「わかものハローワーク」は若者をターゲットにしたサービスです。就職を目指す若者にとって有益なサポートを受けられますが、利用者の対象範囲や具体的な支援内容が分からない状態では、利用しづらいでしょう。
この記事では、わかものハローワークが提供する就職支援の内容や利用方法、メリット・デメリットなどを紹介します。
近くにわかものハローワークがない場合の対処法や、完全に無料で利用できるのかなど、よくある疑問への回答についても確認しましょう。
この記事のポイント
- ・わかものハローワークとは
- おおむね34歳以下の人を対象とした就職支援サービスで、国が運営しています。
- ・受けられる支援内容
- 就職支援ナビゲーターに、マンツーマンで対応してもらえます。単に求人を紹介してもらうだけでなく、応募書類の添削や面接対策、セミナーなどの受講も可能です。
- ・利用方法
- 初回は予約の必要がなく、登録後に就職相談の予約や求職活動をする流れです。近くにわかものハローワークがない場合も、わかもの支援窓口を利用できます。
【若者向け】わかものハローワークって何?
新卒で就職したものの、思っていた仕事ではなかったと感じて挫折することもあるでしょう。わかものハローワークを利用すると、自分に合った仕事を早く見つけられる可能性があります。
従来のハローワークとの違いや、他の就職支援サービスとの違いなどを見ていきましょう。
正社員を目指す若年層向け就職支援サービス
わかものハローワークは、若者向けの就職支援サービスです。従来のハローワークとの違いは、正社員を目指す34歳以下の人を対象にしているところです。富山県や岡山県では、44歳以下の人を対象にしています。
これから働きたいと考えている人であれば、さまざまな就職支援を無料で利用可能です。
若年層が持つ「ハローワークは中高年が利用するもの」というイメージの改善や、若年層世代の深刻な雇用問題などを解決するために設置されました。若者が利用しやすい都市部を中心に、全国21カ所に展開しています。
一般・新卒応援・ジョブカフェとの違い
国や都道府県が運営する就職支援サービスにはさまざまなものがあり、名称やサービス内容を混同しがちです。それぞれの特徴を確認しましょう。
- わかものハローワーク:不安定就労の期間が長い人や安定就労の経験が少ない人などが対象
- 新卒応援ハローワーク:大学院・大学・短大・高専・専修学校などの学生とこれらの学校を卒業した人の就職を専門的にサポート
- ハローワーク:求職者・事業者双方にさまざまなサービスを提供
- ジョブカフェ:地方自治体が運営する若年者のためのワンストップサービスセンター
基本的に、対象としている人の状況や年齢層が異なります。また一般的なハローワークと異なり、わかものハローワークでは雇用保険の手続きなどはできないケースが多いのが特徴です。
出典:若者の就職支援機関 若者雇用促進法のあらまし|厚生労働省
わかものハローワークの支援内容
若者向けの就職支援といっても、詳しい支援内容が分からないと、利用する価値があるかどうか判断できません。わかものハローワークで受けられるサービスの中身について確認します。
就職支援ナビゲーターによる職業相談
わかものハローワークでは、就職活動における不安や悩みを相談員である「就職支援ナビゲーター」が個別に支援してくれます。
担当者制を採用することで利用者それぞれの状況を深く把握し、よりパーソナルな対応を目指しているところが特徴です。
就職活動を進める上で不足しているものを可視化する手伝いや、これからどのように動くのが適しているのかなど、具体的な相談に乗ってくれるでしょう。
求人情報の効果的な検索方法なども担当相談員が教えてくれるので、公的な就職支援サービスを初めて利用する人でも安心です。
出典:担当者制による職業相談 わかものハローワーク|厚生労働省
ビジネスマナーなどが学べる各種セミナー
社会人として必要なビジネスマナーや、言いたいことがよりスムーズに伝わる話し方など、就職活動に役立つさまざまなセミナーを開催しています。各セミナーは無料で受講が可能です。
ビジネスマナーを学ぶ機会を得ることは、社会人経験が少ない人が自信を養うために効果的です。全く何も知らない状態よりも、スムーズに就職活動を進められるでしょう。
また、事業所によっては心理カウンセリングなど、より専門的な補助を受けられるケースやグループワークに参加できる機会もあります。従来のハローワークとは違い、受講者が若年層なので参加しやすいでしょう。
出典:就職活動に役立つセミナー わかものハローワーク|厚生労働省
知識・スキルを磨く職業訓練
