非常勤講師の給料はいくら?メリットやデメリットも紹介

非常勤講師に興味はあっても、給料のことが気掛かりな人もいるでしょう。生活を支える収入に関して情報が不足していては、働き方を変えたくても判断しかねます。非常勤講師の給料・メリット・デメリットについて、見ていきましょう。

非常勤講師の給料はいくら?

女性教師

(出典) photo-ac.com

非常勤講師の働き方に魅力を感じても、収入に疑問や不安があり、一歩踏み出せない人もいるはずです。非常勤講師はどの程度の給料をもらえるのか、目安を見ていきましょう。

※一般的に給料は基本給のみを指しますが、本記事では労働を通じて得られる全ての賃金を給料としています。

給料の相場は1コマ2,000~4,000円程度

非常勤講師の給料は、授業1コマあたり2,000~4,000円程度が目安です。実際に求人検索エンジン・スタンバイに掲載されている非常勤講師の求人を見ると、相場をリアルに把握できるでしょう。

正規の教員や常勤講師は月給制ですが、非常勤講師は時給制となっているので、時間割によって給料が異なります。

講師の経験や専門性を重視する学校は、高時給を提示しているケースも珍しくありません。他校よりも優秀な講師がほしいと思っている学校や、人手不足が深刻な学校ほど高い給料を設定している傾向です。

収入にこだわるなら、求人サイトで時給や仕事内容を確認し、高い給料が設定されている求人情報に応募してもよいでしょう。

【1月版】非常勤講師の求人・仕事・採用|スタンバイでお仕事探し

自治体や教育施設によって異なる

公立学校の場合、非常勤講師の給料は各自治体で定められています。経験年数が長いほど、高額に設定されています。

一例として、東京都の非常勤講師(時間講師)の時給を見ていきましょう。給料は「第一種報酬」と「第二種報酬」に分けられ、第一種報酬は経験年数や勤務時間数をもとに計算されます。

2022年4月1日時点で、都立学校らに勤務する非常勤講師の第一種報酬は以下の通りです。

  • 1年未満…1,880円
  • 1年以上2年未満…1,950円
  • 2年以上3年未満…2,020円
  • 3年以上4年未満…2,090円
  • 4年以上5年未満…2,160円
  • 5年以上6年未満…2,230円

経験年数が17年以上になると、3,350円の時給が支給される仕組みです。

第二種報酬は通勤や勤務の実情に応じて、交通機関や自転車などで通勤する非常勤講師に支給されます。講師1人1校につき、原則として1日2,600円を上限として支払われる決まりです。

参考:東京都時間講師制度の概要 P.16〜18|東京都教育委員会

期末手当や賞与がもらえる場合も

非常勤講師は、基本給や通勤手当以外に、期末手当や賞与を受け取れる場合もあります。特定の在籍期間を満たし、基準日に非常勤講師として在籍している場合、期末手当が受け取れます。

東京都の公立非常勤講師を例にすると、6カ月以上の任用期間があり、基準日に在職している人に支給される決まりです。基準日は6月1日と12月1日で、支給額は「期末手当基礎額×期別支給割合×在職期間別割合」で算出します。

期末手当基礎額は、時間額の報酬額を月額に換算した額です。期別支給割合は社会情勢によって変更されることもありますが、2022年度は6月期・12月期ともに1.2カ月とされています。在職期間別割合は、各支給期の在職日数に応じて決まる割合です。

私立校では、学校によって賞与規定が異なる点に注意しましょう。中には正規の教員や常勤講師だけでなく、非常勤講師を含めてボーナスを出している学校もあります。

参考:東京都時間講師制度の概要 P.19|東京都教育委員会

非常勤講師になる方法

手帳にメモをとる

(出典) photo-ac.com

非常勤講師になる方法は、公立校と私立校で手順が異なります。非常勤講師として働くことを検討しているなら、それぞれのケースでどのように応募するのかを把握しておきましょう。

「公立校」各自治体の非常勤講師に登録する

都立や県立学校の非常勤講師を目指す場合、各自治体が発表している募集要項に従って申請し、選考を通過した後に登録する流れです。

東京都に住んでいて、千葉県や神奈川県などの近隣地域でも非常勤講師として勤務したい場合は、自治体ごとに登録しなければなりません。

各自治体のホームページをチェックすると、募集要項が掲載されています。出産・育児・病気などの事情による休業で講師が不足することもあるので、募集は通年行われるのが基本です。

