CFOとはどんな仕事?必要なスキルや仕事内容を詳しく解説

CFOは、CEOやCOOと並び、企業の経営責任を担う重要な役職です。CFOへの転職を目指すなら、仕事内容や求められるスキルを理解しておきましょう。CFOになるために知っておきたい基礎知識を、詳しく解説します。

CFOとは

CFO

(出典) pixta.jp

CFOは「Chief Financial Officer(チーフ・ファイナンシャル・オフィサー)」の略語であり、「最高財務責任者」と訳されます。求められる背景と併せて、まずはCFOの意味を理解しておきましょう。

財務面から企業を支える役職

CFOは、財務戦略を経営に取り込んで企業を支える役職です。財務戦略の立案や執行において責任を負い、経営陣の一員として企業の財務面を統括します。

CFOと財務部長は異なる役職です。財務部長が単に部門の責任者であるのに対し、CFOは経営戦略を把握した上で財務面から全社目線で戦略を練るため、財務部長より職域が広くなります。

財務部長の重要な仕事の1つに資金調達がありますが、CFOの職域は資金調達だけにとどまりません。実体資産への投資やITを駆使した資産回転期間の短縮など、企業活動のオペレーションを統括的に数字で管理するのが、CFOに求められている本質的な職務です。

CFOが求められる背景

CFOが日本企業に求められるようになった背景には、バブル崩壊後に資金調達の難易度が上がったことが挙げられます。

バブル期までの企業の資金調達の方法といえば、金融機関からの融資でした。企業の財務担当者は、金融機関に財務状況・財務計画をきちんと説明できればよく、不動産の価値も高かったことから比較的容易に融資を受けられていたのです。

しかし、バブル崩壊後は金融機関からの融資が困難になったため、資金調達の方法が個人や機関投資家からの調達にシフトしました。資金を回収できるかどうかを重視される融資と異なり、投資では企業の将来性が重視されます。

投資家から出資を受けるためには、財務面以外に自社の将来性・成長性・優位性などを説明する必要があり、財務の専門知識に加え、経営の視点も持ち合わせているCFOのニーズが高まっているのです。

CFOと似た役職

ガラス沿いを歩く人物

(出典) pixta.jp

企業にはCFO以外にも、さまざまな役職が存在します。CFOと似た役職にはどのようなものがあるのか、それぞれの意味と併せて見ていきましょう。

CEO

「Chief Executive Officer(チーフ・エグゼクティブ・オフィサー)」を略したCEOは、「最高経営責任者」と訳されます。企業における事実上のトップとして、経営執行を行う役職です。

CEOは、企業の中長期的な経営戦略を策定するほか、最終的な意思決定権を持ちます。組織の各部署やそれぞれの執行役員を統率することも、CEOが持つ役割です。

CEOはアメリカから導入された役職であり、日本の法律には明確な規定が存在しません。しかし、代表取締役がCEOとなっている企業がほとんどのため、一般的に両者は同じ意味で使われています。

COO

COOは「Chief Operating Officer(チーフ・オペレーティング・オフィサー)」の略語であり、「最高執行責任者」と訳されます。CEOの意思決定に基づいた業務執行の、責任を負う役職です。

COOは企業における実質的なナンバー2であり、CEOが社長の場合はCOOが副社長、CEOが会長ならCOOは社長を務めるケースが多くなっています。

欧米では、CEO・CFO・COOが三位一体で経営を進めるのが一般的です。経営がより複雑化していくと、CTO(最高技術責任者)やCIO(最高情報責任者)の役職を設けることもあります。

代表取締役・取締役・執行役員

代表取締役や取締役は、会社の業務執行を担う法律上の役職です。権限や選任・解任方法が法律で定められており、株主から経営を委任される形で就任します。なお、社長や副社長はあくまでも肩書です。

CFOを導入している企業では、取締役とCFOを兼務しているケースがよく見られます。代表取締役が、CEOとCFOを兼務していることもあります。

また、執行役員とは、取締役が決めた事業方針に基づいて、業務を遂行する役員のことです。CFOは執行役員といえますが、執行役員は業務範囲に制限がない上、CEOのように業務を統括する立場にならないこともあります。

CFOの仕事内容

ビジネスミーティング

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CFOは経営層の一員として、さまざまな業務をこなさなければなりません。CFOの代表的な仕事内容を紹介します。

資金調達

CFOが担う重要な役割の1つに、資金調達が挙げられます。創業期に事業を軌道に乗せるために、また成長期のさらなる発展を図るために、企業では資金調達が必要となるのが一般的です。

資金調達には、主に融資と出資の2種類があり、CFOは適切な調達先を決めなければなりません。より効率良く資金を調達するための準備も、CFOの重要な仕事です。

金融機関から融資を受けるためには、財務諸表の整理や返済計画の作成を行う必要があります。また、出資を受ける際は、投資家の候補リスト作成や投資家との交渉、投資契約書のレビューなどが必要です。

財務戦略の策定・実行

CFOには、財務戦略を策定・実行する役割も求められます。適切な予算を組んで部署ごとに資金を配分したり、コストを削減できる部分を洗い出したりする業務です。

融資・出資による資金調達に成功しても、資金を適切に使えなければ経営は成り立たなくなります。投資と回収のバランスを安定させ、それを仕組み化することが、財務戦略の本質的な目的です。

