不動産営業はきついって本当?給料とノルマについても紹介

不動産営業は主に、住宅やマンション・土地などの売買や賃貸に関する手続き、仲介を行う仕事です。売上によって収入や評価アップを望めますが、一方で「きつい」という意見もあります。離職率や、苦労するといわれる理由を見ていきましょう。

不動産営業はきつい?データから検証

グラフと虫眼鏡

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営業職の中でも特にきついとされるのが、不動産営業です。実際に離職率は高いのでしょうか。厚生労働省が実施した調査の結果を見てみましょう。

離職率は他の業種に比べて高め

「雇用動向調査結果の概況」では、2021年における不動産業の入職率は11.0%(8万7,200人)、離職率は11.4%(9万700人)となっています。不動産業には営業職以外の部門も含まれるため、おおよその数字として考えましょう。

不動産業の離職率は、調査対象になっている16業種の中で6番目に高い数値になっています。不動産業界は、離職率がやや高めの業界だといえるでしょう。

ただ、生活関連サービス業・娯楽業や宿泊業・飲食サービス業のように、群を抜いて離職率が高いわけではありません。

参考:令和3年雇用動向調査結果の概要 産業別の入職と離職 図3-1 産業別入職率・離職率|厚生労働省

不動産営業がきついと言われるのはなぜ?

コーヒーを飲むスーツ姿の人

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不動産業自体の離職率は高めであるものの、他の業界と比べて極端に辞める人が多いとはいえません。では、なぜ不動産営業はきついと言われるのでしょうか?

不動産営業への転職を考えている人は、苦労しがちなポイントをあらかじめ押さえておきましょう。

ノルマの継続的な達成を求められる

営業職において、毎月達成すべきノルマは避けて通れないものです。どんな業種でも営業に携わるなら、ノルマを課せられる場合がほとんどでしょう。

とはいえ、不動産業では分野によって、扱う商材の価格が大きくなります。思うように契約が取れず、ノルマの達成が難しいケースも少なくありません。

さらにノルマは単月で達成すればよいわけではなく、継続した達成が求められます。ノルマの達成によって自信を得られるのは確かですが、結果を出し続けるのは簡単ではありません。

未達成が続けば、うまくいかないと悩んだり同僚の成績と比較してしまったりして、精神的にきついと感じる人が多いでしょう。

休息を取りづらい

ノルマを達成するには、見込み顧客と接するチャンスを最大限に生かす動きが必要です。

本来の勤務時間外に訪問したり、店舗の営業時間が過ぎても来社した見込み客に対応したりと、相手の都合に合わせなければならないシーンも出てきます。決められた勤務時間だけで仕事が終わらないケースもあり、長時間労働になりがちです。

土日や祝日に休みが取りづらいのも不動産営業の特徴です。賃貸仲介の営業や投資用物件の営業など個人を対象とする分野なら、土日や祝日しか時間が取れない顧客は少なくありません。

時間外労働が多かったりカレンダー通りの休めなかったりすると、プライベートや休養の時間がなかなか取れないかもしれません。仕事の疲れを十分に癒やせなければ、心身の疲労が蓄積して、きついと感じるでしょう。

飛び込み営業がある場合も

不動産営業では分野によりますが、飛び込み営業を採用している職場もあります。

飛び来み営業からの成約は容易ではありません。相手が売りたい商材に対して、ほとんど興味を持っていない可能性も高いでしょう。訪問しても門前払いされたり、場合によっては注意されたりと、手厳しく断られるケースもあります。

さらに成果も思うように得られない場合、モチベーション維持が難しくなります。飛び込み営業そのものがプレッシャーとなり、精神的にきつい感じてしまうのも自然です。

給料は成果主義

不動産業界には、売上に応じたインセンティブ制の給与体系を採用する会社が多くあります。基本給(固定給)にインセンティブが上乗せされるので、成果を上げれば上げるほど、給料も高くなるのが特徴です。

不動産会社にもよりますが、自分が出した成果に応じ、高水準の給与を得ることも可能とされています。

しかし、逆を言えばノルマを達成できなければ、給料も少なくなるということです。先月はよくても、今月はノルマを達成できそうにないというケースは多々あるでしょう。不動産営業には職場の給与体系によって、給料の額が安定しないというきつさがあります。

成約までのパターンをつかみにくい

営業職にある人の多くは、成果を出すパターンを独自に持っています。商品が売れた、契約を取れたという成功体験を基に編み出したアプローチ法を実践する人が少なくありません。

しかし、不動産営業の場合、見込み客ごとに功を奏する対応が変わるケースが多いでしょう。成約までの流れがパターン化しづらく、以前は成功した方法を踏襲しても効果が期待できないこともあります。

見込み客に合った対応をその都度模索し、適切に実践する必要があるのも、不動産営業がきついとされる理由に挙げられるでしょう。

不動産営業の仕事内容

立派な一軒家

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一口に不動産営業といっても、分野によって業務内容もきつさの種類も少し変わってきます。未経験から不動産営業を目指すなら、代表的な3分野について仕事内容を知っておきましょう。

