年間休日120日の会社に転職できれば、休みに関してはストレスがたまりにくいでしょう。ただし、注意点もあるため、メリットと併せて理解しておくことが大切です。年間休日120日のイメージや特徴、取得しやすい業界を紹介します。
年間休日120日のイメージ
年間休日120日の会社の場合、休みのイメージはどのようになるのでしょうか?まずは、年間休日120日のイメージや、平均との比較を見ていきましょう。
ほぼカレンダー通りに休める
年間休日120日は、ほぼカレンダー通りに休めるイメージです。週休2日+祝日休みの会社を探す場合は、年間休日120日を基準に求人を比較するとよいでしょう。
例えば、「土日+土日と重ならない祝日+振替休日」の2023年の合計は118日です。年間休日120日の会社なら、2023年はカレンダー通りの休み+2日が休日になります。
なお、2023年の祝日は年間16日です。振替休日は1月2日のみとなっています。また、2024年の祝日も同じく年間16日、振替休日は2月12日・5月6日・8月12日・9月23日・11月4日の5日です。
年間休日120日は平均より多い
厚生労働省が公表する「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」によると、2022年の平均年間休日数は以下の通りです。
- 労働者1人平均:115.6日
- 1企業平均:110.7日
上記のいずれと比較しても、年間休日120日は平均より多いことが分かります。
また、年間休日の総数を階級別に見ると、年間休日120~129日が最も多くなっています。従って、年間休日120日の会社は比較的多いと判断できるでしょう。
企業規模が大きくなるほど、休みが増える傾向にあることもポイントです。休みが多い会社に転職したいのなら、求人を探す際に企業規模もチェックしてみるとよいでしょう。
120日以外の年間休日のイメージ
求人でよく見かける年間休日数は、120日以外にもいくつかの種類があります。それぞれのイメージをつかんでおけば、どのくらいの休みを取れる会社なのか判断しやすくなるでしょう。
年間休日125日
年間休日125日は、土日+祝日+年末年始休暇+夏季休暇のイメージです。年間休日120日に比べ、よりゆとりのある働き方ができます。
年間休日125日は、公務員の年間休日とほぼ同じです。公務員は土日・祝日に加え、年末年始休暇と夏季休暇を取得できます。
公務員の年末年始休暇は12月29日~翌1月3日です。また、国家公務員は7~9月の間に3日間、地方公務員は5日間の夏季休暇を取得できます。
出典:一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律 第14条 | e-Gov法令検索
出典:職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例 第15条の3
年間休日110日
2023年の土日の合計は105日です。すなわち、年間休日110日は、土日+5日程度が休みになるイメージです。
年間休日110日の休み方としては、いくつかのパターンが考えられます。代表的なパターンは次の通りです。
- 毎週土日休み(祝日は出勤)+夏季休暇・年末年始休暇
- 隔週土日休み+祝日+夏季休暇・年末年始休暇
年間休日110日の休み方のパターンは、会社により異なります。転職先を比較する際は、ライフスタイルに合わせて休めるかどうかを確認しましょう。
年間休日105日
年間休日105日は、労働基準法にのっとった休日の最低日数です。労働基準法では、労働時間の上限が「1日8時間・週40時間」と定められているため、年間の労働日数の上限は次のように計算できます。
- 40時間×52週(年間の週の数)=2,080時間
- 2,080時間÷8時間=260日
法律上は年間260日以上働けないため、「365日-260日=105日」の休日が最低限確保されることになるのです。年間休日105日の休み方には、以下のようなパターンがあります。
- 週休2日(祝日は出勤、夏季休暇・年末年始休暇なし)
- 隔週の週休2日(祝日は休み、夏季休暇・年末年始休暇なし)
有給休暇を利用しなければ、3日以上の連休を取れない点に注意が必要です。
そもそも年間休日とは?
