看護師が病院以外で働く場所は?人気の職場と転職の際の注意点を紹介

看護師が働く場所は、病院だけではありません。看護師の資格を生かしながら、ワークライフバランスを実現できる職場は数多くあります。この記事では、看護師の資格を生かして働ける場所の特徴や、転職する際の注意点について解説します。

看護師が病院以外で働く場所

保育園児

(出典) photo-ac.com

看護師は主に医療機関に勤務する職種ですが、働く場所は病院以外にもいくつかあります。どのような職場があるのか、具体的に見ていきましょう。

保育園・幼稚園

保育園や幼稚園も看護師が働く場所の1つです。園内では、子どもたちや職員らの健康管理が主な仕事です。保育士の補助として仕事をすることもあり、子どものケガや病気に対応したり、アレルギーのある子どもをサポートしたりもします。

また、園内のトイレや手洗い場の衛生管理や、職員への感染予防の指導なども看護師に任されている仕事です。

休日は保育園によって異なるものの、基本的に勤務時間は園の開園時間に準じています。休みが決まっているので安定して働けるのがメリットですが、給与は病院看護師に比べると低くなります。

一般企業(産業看護師)

一般企業の中にも、看護師が働く場所はあります。企業の医務室などに常駐し、主に従業員の健康を管理しています。健康診断を受ける際の外部機関との連絡・調整・従業員のメンタルヘルスケア・生活習慣病予防のための健康相談なども看護師の仕事です。

勤務形態や給与などは企業によって異なりますが、基本的にはほかの従業員と同様の基準になることが多いでしょう。看護師の資格を保有しているだけでも勤務は可能ですが、より高度な実践力を身につけていきたい人は、産業保健看護専門家制度登録者、産業保健看護専門家とステップアップして、産業保健看護上級専門家の資格を取得するのもおすすめです。

しかし、社内に医務室を備えているのは一部の大企業しかないため、求人が少ないというマイナス面もあります。

美容クリニック

美容クリニックも多くの看護師が働いている場所です。美容クリニックでの看護師の仕事には、診察や手術の補助のほか、受付・カウンセリング・美顔器・脱毛器などの操作も含まれます。美容医療機器の中には、医療従事者しか操作できないものもあるため、看護師の資格を持っている方が有利でしょう。

給与は一般の病院より高めになる傾向です。完全予約制のクリニックがほとんどなので、残業や夜勤はありません。しかし、一般医療で身につけてきたスキルは磨けないため、スキルアップを目指す人には不向きです。

また、美容クリニックでの看護師経験は、一般病棟へ転職する際に実務としてカウントされないケースもあるので、転職する際はキャリアプランをよく考えた上で決めましょう。転職先として人気のある職場ですが、離職率が低いので求人が少ないという特徴もあります。

健診センター・献血ルーム

健診センターや献血ルームなども、看護師におすすめの職場です。健診センターでの仕事には、各種検査の補助に加えて、事務作業なども含まれています。健診車で企業や健診会場を回る巡回健診にも同行します。

夜勤や残業がなく、プライベートの時間を確保しやすいのがメリットです。献血ルームでは、採血業務・献血業務・記録・物品管理などを行います。勤務する場所によって就業時間に違いはあっても、日勤業務であることが多く、小さい子どもがいる人にとっては比較的働きやすい職場でしょう。

ルーチン業務がほとんどなので、同じ作業が苦にならない人にはおすすめです。ただし「日本赤十字社」が指定する場所での勤務となるため、希望する場所にならないこともあります。また、健診センターや献血ルームでの仕事は、看護技術のスキルアップにはつながらないので、今後看護師への復職を考えている人には不向きでしょう。

