CADオペレーターの将来性は?メリット・デメリットや目指し方も

CADオペレーターは、CADソフトを使用して図面をデータに落とし込む仕事です。AIで代替可能という声も聞かれますが、今後も需要はあるのでしょうか?CADオペレーターの将来性やメリット・デメリット、目指すための代表的な方法を紹介します。

CADオペレーターに将来性はある?

パソコンでCADを操作する手元

(出典) photo-ac.com

未経験からCADオペレーターへの転職を考えるとき、将来性が気になる人もいるでしょう。AIに取って代わられるという意見は本当なのか、生き残れるCADオペレーターになるために何が必要とされるのかを紹介します。

一部の仕事はAIに代替される可能性も

CADオペレーターはスキルが求められる仕事で、ものづくりに関連する業界では今後もニーズがあると考えられます。ただ、単純な図面の作成作業がAIに取って代わられる可能性は、頭に入れておきましょう。

とはいえ、AIが代替できる仕事は現時点で、指示を正確に図面化するレベルの作業でしょう。図面から設計士やデザイナーの意図を読み取るような、複雑な工程には人間の力が求められます。

CADの操作・図面の作成にとどまらない価値を身に付ければ、AIでは替えの効かないCADオペレーターを目指せるはずです。

生き残るために必要な要素

AIが普及しても生き残れるのは、より高度なCAD操作のスキルや、CADオペレーション以外の強みを持つ人と考えられます。

従来からある2次元のCADだけでなく、3次元CAD(3D CAD)も身に付けるのはほぼ必須といえるでしょう。その上でクライアントや設計士と、不足なくコミュニケーションを取れる知識・スキルがあると有利です。

クライアントの意向をくんだり設計士の意図を読んだりする工程は、AIにも代替できません。業界に関する深い知識や設計の基礎知識も養えば、将来的にも信頼できるCADオペレーターとして生き残れる可能性が高くなります。

CADオペレーターになるメリット

パソコンを操作する男性

(出典) photo-ac.com

CADオペレーターは技術職でもあり、やりがいを感じられる仕事です。仕事に就くとどのようなメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。

努力が評価につながりやすい

CADオペレーターの仕事の魅力は、作成した図面そのもので評価されることです。学歴や職歴・性別といった属性はほぼ、仕事の質が評価に直結します。働く上での目標を見失いにくく、モチベーションをキープできるでしょう。

努力の結果が見えやすいのも、CADオペレーターの魅力です。CADオペレーションのスキルを磨いたり設計の知識を増やしたりすれば、成果物から成長を実感できます。

スキルが上がっていくにつれ、周囲からの信頼も厚くなり、仕事にやりがいを感じるはずです。

幅広い業界で活躍できる

CADオペレーターが活躍できる場は、ものづくりに関係する業界全般です。働く場所の選択肢が広く、自分に合った分野で働けます。

CADを扱う業界は土木・建築から、機械製造・ジュエリー・アパレル・インテリア・電気関連まで多様です。近年は福祉やエンターテインメントの分野でもニーズが高まっており、スキルがあれば業界を問わず働けます。

注意したいのは、その業界に特化した専用CADを使うケースがある点です。特定の業界に狙いを定めているなら、汎用CADに加え、建築CADや建築設備CADといった専用CADのスキルも習得しておきましょう。

ものづくりに携わる喜びがある

建築物や製品は、CADオペレーターが作成した図面を基に作られます。自分の仕事が形になって残るのは、CADオペレーターの大きな魅力です。

ハードワークやトラブルに悩まされることがあったとしても、成果物が評価されたときの達成感で報われる人も多いでしょう。何かを作り上げることに直接関われる仕事は、数ある職種の中でもそう多くはありません。

ものづくりが楽しいと思える人であれば、CADオペレーターの仕事にやりがいを感じられるでしょう。

自分の感性を生かせる面も

自分の感性を生かしたい人には、アパレルや、ジュエリー・インテリア業界などでCADオペレーターとして働く方法もあります。きれいなもの・憧れのものに囲まれて働ければ、モチベーションを保てるという人も多いのではないでしょうか?

特に日頃からアパレルやジュエリー・インテリアなどが好きな人は、もともと知識が豊富な傾向にあります。CADオペレーターとして働く際も、これまでの知識や個々のセンスを大いに生かせるでしょう。

CADオペレーターになるデメリット

パソコンを前に悩む男性

(出典) photo-ac.com

CADオペレーターとして働く上で、業務のハードさや年収をデメリットと感じる人もいます。これからCADオペレーターを目指すなら、マイナスになり得る面もしっかり把握しておきましょう。

多少の無理を強いられることもある

仕事の結果が評価に直結しやすいため、CADオペレーターは「できない」と断りにくい傾向にあります。また、CADオペレーターは1日中パソコンに向かうことになる仕事です。目や肩・首などを痛めやすく、頭痛や腰痛が慢性化するケースも少なくありません。

