扶養控除申告書はアルバイトでも必要?年末調整の条件について解説

勤め先から給与をもらう人が税金の控除を受けるためには、扶養控除申告書の提出が必要です。正社員はもちろん、場合によってはアルバイトでも必要なので、年末調整が必要になる条件とともに、扶養控除申請書に記入する際のポイントを確認しましょう。

扶養控除申告書はアルバイトにも必要?

扶養控除書類

(出典) pixta.jp

扶養控除申告書は、年末調整を行う際に給与所得者が勤め先に提出する書類です。正社員はもちろん、場合によってはアルバイトやパートの立場でも提出が求められます。まずは扶養控除申告書の概要と、提出が必要になる条件を押さえておきましょう。

扶養控除を受けるために必要な書類

扶養控除申告書は、正式には「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」という名称です。その名の通り、扶養控除を受けるために提出が必要な書類で、一般的には勤務先が従業員に書類を渡し、必要事項を従業員が記入して提出します。

年末調整が必要になる11月~12月頃に、経理や総務を担当する部署から提出を依頼されるケースが多いでしょう。

扶養控除申告書を提出していないと、所得税の控除を受けられない可能性があり、給与の手取り額が減ってしまう可能性があります。企業側も、従業員から扶養控除申告書が提出されないと年末調整ができないので、期限までに必ず提出しなければなりません。

扶養控除申告書が必要になる人

年間の合計所得金額が48万円以下で、納税者と生計を一にしているなどの条件を満たしていれば、扶養控除の対象になります。

条件に該当していれば雇用形態は問われないので、正社員はもちろん、アルバイトやパートの立場でも対象になる可能性があるのです。

ただし、扶養控除の対象ではなかったとしても、当該の従業員が控除の対象とならない事実を会社側が確認するために、一般的に扶養控除申告書の提出が求められます。

参考:扶養控除|国税庁

アルバイトで年末調整が必要になる条件

員勝人年末調整書類

(出典) pixta.jp

アルバイトの場合でも、年末調整が必要なケースがあります。年末調整の基本的な知識とともに、アルバイトで年末調整が必要になる条件を確認しておきましょう。

そもそも年末調整とは?

年末調整は所得税の過不足分を精算する手続きであり、企業が従業員に代わって行います。会社員の場合、企業が各従業員の代わりに所得税を納付しており、住民税や社会保険料とともに、毎月の給与から天引き(源泉徴収)という形で精算しているのです。

しかし源泉徴収により納付した所得税は、年間の従業員の給与を換算した数字であり、正確な金額ではありません。そこで年末に正しい所得税額を計算して、源泉徴収によって納めた税金との差額を精算する手続きが必要であり、これが年末調整です。

一方、個人事業主の場合は毎年確定申告を行い、算出した所得税を納付します。会社が年末調整をしてくれる会社員でも、副業や兼業などによる所得があるケースでは、確定申告をしなければならない可能性があります。

年末調整に必要な書類

年末調整に必要な書類は、次の通りです。

  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 給与所得者の基礎控除申告書
  • 給与所得者の配偶者控除等申告書
  • 所得金額調整控除申告書

基礎控除申告書と配偶者控除等申告書、所得金額調整控除申告書は、1枚にまとまった書類になっているので、まとめて記載して提出します。また、保険料控除申告書や、住宅借入金等特別控除申告書の提出が必要な場合もあります。

アルバイト側は勤め先から扶養控除申請書を含めて、記入が必要な書類を渡されるので、指示に従って必要事項を記入して提出しましょう。

アルバイトで年末調整の対象となる場合

年末の時点において勤め先で仕事をしており、扶養控除申告書を提出している場合は、アルバイトでも年末調整の対象となります。アルバイトを経験したことのある人は、仕事を始める前に、勤め先から扶養控除申告書への記載を求められた人も多いでしょう。

年の途中で退職した場合でも、年末に別のアルバイトをしているならば、まとめて年末調整をしてもらえる可能性もあります。ただし、前の職場から源泉徴収票をもらい、現在の勤め先に提出する必要があります。

年末調整の対象とならない条件は?