求人数が多く看護師資格を生かして働く場所

介護士の女性と車いすの高齢者

(出典) photo-ac.com

看護師が病院以外で働く場所を探す際に、気になるのが転職しやすいかどうかという点でしょう。看護師の資格を生かせる場所で、なおかつ求人数が多い職場を2つ紹介します。

高齢者向け施設・介護施設

高齢者向けの施設や介護施設は、常に人手不足が叫ばれているため、看護師にとっても働く場所を見つけやすい職場でしょう。高齢者が入居している老人ホームや介護施設での仕事は、主に入居者の健康管理です。医師の指示があれば、点滴・採血・投薬なども行います。

医師がいない施設では、入居者の体調が急変したときの応急処置をしたり、病院への引き継ぎをしたりするのも看護師の仕事です。とはいえ、基本的には健康管理が主な仕事なので、看護師としての勤務経験が短く、スキルが未熟な人にとっても転職しやすいというのが魅力でしょう。

施設内には介護士がいるので、病院のように患者の身体看護をする場面も少なく、体力的に自信がない人でも働きやすい職場といえます。

訪問看護ステーション

訪問看護ステーションは、利用者の自宅に出向いて健康面のサポートを提供するサービス拠点です。地域のケアマネージャーとも連携しながら健康管理したり、医師の指示のもとで、点滴やカテーテル管理などの医療処置を施したりもします。身体的な介助から心理的なサポートまで、仕事の内容は多岐にわたるのが特徴です。

夜勤はないものの、オンコールで呼び出されたり、家族に対して精神的にサポートしたりと、利用者との関わりは多くなります。そのため、病院での勤務より看護師としての責任は大きいといえるでしょう。

勤務日数や時間などの調整は利くので、実働時間では病院ほどの負担はかかりません。給与面は、看護師とほぼ同じ水準です。公益社団法人日本看護協会によると、訪問看護ステーションの求人倍率は、2021年度でも約3.22倍と人手不足が続いているため、看護師が転職しやすい職場です。

参考:看護職の求職・求人・就職に関する分析報告書(2021年度)|日本看護協会

看護師が営業やコーディネーターとして働く場所

医療機器

(出典) photo-ac.com

看護師の資格を生かしつつ、医療行為をせずに働く場所もあります。営業やコーディネーターなど、看護業務とは異なる2つの職種を紹介します。

医療機器メーカー(フィールドナース)

フィールドナースとは、医療機器のメーカーに勤務して営業サポートする仕事です。病院やクリニックで、自社の医療機器をプレゼンテーションしたり、デモンストレーションしたりします。医療機器を納入した病院に対し、納品後のアフターフォローを担当することもあります。

医療行為は行わないものの、看護師としての臨床経験を生かせる仕事です。医療に関する知識のほか、ビジネスマナーやPCスキルも必要となります。外資系の医療機器メーカーの製品を取り扱う場合などは、ある程度の英語力も求められるでしょう。

就業時間は、企業の勤務形態によって異なりますが、基本的に土日は休みで、夜勤もありません。業務実績によっては看護師より大幅に収入アップする可能性もあるでしょう。

治験コーディネーター(CRC)

治験コーディネーターとは、医薬品などが人体に安全かつ有効かを検証するための臨床試験や、承認申請をサポートする仕事です。勤務場所には、民間の治験施設支援機関や医療機関などがあります。

仕事内容は、治験の前準備・治験中のモニタリングや治験参加者へのサポート・結果報告書作成の3段階に分けられています。治験コーディネーターになるための資格は特にありませんが、看護師資格を保有している人も多い職種です。

医療機関では、看護師や薬剤師などが治験コーディネーターを兼務することも少なくありません。基礎的な医学・薬学の知識のほか、薬事関連法規についての理解や、統計処理などの事務処理能力も必要とされます。ただし、医療に関わる仕事とはいえ、医師や看護師に比べると給与は低くなる傾向です。