CADオペレーターのスケジュールは、クライアントはもちろん、設計士・デザイナーなど他の工程を担う人にも大きく左右されます。自分で完全に仕事量やタイミングをコントロールするのは難しいでしょう。

仕事量が多く納期が近いときは、少々の無理をしても業務を遂行する必要が出てきます。相応の体力や精神力が求められるという認識が必要です。

年収が特別高いわけではない

専門性の高い仕事であるにもかかわらず、CADオペレーターの年収はさほど高くはありません。

厚生労働省の職業情報提供サイトによると、CADオペレーターの平均求人賃金(月額)は25万4,000円で、平均年収は463万2,000円(2021年の「賃金構造基本統計調査」より)とされています。

一方、国税庁が実施した2021年の「民間給与実態統計調査」では、日本の給与所得者全体の平均年収は443万円となっており、特別CADオペレーターの年収が高いとはいえません。

CADオペレーターとして高い年収を望む場合は、スキルアップ・キャリアアップが必要になるでしょう。

参考:
CADオペレーター - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
令和3年分 民間給与実態統計調査|国税庁

CADオペレーターとしてキャリアを築くには

考えるスーツの男性

(出典) photo-ac.com

CADオペレーターは幅広いスキルや向上心があれば、将来的にも必要とされる仕事です。目指す方法とキャリアアップについて知り、CADオペレーターとしての第一歩を踏み出してみませんか?

未経験からでも転職できる

CADオペレーターには、特別な経験や免許・資格が不要です。年齢制限や登録の必要もなく、スキルさえ身に付ければ誰でもCADオペレーターを目指せます。

ただし、CADオペレーターには高い専門性が求められる職業です。やはり経験者が有利になるでしょう。未経験から転職する場合は、アピール力の高い資格を取っておくのがおすすめです。

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仕事の状況に応じたキャリアアップを考える

CADオペレーターとしてキャリアアップするには、使えるスキルを増やしたり、知識を深めたりするのがおすすめです。

現在の主流になっている3次元CADのスキルはもちろん、例えばPDMシステム(製品情報管理システム)を扱えるスキルがあれば、設計部門と他部門をつなぐ橋渡し役として活躍できます。

同じ業界で確実なキャリアアップを目指すなら、その業界特有の知識やスキルを深めることで評価が高まります。建築業界なら設計や建築の、デザイン業界ならデザインの知識を深めましょう。

CADオペレーターに必要とされる能力

パソコンで作業する男性

(出典) photo-ac.com

将来性のあるCADオペレーターになるには、スキルや知識以外に求められるものも知っておく必要があります。長く活躍できるCADオペレーターを目指すとき、磨いておきたい要素をチェックしましょう。

コミュニケーション能力

CADオペレーターには、他者と円滑に意思疎通ができるコミュニケーション能力が必要です。CADオペレーターの業務はプロジェクトの一部であり、チームメンバーとスムーズにやり取りする必要があります。

設計士やデザイナーの指示も、正確に図面に落とし込まなければなりません。不明な点を解消するには、設計士やデザイナーとの密なコミュニケーションが不可欠です。図面が完成した後に現場と連携を取るケースもあります。

人とのやり取りが苦手な人は、書籍や動画などのコンテンツを活用してコミュニケーション能力の向上を図りましょう。

新しいことを勉強し続ける意欲

CADオペレーターには常に新しい知識が求められる上、学びに終わりがありません。CADオペレーターが扱うCADソフトは、バージョンアップが頻繁に行われます。機能の追加や仕様変更があった場合でも、すぐに対応できる知識が必要です。

CADオペレーターへのキャリアチェンジを考えているなら、資格や基礎的なスキルを習得したら勉強は終わりという意識は捨てましょう。

働き始めた後も積極的に学び続け、新しい知識・技術を吸収しつつづける意識が、CADオペレーターとしての将来性につながります。

集中力とスケジュール管理能力

スキルの高いCADオペレーターは、高い集中力を持っている傾向にあります。設計士やデザイナーの指示を正確に図面データに反映するには、どんな小さなことも見逃すわけにはいきません。

また、どれほど優れたスキルを持っていても、納期に遅れるCADオペレーターはクライアントからの信頼を得られないでしょう。複数の案件を任されても効率よくさばける、徹底したスケジュール管理能力も必要です。

将来的に求められるCADオペレーターを目指そう

タブレットで仕事をする男性

(出典) photo-ac.com

CADオペレーターの仕事は一部がAIに代替されるという見方もあり、将来性に不安がないとは言い切れません。しかし、AIでは代われない工程をしっかりこなせたり、業界に特化した知識を持っていたりすれば、将来的にも高い需要が見込めます。

扱えるソフトを増やしたり専門的な知識を身に付けたりと、付加価値を高める必要性を頭に入れておきましょう。コミュニケーション能力やスケジュール管理能力といったソフトスキルも磨けば、将来にわたって求められるCADオペレーターを目指せます。