「頑張っているのに収入が増えない」「仕事量のわりに給与が低く不満」といった悩みを持つWebデザイナーの人は、年収に関する情報を知って、自分がもらっている給与と比較してみましょう。
この記事では、Webデザイナーの平均年収や地域による違い、収入を伸ばすにはどのようなスキルを身に付ければよいのかといった点を解説しています。
Webデザイナーのキャリアパスについても紹介していますので、転職するかどうかを検討する材料にしてみてはいかがでしょうか。
この記事のポイント
- ・Webデザイナーの平均年収
- Webデザイナーの平均年収は435万円、Webデザインと関連があるクリエイター系の職業も400万円台が平均です。
- ・Webデザイナーは年収1,000万円を目指せる?
- 不可能ではないものの、かなり難しいことを覚悟しましょう。
- ・年収を上げる方法
- Webデザイナーとしての基礎的なスキルはもちろん、プログラミングやUI・UXデザインなどのスキルを習得すると年収アップにつながります。
Webデザイナーの平均年収は?

Webデザイナーの平均年収を知ると、現在の自分の収入と比較して、高いのか低いのかを判断できます。転職して違う場でキャリアを築こうとする際にも、参考になるでしょう。
Webデザイナーや、関連するクリエイター系職業の平均年収を紹介します。
平均年収は435万円

データ取得元:「Webデザイナー」求人の給与・年収・時給情報
データ取得日:2025年7月29日
スタンバイに掲載されている求人統計データ(2025年6月実績値)を見ると、平均年収は435万円、中央値は427万円です。企業によって、そこまで大きな差はないことが分かります。
もし平均よりも現在の年収が大幅に下回っているなら、給与水準が高い企業への転職を検討してもよいかもしれません。
また、一般的には勤続年数が長くなるのに伴い、給与が伸びていきます。給与が不満だからといって転職を繰り返すと、年収が増えにくくなる可能性があります。
Webデザイナーの年収分布もチェック

データ取得元:「Webデザイナー」求人の給与・年収・時給情報
データ取得日:2025年7月29日
非正規社員の場合、正社員に比べて年収は少なくなる傾向です。アルバイト・パート、派遣社員の年収を見てみましょう。
- アルバイト・パート:平均時給1,483円、時給中央値1,358円
- 派遣社員:平均時給2,034円、時給中央値1,971円
地域によっても年収に違いがあります。正社員の年収が高い都道府県のトップ3を見てみましょう。
【正社員】
- 北海道:448万円
- 青森県:446万円
- 東京都:445万円
都道府県別で見ると、北海道や青森の年収が高くなっています。一般的には首都圏の給与が高くなりがちなため、意外な結果です。次に、アルバイト・パート、派遣社員の時給が高い都道府県を見てみましょう。
【アルバイト・パート】
- 神奈川県:1,750円
- 埼玉県:1,577円
- 千葉県:1,470円
【派遣社員】
- 神奈川県:2,231円
- 愛知県:2,098円
- 東京都:2,064円
アルバイト・パート、派遣社員ともに神奈川県が突出しており、首都圏で働く非正規社員の時給はおおむね高めであると分かります。
ほかのWebクリエイターの年収帯

データ取得元:「Webプロデューサー」求人の給与・年収・時給情報
データ取得日:2025年7月29日

データ取得元:「イラストレーター」求人の給与・年収・時給情報
データ取得日:2025年7月29日

データ取得元:「グラフィックデザイナー」求人の給与・年収・時給情報
データ取得日:2025年7月29日
Webデザイナー以外のクリエイター職の平均年収も見てみましょう(それぞれ正社員として働いている場合)。
- Webプロデューサー:平均年収438万円、年収中央値427万円
- イラストレーター:平均年収407万円、年収中央値405万円
- グラフィックデザイナー:平均年収424万円、年収中央値412万円
WebプロデューサーはWebデザイナーと仕事上の関係が深く、Webサイト制作の最高責任者という位置付けです。
Webサイトの方向性や内容、デザイン、UI、UXといった全てを統括する役割を担い、Webデザイナーの上位職に該当します。
また、イラストレーターやグラフィックデザイナーは、Webサイト制作に関わる以外にもさまざまな媒体で活躍しています。
Webデザイナーで1,000万円稼ぐのは可能?