専門的な知識やスキルが必要な職に就きたいと考えている場合、職業訓練に関する相談にも乗ってくれます。職業訓練は、就職に役立つ知識やスキルなどを習得をするための公的制度です。
ハローワークでは、ものづくり系、事務・サービス系など、さまざまな職業に関する知識やスキルを磨ける訓練コースが用意されています。
訓練を受けると採用されやすくなるだけでなく、就職が決まった後、スムーズに仕事を進める上でも役立つでしょう。目指す職業に当てはまるコースが分からない場合、担当者に相談すれば、適切なコースを案内してもらえます。
出典:職業訓練(ハロートレーニング) わかものハローワーク|厚生労働省
応募書類の作成支援・面接対策
実際に応募したい企業が見つかったら、応募するための書類を作成しなければなりません。こうした書類の作成支援や面接対策も受けられます。基本的な書き方はもちろん、企業が魅力を感じる書類を作成する方法なども指導してもらえます。
知識やスキルを持っていても、志望動機や自分の強みなどを効果的にアピールできなければ、採用されづらいでしょう。
応募書類を作成する際にプロのアドバイスを受けられる人は、そうでない人に比べて有利です。また、事前に面接対策をしておけば、本番でも落ち着いて受け答えできるようになるでしょう。
出典:応募書類の作成支援 面接対策 わかものハローワーク|厚生労働省
企業の人事担当者が行う企業説明・面接会
わかものハローワークでは、大小さまざまな規模の企業説明会や面接会が開催されています。これらは大学などで行われる企業説明会と、大きな違いはありません。
参加すると、各企業の特色や詳しい仕事内容、どのような社風なのかといった点を応募前に確認できるため、自分に合った企業を選ぶ助けになります。
企業側にとっても有望な人材を見つけ出す機会になり、採用側と求職者の双方にメリットがある方法です。気になる業界や企業がある場合、積極的に参加しましょう。
就職先になじむための定着支援
わかものハローワークには、就職後のアフターフォローもあります。通常のハローワークとは異なり、就職後も定着支援が提供されるので挫折しにくいという仕組みです。
就職先の人間関係に関する困りごとや、仕事がなかなか覚えられないといった悩みの相談に乗り、問題解決に向けてサポートしてくれます。
就職したばかりの頃は、何かと不安や心配が多くなりがちです。誰にも相談できない状態だと悩みが深くなります。アフターフォローを受ければ解決の糸口を見つけやすくなり、仕事が長続きするでしょう。
わかものハローワーク利用の流れ
若年層の人の中には、通常のハローワークを利用したことがないという人もいるでしょう。わかものハローワークは、初めての人でも利用しやすい仕組みになっています。初回の利用から相談までの流れを見ていきましょう。
初回は予約なしの利用でOK
初めてわかものハローワークを利用する際は、予約の必要がありません。自宅の近くにあるわかものハローワークを検索し、実際に訪れてみましょう。
受付に着いたら、初めての利用である旨を伝えて求職者登録をします。登録後に、面談や相談の予約を取る流れです。
【初回利用時の持ち物】
- 筆記具
- 本人確認書(マイナンバーカード・運転免許証など)
用意できるのであれば履歴書や職務経歴書も持っていくと、担当者に状況を説明しやすいでしょう。また、服装などに決まりはなく、私服で気軽に利用できます。
担当相談員による就職支援・企業への応募
登録後に求人の検索・閲覧ができるようになるので、希望の仕事を見つけましょう。すぐに求職活動はせず、担当相談員から個別支援を受けることも可能です。
担当相談員との面談は予約制のため、利用する場合は予約が必要です。初めて相談する段階では、希望する職種などの目標が明確に決まっていなくても構いません。
「自分に向いている仕事が分からない」「希望の職種があるけれど続けられるか心配」など、現時点での就職に関する悩みがあれば、打ち明けてみましょう。
相談内容に基づき、担当相談員が就業支援プランを作成してくれます。希望の仕事を見つけて、求人への応募や面接を目指しましょう。
わかものハローワークのメリット・デメリット
わかものハローワークは就職したい若者にとってメリットが多いサービスですが、デメリットはないのか不安に感じる人もいるでしょう。メリットとデメリットをそれぞれ紹介します。
【メリット】無料で就職支援が受けられる
わかものハローワークを利用するメリットは、求職者それぞれに担当相談員が付き、質の高い就職支援を無料で受けられるところです。就職活動に役立つ無料のセミナーもあり、自信を養えるところもメリットといえます。
