データサイエンティストになるには。必要スキルや役立つ資格も紹介

データサイエンティストになるには、どのような条件を満たせばよいのでしょうか。現職の経験は生かせるのか、自分に向いているのか、不安に思う人も多いでしょう。データサイエンティストに求められるスキルや適性、役立つ資格を紹介します。

データサイエンティストになるには

タイピングする手元

(出典) photo-ac.com

データサイエンティストは、近年さまざまな分野で需要が高まっている職種です。IT業界経験者はもちろん、未経験者の中にも仕事内容に魅力を感じ、なりたいと考える人もいるでしょう。未経験からデータサイエンティストになれる可能性は、どのくらいあるのでしょうか。

未経験から目指すことはできる?

データサイエンティストには、高度なプログラミング知識やデータ収集・分析能力などが求められます。このためIT業界で働いた経験のない人が転職しようとしても、採用される可能性は低いでしょう。

IT業界経験者であっても、一般的なプログラマーやSE経験だけでは即戦力として認められにくく、転職のハードルは高いといえます。

社内制度としてデータサイエンティストの養成に力を入れている企業もありますが、非常にまれなケースです。募集人数も少なく、それなりに実力がないと応募できないため、未経験者には難しいでしょう。

データサイエンティストになりたければ、現在の職場で関連のある実務を経験したり、資格を取得したりして能力を高めてから挑戦するのが現実的です。

実務経験を積める職種

データサイエンティストに近い実務経験を積める、エンジニア系の職種は以下の通りです。

  • データベースエンジニア
  • データマイニングエンジニア
  • web系エンジニア

「Python」でのアプリケーション開発経験や、機械学習・深層学習の利用経験などがあると、データサイエンティストとして転職できる可能性が高まります。エンジニア系の職種に就いている人は、ここからステップアップしていくとよいでしょう。

数理統計に詳しいマーケターやアナリストなども、データサイエンティストを目指しやすい職種です。データサイエンティストに最も必要な分析・統計能力がすでにあるため、プログラミングやAIの知識さえ身に付ければ、転職の成功率は高いといえます。

データサイエンティストに向いている人

パソコンと電卓

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データサイエンティストになるには、実務経験を積む時間や学習のためにかかる費用なども覚悟しなくてはなりません。本格的に目指す前に、自分が本当にデータサイエンティストに向いているのかチェックしてみましょう。

数学や統計学が好き

データサイエンティストは、基本的に数学や統計学が好きな人に向いている職種です。

データサイエンティストの仕事は、データ分析によってビジネスに生かせる情報を見出すことです。得られた情報を元に、業績向上や課題解決策の提案にも携わります。

データ分析のためには、長時間数字と向き合う作業を避けて通れません。もともと数字が苦手な人は、仮にデータサイエンティストになれたとしても、仕事を楽しめないでしょう。

逆に数字が好きで、分析や集計作業を楽しいと思える人なら、やりがいを持って取り組めます。

忍耐力がある

データ分析は、とても根気のいる作業です。膨大なデータの中には不要なものが紛れ込んでいて、そのままでは正しい結果が出せないこともあります。膨大なデータから必要なものだけを取り出し、正しい分析結果を得るまでには、長い時間がかかるでしょう。

また分析結果は、社内の担当者やクライアントに伝えるために、資料にまとめ直す必要があります。データサイエンスに詳しくない人でも理解できる資料を作るのは、簡単ではありません。

「もう少し分かりやすくしてほしい」「別のデータはないの?」など、修正を依頼されるケースも考えられます。このためデータサイエンティストには、根気強さや忍耐力が求められます。

コミュニケーション能力が高い

コミュニケーション能力が高い人は、データサイエンティストとして成功しやすいといえます。データの分析に取りかかる前には、担当者やクライアントにヒアリングして、相手が解決したい課題を把握しなくてはなりません。

ほかにも分析の途中で方向性を確認したり、結果を報告したりなど、ミーティングの機会はたくさんあります。コミュニケーションが上手な人なら仕事がスムーズに進み、相手にも喜ばれるでしょう。

データサイエンティストに必要なスキル

プログラミングをする手元

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データサイエンティストになるには、プログラミング言語と統計学及び分析ツールの使い方を習得する必要があります。それぞれについて、具体的な内容を解説します。

プログラミング言語の基礎知識

データサイエンティストが身に付けておきたいプログラミング言語は、「Python」「R」「SQL」の3つです。

「Python」は、機械学習やAI構築の分野で使用します。初心者でも習得しやすく、データ加工や前処理・レポート化などの拡張ライブラリも豊富で、使い勝手がよいのが特徴です。

「R」は統計解析に必要な機能を持つ言語で、大量のデータを効率よく分析できます。「SQL」は、データの検索や抽出などに使用します。いずれも業務には欠かせない言語なので、必ず使えるようにしておきましょう。