高収入を得たい人にとって、年収1,000万円以上稼げる仕事は魅力が大きいといえます。Webデザイナーとして1,000万円を稼ぐのは可能なのか、見ていきましょう。
大台に乗れるのは一握りという現実
実際のところ、Webデザイナーは年収1,000万円を稼げるのでしょうか。絶対に無理とはいえないものの、ごく一部の成功者のみが可能だというのが現実です。
フリーランスに限った話でいえば、内閣官房や厚生労働省などが行った「令和4年度フリーランス実態調査結果」では、年収1,000万円を超えていると回答したのはわずか3.4%です。
ただし、これはWebデザイナー以外のフリーランスも含めたデータである点には注意しなければなりません。
また、国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」を見ると、年収1,000万円超、1,500万円以下の給与所得者の割合は4.0%です。職種や働き方に関係なく、年収1,000万円を超えている人の割合は、日本国内で非常に少ないといえます。
出典:令和4年度フリーランス実態調査結果
出典:(第 16 表)給与階級別給与所得者数・構成割合 令和5年分 民間給与実態統計調査|国税庁
高収入につながる働き方
実際にWebデザイナーで年収1,000万円を目指す方法として、大企業への転職やフリーランスへの転向などが挙げられます。
一般的に、小さな会社に比べて規模が大きな企業の方が、安定して高収入を得やすくなります。しかし、経営陣に近いポジションに就けるほどの実力がないと、年収1,000万円を超えるのは困難です。
フリーランスに転向する場合、企業に属する場合とは違い収入の制限がなくなります。多くの時間を1つのプロジェクトに費やすことも可能なため、大きな利益を得られる可能性があるでしょう。
どちらを選ぶ場合も、一般的なWebデザイナーに比べて確実に優れているといえるものがないと難しいといえます。安定して1,000万円以上を稼ぐのは並大抵のことではなく、かなり困難である点は理解しておきましょう。
Webデザイナーに求められるスキル

Webデザイナーは身に付けなければならない知識が幅広く、実務経験を積みながらさまざまなスキルを身に付ける必要があります。不足や偏りがあると、多くの収入を得るのは困難です。
Webデザイナーとして、最低限身に付けておきたいスキルについて見ていきましょう。
デザインに関する知識
WebデザイナーはWebサイトの見た目だけではなく、使いやすさにもこだわることが求められます。ユーザーにとって分かりやすいレイアウトや配色といった、基本的なデザインに関する知識は必須です。
例えば、Webサイトの目的やブランドイメージに合った色彩の選択や、情報を分かりやすくまとめ、優先度の高い情報がどれなのか一目で分かるようにするといった工夫が求められます。
また、テキストの可読性やフォントの種類・大きさといった知識も重要です。
デザインツールの操作スキル
Webデザインをする際は、Adobe社のPhotoshopやIllustratorといったソフトを使うのが一般的です。それぞれ、以下のような使い分けをします。
- Photoshop:画像の補正や編集など
- Illustrator:イラストの作成や全体的なレイアウトなど
どちらかというとPhotoshopを使う場面が多いですが、Illustratorで作成されたデータをWebサイトに流用するケースもあります。両方のソフトを適切に扱えるスキルが必要です。
コーディングの知識
Adobe社のDreamweaverなどのWebページ制作ソフトを使えば、手入力でコーディングをしなくてもWebサイトの構築は可能です。
しかし、HTMLやCSSなどの知識があった方が、Webサイトがどのように構築されているのかを深く理解でき、より高度なデザインができます。
HTMLはWebページを作成するためのマークアップ言語です。CSSはレイアウトやフォントといった、見た目を設定するために使われます。コーディングについての理解が深まると、プログラマーとの連携もしやすくなります。
年収を上げるために磨くべきスキル【デザイン関連】

