臨床検査技師の将来性は?今後の需要や資格を生かせる勤務場所を紹介

AIの進化に伴い、医療現場の多くの作業で自動化が進んでいます。臨床検査技師の仕事も機械化される部分が増えているため、将来性に不安を抱く人もいるかもしれません。臨床検査技師の今後の需要や、病院以外で資格を生かせる場などを紹介します。

臨床検査技師が将来性に不安を抱く理由は?

臨床検査技師

(出典) pixta.jp

臨床検査技師は、医療機関において医師または歯科医師の指示の下に、「検体検査」や「生体検査」などの臨床検査を担う仕事です。

臨床検査は正しい治療のために不可欠なものですが、臨床検査技師の仕事には将来性がないといわれることも少なくありません。主な理由を3つ挙げて解説します。

参考:臨床検査技師 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))

検査の自動化の広がり

医療現場においてもDXが推進され、これまで人の手で行われていたさまざまな仕事が、オートメーションに移行されつつあります。臨床検査技師の仕事も、そのような自動化が進んでいる分野の1つです。

例えば、これまでは臨床検査技師の手作業によって行われていた「生化学検査」「免疫検査」などは、医療機器の発達に伴い、ほぼすべての工程が機械化されています。

検査の依頼や結果の報告も、かつては紙ベースでやりとりしていましたが、カルテが電子化された近年では、システム上で情報を共有できるようになりました。さらに、臨床検査技師のみが担えていた測定結果の認証も、大半はAIに代替されています。

このように、検査工程のオートメーション化による効率化が、臨床検査技師の削減につながるのではないかというのが、将来性に不安を持たれる理由の1つです。

資格保有者増による需給バランスの崩壊

臨床検査技師は、比較的合格率が高い国家資格です。厚生労働省の「第69回臨床検査技師国家試験の合格発表について」によると、2023年2月に実施された試験の合格率は77.6%でした。

資格を取得する人が増える一方で、各医療施設の臨床検査技師の人員は、一定の人数が確保されると新たな採用は行わないのが一般的な傾向です。

オートメーション化によって業務が効率化されていることもあり、求職者と求人数の需給バランスが崩壊する可能性もあります。合格率が高いとはいえ、努力して資格を取得しても、就職先がないのではないかという不安を持つ人もいるでしょう。

参考:第69回臨床検査技師国家試験の合格発表について|厚生労働省

医療水準のレベルアップ

技術の進展に伴う医療水準のレベルアップも、臨床検査技師の将来性に影響を与えるといえるでしょう。

品質の高い医療を提供するためには、検査の測定結果の認証にも熟練した技術が求められます。どの検査技師が担当しても同一の結果が得られるような、標準化も必要です。

しかし現実には、経験の浅い臨床検査技師とベテランでは、判断基準などに違いが現れる事態は避けられません。

人の手で検査することによるヒューマンエラーを防ぐためにも、今後さらにAI化・オートメーション化が進むのではないかという懸念が持たれています。

臨床検査技師に将来性がある理由

検査をする白衣の人物

(出典) pixta.jp

臨床検査技師の将来性に不安を抱く人がいる一方で、今後も需要はなくならないという意見もあります。臨床検査技師の将来性が有望である理由を、3つ見ていきましょう。

予防医療や不妊治療の普及

近年の健康志向の高まりから、病気の治療だけでなく、予防医療も注目されています。生活習慣病やがんなどの予防・早期発見のために、多くの人が健康診断を受けるようになり、健常者に対する検査の比重が高くなっているのが現状です。

健康診断を専門に行う検診センターも普及しており、検体検査・生体検査などを実施する施設も増えています。検査の結果に基づいて診断を下すのは医師にしかできない行為ですが、検査データから疾患・病態を認証するのは臨床検査技師の役割です。

また、かつてと比べると不妊治療を受ける人も増えているため、体外受精の過程を担う胚培養士として活躍する道もあるでしょう。

業務範囲の拡大

医療現場では多くの新規検査が導入されているため、専門的な知識を持つ臨床検査技師の存在は不可欠です。DXによってマニュアル作業がオートメーションに移行する一方で、機械ではできない部分を担う臨床検査技師の専門性は高まっていくでしょう。

