歯科助手になるには・仕事の口コミ・資格と給料・全国の求人

歯科助手とは

歯科助手と患者

(出典) photo-ac.com

歯科助手は、歯科医師の補助をする仕事です。歯型をとるなど、患者の口の中に手を入れる行為はできませんが、治療前の準備や治療中のアシスタントなどを行い、歯科医師をサポートします。具体的な業務内容は以下の通りです。

治療に使う器具の洗浄、準備
バキュームを使った唾液吸引や、ライト調節など治療の補助
歯型をとるための印象材や、詰め物をする際などに使うセメントを練る
受付、電話応対、患者の誘導、会計、院内の清掃など
歯科診療所によっては、受付や会計に医療事務専任の事務員をおいていることもあるため、治療の補助だけを行う場合もあります。

歯科衛生士との違い

歯科助手と歯科衛生士の大きな違いは、資格が必要かどうかという点です。歯科衛生士になるには、大学、短期大学、専門学校などの養成校を卒業後、歯科衛生士国家試験に合格し、国家資格を取得する必要があります。

業務内容も歯科助手とは異なり、歯石・歯垢の除去、フッ化物など薬物の塗布、学校での歯磨き指導などが行えます。

歯科助手になるには

マスクをする女性

(出典) photo-ac.com

歯科助手になるのに資格は必要ありません。募集している歯科診療所によって高卒以上、学歴不問など条件は異なりますが、採用されれば歯科助手として仕事をすることができます。

仕事は歯科医師や他のスタッフから教えてもらいながら徐々に慣れていくことができますし、研修等が用意されている診療所もあるため、専門知識のない未経験者でも始めやすい仕事です。

歯科助手の民間認定資格

歯科助手の公的な資格はありませんが、民間の資格はいくつかあります。採用にあたって必須ではありませんが、専門用語などの知識を身につけることによって、仕事への理解を深めることができます。

日本歯科医師会歯科助手資格

主催:日本歯科医師会
概要:乙種第一、乙種第二、甲種の3種類があり、各都道府県の歯科医師会などが開催する所定の講習を受講すると資格が取得できます。受講者は各歯科医師会の会員診療所で働く人を対象にしているケースが多いようです。

医療事務管理士(歯科)

主催:株式会社技能認定振興協会
概要:実技試験と学科試験があり、医療保険制度や診療報酬明細書作成などに関する知識が問われます。

歯科助手の年収

メモを取る女性

(出典) photo-ac.com

歯科助手の年収は、社員の場合200万円台が最も多く、200~300万円台が全体の約59%を占めています。また、派遣社員やアルバイト、パートの時給は900円台が最も多く、900~1,100円台が全体の52.3%を占めています。未経験でも始められる職種ですが、スタート時の給与が雇用形態にかかわらず、経験者よりも低くなる場合が多いようです。

将来性

近年はホワイトニングなどを行う審美歯科や、虫歯や歯周病を防ぐための予防歯科、高齢者のための訪問歯科など、虫歯治療以外の分野も需要が高まっており、歯科助手の活躍の場は広がっています。

また、歯科衛生士の資格をとってキャリアアップすることも可能です。資格取得支援制度のある歯科診療所もあるので、歯科助手として働きながら歯科衛生士の資格取得を目指すこともできます。

働き方について

歯科診療所は、コンビニエンスストアの約51,000件を上回り、全国に約68,000件あります。そのため、自宅の近くや最寄り駅の近くなど、希望する場所で仕事を探しやすいという特徴があります。また、パートやアルバイトの募集も多く時間の融通がききやすいことや、予約制の医院の場合は残業も少ないことから、育児中の人でも働きやすい仕事といえます。

歯科助手の仕事は、職場が医療機関という性質上、清潔感や患者に与える印象が大切です。メイクや髪形については医院によって基準が異なりますが、患者と直接コミュニケーションをとる医院の顔としての役割もあるため、整った身だしなみを求められることも多いようです。

歯科助手の求人について

歯の治療をする様子

(出典) photo-ac.com

歯科助手の求人は、雇用形態にかかわらず未経験でも応募できるものが多いです。仕事をするうえで患者と接する機会も多いため、接客業の経験が歓迎されることもあります。歯科助手の採用にあたっては、明るく丁寧な対応ができることや、患者やスタッフとうまくコミュニケーションをとれることなど、人柄が重視される傾向があるようです。未経験者はこれらのポイントを履歴書や面接でアピールできるとよいでしょう。