Webデザイナーが年収を上げるには、基本的なスキルに加え、デザイン関連のスキルを磨く必要があります。どのようなスキルがあればよいのか、見ていきましょう。
Webデザインに関する最新の知見
Webデザインのトレンドの移り変わりは早いため、日頃からの勉強やインプットが大切です。
クライアントを満足させるには、最新のトレンドを理解した上で、どのようなデザインにするのか提案することが求められます。
忙しい仕事の合間を縫って、勉強する時間を作らなければならないのは大変ですが、Webデザイナーとしての評価を上げ、年収アップに結び付けるためには重要です。
Webデザイナー向けのデザインプラットフォームや書籍などを利用し、最新情報を常に更新していきましょう。セミナーや勉強会などへの参加もおすすめです。
UI・UXデザインに関する知識
より高い水準の仕事をするには、ユーザーにとって使いやすく、利用価値が高いWebサイトとは何かを熟知していなければなりません。
UI・UXなどの知識があれば、ただ見た目がおしゃれなだけではなく、ユーザーの見やすさや使いやすさまで考えたデザインが可能です。
- ユーザーが必要な情報にストレスなくたどり着けるか
- Webサイトの利用がユーザーにとって価値のある体験になるために何が必要か
上記を意識しながら、デザインするための知識を身に付けましょう。
動画制作のスキル
Webデザインの下地を持った状態で動画制作ができると、大きな強みにできます。必須のスキルではありませんが、複数の強みを持ちたい人におすすめです。
例えば、Webサイト内で効果的に動画を使うにはどうすればよいのかといった知識があれば、仕事の幅が広がり、年収アップにつながります。
動画配信サイトや動画広告などのコンテンツは、急激に成長している分野です。今後も大きく伸びていくと予想され、Webデザインの知識を動画制作に生かせれば、多くの仕事を獲得できるでしょう。
年収を上げるために磨くべきスキル【デザイン以外】

Webデザイナーが年収を上げるために必要なものは、デザインスキルだけではありません。デザイン以外にも強みがあった方が仕事の幅が広がり、収入を伸ばしやすいといえます。どのようなスキルを磨けばいいのか、見ていきましょう。
プログラミングスキル
JavaScriptやPHPなどのプログラミングスキルを習得すると、「動きのあるWebサイトの制作」「ECサイトの構築」などが可能になります。
例えば、アンケートフォームやショッピングカートといったシステムを実装できるようになります。HTMLやCSSの知識と組み合わせ、Webブラウザ上でグラフ・文章などをアニメーションで動かすことも可能です。
プログラミングスキルに関する知識が多い人ほど、プログラマーとの連携もしやすく、仕事の幅が広がります。プログラミングスキルを持ったWebデザイナーになれば、より高単価な仕事を担当できるようになるでしょう。
マーケティングに関する知見
戦略的な目線からデザインを考えられるWebデザイナーは、多くの企業で必要とされます。企業がWebサイトを作る主な目的は、集客率や売り上げの向上、自社の認知度アップなどです。
これらの目的を達成するには、どのようなデザインが効果的なのかを考え、成果を出すことが求められます。
具体的には、現状を把握するための情報収集やデータ分析のスキル、企画力などが必要です。マーケティングに関する知見があれば、企業のマーケティング部門との連携もしやすくなるでしょう。
ディレクションスキル
ディレクションとは、プロジェクト全体の管理やチームへの指示を行うことです。案件全体を俯瞰してコントロールする能力があると、チームで仕事をする際に役立ちます。
ディレクションスキルは会社内でのキャリアパスを考える上でも必要とされ、高いスキルを身に付ければ管理職としての出世も期待できます。
また、独立後に1人で案件を請け負う場合にも有益です。仕事をスムーズに進められれば、クライアントからの信頼感アップにつながり、より高単価の案件を獲得できる可能性が高まるでしょう。
コミュニケーション能力
WebデザイナーはWebサイトを作成する目的やターゲット、全体的なイメージなどをヒアリングし、クライアントの要望をかなえるためのデザインを提案します。
クライアント企業の担当者は、Webデザインに詳しい人ばかりではありません。細かい希望を引き出すためにも、コミュニケーション能力は必要です。
特に、フリーランスを目指す人は企業に属する場合とは違い、打ち合わせや報告なども1人で進めていく必要があります。仕事を獲得するための営業の際も、必須の能力となるでしょう。
Webデザイナーに将来性はある?

