シスターとは何をする人?果たす役割と求められる条件を解説

カトリック教会やルーテル教会など、キリスト教の一部の教派には、シスターという存在がいます。これからシスターを目指す人は、シスターになる条件や流れについて知っておきましょう。今回は特に、カトリック教会のシスターを取り上げます。

シスターとはどのような存在?

シスター

(出典) pixta.jp

シスターの定義について確認します。一般信徒として活動しているものの、今後修道生活を考えているという人は、一通りチェックしておきましょう。

修道誓願を立てた女性修道士

カトリック教会におけるシスターとは、修道誓願を立てて特定の修道会に所属している女性修道士の総称です。それぞれの修道会には、シスター以外に以下のような人も在籍しています。

  • ブラザー: 男性修道士
  • 修道司祭: 修道士の中で司祭として奉仕している人

シスターになるには、修道会に所属することが必要です。世の中には多種多様な修道会が存在するため、まずは自分に合った修道会を探しましょう。

修道会の目的を実現するために活動する

修道士はそれぞれ、所属する修道会が掲げている目的を実現するために活動します。修道会が掲げている目的の一例は以下の通りです。

  • 出版や教育を通じた宣教活動に携わって信仰を広める
  • 社会福祉分野に貢献する
  • 祈りと労働を通じて神と人々に奉仕する

修道会によってその目的は大きく異なります。シスターになると生涯にわたって修道生活を送ることになるため、自分が共感できる目的を掲げているところを選ぶことが大切です。

シスターが在籍する修道会の種類

教会

(出典) pixta.jp

修道会にはさまざまなタイプがあります。代表的な修道会のタイプをいくつかピックアップして見ていきましょう。修道生活を考えている人は、方針や活動スタイルが自分に合った修道会を選ぶことが大切です。

在俗修道会や活動修道会

一般社会の中でさまざまな活動に携わる修道会が、在俗修道会や活動修道会です。在俗修道会・活動修道会にはそれぞれ、以下のような特徴があります。

  • 在俗修道会: 特定の修道院に居住せず、家庭や仕事を持ちながら、それぞれの立場で神に奉仕するタイプの修道会
  • 活動修道会: 修道院に居住し、修道会の目的を果たすために一般社会の中で福祉や出版などのさまざまな活動に携わる修道会

細かい部分は異なるものの、一般社会に積極的に関わり、修道会が掲げている理念・目的の実現を目指すのが特徴です。

観想修道会

特定の修道院にとどまり、基本的にそこから出ることなく生活するタイプの修道院を観想修道会と呼びます。観想修道会の主な活動は以下の通りです。

  • 祈り
  • 読書
  • 黙想
  • 労働

一般社会の活動に携わることはなく、所属している修道会の修道院で共同生活を送りながら、神に奉仕するのが特徴です。具体的な日課は修道院によって異なります。

観想修道会に所属して修道誓願を立てると、一般社会との関わりは最低限に抑えられるため、相応の覚悟が求められます。

シスターに求められる条件

カトリック教のイメージ

(出典) pixta.jp

これからシスターを目指す場合、入会したい修道会が求めている条件を満たす必要があります。具体的な入会条件は、各修道会が会則で定めているため差がありますが、主に以下で紹介する条件が一般的です。

詳しい条件を知りたい人は、入会したいと思っている修道会に問い合わせるなどして確認しましょう。

受洗後3年以上経過している

多くの修道会は、入会条件としてカトリックの洗礼を受けてから3年が経過していることを入会条件に掲げています。

修道会によっては、堅信を受けてから3年経過していることを求めている場合もあるため、洗礼と堅信の時期が違う場合は、修道会の会則を確認しておきましょう。

プロテスタント諸教派からカトリックに転会した場合、転会してから3年が経過していれば入会できるのが一般的です。ただし転会者については条件を明記していない修道会もあるため、入会したい修道会や所属教会の主任司祭に確認するとよいでしょう。

修道会が定めている条件の範囲内である

受洗後の経過年数以外にも、いくつかの入会条件を定めているのが一般的です。よくある条件の一例として、以下のようなものが挙げられます。

  • 年齢が一定の範囲内であること(30歳~40歳を上限としているケースが多い)
  • 健康面に問題がないこと
  • 修道士としての共同生活に適応できること
  • 修道会の理念・活動方針に共感していること

