理学療法士として転職を成功させるためには、転職先に合った志望動機を作成することが必要です。説得力のある内容にし、採用担当者の目に留まる仕上がりにするためにはどうすればよいのか解説します。転職先別の例文もチェックしましょう。
▼この記事のポイント(記事概要)
- 志望動機で押さえておきたい4つのポイント
職種に対する熱意・その転職先を選んだ理由・自分の強みや経験・転職後に目指す未来像を分かりやすく伝えることが大切です。 - 転職先に合わせた志望動機の例文
転職先の業務内容や取り扱う患者のタイプ、規模・理念などにマッチした内容にしましょう。 - 書き方のテクニック
採用担当者の目に留まる志望動機にするためには、結論を先に述べる、具体的なエピソードを加えるといったテクニックも必要です。
理学療法士の志望動機で押さえておきたい4つのポイント
理学療法士は専門性の高い職種であり、業務内容もはっきりしています。そのため、理学療法士という仕事に就くことそのものが志望動機になると思われがちです。
しかし、職種に対する意識や職場に求めることなどは人によって違います。採用担当者はこの違いから仕事に対する姿勢や人となりを判断することになります。
志望動機で自分をしっかりとアピールするために、4つのポイントを確認しておきましょう。
1.理学療法士という職種に対する思い
まずは、理学療法士という仕事に対する誇りや熱意を伝えます。理学療法士は専門性の高い職種であるため、資格を取得するためだけでなく、業務の質を高めるためにも勉強してきたことでしょう。
医療の分野、その中でも理学療法士に惹かれたのはなぜですか?自分や家族が患者で、理学療法士のお世話になったという人もいるでしょう。家族や友人などに理学療法士がいて、憧れを持ったという人も少なくありません。
理学療法士という仕事に対する真摯な態度や積極的な取り組みは、採用担当者に「この人いいな」と思わせる大きなポイントです。具体的なエピソードを交えながら、理学療法士という職種に対する熱い思いを伝えましょう。
2.この転職先を選んだ理由
採用担当者が特に知りたいのは、たくさんある転職先候補の中から、なぜこの転職先を選んだのかという点です。志望動機ではここをしっかりと押さえておきましょう。
理学療法士の転職先で多いのが、病院やクリニックなどの医療機関です。障害や病気・手術後のリハビリを専門に行うところや、訪問リハビリサービスを実施しているところもあります。
ほかにも、身体障がい者や高齢者の福祉施設・小児専門のリハビリ施設・予防医療の一端を担う行政機関・スポーツ施設など、転職先の選択肢は実に豊富です。
取り扱う患者のタイプや病状などによって、業務が目指すゴールは異なります。転職先の情報をしっかりと確認し、業務内容や必要とされる人物像を理解していることが伝わる内容にしましょう。
3.経験や強みなど自分のアピールポイント
志望動機では自分をアピールすることも重要です。アピールポイントを見つけるためには、自己分析が欠かせません。
まずは、自分の性格・理学療法士として取り組んできた分野・前職で関わっていた症例など、ランダムに書き出してみましょう。評価されたことや前の職場で貢献できたことなども書きます。
その中から、転職希望先にマッチするものを1つか2つピックアップします。自分は新たな職場で何ができるのか、自分の持っているものをどのように役立てられるのかを明確にするのが目的です。
採用担当者に「この人はうちでもうまくやっていけそう」「この人を雇わなければ損をするかも」と思わせられれば、転職成功に一歩近づけます。
4.明確なキャリアプラン
最後に、これからのキャリアプランや思い描く未来像を伝えます。どのような理学療法士を目指しているのかがはっきりすれば、そこに向かって努力する姿がイメージしやすくなります。
専門的に学びたいスキルや取り組みたい分野がある人もいれば、ゆくゆくはチームをまとめる人材になりたいと思っている人もいるでしょう。
注意しておきたいのは、希望する転職先でそのキャリアプランが実現可能かどうかという点です。例えば、「回復期や維持期まで患者に寄り添い、社会復帰をサポートしたい」という思いがあったとしても、急性期の患者ばかりを取り扱う医療機関では実現できません。
転職先にマッチしたキャリアプランであるかどうか、きちんと確認しておきましょう。
