不動産営業の年収は?高いと言われる理由と年収アップのポイント

不動産営業は商材の金額が大きいことも多く、年収が高い職業とされています。データから見る平均年収や、高い年収が得られる理由を確認しましょう。分野によって変わる不動産営業の仕事内容や、年収アップを目指す方法も併せて紹介します。

不動産営業の年収はどれくらい?

不動産屋のイメージ

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不動産営業へのキャリアチェンジを考えていて、よく言われるように年収が高い職業なのか気になる人は多いはずです。実際、平均年収はどの程度なのでしょうか?国の調査データや不動産営業という仕事の特徴から、年収について考えてみましょう。

平均年収は500万円以上

厚生労働省の職業情報提供サイトによると、「住宅・不動産営業」として働く給与所得者の平均年収は約552万円(1月あたりの求人賃金は約28万円)です。就業する人の8割以上が正規雇用の従業員として働いており、労働時間は平均して月160時間以上となっています。

2021年分の「民間給与実態統計調査」を見ると、日本人の給与所得者全体の平均年収は約443万円です。不動産営業として働く人は、職種全体の平均よりも100万円ほど高い年収を得ていると考えられます。

ただ、不動産営業に限らず、年代や経験年数・職場によっても年収は大きく変わります。必ずしも職種の平均年収と同じだけ稼げるとは限りません。

参考:
住宅・不動産営業 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
令和3年分 民間給与実態統計調査|国税庁

不動産営業の年収が高い理由

不動産営業が高い年収を得られるのは、多くの不動産会社が売上(成約数)に応じて、営業担当者に歩合が支払われるインセンティブ制を導入しているためと考えられます。インセンティブ制の特徴は、売上を上げればその分だけ基本給にプラスして稼げることです。

契約1件あたりの単価が高い分野では、より年収が高くなるでしょう。スタンバイでも、年収1,000万円以上の不動産営業の求人が2万件以上(2023年1月現在)掲載されています。

不動産営業への転職で高年収を狙うなら、基本給の額だけでなく、インセンティブもチェックしたいポイントです。

不動産営業 年収1,000万円〜の求人・仕事・採用|スタンバイでお仕事探し

不動産営業の主な種類

資料にサインしてもらう

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不動産営業にはいくつかの分野があり、種類によって仕事内容が変わります。他業種から不動産営業を目指す人は、どのような種類の仕事があるのかを押さえておきましょう。

売買や賃貸の仲介

不動産営業の種類の1つが、物件を売りたい人と買いたい人・貸したい人と借りたい人の仲介をすることです。双方の条件・ニーズのヒアリング、適した物件の提案や内見のセッティング・付き添いといったプロセスを経て、契約につなげていきます。

仲介の仕事の流れは、売買でも賃貸でもほぼ同じです。ただ、売買の仲介では、多くのケースで個人ノルマがあります。一方、賃貸仲介では個人でなく、不動産会社の店舗単位で課せられることが多い点で異なります。

住宅や土地、建物の販売

自社が所有する住宅や土地・建物などを販売するのも、不動産営業の1つです。販売は1回の契約で動く金額が大きいので、賃貸の仲介よりインセンティブが高額になります。

ただし、物件が高くなれば、インセンティブを含む年収は高くなる分だけ営業も大変になることを知っておきましょう。不動産会社や自社のモデルルームなどに見込み客が来てくれるのを待っているだけでは、売上の向上を見込めません。

新規顧客を獲得するために、見ず知らずの人の家を訪問する飛び込み営業や、電話アプローチするテレアポが必要になるケースもあります。

投資用不動産の営業

投資用不動産の営業は、資産運用を考えている人に投資用の物件をすすめる仕事です。不動産会社にアプローチしてきた見込み客に対して営業するほか、飛び込み営業やテレアポで商談を取り付けることもあります。

事前に資産運用に興味がある人の情報が提供されるとは限らず、無作為な営業活動で断られる場面にも出会うでしょう。しかし、契約1件あたりの単価は高いので、成果を上げられれば大きなインセンティブにつながります。

土地活用の営業

土地を所有している人に、マンションやアパート・駐車場などを作って収入を得るようすすめるのが、土地活用の営業です。販売の営業と同じように、顧客を獲得するための飛び込み営業やテレアポを活用するケースが多くあります。

