準公務員とは?公務員との違いや該当する職種を解説

「準公務員」は、公務員と似た仕事を担う立場として知られています。具体的に、どのような立場の人を準公務員と呼ぶのでしょうか?定義や該当する職種・団体について確認しましょう。準公務員として働くメリットや、基本的なルールも解説します。

準公務員の定義とは

ビジネスマン

(出典) pixta.jp

求人や職業紹介の中には、「準公務員」と呼ばれる立場があります。準公務員とは、どのような職業を指すのでしょうか?基本的な定義を解説します。

公務員に準じる職業・立場に就く人を指す

準公務員は、法令により「公務に従事する職員とみなす」と明記されている立場に就く人や、公務員に準じる業務を担う人を指します。公務員ではないものの、公共性が高い業務に就く人を指すといえるでしょう。

「みなし公務員」とも呼ばれ、例として日本銀行の役職員や、オリンピックの大会組織委員会に属する役員・職員が挙げられます。

法令では、公務員に準じる立場として、刑法上公務員と同等の罰則を適用するケースが一般的です。

出典:●平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法案 第28条|衆議院

出典:日本銀行の役職員は公務員ですか? : 日本銀行 Bank of Japan

準公務員に該当する職種・団体

女性社員

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準公務員に該当する職種・団体は、複数あります。就職・転職を検討している場合は、該当する職種・団体を把握し、求人を探すと効率的です。ケース別に、具体例をそれぞれ確認しましょう。

法令により公務に従事する職員とみなされる

公共性の高い業務を担当する組織には、それぞれ独立した法令が定められています。該当する組織として、日本銀行・国立大学・土地開発公社・国立病院・法テラスなどが挙げられるでしょう。

例えば、日本銀行の役員・職員は、日本銀行法第30条により「公務に従事する職員」とみなされます。国立大学の場合は国立大学法人法第19条、土地開発公社の場合は地方道路公社法第20条で定められています。

法令によって、全職員を公務に従事する職員とみなすケースもあれば、一部の役員のみを対象としているケースもあるようです。

出典:日本銀行法 第30条 | e-Gov法令検索

出典:国立大学法人法 第19条 | e-Gov法令検索

出典:地方道路公社法 第20条 | e-Gov法令検索

公務員と同等の規定が設けられている

国が定めた法令に「公務に従事する職員とみなす」と明記されていない場合でも、準公務員と判断される職種・団体もあります。主に、組織のルールによって公務員と同等の規定が設けられているケースが一般的です。

主な団体として、日本たばこ産業(JT)・日本電信電話(NTT)・日本中央競馬会(JRA)などが挙げられます。JRの一部企業も、準公務員に該当する組織です。

JTグループでは、「行動規範」や「贈収賄禁止基本方針」を定めています。NTTグループでは、贈賄防止の取り組みとして贈賄防止ハンドブックを展開しているほか、コンプライアンス順守の徹底に努めているようです。

JRAでは、日本中央競馬会法第37条により、収賄に関して公務員とは異なる独自の罰則が定められています。

出典:コンプライアンスリスクマネジメント | JTウェブサイト

出典:コンプライアンスの徹底 | サステナビリティ | 企業情報 | NTT東日本

出典:日本中央競馬会法 第37条 | e-Gov法令検索

準公務員と公務員の主な違い

男女のビジネスカジュアル

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準公務員と公務員は、どちらも公共性の高い業務に就いています。待遇や試験の形態、雇用保険にはどのような違いがあるのでしょうか?主な特徴を紹介します。

待遇や福利厚生は公務員と差がない

準公務員が所属する組織は、安定した業務を担うケースが多く、待遇や福利厚生は公務員と似た形態です。給与や退職金制度は公務員と同様に安定しており、待遇も公務員と大きな差はありません。

各種手当や有給休暇、社内設備なども充実し、福利厚生面も優れています。公務員であっても準公務員であっても、従業員にとって働きやすい環境といえるでしょう。

ただし、準公務員の待遇・福利厚生が、一般の民間企業と比べて優遇されているというわけではありません。安定している点では魅力が大きいものの、立場や役職によって待遇は変わります。

試験形態や雇用保険の取り扱いに違いがある

公務員は、公務員試験に合格し、採用された後に各部署へ配属されるシステムです。準公務員は公務員ではないため、公務員試験はありません。各団体の採用試験を受け、採用されると勤務できます。