転職先ごとの特徴と志望動機の例文
志望動機は使い回しできません。転職希望先に合わせて、刺さる内容に仕上げる必要があるからです。
理学療法士の転職先にはいくつもの選択肢がありますが、ここでは代表的なものをピックアップし、その特徴と志望動機の例文を紹介します。どこに「刺さる」ポイントがあるのかを見極め、参考にしてみてください。
医療施設
病院やクリニックでは急性期から回復期のリハビリが中心になるものの、医療施設によっては維持期の患者を担当することもあります。
急性期のリハビリでは特に、医師や看護師など多職種との連携も求められるため、協調性なども強みとしてアピールできるでしょう。組織が大きくなれば、リーダー職などへのキャリアアップも望めます。
急性期から回復期、維持期まで長期的なサポートに関わりたいという思いから、こちらへの転職を志望いたしました。
私の実家では、自宅で祖母の介護をしていました。そこで理学療法士という仕事について知りました。
機能維持に必要なトレーニングをするだけでなく、患者との信頼関係を築き、リハビリを続けるモチベーションを上げることが効果を大きく左右するのだと実感し、それが理学療法士を目指したきっかけです。
おばあちゃん子だったこともあり、高齢者とのコミュニケーションは得意で、前職でも多くの高齢患者を担当しておりました。ただ、急性期の対応が中心だったため、その後の回復や社会復帰を見ることはかないませんでした。
貴院は、クオリティー・オブ・ライフの向上を目標に、多くの高齢者の治療・リハビリに取り組んでおられます。患者にしっかり寄り添い、再び人生を楽しめるようなサポートをしていければと思っています。
介護福祉施設
介護福祉施設では、高齢者や障害のある人へのリハビリを行います。高齢化が進む中、リハビリを重視する福祉施設も増えてきており、理学療法士の需要が高まっている転職先です。
私がこちらに転職を志望したのは、健康寿命に着目した取り組みに感銘を受けたからです。ただ生かすのではなく、できるだけ機能を維持し、生きる楽しみを少しでも多く残すというのが、高齢者介護に対する私の理想です。
医療の知識やスキルを使って人の役に立ちたいという願いから、理学療法士を目指しました。前職は、回復期や維持期まで対応する医療機関で、日常生活への復帰を目指したリハビリを担当していました。
こちらで生活する高齢者にとっては、食べる・話す・歩くといった当たり前のことが生きていることを実感できる重要な要素になります。理学療法のプロとして、楽しく人生の最期を迎えられるよう高齢者のサポートに取り組んでいきたいと思います。
小児リハビリ関連施設
小児リハビリ関連施設では、病気や障害のある子どもたちのリハビリを専門に行っています。リハビリに加え、家族へのアドバイスなど日常生活や心理的なサポートも業務の一環です。
病気やけがなどが原因の後天性障害だけでなく、先天性障害も取り扱うため、1人1人に合わせたアプローチが必要です。理学療法士としてのスキルや知識が試される分野でもあります。
私がこちらの施設を志望した動機は、理学療法士として子どもをサポートする仕事をしたいと思ったからです。学生時代、障がい児童のサポートプログラムに参加し、子どもたちとの触れ合いの中で医療知識を生かす喜びを感じました。
病気や障害のある子どもたちについて知るにつれ、これからの長い人生を不自由な体とともに過ごしていかなければならない子どもたちに、勇気や希望を与える存在になりたいと強く願うようになりました。
前の職場では主に術後の回復患者を中心に担当していましたが、小児リハビリを視野にセミナーに参加するなど学習してきました。
小児リハビリの現場でさらにスキルや知識を磨き、1人1人の子どもに最適なプログラムを作れるよう精進していく所存です。
理学療法士の志望動機作成に必要な前準備
志望動機はすぐに書き始めるのではなく、前準備をしてから作成していくとスムーズです。こうすることで、どの転職先にも使える志望動機ではなく、希望する転職先にぴったりの志望動機に仕上げられます。
前準備として踏んでおきたい2つのステップを見ていきましょう。
志望動機に必要な情報を全て書き出す
まずは材料集めです。これまでのキャリア・経験・得意分野など、思いつくものを全て書き出してみましょう。目指していること・学習していることなども含めます。