選考をパスするためにも、募集要項はもちろん、各自治体が求める教師像を把握した上で応募しましょう。

「私立校」ホームページや求人情報に従う

私立校は、独自に非常勤講師の募集をしており、学校のホームページや求人情報サイトから確認できます。求人情報のほか、教育方針や特色も同時に確認しましょう。

求人情報サイトで待遇がよい求人や勤務条件がマッチする学校を探し、ホームページで詳しい情報を調べる方法もあります。

スタンバイでは、勤務地・給与・こだわり条件などから希望の求人を絞り込んで検索できます。私立校の非常勤講師を検討している人は、どのような求人があるのかチェックしてみましょう。

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非常勤講師になるメリット

バインダーに記入する男性

(出典) photo-ac.com

非常勤講師は、正規の教員や常勤講師に比べると収入は低くなりますが、コマ単位で働くからこそ感じられるメリットもあります。非常勤講師ならではの魅力として、何が挙げられるのでしょうか?

授業だけに集中できる

非常勤講師は常勤講師とは異なり、担任や部活の受け持ちがありません。教えることにのみ全力を注げばよいところがメリットです。教員として成長する方法を見極め、指導力アップに集中できるといえます。

ただし、授業の準備やテストの採点などは自分でする必要があります。生徒の学力を伸ばすための努力を惜しむと、評価が下がる原因になりかねません。

場合によっては、試験の監視員や行事への参加を求められることもあるので、応募の際は細かい条件までしっかりと確認しましょう。

プライベートな時間が多くなる

非常勤講師は、プライベートな時間を確保したい人にとって、メリットが大きい働き方です。働き始めの頃は、自分なりのやり方をつかむために試行錯誤する時間が必要ですが、コツをつかめばそれほど多くの時間は取られないでしょう。

フルタイムで働く正規の教員・常勤講師と比べて拘束時間が短いので、自分や家族の生活に合わせて働けます。育児や介護といった事情があっても教員として勤務できる非常勤講師は、働き方の選択肢を幅広く持ちたい人にとって大きな魅力です。

キャリア形成に役立つ

非常勤講師は、生活環境が変わっても教師のキャリアを諦めたくない人にとって、魅力的な働き方です。さまざまな事情からフルタイムで働くのが難しくなっても、引き続き教える仕事に携われます。

非常勤講師は、ライフプランに合わせて自分なりに理想の教師を目指したい人に最適です。また、教員採用試験に不合格になってしまった人が登録するケースも少なくありません。

正規の教員・常勤講師でなくても、学校で教えたキャリアは無駄になりません。将来的にまた常勤の仕事を探す際にも、非常勤講師として働いた経験は役立つでしょう。

非常勤講師になるデメリット

考えるスーツの女性

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非常勤講師は、さまざまな事情で常勤が難しい人にも魅力的な働き方です。ただ、いくつかのデメリットもあります。働き始めてから後悔しないよう、考えられる問題点を知って対策を考えておきましょう。

必ず仕事があるわけではない

非常勤講師に登録したものの、全く声が掛からないという事態もあります。登録したからといって、必ずしも仕事を紹介してもらえるとは限りません。

登録している人が多ければ、それだけ競争率が高くなります。やはり経験が豊かで、教師として優れた実績を持つ人の方が採用されやすいでしょう。

また、採用されても1校だけでは常勤講師ほどの収入は得られず、生活に影響する点もデメリットといえます。非常勤講師を掛け持ちするか、家庭教師や塾講師などほかの仕事と兼業する道も視野に入れましょう。

社会保険に入れない場合がある

社会保険に加入するには、一定の条件を満たす必要があります。従業員数が常時100人を超える事業所で働く、フルタイム以外の人の場合、社会保険の加入要件は次の通りです(2023年2月現在)。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 月の賃金が8.8万円以上
  • 2カ月を超える雇用が見込まれている
  • 学生以外

非常勤講師は労働時間が少ない場合が多く、加入条件を満たすのが困難です。社会保険に入る条件を満たしていない人は、国民健康保険に加入する必要があるため、負担が大きくなります。

家族が社会保険に加入している場合は、扶養に入って負担を抑える選択肢も考えましょう。

参考:パート・アルバイトの皆さんへ 社会保険の加入対象により手厚い保障が受けられます。 | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン

非常勤講師になって指導力を高めよう

板書する先生

(出典) photo-ac.com

何らかの事情があって常勤講師として働けない人でも、非常勤講師の道を選べば教師を仕事にできます。フルタイムで働けなくなっても、これまで培ってきた経験を生かしながら指導力を高められる、魅力的な働き方です。

時間割によっては、思ったような収入が得られないケースもあります。しかし、時給が2,000~4,000円と高めなので、複数の学校を掛け持ちすれば、生活を支えられるだけの給料が期待できるでしょう。

担任を受け持ったり部活の指導を行ったりする余裕がない人や、決まった時間だけ集中して働きたい人にもおすすめの働き方です。