エンジニアのキャリアパスの現状と方向性。決めるポイントも紹介

IT技術の進展でエンジニアのキャリアパスは多様化し、選択できる仕事の幅も大きく広がっています。従来の出世ルートに捉われず、自分らしいキャリアを築き上げていきましょう。IT業界のトレンドやエンジニアのキャリアパスの傾向について解説します。

エンジニアのキャリアパスの現状

デスクトップモニターが二つ置いてある

(出典) unsplash.com

エンジニアとして働いている人は、業界の将来性や自分のキャリアパスについて考えたことはあるでしょうか?

技術革新が進むIT業界では、高度で実践的なスキルを持ったIT人材が必要とされています。エンジニアを取り巻く現状とキャリアパスの傾向について解説します。

先端のIT人材が求められる時代へ

エンジニアがキャリアパスを考えるに当たり、IT業界の動向を把握しておく必要があります。IT業界は技術進展が目覚ましく、知識・技術のアップデートやスキル転換を図らなければ、生き残れないといっても過言ではありません。

IT人材は、システムの開発・保守・運用に携わる「従来型IT人材」と、AI・ビッグデータ・IoTなどの技術を習得した「先端IT人材」に大別されます。

IT業界は人手不足が深刻化しているといわれ、どちらの需要もありますが、今後大きく需要が伸びるのは先端IT人材です。

参考:IT人材需給に関する調査 調査報告書|経済産業省

キャリアパスが多様化している

エンジニアのキャリアパスというと、下流工程を担うエンジニアから、上流工程やマネジメントを担う職種にキャリアアップしていくのが当たり前でした。

しかし、近年は「ITスペシャリスト」「ITコンサルタント」「ITアーキテクト」「クラウドエンジニア」といった新たなポジションが生まれています。IT技術の進展に伴い、エンジニアのキャリアパスが多様化・複雑化しているのです。

キャリアパスが多様化すると、IT人材の間で収入格差が生まれるようになります。望む未来を手に入れるため、自分はどのような方向に進みたいかを明確にする必要があるでしょう。

エンジニアのキャリアパス4つ

コードが表示してあるディスプレイ

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エンジニアのキャリアパスは、大きく「スペシャリスト」「ジェネラリスト」「マネジメント」の3つに分けられます。

どの職種も企業にとって欠かせないIT人材ですが、仕事内容・将来性・転職市場での価値は大きく変わります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

専門性を高める「スペシャリスト」

スペシャリストとは、ある特定の分野や言語などで、高い技術や専門知識を有する人材を指します。

システム開発においては、実装部分に特化するケースもあれば、チームの責任者として指揮を取るケースもあります。

スペシャリストとしての技量に加え、マネジメント能力に長けた人であれば、技術部門のトップである「CTO(最高技術責任者)」への道が開けます。

後に紹介するジェネラリストに比べ、スペシャリストは独立が容易なのもメリットでしょう。独立せずとも、特殊な技術や専門的な知見を有する人材は、転職市場でも引く手あまたな傾向があります。

ちなみに、スキルの低いエンジニアでもフリーランスとして活動できます。ですが、そうした場合は単価の安い下請けを担うケースが多く、年収が思うように上がりません。自由度の高さに憧れを抱く人は多いですが、一定水準のスキルを身に付けてから独立を検討しましょう。

幅広い業務を担う「ジェネラリスト」

特定の専門分野を深く追求するスペシャリストに対し、ジェネラリストは「広く浅く」が基本です。幅広い知識とスキルを武器に、企画からシステム開発に至るまで、あらゆる工程に関与します。

IT分野におけるジェネラリストには大きく2つのタイプがあります。

  • 幅広い分野でマルチに活躍できる人
  • プロジェクトの全体を統括する人

複数のタスクが担えるマルチなエンジニアは「フルスタックエンジニア」や「マルチエンジニア」と呼ばれます。

また、広い視野と客観的な視点を生かせば、全体を管理する「マネジメント職」や、問題解決のために戦略を策定する「コンサルタント」などの職種にキャリアアップが図れるでしょう。

チームをまとめる「マネージャー」

マネージャーは、チームや部署全体を統括する管理職です。プロジェクトに関わる人員を調整したり、エンジニアの採用や評価をするのが主な役目です。

開発現場の第一線で活躍する機会は少なくなるため、どちらかというと組織の経営面に関わりたい人に適しているでしょう。

具体的な役職には、プロジェクトのマネジメントを担う「プロジェクトマネージャー(PM)」や、エンジニアのマネジメント全般を担う「エンジニアリングマネージャー(EM)」などがあります。

マネジメントスキルを磨いた後は、上位職である「ITコンサルタント」への道も開けますし、独立した場合はフリーランスのほか、経営者としてエンジニアを束ねる組織をつくることも可能です。

エンジニアのキャリアパスはどのように描く?

デスクトップディスプレイとノートPC

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キャリアや働き方が多様化している昨今「自分の方向性が分からない」というエンジニアは少なくないはずです。キャリアパスは、どのように設定すればよいのでしょうか?