患者に喜ばれた経験や、スタッフに褒められたエピソードなど、ささいなことでも構いません。目標にしたい人や考え方に影響を与えた本などがあれば、それらも書き出します。
全て出そろったら、その中から志望動機の軸になるものを決めます。転職を考えた理由は1つではないかもしれません。しかし、最も強い動機付けとなったもの、意欲やポテンシャルを感じさせるものを1つ選びます。
最後に、選び出した内容に説得力を加えるエピソードを考えます。文字数に限りがあるため、詳細を説明する必要はありません。端的で分かりやすいエピソードがあるとよいでしょう。
転職先の特徴や業務内容を確認する
医療機関や施設は、それぞれに取り扱う分野や患者の傾向、サービスの内容が異なります。そのため、リサーチをしっかりと行い、実状に合った未来像を見据えておかなければなりません。
医療機関や施設のホームページなどで、サービス内容・強みや魅力・代表者の言葉や理念などをリサーチし、どのような人材を求めているのかを見極めましょう。取り扱う患者のタイプ、業務の範囲・規模はぜひとも理解しておきたいポイントです。
転職希望先の実状が分かってくれば、自分の持つどの強みを志望動機の軸に据えるのかが見えてきます。転職先の持つ強みや理念にふさわしい人材であることが伝われば転職が有利になるため、しっかりと押さえておきたいポイントです。
志望動機作成準備としてのリサーチでは、待遇や福利厚生などの条件ではなく、理学療法士としての業務や患者との関わり方などにフォーカスするとよいでしょう。
志望動機の最終チェック
志望動機の下書きが済んだら、最終チェックをしてみましょう。書き方次第で、採用担当者に流し読みされてしまったり、最後まで読んでもらえなかったりといった残念な結果につながることもあります。
以下3つのチェックポイント全てに「OK」が出せたら、自信を持って履歴書やエントリーシートに記入していきましょう。
結論から書き始めていますか?
志望動機は、分かりやすく興味を引く内容であると、採用担当者の目に留まりやすくなります。そこで重要なのが、最初に結論を述べることです。
まずは結論を述べ、それから理由・具体例・結論の流れで伝えるやり方を「PREP(プレップ)法」といいます。短時間で意見が伝わるため、文字数に制限がある志望動機ではぜひとも活用したいテクニックです。
「私がこちらを志望したのは〇〇だからです」と出だしで結論を述べると、話の流れがすぐにつかめるため、数多くの履歴書を見る採用担当者の目にも留まりやすくなるでしょう。結論を最初と最後に述べることで、印象に残りやすいというメリットもあります。
転職先とキャリアプランがマッチしていますか?
同じ理学療法士として働く場合でも、職場によって実現できるキャリアには違いがあります。現実的なキャリアプランを提示していなければ、志望動機に説得力がありません。
自分の描くキャリアプランが転職希望先で実現可能かどうかは、しっかりと確認しておきたいポイントです。
学習したいスキルがある、専門性を深めたいなど、自分の希望をかなえるチャンスがその転職先にあるのかを調べましょう。例えば、いずれはリーダー職に就きたいと考えている場合、そのポジションがない施設でのキャリアアップは難しいかもしれません。
未来像は面接でも突っ込んで聞かれる部分のため、転職先の業務や働き方とキャリアプランに食い違いがないか、いま一度確認しましょう。
ネガティブな理由になっていませんか?
転職を考えた大きな理由が前の職場に対する不満であったとしても、そこに志望動機の軸を置くことは避けましょう。ネガティブな内容が多くなると、ネガティブな人物だと思われてしまうかもしれません。
採用担当者が求めるのは、長く働いてくれる人です。志望動機がネガティブなものであると、「不満があるとすぐに辞めてしまうのではないか」と採用担当者を不安にさせてしまいます。
「前職を辞めたかった理由」からもう一歩踏み出して、「転職先でやりたいこと」に思考をつなげられれば、ポジティブな志望動機になるでしょう。
説得力のある志望動機で理学療法士の転職を成功させよう
理学療法士は専門性の高い、人の役に立てる職種です。仕事に対する熱い思いや転職で成し遂げたいことがしっかりと伝わる志望動機が作成できれば、転職成功に一歩近づけます。
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