そのほか、大きな違いとして、雇用保険の有無が挙げられます。公務員の多くは、雇用保険の対象外です。準公務員は民間企業が多く、雇用保険の対象となっています。

雇用保険には、失業の際に失業手当が受給できるといったメリットがあり、退職後に給付金を受給しながら仕事探しをしたいと考える人は、準公務員が適しているでしょう。

出典:Q 国家公務員を退職した場合、失業給付を受けることができますか。 | 年金 | KKR-国家公務員共済組合連合会

準公務員の基本ルール

お断り

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準公務員には、いくつかのルールが存在します。細かい内容はそれぞれの内部規定によって変わりますが、共通する基本ルールを確認しましょう。

接待や贈答の禁止

法令により、刑法上公務に従事する職員とみなされる立場にある準公務員は、接待・贈答が禁止されています。公務員も接待・贈答が禁止されており、同等の措置です。

公共性の高い業務に就いているからこそ、金銭・物品の受け渡しによって誰かを優先することがあってはなりません。食事・サービスのように、形に残らないものも禁止されています。

民間の一般企業であれば、接待は禁止されていません。準公務員になると、取引先からのお歳暮・お中元といった贈答品や食事の誘いにも気を配り、断る必要が出てくるでしょう。

出典:刑法 第7条、第197条、第198条|e-Gov法令検索

守秘義務の順守

準公務員とみなされる組織には、それぞれ独自の法令や内部規定が設けられています。公務員にも守秘義務があり、国家公務員法・地方公務員法により定められており、準公務員と内容はほぼ変わりません。

例えば、国立大学法人法では以下のように定められています。

第十八条 国立大学法人の役員及び職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

出典:国立大学法人法 第18条 | e-Gov法令検索

民間企業であっても守秘義務を負う職業はありますが、準公務員は公共性の高い業務を担う役割もあり、職務上の秘密を漏えいしてはならないと定められています。

刑法ではなく、それぞれの組織に関連する法令や内部規定で定められているため、罰則は組織によって変わるでしょう。

副業を禁止しているケースも

公務員は、職務に専念するため原則副業を禁止されています。公務員と同様、法令や内部規定により副業禁止となっている団体もあるようです。

公務員とは異なり、準公務員の副業は解禁されてきています。例えば、日本郵政では戦略的副業が推進されており、企業が認める範囲内であれば副業が可能です。副業が可能かどうかは、勤務予定の団体の規定を確認しましょう。

なお、公務員であっても、一部の副業は認められています。届け出をして認められた場合は、副業が可能です。

出典:日本郵政グループ本社における「戦略的副業」の試行開始と副業人材の公募 ~キャリア形成のために、日本郵政グループで副業をしてみませんか?~‐日本郵政

出典:国家公務員の兼業について(概要)|内閣官房内閣人事局

準公務員として働くメリット

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就職・転職の候補として準公務員を考えた場合、どのようなメリットがあるのでしょうか?主な特徴と併せて紹介します。

安定している組織が多い

準公務員の勤務先は、省庁が管轄する特殊法人や元国営企業が多く、安定しています。待遇や給与水準も公務員に近いため、働きやすい環境が整っているところもメリットです。

国・自治体に関連する団体が多いこともあり、男女平等やコンプライアンス意識が高く、福利厚生も充実しているでしょう。

安定した基盤を持つ組織は、倒産・解散リスクが低い点も魅力です。特に省庁が管轄する公共性の高い組織は、多くの人が必要とする業務を担当しており、長い期間安定して働けることが想定できます。

働きながら社会貢献ができる

公共性の高い仕事は、「人の役に立っている」「誰かに必要とされている」というやりがいを感じられます。そのため、準公務員は働きながら社会貢献をしたい人に適しています。

準公務員は、社会貢献や福祉に関連する団体職員も多く、やりがいを求める人に向いているでしょう。

仕事のやりがいや社会貢献を重視する場合、希望する団体・組織が何を担当しているのか、仕事内容はどのようなものかを把握した上で、仕事を探すのがおすすめです。

安定感のある準公務員の仕事を見つけよう

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準公務員は、公務員に準じる立場で働く人を指します。公務員とは違うものの、待遇が安定しており働きやすい組織が多いでしょう。

できるだけ安定した環境で働きたいと考える人は、準公務員に向いています。就職・転職を検討しているなら、求人サイトで募集を探してみましょう。

「スタンバイ」でも、準公務員の求人探しが可能です。気になる団体・組織があれば、定期的にチェックしてみましょう。

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