データサイエンティストはどんな仕事?気になる将来性も解説

データサイエンティストはIT系の中でも、注目度が高い職種です。どのような業務を担うのか、自分に向いているのか、気になっている人も多いでしょう。データサイエンティストの仕事内容や将来性、やりがいなどを解説します。

データサイエンティストとは

データ入力

(出典) photo-ac.com

データサイエンティストとは、具体的に何をする仕事なのでしょうか。誕生の背景も合わせて見ていきましょう。

データを分析して問題解決をする仕事

データサイエンティストは、自社や自社のクライアントが抱えるビジネス課題に対して、データ分析によって得られた情報をもとに、ビジネスに有益なアイデアを見出すことです。

現在、インターネットの世界でさまざまなデータが行き交っていることは、誰もが知る事実です。サービスを利用した人の住所・氏名・職業はもちろん、休日の過ごし方や食べ物の好みまでが、データとして蓄積されています。

蓄積されたデータから企業にとって必要なものを抽出して分析し、改善点を見つけて提案するまでがデータサイエンティストの仕事です。

データサイエンティストが誕生した背景

データサイエンティストが誕生した背景には、インターネット技術の発展があります。

2000年代以降、回線速度の向上やスマートフォンの普及によって、誰もが手軽にSNSやネットショッピングを楽しめる世の中になりました。前述の通り、各サービスには利用者に関する膨大なデータが蓄積されていきます。

同時にデータの処理速度や分析技術が進化し、分析を容易にするツールも登場します。データの収集・分析が容易になったことで、データを活用してビジネスを成功に導く事例も報告されるようになりました。

さらに近年は、生活スタイルが多様化して消費者のニーズが分かりにくく、経験や勘に頼る従来の手法ではビジネス課題に対応できなくなっています。

確実かつスピーディーにビジネス課題を解決する手法として、データサイエンスが注目され、データサイエンティストと呼ばれる専門職が生まれました。

データサイエンティストの仕事内容

タイピングする手元

(出典) photo-ac.com

データサイエンティストの業務は、多岐にわたります。具体的な仕事内容を流れに沿って紹介します。

課題の抽出や環境の構築

データサイエンティストが最初に行う作業は、データ分析のための環境づくりです。まずは担当者へのヒアリングを通して課題を明確にし、解決に必要なデータを検討します。

使うデータを決めたら、データ形式を扱いやすい形に変えていきます。ひと口にデータといっても、数値・テキスト・図表などさまざまな形式があり、そのままでは非効率です。

このため全てのデータを同じ形式に変換し、一括で加工できるデータベースを準備する必要があります。

データ収集・加工

準備ができたら、業務システムのAPIや企業サイトに埋め込んだ取得ツールなどを使ってデータを集め、データベース上で加工します。このときに欠かせないのが、ノイズ除去作業です。

ノイズとは分析に関係のない異常データのことで、そのままにしておくとAIの精度が低下する恐れがあります。例えば年齢を入力する欄に「2000」のようなあり得ない数字が入っていると、実情とはかけ離れた結果が出てしまうでしょう。

ノイズのない正確なデータに加工し直すことも、データサイエンティストの重要な仕事です。

データ分析

データ加工が終わったら、いよいよAIを使って学習させ、分析を進めていきます。ここでのデータサイエンティストの仕事は、分析の結果をもとに、課題解決にもっとも有効な情報を抽出することです。

例えばクライアントが新たなビジネスモデルを模索している場合は、ターゲットの行動パターンなどからヒントを導き出します。課題に対して仮説を立てている場合は、その仮説が正しいかどうかを判断できるデータが必要です。

分析しても有効な情報が見つからない場合は、集めるデータを変えたり既存のデータを組み合わせたりしながら、見つかるまで繰り返します。

レポート作成や改善点の提案

最後に分析結果から分かったことを、課題解決に役立つ情報としてレポートにまとめ、クライアントに報告します。単に情報提供だけで終わるのではなく、情報を活用した具体策まで示すのが、データサイエンティストの仕事です。

データサイエンティストの提案が、ビジネスの成否を大きく左右するケースも多いため、データ分析の正確性はもちろん、業界に対する高い理解力も求められます。

データサイエンティストのやりがいって?

