしょう。

利用者が少しでも長く健康に過ごせるように、周りと連携しながらサポートした努力が実を結ぶと、大きな達成感を感じられるはずです。

安定した職に就ける

超高齢社会に突入した日本では、介護職の需要は高まる一方です。介護職は大変な仕事であるイメージが強いことから、人手不足に悩んでいる施設が多いことが現状です。

そのため介護職の勤務経験があると、職に困る可能性は低いといえるでしょう。また、介護を必要としている高齢者は場所に関係なく一定数いるため、住んでいる場所にかかわらず仕事が見つかりやすいのもポイントです。

介護職は体力さえあれば年齢に関係なく長く続けられる仕事ですし、実務経験を積んで資格を取得することもできるので、長期的にキャリアを築いていきたい人にもおすすめでしょう。

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利用者の日常生活を支援する大切な仕事

車いすを押す介護士の女性

(出典) photo-ac.com

思うように体が動かなかったり、以前のことを思い出せなかったり、昔と変わっていく体に高齢者も不安を抱えています。そのような不安な気持ちに寄り添い、心身ともにサポートしていくのが介護職員です。

体力的にも精神的にも大変なことが多い仕事ではありますが、他の仕事では感じられないようなやりがいや感動を覚えるシーンも多くあります。

介護職は、利用者の生活だけでなく人生を支えていく仕事です。二人三脚で一歩ずつ進んでいき、利用者の自立を支えるやりがいのある仕事で活躍しましょう。