ホワイトカラーとは?言葉の意味や職種、仕事の特徴について解説

ホワイトカラーという言葉を聞いたことはあっても、どのような職種を指すのか詳しく知らない人も多いのではないでしょうか。ホワイトカラーの言葉の意味や仕事の特徴について解説します。主な職種も紹介するので、参考にしてみてください。

ホワイトカラーの意味や職種は?

デスクワークをする女性

(出典) pixta.jp

まず、ホワイトカラーの意味について知っておきましょう。由来や、代表的な職種を紹介します。

事務系の職種に就く労働者の総称

ホワイトカラー(White collar)とは、白い襟=ワイシャツという意味です。シャツにネクタイという姿で働く事務系の職種の労働者を指す言葉として、1800年代に欧米で使われ始めたといわれています。

オフィスで働く仕事が多く、汗をかかないことからシャツの襟が汚れず、白いままでいることが由来です。日本では、1950年以降の第3次産業の発展が、ホワイトカラーの仕事が増えた背景と見られています。

1950年以降、それまで中心となっていた農業や漁業などの第1次産業から、製造業や建設業といった第2次産業に注目が集まりました。さらにその後、どちらにも該当しない第3次産業が盛んになり、ホワイトカラーの仕事が増加したと考えられます。

ホワイトカラーに該当する職種

ホワイトカラーは、主にオフィス内で働く事務職・専門職・管理職などを指します。具体的な職種は以下の通りです。

  • 事務職:データ入力や書類作成など事務作業全般を行う職種。人事・総務・広報・秘書など。
  • 専門職:企業や教育機関などで専門的な知識を用いて行う職種。研究職・医師・弁護士・司法書士・公認会計士・税理士など。
  • 管理職:組織のマネジメントや部下の育成などを行う職種。課長・部長・支店長など。
  • IT技術職:ソフトウエアやシステムの開発などを行う職種。プログラマー・システムエンジニアなど。
  • 販売職:商品の仕入れや販売をする職種。百貨店店員・小売店店主など。

ホワイトカラーの特徴

デスクワークをする女性

(出典) pixta.jp

ホワイトカラーの職種にはどのような特徴があるのでしょうか。主な特徴を3つ挙げて紹介します。

頭脳労働・感情労働が多い

ホワイトカラーは、体を使うより、専門知識やスキルを用いる頭脳労働中心の仕事です。体への負担は少ないため、体力に自信がない人でも働きやすいのが特徴ですが、パソコンの操作や事務的な処理能力は必要となります。

専門性の高い職種の場合は、知識をアップデートすることも必要です。一方、販売職のように対人業務がメインとなる職種に関しては、感情労働の割合が高くなる傾向にあります。

感情労働とは、感情のコントロールが重要な働き方のことです。販売職では、顧客の心理や要望を読み取るなど、他者へ寄り添うことが求められます。コールセンターのように直接人と関わらない職種も、感情労働に含まれる仕事です。

収入が高めの傾向にある

頭脳労働の多いホワイトカラーの収入は、肉体労働がメインのブルーカラーと呼ばれる職種より高めの傾向にあるといわれています。厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査の概況」によると、ホワイトカラーとブルーカラーの代表的な産業の平均賃金(2022年6月分の平均賃金)は、以下の通りです。

<ホワイトカラー>

  • 金融業・保険業:37万4,000円
  • 学術研究、専門・技術サービス業:38万5,500円
  • 教育、学習支援業:37万7,700円

<ブルーカラー>

  • 建設業:33万5,400円
  • 製造業:30万1,500円

ブルーカラーとされる業種にもホワイトカラーの職種は存在します。しかし一概にはいえないものの、ブルーカラーよりホワイトカラーが多い業種の方が賃金は高いといえるでしょう。

出典:令和4年賃金構造基本統計調査の概況(P10)

危険を伴う作業はほとんどない

屋内での業務が大半になるので、工事現場や工場のように、危険を伴う作業がほとんどないという特徴もあります。近年ではリモートワークを取り入れている企業も増え、通勤する必要がなくなった人も多いでしょう。

パソコンを使った業務などデスクワークが主になるため、一日中座っていることの方が多く運動不足になりがちですが、雨や雪などの悪天候に左右されず勤務できます。

ホワイトカラーを取り巻く問題

仕事に疲れた女性

(出典) pixta.jp

ホワイトカラーのデメリットについても知っておきましょう。3つの問題点について解説します。

過重労働になりやすい

過重労働による健康被害が問題視されています。ホワイトカラーの業務内容自体は、体力を使わないものがほとんどです。しかし、パソコンがあればどこででもできる仕事も多く、長時間労働になってしまうことも少なくありません。