住宅販売

自社所有の住宅やマンションを、個人の見込み客に販売するのが住宅販売です。営業は主に、飛び込み営業やテレアポといった手法を採用します。近年は反響営業をメインとしている会社も多いでしょう。

最初の目標は、興味を示してくれた人に対して訪問のアポイントを取ることです。直接会ったら住宅やマンション購入に対する意志の有無や、どんな物件をイメージしているかなどをヒアリングし、自社所有の物件の中から適したものを紹介します。

ただし、全ての見込み客がすぐに購入したいと思っているとは限らないので、押し付けにならないような配慮が必要です。

ただ、モデルルームに来た人に営業する場合、飛び込み営業や新規のテレアポより売り込みやすいでしょう。モデルルームを訪れる人は、購入の意志があるか、購入すること自体は決めている見込み客がほとんどです。

住宅販売の営業は個人でノルマを課せられることが多く厳しさがある反面、成約できれば大きなインセンティブを期待できます。

賃貸仲介

賃貸仲介営業は、自社の所有物件を貸したり、他社や個人が所有する住宅やマンション・アパートなどを借りたい人と貸主の仲介をしたりする仕事です。

住宅販売営業とは異なり、積極的に営業する機会は多くありません。借りたい人が賃貸物件を求めて、不動産会社を訪れるためです。

賃貸仲介の営業には、相談に来た見込み客のニーズに応えられるような対応が求められます。どんな物件を希望するか、家賃はどの程度を想定しているかなどをヒアリングした上で、条件に近い物件を紹介・提案するために、豊富な知識が必要です。

見込み客の希望に合う物件が見つかった後、内覧に付き添ったり遠方なら写真を撮って送ったりするのも、賃貸仲介営業の仕事です。

売買仲介

売買仲介営業では、住宅やマンション・アパート・ビル・土地といった物件を売りたい人と買いたい人をマッチングします。売主と買主の間に立ってそれぞれの条件を聞き取り、双方の条件に合う物件を仲介して成約に持ち込むのが役割です。

法律や金融・税務などの専門的な知識も必要になる売買仲介は、不動産営業の中でも難易度は高めとされています。宅地建物取引士や不動産鑑定士・ファイナンシャルプランナーといった資格を持っていると、重宝されるでしょう。

また、売り手や買い手が個人とは限りません。一方が企業だったり企業同士だったりするケースもあります。同業他社である不動産会社や、金融機関との交渉が必要になる場合も考えられます。

臨機応変に対応できる柔軟性や、どんな相手ともスムーズにコミュニケーションを取る力が必要です。

一般財団法人 不動産適正取引推進機構 | 宅建試験
日本不動産鑑定士協会連合会
日本FP協会

不動産営業に向いているのはこんな人

握手する人たち

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不動産営業には、コミュニケーション能力や目標に向かって努力し続ける姿勢が不可欠です。「きつい」と感じてもすぐに諦めない意志の強さも必要になります。こうした資質を持った人なら、不動産営業に向いているといえるでしょう。

コミュニケーション力やポジティブさがある

営業の仕事には、さまざまな業種や立場の人と接したり交渉したりする場面が少なくありません。スムーズに営業活動を進めるために、幅広い属性の人とコミュニケーションが取れる能力が必要とされます。

不動産営業も例外ではなく、人と接するのが好きでやり取りが苦にならない人に向く職種です。

また、営業活動はいつもうまくいくとは限りません。特に1回の契約で動く金額が大きい分野では、努力してもなかなか成約に至らず苦労を感じる場面が多いでしょう。失敗しても、気持ちを切り替えて営業活動を続けられるポジティブさが大切です。

継続的に成果を上げるにはどうすればよいか、より見込み客の心をつかむ方法はないかなど、常に研究しながら実践していく努力も欠かせません。

収入や評価へのモチベーションが高い

成果に応じた稼ぎを得たい、能力を上げて評価を高めたいといった上昇志向の強い人も、不動産営業に向いているでしょう。目標を達成したいという強い気持ちがあれば、挫折を経験しても積極的かつ粘り強く取り組めます。

不動産営業は成果が収入や評価に直結する仕事です。インセンティブ制を導入している不動産会社なら、年齢や学歴に関係なく成果を出しさえすれば収入が上がります。成果を上げ続けることで、昇進できる可能性も高まるでしょう。

きつくても達成感がある不動産営業

こぶしを掲げる人たち

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不動産営業はきつい部分があることは確かですが、契約を取れれば収入や評価という形で報われる仕事です。ノルマを達成したときの喜びは格別でしょう。経験を重ねていくうちに不動産営業としてのやりがいも出てくるはずです。

仕事内容や苦労する部分は、分野や職場によって変わります。特に異業種からの転職を考えている場合は、まずどんな求人があるのを知って、自分に合う応募先を絞り込むのがおすすめです。豊富な求人を掲載するスタンバイを活用してみましょう。

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