年間休日とは、どのようなことを意味する言葉なのでしょうか?有給休暇との関係と併せて解説します。
会社が規定する1年間の休日数の合計
年間休日とは、会社が定めた1年間の合計休日数です。法定休日と法定外休日の合計となります。
- 法定休日:労働基準法で定められた休日
- 法定外休日:企業が独自に決めた休日
労働基準法第35条にのっとり、会社は従業員に対し、「毎週少なくとも1日、または4週を通じて4日以上の休日」を与えなければなりません。しかし、このルールの最低ラインを満たすだけでは、年間休日105日に届かないのです。
そこで会社は法定外休日を定め、年間休日が105日以上になるようにしています。法定外休日の日数は会社により異なるため、年間休日も会社ごとに差が生まれるのです。
有給休暇は年間休日に含まれない
年間休日は、従業員全員が一律に休みとなる日です。有給休暇のタイミングは従業員により異なるため、有給休暇は年間休日に含まれません。慶弔休暇・育児休暇も同様です。
なお、企業によっては、慶弔休暇・育児休暇を有給休暇扱いとしているケースがあります。これらの休暇は、企業が独自に設ける休暇であるためです。雇用契約書や就業規則を確認すれば、有給休暇扱いになるかどうかが分かります。
年間休日120日のメリット
年間休日120日は、公務員の休日数には及ばないものの、年間休日数の平均よりは多くなっています。休みが増えるとどのようなメリットがあるのか、見ていきましょう。
プライベートを充実させられる
年間休日120日の会社なら、週2日ペースで休日を確保できます。家族と過ごす時間・趣味を楽しむ時間が増えるため、プライベートを充実させられることがメリットです。
ワーク・ライフ・バランスを実現できるようになると、毎日の生活にメリハリがつくため、仕事に対するモチベーションも上がりやすくなるでしょう。
夏季休暇・年末年始休暇がある会社の場合は、有給休暇と組み合わせれば長めの連休も取れます。お盆・正月はゆっくりしたいという人にもおすすめです。
仕事のストレスをためにくい
どのような会社で働いていても、仕事によるストレスは少なからずたまっていくものです。休みが少ない会社で働いていると、仕事のストレスを解消しにくくなります。
一方、休みが多い年間休日120日の会社なら、仕事でたまった精神的・肉体的なストレスを軽減しやすいでしょう。休日にしっかり休めば、休み明けもリフレッシュした状態で働けます。
ただし、休みの日に家でダラダラと過ごしていると、リフレッシュ効果は下がりやすくなります。休日も計画を立てて行動すれば、休養の効果がよりアップするでしょう。
年間休日120日の注意点
年間休日120日は休みが多い一方で、いくつか気を付けるべきポイントがあります。転職後に後悔しないよう、年間休日120日の注意点も押さえておきましょう。
残業が多くなる恐れがある
年間休日120日の会社は、残業が多くなるリスクがあります。休みが多い分、残業でカバーしてもらおうとする会社が存在するのです。
残業が増えて長時間労働になると、週2日ペースの休みでも十分にリフレッシュできなくなる恐れがあります。仕事でストレスをためないことを重視している人は、注意が必要です。
年間休日120日の会社が気になっている場合は、残業についてもしっかりと調べるようにしましょう。求人情報だけで残業に関する具体的なことが分からなければ、面接の際に質問するのも1つの方法です。
土日・祝日に休めるとは限らない
年間休日120日は、あくまでも週2日ペースの休みを確保できるイメージです。休日数がほぼカレンダー通りという意味であり、必ずしも土日・祝日に休めるとは限りません。
求人情報を見る際は年間休日と併せて、以下の記載にも気を付ける必要があります。
- 週休2日制:1カ月の間に2日休みの週が最低1度ある
- 完全週休2日制:毎週2日休みがある
上記のいずれも、土日休みとは限らない点に注意しましょう。特に勘違いしやすい週休2日制の場合、企業によっては休みがかなり少なくなる恐れもあります。
求人情報に「完全週休2日制・土日休み」の記載があれば、毎週土日に休むことが可能です。
年間休日120日を取得しやすい業界
休みが多い会社で働きたい場合、どのような業界を中心に求人を探せばよいのでしょうか?年間休日120日の会社が多い、代表的な業界を紹介します。