長時間の残業や休日出勤のほか、自宅に持ち帰って仕事をする人もいるようです。このような状態が続くと、過重労働となって心身に大きな負担がかかってしまいます。

疲労が蓄積されることによって、脳・心臓疾患を発症する恐れがあるほか、最悪の場合過労死につながる危険もあるでしょう。

ストレスによるメンタルヘルスへの影響

過重労働による体への負担だけでなく、ストレスによるメンタルヘルスへの影響も、ホワイトカラーが抱える問題の1つです。リモートワークや在宅勤務などの増加から、仕事とプライベートの切り分けが難しくなるケースも少なくありません。

休日でも、ついついメールやチャットが気になってしまう人もいます。オフィスにいる時間が長くなることで、人間関係にストレスを感じる人もいるでしょう。

感情労働が多い職種では、自分の感情を抑制しなければならないため、ストレスを感じやすくなりがちです。また経営に関わる仕事では、目標の達成状況などが気になるあまり、精神的な負担になることも考えられます。

将来的にAIに代替される可能性がある

ホワイトカラーの仕事は、データ入力や分析など、AIが得意とする分野です。そのため、AIの進化に伴って、将来的に仕事がなくなる可能性のある職種も存在します。

特に、単純作業を繰り返す業務や条件によって決まった対応をする仕事は、いずれAIに代替される可能性があるでしょう。AIで自動化できる職種には、一般事務職・コールセンター業務・小売店の販売員などのほか、銀行員・通関士・会計監査などがあります。

ホワイトカラーエグゼンプションとは

腕時計を見る女性

(出典) pixta.jp

ホワイトカラーエグゼンプションとは、ホワイトカラーの仕事を評価する制度のことです。どのような内容なのか、詳しく見ていきましょう。

労働時間ではなく成果で評価する制度

ホワイトカラーエグゼンプションとは、もともと欧米諸国で導入されていた制度です。日本でも、働き方改革の一環として議論され、2019年に同様の特徴を持つ「高度プロフェッショナル制度」が創設されました。

高度プロフェッショナル制度とは、ホワイトカラーの労働者に対し、労働基準法で定められている労働時間・休憩・休日・深夜の割増賃金の規定を適用せず、仕事の成果で評価して賃金を支払う制度です。

ただし、対象となる労働者や業務が決められており、全てのホワイトカラーに適用されるわけではありません。

  • 対象条件:使用者と労働者間の合意を基に、職務の範囲が明確に決められていること。労働者の年収が確実に1,075万円以上見込まれること。
  • 対象業務:金融商品開発・コンサルタント・市場解析・金融商品ディーラー・研究開発。原則としてこれらの業務に常態として従事しており、他の業務には常態として従事していないこと。

どのような時間配分で働くかは労働者の裁量に任されますが、在社時間などが一定の時間を超える場合、事業者にはその労働者に対して医師による面談指導を受けさせる義務があります。

出典:「労働基準法等の一部を改正する法律案」について(P2)

出典:高度プロフェッショナル制度について(P2)

ホワイトカラーエグゼンプションのメリット

ホワイトカラーエグゼンプションの特徴は、規定の就業時間に縛られず、労働者の裁量によってさまざまな働き方ができることです。仕事の成果を出せば早い時間でも帰れるので、仕事とプライベートを両立させやすいなどのメリットがあります。

時差出勤やリモートワークなど、フレキシブルな働き方も可能です。仕事を早く終わらせようとする意識も芽生えやすくなるため、生産性の向上も期待できるでしょう。また、無駄な残業もなくなることで、残業時間が長い人との収入差による不公平感もなくなる可能性があります。

ホワイトカラーエグゼンプションのデメリット

仕事の成果が出ないときは、成果が出るまで際限なく働いてしまう可能性があります。労働基準法で定められた労働時間の規定が適用されないため、時間外労働をしても残業代は支給されません。

実質的には長時間勤務しても労働時間が賃金に反映されないことから、結果的にサービス残業が増えてしまう可能性があるでしょう。

そのため、ホワイトカラーエグゼンプション(高度プロフェッショナル制度)のことを、「定額働かせ放題」や「残業代ゼロ法案」とからかう声もあります。

ホワイトカラー以外にどんなカラーがある?