一方、経験者の場合は、採用や給料面で優遇されることも多く、ブランクがある人も再就職しやすいようです。

出典:
厚生労働省 歯科衛生士国家試験の施行
山口県歯科医師会
池田市歯科医師会
日本歯科医師会

※文中に記載の各種数値は、2017年5月時点のものになります。

歯科助手経験者の口コミ

歯の治療をする様子

(出典) photo-ac.com

現役歯科助手、歯科助手経験者にアンケートを実施。歯科助手の仕事の口コミ・評判を集めました。

Q1.歯科助手のやりがいを教えてください

T.K.さん (女性 / 愛知県)
歯科助手 勤続年数2年 (職業 : 会社員)

この仕事のやりがいのひとつに、患者さんとの触れ合いがあげられます。治療過程で良くなった、楽になったとの声を聞けるのはもちろんですが、何気ない会話を楽しんでくれて、会いにくるのを楽しみにしてたと言われたときはとても嬉しいです。

また、私はずっと座りっぱなしだったり、同じことの繰り返しより、パタパタ動いていたり、色々な業務を兼任出来る仕事のほうが楽しく出来るので、そういったタイプの人にはぴったりだと思います。ミスはもちろん許されませんが、いつでもある程度の緊張感がある点も気が引き締まる感じがして好きです。

型取りの薬を練るような専門的な作業が日々上手くなっていくのも嬉しい瞬間でした。先生や先輩の歯科助手さんから少しずつ信頼を得て、仕事を丸々任されるようになるのが一番のやりがいです。

M.S.さん (女性 / 福岡県)
歯科助手 勤続年数3年 (職業 : 会社員)

準備や片付けアシストを素早く丁寧に行うと、診療がスムーズに回って、治療が短くなり患者さんに喜ばれるので、常に次のことや同時に色々なことを考えながら働いている時にやりがいを感じます。

先生によって治療方針が違い、進め方や使う道具もさまざまなので、それも考えながら準備をしないといけません。

最初は覚えないといけないことがたくさんで、頭がパンクしそうでしたが、分からないことを教えてもらいながら少しずつ勉強し、覚えていきました。流れが分かってくると仕事が楽しくなってきました。

バキュームをした時に「痛くなかったよ~」や「またあなたがいい」と言ってもらえた時は、本当に嬉しいです。

治療には回数がかかるので、患者さんとも顔見知りになり、世間話をするのも楽しいです。

N.T.さん (女性 / 新潟県)
歯科助手 勤続年数2年 (職業 : 会社員)

先生と患者さんの会話から、その後の治療を推測します。その治療に必要な道具を、会話の時に準備します。いかに指示される前に効率よく準備するか、自分なりに楽しんでやっていました。

歯科助手として先生の隣で話を聞くだけでも、歯に対する知識が増えたことはとても良かったです。歯科助手を辞めた今でも、その知識は役に立っています。

歯科医院では患者さんとコミュニケーションをとることも多かったので、サービス業が好きな自分にとって、楽しい仕事でした。定期的に来る患者さんと会話をするのも楽しかったです。

小さな子どもが患者さんのときは、いかに恐怖心をなくしてあげるか、助手として雰囲気作りをしたりして、子どもが頑張って治療したあとの笑顔が可愛かったです。

N.K.さん (女性 / 京都府)
歯科助手 勤続年数2年 (職業 : 会社員)

ありきたりですが、「ありがとう」と言われることです。私が働いているのは小児歯科なので子どもが多いのですが、やはりお子さんは歯医者を嫌がります。

まだ触れてもいないのに泣いて口を開けてくれないことは日常茶飯事です。そこまで嫌がっていたお子さんが治療のやり方を工夫することによって治療させてくれるようになり、治療が完璧に終わったときには笑顔でありがとうと帰っていく、その姿を見たとき頑張って良かったなと思います。

他にも、治療が終わるときにやりがいを感じます。歯の治療は順番におこなっていくことで少しずつ治っていきます。その段階を踏んでいく、確実に良くなっていくのがわかる、それを経て治ったときにすごくやりがいを感じます。

K.M.さん (女性 / 埼玉県)
歯科助手 勤続年数1年 (職業 : 会社員)

働きながら自分の歯についても学べることが大きいです。今までは、ただ歯磨きをしておけば大丈夫と思っていましたが、実際に働いてみて歯磨きの仕方、自分でも行えるメンテナンスなど、勉強することが多くおろそかに出来ないと思いました。

また、一度仕事内容を覚えて慣れていけば、子育てなどで一時的に仕事から離れていても、再び仕事に就きやすいと思います。

治療の段取りを覚え、先を見て「次はこの器具を使うんだ」と流れを覚えていけば歯科医師の手を煩わせずにスムーズに治療が進んでいき、気持ち良く終わらせることが出来ます。