修道会が掲げている目的・理念に共感していて共同生活に支障がないという点が重視されます。修道会が定める条件を満たしていて、強い信仰を持っている人に向いている道です。

なお修道会によっては、個別の事情を考慮して入会を認めているケースがあります。年齢条件など、一部の条件から外れている場合でも、一度確認してみるとよいでしょう。

修道士の道が自分に最適だと確信している

修道会に所属し終生誓願を立てると、生涯にわたってシスターとして生活することになります。そのため、シスターになることが自分にとって最適な道であると、確信していることが大切です。

一般的に修道会に入会すると、一定の訓練を受けてから修道誓願を立てて正式会員になります。この期間を通じて、自分にとって本当に修道生活が最適なのか吟味することになるでしょう。

入会してみなければ分からない項目も多いため、現時点でシスターになりたいと思っているのであれば、修道会の門をたたいてみることをおすすめします。

一般信徒がシスターになるまでの流れ

信仰のイメージ

(出典) pixta.jp

すでにカトリック信徒として生活している人がシスターになるまでの流れを解説します。シスターの道を志してから終生誓願を立てるまでには、相当の期間が必要です。各段階で神に向き合いながら、シスターの道が自分にとって最適だと確信しているのか吟味しましょう。

修道会に連絡して面談や体験入会を重ねる

カトリック教会の修道会は世界中に多種多様なものがあるため、気になるところがあれば一度問い合わせて面談を受けたり、体験入会したりするとよいでしょう。一般的に、複数回の面談や体験入会を重ねて、自分に合った道なのかを考えます。

この段階では、入会を希望する修道会の活動方針や理念に本当に共感できるか、入会を志している修道会が自分に合っているのかを見極めることが大切です。

面談や体験入会を通じて特定の修道会が自分に合っていると確信し、修道会側から入会許可が出たら正式に入会します。

修道会に入会して指導・訓練を受ける

入会許可が与えられると、新規入会者は志願期・修練期と呼ばれる期間を過ごします。

志願期は共同生活を送ることで、自分の信仰を強化し、修道生活に適性があるか吟味する期間です。多くの修道会では、1~2年程度の時間をかけてシスターへの召命が本物かを見極めます。

志願期を終了すると修練期に移行し、必要な訓練を受けます。カトリック教会の教理や修道会の会則を深く学び、誓願を立てる準備を整える期間です。通常、志願期は1年間とされています。

有期誓願を立てて正式に修道士になる

無事に志願期・修練期を過ごしたら、最初の修道誓願として有期誓願を立てます。修道誓願とは、神に対して貞潔・清貧・従順を約束することです。最初の誓願では期間を定めて修道誓願を立てるため、有期誓願と呼ばれます。

有期誓願の期間は修道会によって差があるものの、3~9年の間で定められているのが一般的です。

修道誓願を立てると正式な修道士となり、シスターとして神に奉仕する生活を送りながら終生誓願を立てる準備を整えます。

終生誓願を立てる

有期誓願の期間が終了し、生涯シスターとして生活することが最善であると確信したのであれば、終生誓願を立てます。終生誓願は、その名の通り修道士として自分の一生をささげることを誓う厳粛な約束です。

終生誓願を立てた後は、さらなる霊的成長を目指しながら、修道士として修道会の目的を果たすために奉仕します。具体的な活動内容は修道会によって異なるものの、宣教・福祉・出版・教育などの、さまざまな活動に携わることになるでしょう。

シスターを目指すなら自分に合う修道会を探そう

修道会

(出典) pixta.jp

シスターは、修道士として自分の生涯を神にささげ、奉仕することを誓った人です。一般信徒からシスターを目指す場合は、自分に合った修道会を探して入会することが欠かせません。

入会後は志願期・修練期・有期誓願期を通じて、シスターが自分にとって最善の道か見極め、それを確信したのであれば終生誓願を立てます。生涯にわたりシスターとして奉仕することになるため、強い信仰を持ち修道会が掲げる理念に共感する必要があります。

一般信徒として活動しているものの、シスターを目指したいと考えているのであれば、まずは自分に合いそうな修道会を探してみるとよいでしょう。