建設現場

(出典) pixta.jp

ホワイトカラーのほかにも、さまざまな色で表される職種があります。ここでは、ブルー・グレー・グリーンの3つについて紹介します。

ブルーカラー

ブルーカラーは、工場や建設現場などで働く労働者を総称する言葉です。ブルーカラーとは青い襟の意味で、肉体労働をする作業員の作業服の襟が青色だったことが由来といわれています。

ホワイトカラーが頭脳労働・感情労働であるのに対し、ブルーカラーの特徴は肉体労働という点が大きな違いです。建設作業員・土木作業員・自動車整備工・農業従事者などが主な職種ですが、最近では警備員・配達員・介護職・運転手なども含まれることがあります。

グレーカラー

グレーカラーとは、ホワイトカラーとブルーカラーの間に位置する職種を指す言葉です。実際にグレーカラー(グレーの襟)の服を着て仕事をしているというわけではありません。

白いシャツを着ながらも、仕事の内容がオフィスワークだけにとどまらないのが特徴です。具体的には、外回りの仕事もこなす営業職や専門的な技術を持つエンジニアなどがグレーカラーに当たります。

また、工場で働く労働者の中でも、管理職の場合はグレーカラーです。ホワイトカラーとブルーカラー以外の言葉が生まれたのは、2つの色だけでは分類できない職種が増えてきたことが関係しているといわれています。

グリーンカラー

グリーンカラーとは、再生可能エネルギーに関連する企業・リサイクル業・林業など、環境に関わる仕事に従事する人のことです。例えば、グリーンコーディネーター・生物学研究者・環境保全エンジニアなどの職種があります。

近年、環境保全やSDGsへの関心が高まり、サステナブルなビジネスを展開する企業も増えてきました。グリーンカラーには、林業のようにもともとブルーカラーといわれていた職種もあります。そのため、ブルーカラーと区別しにくいのが特徴です。

ホワイトカラーに求められるスキル

握手をするビジネスマン

(出典) pixta.jp

ホワイトカラーの職種に就くにはどのようなスキルが求められるのでしょうか。主なスキルを3つ挙げて解説します。

コミュニケーションスキル

ホワイトカラーの仕事をするには、コミュニケーションスキルが必須です。例えば事務職の場合、電話応対やメール対応などコミュニケーションスキルが必要となる業務が多くあります。

同じ部署内の同僚に仕事を依頼するときは、相手に分かりやすく内容を伝えなければなりません。同じオフィス内で良好な人間関係を築くには、相手の気持ちをくみ取って理解することも必要です。顧客と直接やりとりする販売職の場合は、特にコミュニケーションスキルが求められます。

パソコンスキル

ホワイトカラーにはオフィスワークが多く、パソコンスキルも必須となります。ブラインドタッチでキーボードのタイピングができたり、メールの送受信ができたりなど最低限のスキルが必要です。

社内システムの操作方法などは会社によって異なるため、あらかじめ身に付けておくことはできませんが、オフィス系ソフトは使えるようにしておく方がよいでしょう。Excelでのデータ入力・PowerPointによる資料作成・Word文書作成などはできるようにしておくのがおすすめです。

職種に応じた専門的な知識

職種に応じた専門知識も必要です。場合によっては、医師や弁護士のように資格の取得が必須とされる職種もあります。例えば、医師として働くなら大学の医学部を卒業して医師国家試験に合格し、医師免許を取得しなければなりません。

弁護士になる場合は、法科大学院を卒業し、司法試験に合格した上で司法修習を終えることが必要です。管理職のように特別な資格を必要とされない場合でも、マネジメントスキルなど職種に応じた知識や経験を身に付けていることが求められます。

ホワイトカラーはオフィスワークが中心の仕事

電話をかける女性

(出典) pixta.jp

ホワイトカラーとは、オフィスワーク中心で働く労働者を指す言葉です。事務職や専門職、管理職などの職種があり、頭脳労働で収入が高めなどの特徴があります。

危険を伴う仕事ではないものの、長時間労働による心身への負担などの問題もあるため注意が必要です。ホワイトカラーの仕事への転職を希望するなら、コミュニケーションスキルやパソコンスキルなどを身に付けておきましょう。

転職先探しには、求人数が豊富なスタンバイの活用がおすすめです。ホワイトカラーの求人も検索できるので、自分に合った仕事探しに役立ててみてください。

スタンバイ|国内最大級の仕事・求人探しサイトなら