このように、常に考えながら仕事をすることも大事です。治療が終わり、患者さんに感謝の言葉を述べられると何とも言えない達成感があります。


Q2.歯科助手になるために努力したこと資格が必要な場合、合格するために努力したこと

T.K.さん (女性 / 愛知県)
歯科助手 勤続年数2年 (職業 : 会社員)

資格は取っていませんが、お年寄りやお子さんも多く、自分とは年代が大きく違う方がよくいらっしゃるので、どんな方とも上手く会話が出来るように普段からさまざまなことに目を配るようにしています。

特に共通の話題を持てるように、一般的なニュースや天気の話、季節のイベントなど。あとは自分の友達に話すのと同じ感覚では上手く伝わらないこともあるので、わかりやすい言葉遣いや、聞き取りやすいスピードで話すなどを意識するようになりました。

私自身は治療等の専門分野を任されることはないため、コミュニケーション技術を磨くことに焦点をあて、医院の雰囲気作りに貢献出来るよう奮闘しています。あとは衛生管理も大切なので、普段から自分自身に清潔感があるよう身だしなみに気をつけています。

M.S.さん (女性 / 福岡県)
歯科助手 勤続年数3年 (職業 : 会社員)

無資格、経験なしで働き始めたので、全てが知らないことで、専門用語も道具の名前も使い方も分からない状態でした。最初の頃は先輩にずっとついてまわり、ノートを取るだけの毎日でした。

記録はしてても頭に入っておらず、行動に繋がらないので、自分に腹が立って何度も辞めたいと思いました。

しかし、せっかく働き始めたのだから、少しでもできるようになりたいと思い、働きながら歯科助手の資格を取るために学校に通いました。

勉強をしていくうちにだんだんと点が線になるように、何となく分かることが増えていきました。歯科医院で勉強会もあったので、参加して理解を深めていきました。

聞きやすい環境だったので、分からないことは何でも質問して教えてもらいました。

N.T.さん (女性 / 新潟県)
歯科助手 勤続年数2年 (職業 : 会社員)

知人の紹介だったので、特に歯科助手になるために努力したことはありません。

しかし、歯科助手になったあとに色々覚えなければいけませんでした。

歯科医院にいると、器具の名前や薬の名前など、覚えることはたくさんあります。試用期間終了にあたってテストをすることになったので、器具や薬を写真にとって、自宅でそれを見ながら名前を覚えました。

また、先生の話で分からないことがあったときには、歯科衛生士さんに聞いたりして、不明点はなくすようにしていました。

また、器具や薬の名前だけでなく、どこに保管してあるかも同時に覚えなければいけなかったので、ペアになって「○○を持ってきてください」と問題を出しながら覚えました。

N.K.さん (女性 / 京都府)
歯科助手 勤続年数2年 (職業 : 会社員)

努力したことは、働く場所を見つけることです。私は高校生の時に、歯科助手になりたいと思い仕事を探していたので、高卒可の求人を見つけなければなりませんでした。

資格を取るために学校に通ったり、勉強することも大切だと思いますが、もっとも自分のため、患者さんのためになるのは経験だと思い、まずは働こうと思いました。

ただ、探しても探しても見つからなくて諦めようとしていました。一年以上探し、やっと今の病院を見つけることが出来ました。今の病院は、地域の就職情報誌でたまたま見つけたのですが、2年経ったいま思い返してもやっぱり探すのは大変だったなと思います。歯科助手の求人は多いですが、高卒可の求人はなかなかないです。

K.M.さん (女性 / 埼玉県)
歯科助手 勤続年数1年 (職業 : 会社員)

私は未経験で資格も持っていなかった為、何事も一から覚えなければならなかったので、覚えるのに必死でした。「この器具は何に使うのか?」とか、治療一つひとつやり方が違うので何故こういうことをしているのか先生について学んでいき、知識を増やしました。

また、患者さんに色々質問されることが多く、答えられなくて不安がられるという失敗をしてしまったので、何を聞かれても答えられるように毎日が勉強でした。結構大変だったのが歯型を取る為の練り物です。最初は簡単だろうと思っていましたが、かなりコツがいる作業で、緩かった為に喉の方に入りそうになったり迷惑をかけてしまったことがありました。診療終了後に練習を重ね、その後は上手くいくようになりました。助手だからといって甘く見てはいけません。何事も練習と経験を重ね、努力を続けていくのが大事です。

Q3.歯科助手の将来性についてどう思いますか?