近年はAIが進化し、Webデザインにも活用されているため、仕事を奪われるのではないかと感じている人もいるかもしれません。Webデザイナーの将来性について見ていきましょう。
IT関連の需要は今後も高まる見込み
経済産業省の調査「インターネット附随サービス業の就業形態別従業者数」の2022年度と2023年度の調査結果を比較すると、常時従業者数だけで2万人近く増えています。
Webデザイナーを含むIT人材の需要は今後も高まる見込みであるため、将来性はあるといえるでしょう。
近年は、ノーコードツールやAIの発達などにより、専門的なスキルを持たない人でもWebサイトのデザインや更新ができるようになりました。
とはいえ、クライアントからの要望をより詳細に汲み取り、Webデザインに反映させるには、経験を積んだWebデザイナーの存在が不可欠です。
出典:2023年情報通信業基本調査|総務省 情報流通行政局
出典:2024年情報通信業基本調査|総務省 情報流通行政局
自分だけの強みを持つことが大切
IT人材の需要が高いことに変わりはありませんが、AIが年々進化している状況もあり、ほかのWebデザイナーと差別化ができないままでは、将来性が高いとはいえません。
Webデザイナーとして生き残るには、自分だけの強みを持つことが大切です。例えば、AIをアシスタントにして業務の効率化を図ることや、仕事の幅を広げる努力などが求められます。
コーディングだけではなくプログラミングの基礎も身に付けるなど、この人に依頼したいと思わせるプラスアルファの強みを見つけるとよいでしょう。
<h2>年収を上げるために考えたいキャリアパス</h2>
Webデザイナーとしての経験が十分にあるなら、キャリアアップを目指すと年収を上げやすくなります。Webデザイナーにおすすめなキャリアパスを見ていきましょう。
UIデザイナー

データ取得元:「UIデザイナー」求人の給与・年収・時給情報
データ取得日:2025年7月29日
UIデザイナーは、ユーザーインターフェースをデザインする役割を担います。ユーザーが操作に悩まず、そのWebサイトでの目的を達成できるようにすることがポイントです。
Webデザイナーとの共通点は、クライアントの要望を聞き取るコミュニケーション能力や、問題解決力などが求められる点です。Webデザイナーに比べ、年収はやや高い傾向にあります。
スタンバイに掲載されている求人統計データ(2025年6月実績値)を見ると、正社員の平均年収は509万円、中央値は460万円です。
UXデザイナー

データ取得元:「UXデザイナー」求人の給与・年収・時給情報
データ取得日:2025年7月29日
UXデザイナーの仕事は、ユーザーが製品やサービスを体験して得られる満足度をより高めるために何が必要かを考え、デザインに反映させることです。
情報をリサーチし分析するスキル、ユーザーの行動心理を理解する能力などが求められます。Webデザイナーと同様に、視覚的なデザインに関する知識や、デザインツールを使いこなすスキルなども必要です。
スタンバイに掲載されている求人統計データ(2025年6月実績値)を見ると、平均年収は547万円、中央値は514万円です。
フリーランスとして独立
フリーランスのWebデザイナーの年収は300〜400万円程度とされていますが、企業に属する場合とは違い、頑張り次第で高年収を狙えます。
しかし、企業に勤めているときと比べて、デザインだけに注力するのが難しいなどのデメリットがあります。仕事を得るための営業活動や、税務・経理に関する事務仕事も自分でしなければなりません。
また、いつでも好条件の仕事があるとは限らず、決まった収入を得られるようになるまでに時間がかかる場合があります。
Webデザイナーの年収アップには努力も必須!

Webデザイナーが年収を増やすには、基本的なスキルを底上げすることに加え、自分の強みを増やすことが必要です。
Webデザインの最新トレンドやWebマーケティングに関する知見、プログラミングスキルなどにも詳しいと幅広い業務を担えるようになり、収入アップにつながるでしょう。
十分に経験を積んでいるなら、上位職への転職や、より給与水準が高い企業への転職もおすすめです。
国内最大級の求人情報一括検索サイト「スタンバイ」では、Webデザイナーの求人情報を探せます。転職活動の際に、ぜひお役立てください。