民間が運営するキャリアカウンセリングやセミナーの中には、有料のものもあります。無料で使えるサービスを活用した方が、お金の節約にもなるでしょう。
また、自分のアバターを使い、バーチャル空間におけるセミナーへの参加も可能です。大阪労働局が管理する「大阪わかものハローワーク」では、バーチャルセミナーを無料で受講できます。
全国の若い求職者を対象にしており、実際のセミナーに行くには時間や距離などに問題がある人にもおすすめです。
出典:バーチャルわかものハローワーク|メタバース内の若者向けのハローワーク
【デメリット】相談員の質にばらつきがある
知識が豊富で親切な相談員に出会える可能性がある反面、自分とは合わない相談員が担当になるケースもある点はデメリットです。
また、わかものハローワークで検索できる求人は、基本的に地元に特化している傾向が強く、転職エージェントなどに比べると求人の質が低い場合があります。
求人内容が簡潔すぎて、実態が分かりにくいと感じる人もいるでしょう。わかものハローワークを利用しながら求人サイトなども積極的に活用すると、より要望に合った仕事を見つけやすくなります。
国内最大級の求人情報一括検索サイト「スタンバイ」では、全国の求人情報を確認できます。希望に合った仕事探しに、ぜひお役立てください。
わかものハローワークの利用が向いている人は?
わかものハローワークは、人によって向き・不向きがあります。就職活動に関する不安や心配がない人は、利用する価値を見いだせないかもしれません。どのような人に向いているのか、見ていきましょう。
就職・転職に向けたサポートが欲しい人
わかものハローワークは「正社員の経験が少ない」「正社員への応募が初めて」など、1人での就職・転職活動に不安がある人におすすめです。
相談相手がいると、自分が抱えている問題や向いている仕事などが見えてきやすくなるでしょう。
相談員はキャリアコンサルティングの資格を持つ人や、企業の人事労務管理を経験している人などから選任されており、専門的なアドバイスを受けられます。
実際の応募に進んでからも、応募書類の添削や面接対策などを利用すれば、自信を持って本番に臨めるでしょう。
就職・転職活動中も人との交流が欲しい人
わかものハローワークは他の求職者と交流しながら、就職・転職に関する情報収集がしたい人にも向いています。
わかものハローワークが主催するグループワークに参加すれば、他者との交流が期待できます。参加者は若年層なので、さまざまな年齢層が参加する場合に比べて、コミュニケーションが取りやすいでしょう。
また、他の人と一緒に活動することで、モチベーションを高める効果も期待できます。
わかものハローワークに関するQ&A
初めてわかものハローワークを利用する場合、さまざまな疑問が湧いてくるでしょう。わかものハローワークに関するQ&Aを紹介します。
わかものハローワークが近くにない場合は?
わかものハローワークは全国に21カ所しかないため、居住している場所によっては、遠くて通えない場合もあるでしょう。
近くにわかものハローワークがない人は、通常のハローワーク内に設置されている「わかもの支援コーナー」や、全都道府県に設置されている「わかもの支援窓口」などを利用できます。
詳細な支援内容は設置場所によって異なるので、事前に問い合わせてから利用すると安心です。
わかものハローワーク・わかもの支援コーナー等一覧|厚生労働省
わかものハローワークのサービスは本当に無料?
わかものハローワークは国が運営しているサービスです。基本的には全て無料でサービスを利用できます。
わかものハローワークを通して職業訓練に申し込んだ場合も原則として無料ですが、テキスト代などを負担するケースがあるため、費用面が心配な場合は事前に相談員に確認しましょう。
職業訓練を受けるべきか相談する段階では、どのような費用も発生しません。わかものハローワークが直接的に行うサポートにおいては、完全に無料といえます。
若者向けハローワークで自分らしい転職を
わかものハローワークは、従来のハローワークを利用しにくいと感じる若者向けに用意されたサービスです。社会人経験が浅い人に特化した、スムーズな就職支援を受けられます。
プロの相談員だけでなく、似たような悩みを持つ若年層と出会える機会を得られるところも魅力です。求職活動はもちろん、履歴書・職務経歴書の添削や面接対策などが必要な場合にも役立ちます。
無料で利用できるので、支援を受けること自体のデメリットはほぼないと考えてよいでしょう。自分らしく働ける仕事を見つけるために、活用してみてはいかがでしょうか。