また、法改正によってタスクシフト・シェアが推進され、臨床検査技師の業務範囲が拡大しました。これまで医師が行っていた検体採取・生理学的検査のほか、静脈路を確保しての薬剤投与・抜針・止血などが、業務内容として追加されています。

これらの医療行為は、医師・歯科医師の指示があった場合に限られるとはいえ、臨床検査技師でも担える検査業務が増えたことは、今後の需要の増加に影響する可能性はあるでしょう。

参考:法改正により追加される業務について | タスク・シフト/シェアに関する厚生労働大臣指定講習会 | 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

動物医療分野への広がり

動物医療の分野で活躍する臨床検査技師も、増えつつあります。ペットを飼う人が増えるにつれ、病気治療はもちろん、健康管理などのために臨床検査を実施している大手動物病院も少なくありません。

動物医療での臨床検査はまだ発展途上とはいえ、今後需要が増していく可能性は十分にある分野といえるでしょう。

動物医療の分野では、検体の臨床検査だけでなく、獣医師からの問い合わせへの対応や新しい検査項目の開発など、検査全体のマネジメントなどでも今後の活躍が期待されます。

臨床検査技師の将来性を考えて取るべき対策

セミナーを受ける医療従事者

(出典) pixta.jp

臨床検査技師に将来性はあるものの、DX・IT化は今後もますます進んでいくと考えられます。そのような流れの中で、臨床検査技師として仕事を続けるにはどうすればよいのでしょうか?検討するべき対策について解説します。

高度な資格を取って専門性を高める

より高度な資格を取得して、専門性を高めておくのがおすすめです。臨床検査技師のスキルアップに役立つ資格として、一級臨床検査士・超音波検査士・細胞検査士などが挙げられます。

  • 一級臨床検査士:「公益社団法人 日本臨床検査同学院」の、臨床検査士資格認定試験の最上位試験。臨床検査技師の資格取得後5年以上の実務経験または教育歴と、二級臨床検査士の資格取得後3年以上の実務経験または教育歴があり、検査室の指導的な立場に適切な人物として、所属長から証明されていることが必要
  • 超音波検査士:臨床検査技師の仕事に含まれるが、資格を取得することで、技術力の高さをアピールできる。臨床検査技師の資格を保有しており、「公益社団法人 日本超音波医学会」の正会員・シニア会員・準会員として3年以上属している、または「一般社団法人 日本超音波検査学会」の正会員であることが必要
  • 細胞検査士:臨床検査技師の上位資格。臨床検査技師または衛生検査技師として、細胞診検査の実務に1年以上従事していることが必要

参考:一級臨床検査士試験 | 日本臨床検査同学院

参考:超音波検査士制度委員会|公益社団法人日本超音波医学会

参考:細胞検査士になるには | 日本臨床細胞学会

その他の国家資格を取得する

臨床検査技師に加えて、その他の国家資格を取得し、活躍の場を広げるのもよいでしょう。医療系の国家資格は医師・看護師が有名ですが、医療機器を扱う機会の多い臨床検査技師におすすめなのは「臨床工学技士」の資格です。

臨床工学技士は1987年に制定された比較的新しい資格で、医療機器のスペシャリストとして、機器の安全確保・有効性維持を担っています。臨床工学技士の資格を取得するには、養成学校で必要科目を修得し、国家試験に合格することが必須です。

臨床工学技士の資格を取得していると、医療機関だけでなく、医療機器メーカーなどへの転職でも有利になる可能性があるでしょう。

参考:公益社団法人 日本臨床工学技士会 | 公益社団法人 日本臨床工学技士会 | Japan Association for Clinical Engineers

臨床検査技師として働くやりがいは?

検体をチェックする男女

(出典) pixta.jp

臨床検査技師は、病気の治療・予防などに大きく貢献する存在です。臨床検査技師として働くやりがいを2つ紹介します。

チーム医療の一員としての役割を果たせる

現在の医療現場では1人の患者に対して、各分野のプロフェッショナルが連携して治療にあたる「チーム医療」が一般的です。臨床検査技師もチームの一員として、検体検査・生体検査の結果を提供する重要な役割を果たしながら、チーム医療に貢献しています。

医療チームにはさまざまな種類がありますが、リハビリテーション・救急医療・呼吸ケアサポートなど、臨床検査技師が携わる可能性があるチームは多岐にわたるといえるでしょう。

