年収の高い業界の特徴は?平均年収や高収入を得るためのポイントも

転職先を考えるにあたり、興味のある業界の中でも特に収入の高さで選ぶ人は多いでしょう。年収が高いのはどの業界なのでしょうか?厚生労働省のデータを基に、年収の高めな業界を紹介します。転職後の収入を重視している人は参考にしましょう。

年収の高い業界はどこ?

月給のイメージ

(出典) pixta.jp

まずは厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」をベースに、平均年収の高い業界について確認しましょう。

平均年収は、「学歴、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」の各産業区分における、「企業規模計(10人以上)」の「きまって支給する現金給与額」と「年間賞与その他特別給与額」に基づいて計算しました。

産業(業界)ごとに平均年収を算出したものですが、「電気・ガス・熱供給・水道業」と「運輸業・郵便業」に関しては「民営+公営」のデータを使用しています。

参考:賃金構造基本統計調査 1 学歴、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額 (産業計・産業別) | 政府統計の総合窓口

電気・ガス・熱供給・水道業

電気・ガス・熱供給・水道業(民間・公営)の平均年収は約668万円で、「賃金構造基本統計調査」における全産業の中で最も高い水準です。国民の生活になくてはならないインフラを支える仕事のため、景気動向に左右されづらく基本的に仕事がなくなることはありません。

従来、電気事業をはじめ公共事業としてサービスが提供されてきましたが、近年は民間企業の参入が進んでいます。その安定性から、今後さらに人気の高まる業界といえるでしょう。

学術研究、専門・技術サービス業

学術研究、専門・技術サービス業の平均年収は約633万円です。その名の通り学術的な研究を担う企業や団体、クライアントに対し研究成果をサービスとして提供する企業などが含まれます。

また、法律や会計・財務に関する相談を受けたり、業務の一部を代行したりする企業や、広告に関するサービスを提供している企業、さらに土木・建築に関する設計や相談業務を担う企業も該当します。

ただし広告に関しては、各広告媒体に出稿しない企業は、後述する情報通信業の分類です。

基本的に無形で仕入れコストのかからない商品を扱っている性質に加えて、他の業界・業種の事業運営に欠かせないサービスを提供しているため、利益率が高く年収も高めなのが特徴といえます。

金融業・保険業

金融業・保険業の平均年収は約627万円です。銀行や投資銀行、証券会社、保険会社などから構成されており、メガバンクが含まれるため、安定して高収入が期待できる業界として人気があります。

いまだに年功序列が基本という企業も少なくないですが、保険会社を中心に、実力次第で収入を大きく伸ばせる企業も多いのが特徴です。

転職にあたっては高度な知識が求められるケースが多く、金融関連資格の取得が有利になる場合もあるので、まずは資格の取得を目指してみるのもよいでしょう。

情報通信業

情報通信業の平均年収は約602万円です。テレビ・ラジオ放送やインターネット関連の企業などが該当し、ソフトウエア開発会社や出版社なども含まれます。

近年はインターネット関連技術の市場規模の拡大が著しく、情報通信業の中でも、とりわけIT業界は大企業からスタートアップまで、さまざまな規模の企業が乱立している状況です。

転職を希望する人が多い業界である一方で、慢性的な人手不足に陥っているケースもあり、事業としての安定性も企業によって異なります。転職する場合は収入面や労働環境に加えて、自分に合った企業かどうかという点も慎重に見極める必要があるでしょう。

教育・学習支援業

教育・学習支援業の平均年収は約591万円です。小学校から高校、特別支援学校、専修学校などの各教育機関に加えて、職業支援施設や学習塾などが含まれます。さらに、図書館や博物館なども学習支援業に該当します。

教育関連分野も景気動向に左右されにくく、提供する商品も基本的に無形で仕入コストがかかなず、サービスを高単価で提供できることから、安定した収入を望めるのが特徴です。

ただし、日本は急激に少子高齢化が進んでいるため、将来的には市場が縮小していく可能性はあります。また、教員をはじめとした学校職員は人手不足が顕著で、労働時間が長い点が問題視されているため、そういった面も考慮した上で転職を考えることが大事です。

年収が低めの業界は?

ホテルの窓口

(出典) pixta.jp

転職の参考情報の1つとして、他の業界に比べて年収が低めの業界についても知っておきましょう。

ただし、業界全体の平均年収が低めという意味であり、個々人のキャリアの積み方によっては高収入も望めます。収入以外のメリットを感じられるケースも少なくありません。

宿泊業・飲食サービス業

宿泊業・飲食サービス業の平均年収は約370万円です。ホテルや旅館などの宿泊施設や、カフェ・レストラン・居酒屋をはじめとした飲食店が挙げられます。アルバイトやパートなど非正規雇用が多く、短期間で辞める人も多いため全体の年収は低めです。

ただし、働きたい学生や子育て中の主婦・主夫などの働き口の受け皿となっており、賃金が安くても自分の都合で仕事をしたい人にとっては、働きやすい業界といえるでしょう。

生活関連サービス業・娯楽業

生活関連サービス業・娯楽業の平均年収は約381万円です。理容業・美容業をはじめ、冠婚葬祭に関するサービスを提供する企業やエステ・フィットネスなどの企業、遊園地をはじめとしたレジャー施設を運営する企業などが含まれます。

個人店舗が多いこともあり、全体の収入は低めです。ただ、消費者の日常生活に密接したサービスを提供する業界ですが、市場規模が成長している分野と縮小している分野に二極化しています。

転職を検討している場合には、どの分野の企業を選ぶかにより、年収がかなり異なる可能性があるでしょう。

年収の「高い」「低い」の基準は?

年収が高めの業界と低めの業界を紹介しましたが、そもそも年収の「高い」「低い」の基準はどこにあるのでしょうか?