自己分析を通して適性や能力を知る

進むべき方向性が分からない人の多くは、自分がどのような人間なのかがよく理解できていない可能性もあります。まずは自己分析をし、適性・能力・価値観などを確認するところから始めましょう。

過去のキャリアを時系列に洗い出していくことを「キャリアの棚卸し」といわれています。職歴や、身に付けたスキル・仕事でやりがいを感じたことなどをメモに書き出してみると、進むべき方向性が見えてくるかもしれません。

ゴールを設定し、到達までの道筋を考える

専門分野を極めるスペシャリストの道を目指すのか、マルチに活躍できるフルスタックエンジニアになるのか、目指すべきポジションは一人一人異なります。自己分析やキャリアの棚卸しを行った後は、エンジニアとしての具体的なゴール(目標)を設定しましょう。

キャリアパスは、ゴールを設定して終わりではありません。到達までの課題を洗い出した上で「キャリアを積むまでの道筋(Path)」をしっかりと示すことが大切です。

  • どのような仕事にいつまで従事すればよいか
  • 今の職場で働き続けるべきか、転職すべきか
  • どの程度の技術レベルに達する必要があるのか
  • 生かせるスキルは何か・足りないスキルをどう身に付けるか

エンジニアのキャリアパスを決めた後は?

言語のテキストを傍らにノートPCを操作する人

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キャリアパスを設定しても、行動が伴わなければゴールにはたどり着けません。具体的な計画を策定した上で、自分に不足するスキルを補っていきましょう。ライフプランや状況の変化に合わせて軌道修正することも重要です。

足りない知識やスキルを身に付ける

キャリアパスを設定すると、今の自分の立ち位置を再確認できると同時に、今やるべきことが明確になります。足りない知識やスキルについては、具体的なアクションプランを策定しましょう。

エンジニアとしての技術的なスキルは、スクールで習得できますが「マネジメントスキル」や「コミュニケーションスキル」などは、経験を通して身に付くものです。人によっては、今のポジションに留まらず、部署異動や転職を選択した方がよいケースもあります。

定期的な見直しも必要

一度掲げたキャリアパスに、必ずしもこだわる必要はありません。業界の状況や、自分の成長度合いに応じて、こまめに軌道修正しましょう。理想と現実が大きく乖離するようであれば、キャリアパスの再考が必要です。

また、IT業界は目まぐるしく変化するため「目指していたポジションが消失し、キャリアパス自体が途絶えてしまった」「たまたま任せられたポジションが自分の天職だった」ということもあり得ます。時代の流れや業界の変化を見据えながら、柔軟に対応していきましょう。

キャリアパスを考えることが重要な理由

ノートPCを操作する人

(出典) unsplash.com

5年後・10年後のキャリアや、そこにいたるまでのキャリアパスを考えず、目先の収入だけで就職・転職活動する人は意外に多いものです。キャリアパスを設定することで、自分の人生や日々の業務にどのようなメリットがもたらされるのでしょうか?

現状の自分のスキルを把握できる

キャリアパスを設定する過程では、自己分析やキャリアの棚卸しを行います。自分の強みや魅力はもちろんのこと、優先して身に付けるべきスキルや弱みが明らかになるため、次の行動が起こしやすくなるのがメリットです。

スクールで知識や技術を習得するにしても、キャリア形成に必要なものだけを効率よく学べるでしょう。

日々の業務を何となくこなしていた人は、不足しているスキルの向上を意識しながら業務と向き合えるようになります。結果的に、仕事のモチベーションアップや生産性の向上にもつながるでしょう。

収入アップにもつながる

キャリアパスを設定すると、目標に向かってぶれずにまい進できます。チームリーダー→プロジェクトマネージャー→ITコンサルタントとキャリアが上がるにつれ、年収も徐々にアップするのが一般的です。

また、不足するスキルや知識の底上げに注力すれば、仕事の生産性が向上したり、幅広い業務に対応できるようになったりと、さまざまなプラスの効果がもたらされます。社内外から高く評価され、思ったよりも早く「昇給・昇進のチャンス」が訪れるかもしれません。

転職する場合もプラスになる

キャリアパスが明確だと、自分に合った転職先が選定しやすくなります。転職先企業が求める人材像と、自分が描いたキャリアパスが一致している場合、面接官に対してより説得力のある志望動機が語れるでしょう。

「入社後に何がしたいか」「将来はどうなりたいか」が明らかなため、企業側としても入社後の活躍がイメージしやすいのがメリットです。採用のミスマッチが起こりにくく、1つの会社で長くキャリアを積んでいけるでしょう。

エンジニアのキャリアパスを考えてみよう

ノートPCを操作する人

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IT業界の人手不足は深刻化すると見込まれていますが、知識・技術のアップデートを怠るエンジニアは、淘汰されていくと考えられます。エンジニアの職種・キャリアは多様化・複雑化しているため、今の立ち位置や進むべき方向性を確認する機会を設けましょう。

キャリアパスを実現する上で、今の環境がふさわしくないと感じたら、部署異動や転職を検討するのが賢明です。国内最大級の仕事・求人探しサイト「スタンバイ」には、エンジニアの求人が多数掲載されているため、理想のポジションが見つかるかもしれません。

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