1年間の給与の総額が2,000万円を超える場合や、災害による被害で還付を受けている人などは、年末調整の対象にはなりません。

また、2カ所以上から給与の支払いを受けており、1つの勤務先に扶養控除申告書を提出している場合は、もう一方の勤務先では年末調整ができない決まりになっています。アルバイトの場合、この条件に該当する人が多いので注意が必要です。

年末調整の対象になる人・ならない人に関しては、国税庁のサイトに詳しい条件が記載されているので、そちらで確認しましょう。

参考:年末調整の対象となる人|国税庁

扶養控除申告書を書く際のポイント

扶養控除申告書

(出典) pixta.jp

アルバイトが扶養控除申告書を書く際の記載項目や、書き方のポイントも押さえておきましょう。基本的に勤め先から書き方を教えてもらえるはずですが、記載すべき箇所を知っておくと、間違うことなく提出できるようになります。

扶養控除申告書の記載項目

アルバイトの場合は、扶養控除申告書の右上の欄にある氏名や住所、生年月日、個人番号(マイナンバー)などおを記載するだけです。

左側の欄には勤め先の会社名や法人番号、住所などを記入しますが、事業主がすでに記載している場合が多いでしょう。多くの従業員を雇用している企業の場合、すでに印字されているケースもあります。

なお、個人番号は一定の条件下では記載を省略できますが、基本的に記入が必要です。自分の個人番号が分からない場合は、事前にマイナンバーカードなどで確認しておきましょう。

基礎控除申告書の書き方

年末調整を受けるには、基礎控除申告書、配偶者控除等申告書、所得金額調整控除申告書の提出も必要です。

これらはセットになっており、正式には「給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」という名称で、1枚の書類でまとめて申請します。

アルバイト側が記入するのは、右上にある氏名と住所、基礎控除申告書の部分と本人情報欄のみで構いません。

基礎控除申告書の部分には、収入金額(1年間の給与およびボーナスなどの総支給額)と給与所得に加えて、給与所得以外の所得があれば記入します。そこから合計所得金額の見積額を算出し、控除額の区分を確認して基礎控除の金額を書きます。

詳しい記入方法は勤め先で教えてもらえるので、指示に従って記載しましょう。

保険料控除申告書の書き方

生命保険に加入している場合や、自ら社会保険料を納付しており、控除を受けられる場合は、保険料控除申告書も提出すると節税につながるケースがあります。

ただし、各種保険やiDeCoなどに加入していない人や、一定の収入以下で所得税・住民税ともに控除対象とはならない人は、提出する必要はありません。

保険料控除申告書の記載項目は多岐にわたるので、加入している保険会社から送付された書類や、各社が提供しているサポートツールなどを確認しながら、必要事項を記載しましょう。

確定申告の要否にも注意

確定申告書類

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勤め先で年末調整をしている場合、原則として確定申告は不要です。しかし一定の条件に該当する場合、給与所得者でも確定申告が必要になる可能性があるので、ここで確認しておきましょう。

確定申告が求められる条件

勤め先で年末調整をしてもらっていない場合や、複数のアルバイトをしている場合、あるいは年末を迎える前に仕事を辞めている場合などは、アルバイトでも確定申告が必要となる可能性があります。

勤め先によっては、アルバイトの年末調整をしない方針のところもあるので、源泉徴収票をもらって自分で確定申告をしなければいけません。

また年末調整は1社でしかできないので、アルバイトを掛け持ちしている人は、源泉徴収票をもらった上で、全ての給与所得の確定申告をしましょう。12月31日の時点で仕事を辞めている人に関しても、年末調整はできないので確定申告が必要です。

なお、全ての給与を合計しても年間で103万円以下の場合は、そもそも所得税の課税対象とはなりません。ただし、年収が103万円以下でも月給が8万8,000円を超えた月があれば、税金が源泉徴収されている可能性があります。

確定申告をすれば、納めた税金が還付金として戻ってくる場合があるので確認しましょう。

アルバイトの年末調整の条件を知っておこう

コンビニのアルバイト

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扶養控除申告書は年末調整の際に求められる書類です。アルバイトの立場でも年末調整が必要になるケースが多いので、条件をよく確認しておきましょう。また、収入の状況や働き方によっては、確定申告をしなければならない場合もあります。

特に、アルバイトを始めた学生や、会社員として働きながら副業でアルバイトしている人などは、確定申告が必要なことを知らずにいるケースも少なくありません。

確定申告をせずにいると延滞税や無申告加算税が課される可能性もあるので、自分の状況をしっかりと確認し、必要な手続きを確実に行いましょう。