医師・看護師のような入れ替わりや異動が多い職種とは異なり、臨床検査技師は同じ施設で長く働くケースがほとんどです。そのため、蓄積されたノウハウを生かして、病棟全体の医療を高いレベルに保つ役割も果たしています。

病気の早期発見に貢献できる

患者の病気の早期発見に貢献できるのも、臨床検査技師のやりがいといえるでしょう。医師が適切に治療できるのは、臨床検査技師の正確な検査データのおかげといっても過言ではありません。

病気の疑いを早い段階で発見し、治療によって完治した際には、間接的にでも人の命を救っているという実感を持てるでしょう。

また、臨床検査技師というと検査機器に向かって仕事をするイメージがあるかもしれませんが、実際には患者と直接コミュニケーションを取る場面も多いものです。患者から感謝の言葉をもらう機会もあり、治療に貢献しているというやりがいを得られます。

臨床検査技師が活躍する職場は?

検診のイメージ

(出典) pixta.jp

臨床検査技師が働く場所は、病院だけではありません。病院以外にどのような場所で活躍しているのか、代表的な職場を3つ紹介します。

健診センター

健診センターとは、一般的な健康診断や人間ドックなどを担当する施設を指します。健診センターにおける臨床検査技師の主な仕事は、採血などの検体検査や、心電図・エコーなどの生理機能検査です。

特に超音波検査の重要性が高いため、エコー検査が得意な人に向いています。臨床検査技師に加えて、超音波検査士の資格があると有効でしょう。乳腺エコーなどの検査もあるので、女性の臨床検査技師のニーズが高いのも特徴です。

健診センターの仕事は、患者とコミュニケーションを取れる人や、ワークライフバランスを考えて働きたい人などに適しています。

臨床検査センター

臨床検査センターとは、医療機関などから送られてくる検体を検査する施設を指します。病院では対応できない、高度で特殊な検査を専門に実施しているのが特徴です。

オートメーションで進められている作業もありますが、人の手が必要な部分は臨床検査技師が担当します。遺伝子検査・細胞診検査なども行うため、より高度な検査技術を身に付けていることが必要です。

臨床検査センターの仕事は、専門性を高めてスキルアップしたい人・集中して仕事をするのが得意な人・黙々と作業するのが好きな人などに向いています。

医療機器メーカー

医療機器メーカーで働く臨床検査技師は、「アプリケーションスペシャリスト」と呼ばれます。営業担当者に同行して、自社が取り扱う医療機器について顧客に説明したり、機械のデモンストレーションを担当したりするのが主な仕事です。

機器を導入した顧客への操作に関する説明や、定期的なサポートなどもアプリケーションスペシャリストが担当します。経験や実績を重ね、医療機器の開発に携わる人もいるでしょう。

医療機器メーカーで働くには、人と話すのが得意・体力に自信がある・フットワークが軽い・機械に詳しいなどの、スキル・適性があると役立ちます。

臨床検査技師は将来的にも需要がある資格

検体チェック

(出典) pixta.jp

DX・IT化により、臨床検査技師がこれまで人力で行っていたさまざまな作業が、オートメーションに移行されています。この状況を受け、臨床検査技師には将来性がないと判断されるケースも少なくありません。

しかし現実には、専門的な技術を持った臨床検査技師でなければできない業務も数多くあります。病院以外にも活動の場は広がっており、これからも需要がある資格といってよいでしょう。

臨床検査技師の資格を生かせる職場探しには、豊富な求人数を誇る「スタンバイ」を利用するのがおすすめです。こだわり条件などでも検索できるので、自分に合った職場探しに役立つでしょう。

スタンバイ|国内最大級の仕事・求人探しサイトなら

【監修者】キャリアコンサルタント・人材育成コンサルタント。株式会社キャリ・ソフィア代表取締役一般社団法人ダイバーシティ人材育成協会代表理事大手総合人材サービス会社、JAL系研修会社を経て2011年に株式会社キャリ・ソフィアを設立。人材育成事業を通して5万人以上のキャリア形成に携わってきた。Career Elements CardⓇなどのキャリア教材考案者。大阪府立大学大学院人間科学修士(博士後期課程単位取得退学)。国家資格キャリアコンサルタント。著書「自分から動く部下が育つ8つのパワーフレーズ」(同文舘出版)。https://www.career-sophia.jp/