メーカー
年間休日120日を取得しやすい業界としては、メーカーが挙げられます。大手メーカーの工場は、お盆・年末年始は稼働しないため、休みが増えやすいのです。
会社によっては、年間の休日数が130日を超えるケースもあります。年間休日130日は、土日・祝日が休みになることに加え、夏季休暇・年末年始休暇をより長めに取れるイメージです。
また、親会社からの下請けで稼働している工場の場合は、土日を休みにしているケースが多くなります。一方、24時間稼働している工場は平日が休みになることもあるため、土日に休みたい場合は事前の確認が必要です。
インフラ業界
インフラ業界とは、社会の基盤となるサービス・仕組みを提供する業界のことです。インフラ業界の中でも、電気・ガス・水道などに関する仕事をしている会社なら、年間休日120日を取得しやすいでしょう。
これらの会社は休みが多い上に、福利厚生も充実している傾向にあります。休日数に加えて、待遇面も重視して転職したい場合は、電気・ガス・水道の仕事を探すのがおすすめです。
ただし、インフラ業界の仕事は、メンテナンス・補修で休日出勤になることもあります。休むタイミングをずらしたくないなら、休日出勤の可能性がない会社を見つけましょう。
金融・保険業界
銀行や保険会社などが属する金融・保険業界も、カレンダー通りの休みになることが多い業界です。職種によっては残業が多くなる可能性はあるものの、年間休日120日は確保しやすくなります。
また、金融・保険業界に関しては、不正防止のための連休を取らなければならないことも特徴です。一般的には、5日間以上の連休を年に1度取得する必要があります。
例えば、従業員が顧客のお金を勝手に使い込んでいる場合でも、その従業員が顧客からの電話に毎回対応すればごまかし続けられるでしょう。しかし、連休を取らせて他の従業員が電話に対応すれば、不正が発覚する可能性があるのです。
年間休日120日を取得しにくい業界
業界によっては、どうしても休みを増やせないケースもあります。年間休日120日を取得しにくい業界も、チェックしておきましょう。
宿泊・飲食業
宿泊・飲食業は、土日・祝日や大型連休に休みにくい業界だといえます。宿泊施設・飲食店は、平日より土日・祝日や大型連休の方が忙しくなるためです。
カレンダー通りに休めることが少ないだけでなく、そもそも年間の休日数も少なくなる傾向があります。昨今の慢性的な人手不足を考えると、この状況はまだまだ続くでしょう。
繁忙期は休みがより取りにくくなるため、希望通りに休めるとも限りません。休日数や休むタイミングを重視して働きたい人は、宿泊・飲食業は不向きです。
運輸業
年間休日120日を取得しにくい業界としては、運輸業も挙げられます。運輸業の仕事がストップすると社会全体に影響を与えかねず、毎日稼働しなければならないため、会社全体を休みにしにくいのです。
運輸業は人手が不足しており、残業も多くなる傾向にあります。厚生労働省の「毎月勤労統計調査 令和5年9月分結果確報」によると、所定外労働時間が最も長いのは運輸業・郵便業です。
運輸業・郵便業の所定外給与も、電気・ガス業に次いで高くなっています。しかし、「特別に支払われた給与」が少ないため、現金給与総額はそれほど高くなってはいません。収入や休日以外の要素に、メリットを見つけるべき業界だといえるでしょう。
出典:毎月勤労統計調査 令和5年9月分結果確報 P6、P7 | 厚生労働省
年間休日120日の仕事で無理のない生活を
年間休日120日は、ほぼカレンダー通りに休めるイメージです。土日・祝日に休めるとは限らないものの、週2日ペースの休みは確保できます。
ワーク・ライフ・バランスを取りやすかったり、仕事のストレスをためにくかったりなどが、年間休日120日のメリットです。ただし、会社によっては残業が多くなる恐れがあります。
年間休日120日の会社が多い主な業界は、メーカーやインフラ業界、金融・保険業界です。無理のない生活を送りたいのなら、休みが多い業界に転職しましょう。
年間休日120日の求人を探す場合は、国内最大級の求人サイト「スタンバイ」を活用するのがおすすめです。全国各地の豊富な求人を紹介しているため、休みが多い仕事も見つけやすいでしょう。