分析や統計学、ツールへの知識

データサイエンティストにとって、統計学や分析手法に関する知識は、プログラミング言語以上に重要といえます。どんなにデータの扱いに長けていても、ビジネスに役立つ情報に変換できなければ意味がありません。

またデータの種類によって、統計に必要な分析手法が異なるため、主要な方法を一通り把握する必要もあります。

統計学の知識と共に、分析ツールへの理解や、使いこなすスキルも求められると考えてよいでしょう。

データサイエンティストで役立つ資格

パソコンと眼鏡と筆記具

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データサイエンティストになるために、特別な資格は必要ありません。とはいえ資格を持っていればスキルをアピールできるため、転職には役立ちます。データサイエンティストを目指す人にとって、役立つ可能性が高い資格を紹介します。

情報処理技術者試験

情報処理技術者として、一定水準以上の技術・知識を有することを認定する国家試験です。独立行政法人「情報処理推進機構(IPA)」が主催しています。

システムの設計・運用からソフトウェア開発、データベースの運用保守といった知識が身に付くので、マーケターやアナリストなど、もともとIT系技術に詳しくない人におすすめです。

試験は習熟度やジャンルによって分かれていて、実施時期も異なります。自分の習熟度に合わせて、段階的にチャレンジしていくとよいでしょう。

情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

統計検定

「統計検定」は、統計に関する知識や活用力を評価する試験として、2011年から始まったものです。

数学的なデータ解析法が身に付くため、文系大学出身者や、ITエンジニアからデータサイエンティストを目指す人におすすめです。

試験は1級・準1級及び2~4級までの5段階の級と、統計調査士・データサイエンスの2ジャンルに分かれていて、習熟度や目指す職種によって選べます。

2級以上に合格できれば、データサイエンティストに求められる一般的な水準を満たしているとみなされます。

統計検定|一般財団法人 統計質保証推進協会

データベーススペシャリスト試験

「データベーススペシャリスト試験」は、情報処理技術者試験の基本情報・応用情報の上位に位置する資格試験です。データベーススペシャリストとは、その名の通りデータベースに関わるあらゆる専門知識を備えた人を指します。

難易度は高めですが、取得できれば転職に有利なだけでなく、現職での待遇改善も期待できます。データサイエンティストとして活躍したい人には、最適な資格といえるでしょう。

なお情報処理技術者試験の「応用情報」取得者は、午後の試験が免除されます。まずは応用情報を取得してから、データベーススペシャリスト試験に挑戦するとよいでしょう。

データベーススペシャリスト試験|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

データサイエンティストの学習方法

タイピング

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データサイエンティストになるには、専門知識を学ぶ必要があります。働きながら学びたい人に、主な学習方法を紹介します。

社会人におすすめ「通信講座」

すでに社会人として働いている人には、空いた時間を有効に使える通信講座がおすすめです。通信講座は自宅で好きな時間に学習できる上に、通学に比べて費用も安く済むのがメリットです。

受講料が安いだけでなく、通学にかかる交通費や食費なども節約できます。データサイエンティストに関連する通信講座には、総務省統計局が提供する「データサイエンスオンライン講座」や、一般社団法人「実務教育研究所」が運営する「現代統計実務講座」などがあります。

「Udemy(ユーデミー)」のような民間企業が提供する講座もあるので、目的や予算に合わせて選ぶとよいでしょう。

「独学」は可能だが、難易度は高め

書籍やネットを利用すれば、データサイエンティストに必要な知識やスキルを独学で習得できます。難易度は高いものの、通信講座よりも時間の制限がなく、費用も抑えられます。

ただし転職を有利に進めるためには、即戦力として活躍できることを裏付ける資格や実務経験が必要です。自分では高度な知識やスキルがあると思っていても、客観的に証明できる材料がなければ、採用担当者は実力を判断できません。

独学するにしても、最終的には資格を取るか、実務経験を積む必要があることを覚えておきましょう。

時間に余裕があるなら「大学や専門学校」

データサイエンスを体系的に学べる大学や専門学校を卒業すれば、実務経験がなくても採用されるチャンスが十分あります。時間的余裕や、学費を払う経済的な余裕がある人は、通学を検討してもよいでしょう。

データサイエンスに関連する学科には、情報工学科・情報システム工学科・情報理学科などがあります。学校案内や募集要項をよく読んで、自分に適した学科を選びましょう。

データサイエンティストを目指そう

データ分析

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日々インターネット上でやり取りされるデータには、ビジネスの発展に役立つヒントが隠れています。データ分析を通してヒントを発見し、業績アップに貢献するデータサイエンティストは、とてもやりがいのある職種といえるでしょう。

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