人によって望む年収の基準は異なるものの、日本における給与所得者全体の平均年収をベースに考えれば、収入から見た各業界の位置付けが分かります。

日本人の平均年収を基準にする方法

「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均年収は約497万円であり、これを基準にして年収の高低を判断するのも1つの方法といえます。

前述した業界ごとの平均年収と同じ統計データに基づいて計算しました。「(民+公)産業計」の「男女計・学歴計」「企業規模計(10人以上)」の部分における、「きまって支給する現金給与額」×12+「年間賞与その他特別給与額」で算出しています。

ちなみに男性の平均年収は約554万円で、女性の平均年収は約394万円という結果です。ここ数年の平均年収の推移を見ると、430万~500万円の間を動いています。

出典:令和4年賃金構造基本統計調査(順次掲載予定)一般労働者 産業大分類

平均年収の注意点

平均年収は賞与(ボーナス)を加味して計算するのに加えて、一部の収入がかなり高い(低い)社員の影響が出るため、実態が正しく反映されない可能性ある点は注意しなければなりません。

また、各業界が発表している年収の例なども、計算のベースとなっている母集団が不明確な場合もあります。

社員間の収入差が激しい業界や職種もあるので、あくまでも参考の1つと考えることが大事です。より詳しく実態を把握したい人は、調べたい業界の年収の中央値や、その業界に従事している人の平均勤続年数なども考慮するとよいでしょう。

年収が高い業界の特徴は?

男性社員

(出典) pixta.jp

年収が高い業界の特徴としては、以下の点が挙げられます。転職を機に年収アップを狙っている人は、必要な知能やスキルの獲得を目指すのに加えて、その業界の主要な企業の動向にも注目してみましょう。

高度な技能やスキルが求められる

年収の高い業界や職種の仕事には、高度な技能やスキル、知識が求められる場合が多いでしょう。一定水準を超えるスキルを身に付けるのに、相応の時間や手間を要するため、それだけ報酬も高くなる傾向にあります。

特に、ITエンジニアやデータサイエンティストなど、人材ニーズが高い半面、業界全体で人手不足が目立つ職種の場合、自分の望む年収を実現できる可能性が高いでしょう。

売り手市場の職種に就ければ、基本的に転職先をある程度は自由に選べるようになります。

業界リーダーの規模が大きい

業界を構成する主たる企業の規模が大きめで、経営基盤が安定している業界も狙い目です。例えば、社会インフラをはじめ生活に欠かせない商品・サービスを提供している業界は、基本的にニーズがなくなる可能性は低く、長く安定して働けるでしょう。

また情報通信業をはじめ、最先端の技術を開発・提供している業界は、ベンチャーやスタートアップも多い半面、社会的なニーズが高いため、高収入を得られる企業も多くなる傾向です。

年収の高い仕事に就くためのポイント

資格の勉強

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年収の高い仕事に就くためには、平均収入の高い業界を狙って転職することも重要ですが、以下のポイントについても意識する必要があります。将来的に転職を考えているならば、計画的に必要な技能や資格の取得を目指しましょう。

希少性の高い技能やスキルを身に付ける

高度で希少性の高い技能やスキルを身に付ければ、それを生かせる業界で活躍できる可能性があります。

希少価値の高い人材になれれば、年収アップはもちろん、自分の理想とする働き方も実現できるでしょう。高度な技能が求められる業界は年収が高めであり、キャリアアップもしやすい傾向にあります。将来的に独立を目指すという選択肢もあるでしょう。

難易度が高い資格を取得する

難易度の高い資格を取得して、収入アップを目指す方法もあります。資格を有していなければ仕事ができない職種もあるので、高難度の資格を取得できれば、それだけで大きなアドバンテージを得られるでしょう。

ただし、資格を取得したからといって、すぐに高収入になれるわけではありません。資格を生かして新たに仕事を得たり転職したりと、自ら積極的に動く必要があります。

その業界での実務を経験しなければ取得資格を得られないものもあるので、どういった形でも狙っている業界に転職して、キャリアを積む選択も有効です。

転職先を選ぶ基準は年収だけではない

調べ物をするビジネスマン

(出典) pixta.jp

ここまで年収の高い業界を紹介してきましたが、そもそも転職先を選ぶ基準は年収だけではありません。収入アップが望ましい点は間違いありませんが、以下の点も考慮しつつ、自分に合った業界を選ぶことが大事です。

給料が高い仕事は本当によい仕事か?

給料が高いからといって、本当に自分に合ったよい仕事だとは限りません。肉体的・精神的にきつかったり自分に適性がなかったりして、仕事が嫌になってしまう可能性もあります。

実際のところ、高収入を目指して転職しても自分の肌に合わず、再び転職を選択する人は珍しくありません。

転職を決める前に、できる限り希望する業界について調査し、自分に合った仕事ができるのかどうか確認しておきましょう。

自分の強みや適性に合った業界を探す

転職において収入面は重要ですが、自分の強みや適性にマッチした業界を探すことも大事です。全体の平均収入が低めだったとしても、自分に合った業界でキャリアアップすれば、十分な収入を得られる可能性があります。

できるだけ高収入を得られる業界を選ぶことを前提にするとしても、しっかりと自己分析と業界研究をした上で、自分の適性を生かせる企業に応募する必要があります。

仕事内容・実現できる働き方やキャリアパス・職場環境や価値観など、多角的に転職先を判断することが重要です。

年収以外にも基準を持って転職を考えよう

スーツ姿の女性

(出典) pixta.jp

年収は個人の経験やスキル、仕事の成果を通じて決まるものですが、業界によって年収の水準は異なります。高い収入を得られる業界を目指すことも大事ですが、それ以上に自分の適性を生かせる業界を選択する必要があります。

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