病院以外で看護師が活躍できるユニークな場所

足の応急手当

(出典) photo-ac.com

看護師が働く場所には、普段何気なく利用しているのに気づかないような、ユニークなところもあります。どのような場所があるのか、見ていきましょう。

アミューズメントパークなどの救護ルーム

求人自体は少ないものの、アミューズメントパークのような、レジャー施設の救護ルームも看護師が働く場所の一つです。パーク内でケガをした人や、具合が悪くなった人の処置を担当するのが主な仕事ですが、状況によっては病院までの付き添いをすることがあります。

勤務時間はパークの開園時間に準じるため、土日の出勤は避けられません。給与は時給制のことが多く、時間帯によっても変わります。1日に救護室を利用する人は意外に多く、楽しんでいるときに具合が悪くなった来園者に配慮することも必要なので、コミュニケーションスキルが重視される職場です。

ツアーナース

ツアーナースとは、修学旅行のような団体旅行に同行する看護師です。旅行中の参加者の健康管理や、ケガや病気になったときの応急処置などをしています。

基本的に単発の仕事が多く、正社員や契約社員としての雇用形態は難しいとされます。派遣会社に登録して派遣されるのが一般的です。宿泊を伴う仕事なので、明確な勤務時間が決まっていないのも特徴です。

医師は同行しないため、緊急時には看護師の判断で動かなければならず、病棟勤務より責任が重くなるケースもあります。年間を通じて安定した求人の保証がないので、メインの仕事として考えるのは難しいでしょう。

看護師が病院以外に転職する際の注意点

気合の入れた看護師

(出典) photo-ac.com

看護師が病院以外の場所に転職する際は、どのようなことに注意すべきでしょうか。具体的なポイントを3つ挙げて説明します。

病院以外は臨床経験やスキルが重視される

看護師が病院以外の場所で働く場合、医療現場での臨床経験や看護スキルのレベルについては、必ず聞かれる質問だと思ってよいでしょう。病院以外の職場では、医師が常駐していない場所も多く、看護師の判断に任されることも少なくありません。

即戦力としての人材を求めているので、教育制度がある職場もほとんどないと考えた方が無難です。未経験者歓迎と明記されている職場であれば、教育制度が整い、臨床経験がそれほどなくても働ける可能性はあります。

リハビリテーション病院や介護施設など、人材が不足しがちな場所も、臨床経験の多さにかかわらず転職しやすい職場です。

職場によっては有効求人倍率が低いので注意

希望する職場の有効求人倍率にも着目しておくことが大切です。訪問介護や介護施設のように、慢性的に人材が不足している場所を除いて、基本的に病院以外の転職先の有効求人倍率は低いのが特徴です。

有効求人倍率が低い職場は、転職希望者の数に対して、募集している人数が非常に少ないため、求人はあっても採用まで至らないことが見込まれます。

企業看護師・美容クリニック・保育園などは、病院以外の転職先として人気がある職場です。離職率も低いため、求人自体が少なく競争倍率は高くなります。どうしても人気の転職先を狙いたいなら、万全の対策が必要でしょう。

夜勤のある病院勤務より給与が下がる

病院以外の職場では、美容クリニックや企業の産業看護師を除いて、夜勤のある病棟勤務の看護師より、給与は低くなることがほとんどです。転職先として人気がある保育園も、保育士の年収が全体的に低いため、同じように勤務する看護師の給与も低くなります。

重視したいのはワークライフバランスなのか、それとも収入なのか、自分の中で優先させるものをしっかり見極めた上で転職を決めることが大切です。

看護師の資格を生かせる場所で働こう

白衣姿の5人の男女

(出典) photo-ac.com

看護師資格は、一度取得すれば生涯を通して有効なので、資格を生かせる場所に転職したいと考えている人も多いでしょう。看護師は病院やクリニックで働くものと思いがちですが、ほかにも看護師の資格を生かして働ける場所や職種は数多くあります。

看護師としてのスキルがそれほどなくても転職しやすい職場もあるため、臨床経験の乏しい人でも積極的に求人サイトなどを確認してみるのがおすすめです。

スタンバイ|国内最大級の仕事・求人探しサイトなら