看護師の勤務形態はさまざまなパターンがあり、勤務先を探す際に戸惑う場合があるでしょう。自分に合った働き方をするには、それぞれの違いをしっかりと把握することが必要です。種類ごとの特徴やシフトのパターン、メリット・デメリットなどを紹介します。
この記事のポイント
- 看護師の勤務形態
- 看護師の勤務形態は主に日勤や夜勤、交代制などがあり、医療機関や診療科によって求められるスタイルが異なります。
- 2交代制と3交代制の特徴
- 2交代制と3交代制はどちらも夜勤が入る勤務形態であり、生活リズムが乱れやすいことが特徴です。
- 勤務パターンの違い
- 勤務形態が同じであっても、勤務パターンは勤務先によって異なるため注意が必要です。
看護師の勤務形態の種類とそれぞれの特徴
看護師にはさまざまな勤務形態があり、どれを選ぶかによって働き方が左右されます。自分に合った働き方を見つけるため、それぞれの特徴を知りましょう。
日勤
日勤とは、日中の勤務を主とした勤務形態のことです。例えば、8:00~17:00(休憩1時間)などの働き方が該当します。診察や検査などは昼間に行う施設が大半なので、需要が多い働き方です。
日勤を基本の勤務形態としているのは、病院の外来やオペ室、入院施設がないクリニック、産業看護師などです。
夜勤手当がない分の収入が減るので、多くの給与を得たい人には向いていませんが、生活リズムを整えやすいメリットがあります。
交代制
交代制は、多くの病院やクリニックで採用されている勤務形態です。日勤や夜勤など、複数の時間帯のシフトから成り立ち、入院患者のケアや夜間の緊急対応など、日中の業務以外もカバーします。
主に2交代制と3交代制があり、両者を混合している病院もあります。病棟勤務ではほとんどの場合、交代制です。
シフトの内容は勤務先によって異なり、同じ病院内でも病棟ごとにさまざまな勤務形態が取り入れられている場合があります。
変則交代制
交代制の中に、長日勤・早番・遅番などが取り入れられている勤務形態を、変則交代制といいます。
長日勤とは、日中の勤務を長くした勤務形態のことで、主な勤務時間は8:30~19:30(休憩1時間)などです。夜勤の中でも忙しい夕食前後の時間が含まれ、体力的な負担は大きいといえます。
早番は早朝から出勤し、1時間程度早く勤務終了する形態です。遅番は昼ごろから21時ごろまで勤務します。出勤時間をずらし、早朝や夜間の負担を減らすことが目的です。
夜勤専従
家庭の事情や体調面の問題などで、夜間の勤務を避けたい看護師もいます。そうした需要を満たすために、夜勤のみに入る形態を導入している病院もあります。
夜勤手当が付くので、少ない勤務日数でも高収入を得やすいのが利点です。一方で大変な面もあり、夜間は職員数が少なく、割り当てられる業務の量が多くなります。
業務内容が広範囲に及び、少数精鋭が求められるので、看護師として十分なキャリアが必要です。また、生活リズムが崩れやすい点も夜勤専従のデメリットといえます。
2交代制の特徴と勤務パターン
2交代制の勤務時間帯は2つで、勤務先によりどのような分け方をしているかは異なります。ここでは、主な特徴や勤務パターンの例を見ていきましょう。
日勤と夜勤で構成
2交代制は、以下の2つの勤務時間帯で構成されています。夜勤の労働時間が長く、16時間にも及ぶのが特徴です。
- 日勤(8:00~17:00)
- 夜勤(16:30~9:00)
勤務する時間帯が2パターンなのでシフトを把握しやすく、夜勤後の休養時間が長いなどのメリットがあります。慣れれば、プライベートの時間を充実しやすいと感じるかもしれません。
夜勤中は仮眠を取れますが、緊急対応をしなければならないケースもあり、疲労がたまりやすい点がデメリットといえます。
2交代制のシフト例
2交代制では、日勤・夜勤・夜勤明け・休日のサイクルを繰り返します。例えば、下記のような勤務パターンになります。
【シフト例】
- 月曜日:休日
- 火曜日:日勤
- 水曜日:夜勤
- 木曜日:夜勤明け
- 金曜日:休日
- 土曜日:日勤
- 日曜日:日勤
勤務先によって異なりますが、夜勤の回数は月4回前後になるでしょう。できるだけ夜勤の日を減らしたい人に、向いている働き方です。夜勤明けと休日が連続になるので、疲労回復の助けになります。
2交代制のタイムスケジュール例
以下、2交代制のタイムスケジュール例を確認しましょう。
【日勤】
- 8:00 出勤、夜勤看護師からの申し送り
- 9:00 点滴・検査の準備
- 10:00 見回り、バイタルチェック、処置、入浴介助など
- 11:30 交代で休憩
- 12:00 昼食配膳、食事介助など
- 13:00 手術や検査の移送・受け入れなど
- 14:00 検温、バイタルチェック、入院患者対応など
- 16:00 点滴準備や交換、夜勤の看護師への申し送りなど
- 17:00 勤務終了
【夜勤】
- 16:30 勤務開始、日勤看護師からの申し送り
- 17:30 見回り、点滴交換、検温など