データをまとめるビジネスマン

(出典) photo-ac.com

どのような仕事でも、やりがいを感じられれば働くモチベーションが高まります。データサイエンティストには、どのようなやりがいがあるのでしょうか。

新しい発見ができる

データサイエンティストは、作業時間の大半を膨大なデータと向き合って過ごします。分析作業に入る前にも、データベース構築やノイズの除去など、地道な作業が続きます。ただしその分、新しい情報を発見したり、役立つ結果が出たりしたときの喜びはひとしおです。

またデータサイエンティストは、さまざまな業種・業界の人とコミュニケーションしながら仕事を進めます。業務を通じてさまざまな情報が入ってくるため、1つの仕事が終わるたびに知識が増えることを実感でき、やりがいにつながります。

課題解決による達成感

自分の提案によってクライアントの課題が解決し、喜ばれたときの達成感も、データサイエンティストのやりがいの1つです。

これまで積み重ねてきた経験や学んだ知識、データと向き合い続ける忍耐の日々が実を結んだ瞬間として、強く記憶に残るでしょう。

実績を上げることで社内外での評価が高まれば、さらにやりがいのある仕事の受注も期待できます。

データサイエンティストが活躍する分野

パソコンを持ったビジネスマン

(出典) photo-ac.com

データサイエンスは、すでにあらゆる分野で活用されています。データサイエンティストの需要が高い分野の一例を見ていきましょう。

ECサイト

データサイエンティストの活躍の場として、もっとも知られているのがECサイトです。

ECサイトには、購入者の属性や購入履歴のデータが日々蓄積されています。顧客データを見れば、いつ誰がどのような目的で自社商品を買っているのかが容易に分かります。このためデータサイエンスによって売上を増やす余地が、たくさんあるのです。

例えば購入が見込める層を抽出して、メールマガジンやSNSの公式アカウントなどでキャンペーンを展開すれば、広告宣伝費をかけずに売上アップを見込めます。

サイトの訪問者に関連商品を表示して購入をすすめるのも、データサイエンスをもとに提供される仕組みです。買う側にとってもわざわざ自分で探す必要がなく、メリットが大きいといえるでしょう。

金融業界

金融業界では、データサイエンスによる作業の効率化や不正対策が進められています。作業効率化の例としては、ATMへの生体認証技術の活用や、窓口業務の無人化などが挙げられます。

無人化によって人件費削減や長時間営業が可能となり、業績改善につながるでしょう。ネットバンキングやネット証券では、顧客が使いやすいアプリ・サイトの開発にデータサイエンスが役立ちます。

ほかにもローンの審査・クレジットカードやキャッシュカードの不正利用検知・銀行による取引先の業績把握など、さまざまなシーンでデータサイエンティストは欠かせない存在となっています。

データサイエンティストの将来性

パソコンを指さすビジネスマン

(出典) photo-ac.com

データサイエンティストをこれから目指す人にとっては、将来性が気になるかもしれません。データサイエンティストの今後の展望を解説します。

今後大きな需要が見込まれている

データサイエンティストは、今後も大きな需要が見込まれる職種です。インターネットを活用したサービスや取引は年々増えており、利用者数も右肩上がりです。

新しいサービスが登場すれば、その都度利用者のデータが蓄積され、そのデータを活用したいと考える企業も増えていくでしょう。

一方で、データサイエンティストにはIT系スキルだけでなく、統計学やマーケティングスキルの習得が求められます。未経験者が目指すにはハードルが高い上に、大学でも専門の学部の設置が始まったばかりです。

現状では、需要に対して供給が追い付いていないため、しばらくの間は人材不足が続くと考えられています。

AIに代替される可能性も?

IT系の仕事の多くは、将来的にAIに代替される可能性が指摘されています。データサイエンスにおいても、作業の大部分をAIに任せる時代が来るかもしれません。

しかしデータサイエンティストの仕事は分析ではなく、あくまでも分析データをビジネスに生かすことです。AIだけでは、クライアントのニーズに合うきめ細かな提案をするのは難しいでしょう。

むしろデータベース構築やノイズ除去などの作業をAIに替わってもらえれば、企画立案にリソースを割けるため、データサイエンティストにとってはメリットが大きいといえます。

AIを分析ツールとして上手に使いこなせれば、取って替わられる可能性は低いと考えてよいでしょう。

データサイエンティストのキャリアパス

データサイエンティストになるには、主に2つのルートがあります。1つはITエンジニアが統計学やマーケティングを学ぶルートです。もう1つは、マーケターやリサーチャー、コンサルタントがデータベースの扱い方やプログラミング言語を学ぶものです。

いずれにしてもデータサイエンティストになるためには、今までの業務にとらわれない、幅広い知識と技能が必要です。

このため経験を積めばプロジェクトマネージャーに昇進したり、マーケターやコンサルタントとして独立したりと、さまざまなジャンルで活躍の道が開けます。新しい上に需要の高い職種ですから、よりよい条件での転職も十分可能です。

スキルを身に付けデータサイエンティストへ

データを並べたビジネスマンの男性

(出典) photo-ac.com

IT技術を活用したビジネスは今後もまだまだ増えると予想されており、データサイエンティストも引く手あまたの状況が続くと考えられます。

すでにITエンジニアとして経験を積んでいる人なら、足りないスキルさえ身に付ければデータサイエンティストとして活躍するのも夢ではありません。将来性のあるデータサイエンティストへの道を、早めに模索しておくとよいでしょう。

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