イベントを主催して集客して会場の一角に相談コーナーを設けたり、付き合いのある司法書士から紹介してもらったりするのも営業方法の1つです。

土地活用の営業は、土地を遊ばせておくだけでも維持費用や税金が発生することを持ち主に説明し、土地活用での対策が有効という流れで話を進めます。知識やトーク力が要求されるため簡単ではありませんが、インセンティブは期待できるでしょう。

不動産営業で高年収を目指すには

内見の案内をする不動産屋

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不動産営業で高年収を目指すなら、インセンティブ率に注目しましょう。販売の営業なら賃貸より高い年収を狙えます。また、転職の際にインセンティブ率の高い会社を選ぶのもポイントです。

単価の高い分野を狙う

賃貸仲介におけるインセンティブは、仲介手数料の数%が基本です。仲介手数料には上限が設けられており、多くても家賃の1.1カ月分にとどまります。インセンティブで大きく稼ごうと思ったら、かなりの数をこなさなくてはなりません。

一方、売買仲介や販売の営業・投資用物件の営業は、契約1件あたりの単価が賃貸に比べて高いので、その分だけインセンティブも高額になります。年収を上げたい人は、動く金額が大きい分野を狙うのがおすすめです。

すぐには結果につながらないかもしれませんが、賃貸仲介より時間も手間もかかる分、大きな見返りが期待できます。

参考:
宅地建物取引業法 第46条 | e-Gov法令検索
建設産業・不動産業:不動産流通について 昭和45年建設省告示第1552号 第二 - 国土交通省

インセンティブの高い会社を選ぶ

インセンティブ率は、不動産会社によって異なります。特に1つの成約で大きな金額が動く分野では、インセンティブ率の数%の違いで年収に大きな差が出てくるでしょう。

不動産営業で高年収を求めるなら、インセンティブ率の高い会社を選ぶことが重要です。ただ、募集要項にインセンティブ率を記載していない会社も多くあります。

採用されてから想定と違ったという事態に陥らないよう、応募や面接の際に基本給や各種手当の金額と併せて確認しておきましょう。

また、中にはインセンティブ制度のない不動産会社もあります。成果を上げるだけ高収入が得られる職場を選びたいなら、インセンティブがある会社に絞って求人を探すのが賢明です。

入社後はコンスタントな売上を上げる工夫を

インセンティブ率が高く不動産営業として高年収を狙える会社では、当然ながら結果が要求されます。1回成約できても、継続して成果を出せなければ高収入をキープできません。

コンスタントに売上を上げるには、コミュニケーション能力やトークのスキルといった営業力に加え、分野によっては法律や税金・ローンに関する知識も必要です。

高年収を狙うなら、インセンティブ率の高い会社に就職しても慢心せず、努力を続ける姿勢が求められます。

不動産営業に資格は必要?

建物の説明をする

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不動産営業は分野によって専門知識が必要になるとはいえ、資格が必須の職種ではありません。ただ、資格を持っていた方がよい場合もあります。具体的にどのように役立つのかを知って、取得するかどうかを判断しましょう。

有資格者が有利になる理由

宅地建物取引士(宅建)やファイナンシャル・プランニング技能検定・FP資格などの資格を持っていると、不動産営業の中でも専門性の高い業務を担当できます。

例えば賃貸仲介における「重要事項説明」は、宅地建物取引士主任者でなければできません。FPの資格は、住宅の販売や投資用物件の営業で資金計画をアドバイスする際に役立つでしょう。

単に営業するだけでなく、プラスの働きができる人材は重宝されます。高い年収を得るためにも、チャレンジする分野で評価される資格は、積極的に取得を検討しましょう。

参考:
重要事項説明・書面交付制度の概要|国土交通省
一般財団法人 不動産適正取引推進機構 | 宅建試験
ファイナンシャル・プランニング 技能検定 2級 | 一般社団法人 金融財政事情研究会
FP資格取得を目指す | 日本FP協会

不動産営業の年収は売上で変わる

不動産屋に来た夫婦

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不動産営業は平均年収が高めの職種です。さらに契約1件あたりの単価とインセンティブ率が高い仕事に就けば、努力次第で年収の大幅アップが期待できます。資格はなくても目指せる職種ですが、より高い評価を得たいなら積極的な取得がおすすめです。

不動産営業は結果が求められる大変さがあるとはいえ、収入に反映されれば、やりがいを感じられます。分野ごとの仕事内容や高年収を狙える可能性を考え、応募先の候補を絞り込んでみましょう。