T.K.さん (女性 / 愛知県)
歯科助手 勤続年数2年 (職業 : 会社員)

これからもなくなることはない仕事のため、将来的にも安定はしていると思います。ただ、この業界でずっと活躍したいのなら、歯科衛生士の資格を取ったほうが良いと思います。

給与面でかなりの差がありますし、ある程度自分だけで出来る仕事や判断することが増えるので、もっとやりがいが増えると思います。実際、患者さんからの見られ方も衛生士と助手ではかなり違います。

特に働いている世代の方だと、同じホームケアのアドバイスでも衛生士からだと、助手である私からの時より熱心に話を聞いているのを目にしたりもします。もちろん資格や地位を見る方ばかりではありませんが、そういったことを目の当たりにすると少し悲しくなるのは事実です。

M.S.さん (女性 / 福岡県)
歯科助手 勤続年数3年 (職業 : 会社員)

歯に興味がある人が年々増加していると思うので、歯科医院、そこで働く歯科助手も需要があると思います。

歯科助手が受付を兼ねる医院もあると思いますが、先生の補助や片付けだけでなく、接客の仕事、先生と患者さんを繋ぐ役割が大きくなってくると思います。

先生に言いにくいことを歯科助手に言ってくる方も多いです。その時にきちんと対応できるようにしないといけないと思います。

メンテナンスなどで長期で通う患者さんや、家族で通って下さる方が増えているので、末長くお付き合いできるのは魅力だと思います。

N.T.さん (女性 / 新潟県)
歯科助手 勤続年数2年 (職業 : 会社員)

歯科助手は資格がなくてもできる仕事です。首都圏では、歯科助手の求人はたくさんあります。しかし、田舎では歯科助手の求人はほとんどありません。その点、歯科衛生士は国家資格でもあり、給与面でもいいし、田舎で職探しをするならなおのこと、歯科衛生士の方がいいと思います。ただ、歯科衛生士は学校に行かなければいけなく、学費も時間もかかります。

歯科助手は、やりがいはとてもある仕事だと思いますが、給与面はあまり期待できないと思います。首都圏で歯科助手をする分にはいいと思います。

器具や薬の名前など、覚えることが多いので、初めは大変かもしれませんが、慣れれば楽しめる仕事だと思います。

先生との相性もあるので、いい先生に巡りあえたらとてもいいです。

N.K.さん (女性 / 京都府)
歯科助手 勤続年数2年 (職業 : 会社員)

良い点は、どこへ行っても知識を活かせるということだと思います。それぞれの病院によってやり方は多少違うとは思いますが、持っている知識自体の違いはないので、もし、引越しなどで今まで働いていた病院を辞めなければいけなくなったとしても、次の職場を見つけやすいと思います。

悪い点は、汚い仕事もあるところです。小児歯科だからかもしれませんが、治療中に吐いてしまうお子さんも少なくありません。それを片付けるのも歯科助手の役目です。そして、ときに口臭が強い患者さんやびっくりするぐらい口腔内が汚い患者さんもおられます。そういう患者さんを見た時は正直気分は良くありません。

あと、働くうえでは先生との相性も大切です。自分と合わない先生のもとで働くのはやっぱり大変です。

K.M.さん (女性 / 埼玉県)
歯科助手 勤続年数1年 (職業 : 会社員)

歯科助手は歯科医院には絶対になくてはならない職業なので、募集は多く、本人にやる気があれば一生続けられる仕事だと思います。

意外と覚えることが多く慣れるまで大変ですが、治療されて綺麗になった歯を見るのは気分爽快です。治療自体はどこの歯科でも同じだと思うので、違う歯科医院に移ったとしても即戦力で働けると思います。資格が必要ないので専門知識がなくても入りやすい職業ですし、努力次第でスキルアップも出来ます。訪問歯科を行っている歯科医院もあるので、需要は高いです。

但し、基本的に立ちっぱなしになるので腰や膝を痛めてしまうことがあります。歯科衛生士と比べると出来る範囲が少ないので、人によっては物足りないと感じるかもしれません。女性が多い職種なので、人間関係や職場の雰囲気が合えば年齢も関係なく続けられる仕事です。

瀧本博史
【監修者】転職コンサルタント・心理カウンセラー・著者瀧本博史

国家資格2級キャリアコンサルティング技能士・産業カウンセラー。キャリアの専門家として就職指導や職業訓練校、大学講師、ハローワークや公共機関等の相談員歴29年。心理カウンセラーとして心の問題もケアする。著書複数。NHK総合の就活ドラマも監修。

著書:
オンライン就活は面接が9割
本気で内定!面接対策

HP:
https://careerconsultantlink.com/