- 18:00 夕食配膳、食事介助など
- 19:00 バイタルチェック、排点滴交換、泄介助など
- 20:00 交代で休憩
- 21:00 就寝準備
- 2:00 交代で仮眠
- 4:00 見回り、バイタルチェック、排泄介助、体位交換など
- 6:00 起床、バイタルチェック、採血、点滴交換など
- 7:00 朝食配膳、食事介助など
- 8:30 日勤の看護師への申し送り、記録
- 9:00 勤務終了
3交代制の特徴と勤務パターン
3交代制は、3つの勤務時間帯からシフトを編成する勤務形態で、2交代制にはないメリットがあります。ここでは、3交代制の特徴やシフトの例などを見ていきましょう。
日勤・準夜勤・夜勤で構成
3交代制は、主に以下3つの時間帯の勤務から成り立つ勤務形態です。
- 日勤(8:30~17:00)
- 準夜勤(16:30~1:00)
- 夜勤(0:30~9:00)
夜間も8時間勤務になるので心身の負担が少なく、疲労回復しやすい点が大きなメリットです。
ただし、2交代制に比べるとシフトが複雑になりやすく、慣れるまでは生活リズムを整えるのに苦労するかもしれません。まとまった休みが取りにくい点は、デメリットです。
また、準夜勤の退勤、夜勤の出勤が深夜になるため、勤務先が遠いと不便を感じる場合があるでしょう。
3交代制のシフト例
3交代制の場合、週に1回は夜勤と準夜勤が含まれるパターンが一般的です。
【シフト例】
- 月曜日:日勤
- 火曜日:日勤
- 水曜日:夜勤
- 木曜日:準夜勤
- 金曜日:休日
- 土曜日:休日
- 日曜日:日勤
ほかにも、日勤・準夜勤・休日・夜勤の順番で繰り返すなど、勤務先によってパターンが異なります。
3つの時間帯で構成されるため、スケジュール管理に苦労する可能性があります。夜勤が連続する場合は、昼夜が逆転する生活になるでしょう。
3交代制のタイムスケジュール例
日勤のタイムスケジュール例は、2交代制の場合と同じです。
【準夜勤】
- 16:30 出勤、日勤看護師からの申し送り
- 17:00 見回り、点滴交換など
- 18:00 夕食配膳、食事介助など
- 19:00 見回り、バイタルチェック、排泄介助、体位交換など
- 20:00 交代で休憩
- 21:00 見回り、体位交換など
- 23:00 点滴準備、事務作業など
- 0:30 夜勤の看護師への申し送り
- 1:00 勤務終了
【夜勤】
- 0:30 出勤、準夜勤看護師からの申し送り
- 1:00 見回り、点滴交換、体位交換、排泄介助など
- 4:00 交代で休憩
- 5:00 見回り、点滴交換、体位交換、排泄介助など
- 6:00 起床、バイタルチェック、点滴交換、採血など
- 7:00 朝食配膳、食事介助など
- 8:30 記録、日勤看護師への申し送り
- 9:00 勤務終了
2交代制と3交代制はどちらがよい?
勤務形態の中でも、2交代制と3交代制のどちらを選んだらよいか分からないと感じる人もいるでしょう。比較のポイントや、どちらを採用している病院が多いのかなどを解説します。
労働時間や出勤回数の違いがポイント
「長時間労働をしたくない」「夜勤の時間をできるだけ短くしたい」という人は、3交代制がおすすめです。
ただし、シフトパターンが細かく出勤回数が多いので、2交代制より疲れると感じる場合もあるでしょう。どちらにしても夜勤があるので、生活リズムは崩れやすくなります。
夜勤をうまく乗り越えるには、勤務前の仮眠や、勤務中の眠気対策をする方法が効果的です。仕事中に眠気を感じたときは、適度なストレッチをするとよいでしょう。
ミント系のガムや、せんべいなどの噛み応えのある間食をするのも、眠気覚ましに役立ちます。
施設別では3交代制の病院が多い傾向
多くの病院で交代制が採用されていますが、2交代制と3交代制はどちらが多いのでしょうか。
日本医療労働組合連合会が実施した「2024年度夜勤実態調査」のデータを見てみましょう。施設別に見ると2交代制は31.7%、3交代のみが36.0%、両方が混在する「混合」が32.3%でした。
病棟数別に見ると、2交代制は46.3%、3交代制は44.8%、混合は8.9%です。施設別では3交代制の病院の方がやや多く、病棟数別では2交代制の方がやや多い結果となっていますが、圧倒的な差があるわけではありません。
どちらを希望したとしても、多くの候補の中から職場を選べるでしょう。
出典:夜勤実態調査一覧│トピックス│医労連・日本医療労働組合連合会
看護師の勤務形態を知り、自分に合った働き方を
どのような勤務形態を選ぶかによって、看護師の働き方は大きく変わります。診療科によっても、求められる勤務パターンが変わってくる点を押さえておきましょう。
病棟勤務では交代制が主流ですが、自分に合った働き方をするには、どのようなシフトパターンになっているかを確認することが大切です。勤務パターンの違いに注意しながら、職場を探しましょう。
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