優秀なCFOがいることで、将来的なコストシミュレーションが実現し、中長期にわたるより現実的な経営・財務戦略を立てやすくなるでしょう。

内部統制や監査

企業が上場の準備段階に入ると、内部統制の構築が重要になります。内部統制とは、企業が健全かつ効率的に事業運営を進めるための仕組みのことです。

また、上場の準備段階では、監査法人や証券会社の選定・渉外のほか、上場後を見据えた市場関係者・投資家との話し合いも行う必要があります。

CFOはこれらの業務に取り組み、企業の価値を下げないようにしなければなりません。内部統制や監査に関する業務を行うCFOは、常勤であることが望ましいとされています。

CFOに求められるスキル

会計

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経営者の視点で企業を財務面から統括するCFOには、さまざまなスキルが求められます。CFOに必要なスキルを理解し、自分に適した役職かどうか判断する際の参考にしましょう。

会計や財務に関するスキル

財務分野の最高責任者として働くCFOには、会計・経理・財務に関する深い知識や経験が必須です。企業の経営状況を正確に把握し、財務を分析した上で知識・経験を経営戦略に生かす必要があります。

また、法令に関する知識を持っていることも重要です。金融商品取引法・銀行法・保険業法など、財務会計の実務知識を裏付けている法令知識が必要となります。

コンプライアンスや、内部統制に対応するための知識もあるとよいでしょう。労務や個人情報などに関する法令に明るければ、広い領域で活躍できるCFOになれます。

コミュニケーションスキル

CFOは、金融機関・投資家・VC・株主といったステークホルダーと関わる機会が多い役職です。自社の財務について、適切な説明を行えるコミュニケーションスキルが求められます。

社内においても、財務計画の説明を行う際に社員が納得感・安心感を得られるよう、高いコミュニケーションスキルが必要です。

CFOには、専門的な内容を分かりやすく伝える能力も求められます。優れたコミュニケーションスキルを備えたCFOは、各所からの協力を得やすくなるでしょう。

マネジメントスキル

企業における最高責任者の1人であるCFOは、自分で手を動かすより、人を動かすことの方が多い立場にあります。そのため、社員に説得力を与えられるマネジメントスキルが必須です。

財務戦略を実行するにあたり、大きなコストカットを強いる場面も出てくるでしょう。そのようなケースでも高いマネジメントスキルを発揮できれば、シビアな要望も通しやすくなります。

また、財務面で企業を統括するCFOは、各部署の責任者もマネジメントしなければなりません。財務戦略に沿って各部署を適切に動かすためには、CFOとしての考え方を責任者に浸透させる必要があります。

CFOの関連資格

会計

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CFOへの転職を有利に進めるためには、関連資格を取得しておくのがおすすめです。資格取得の勉強を通して、スキルアップにもつながるでしょう。

CFO資格認定

CFO資格認定は、CFOとして活躍するための知識・資質が、身に付いていることを証明できる資格です。グレードとジャンルにより、次の4つに分かれています。

  • MBAコース ジェネラルCFO
  • 国際コース グローバルCFO
  • 上級コース プロフェッショナルCFO
  • 基本コース スタンダードCFO

全てのコースで認定試験があるわけではなく、認定要件はコースにより異なります。

出典:CFO資格認定  JACFOの活動 | JACFO 一般社団法人 日本CFO協会  オフィシャルサイト

FASS検定

経理や財務について、一定レベルの知識を持っていることを証明できる資格が、FASS検定です。経済産業省の、「経理・財務サービス・スキルスタンダード」をベースとしています。

合否ではなく、A~Eの5段階で評価を行っていることが特徴です。資産・決算・税務・資金の分野別でも評価が出るため、自分の課題が分かりやすいでしょう。

なお、FASS検定のレベルAを取得すれば、CFO資格認定のスタンダードCFOの認定要件を満たします。

出典:検定の概要:FASS検定|FASS 経理・財務人材育成事業 公式サイト

公認会計士

公認会計士は、監査業務を行える唯一の国家資格です。医師や弁護士と並ぶ三大国家資格の1つであり、難易度も国家資格の中では最高レベルです。

公認会計士の資格を持っていれば、CFOに求められる財務・経理・監査に関する、十分な知識があると判断されやすくなります。

公認会計士の主な業務は、独占業務である監査をはじめ、税務・コンサルティング・M&A・上場支援などです。公認会計士が税理士登録を行えば、税理士としても仕事ができます。

出典:公認会計士・監査審査会/公認会計士試験

CFOへのキャリアパス

重役会議

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どのようなキャリアを歩めば、CFOになれるのでしょうか。CFOへのキャリアパスについて解説します。

経理・財務部門から昇進

自分が所属する組織でCFOを目指すなら、経理・財務部門からの昇進でCFOになれる可能性があります。経理・財務部門の部長から、財務のスペシャリストとして昇進する流れです。

経理・財務部門の社員としてまずは部長を目指し、部長になった後はマネジメントスキルを評価される必要があるでしょう。経理・財務部門の部長になれれば、自社でCFOに昇進できなくても、他社への転職を目指す際に経験が有利に働きます。

また、執行役員を置いている企業では、執行役員から取締役兼CFOになるパターンもあります。経営管理や経営企画に携わっている場合も、部署の責任者を経てCFOになれる可能性があるでしょう。

金融機関や監査法人からの転職

CFOへのキャリアパスとしては、金融機関や監査法人からの転職も挙げられます。金融機関や監査法人で働いていれば、財務・会計の幅広い知識・スキルが評価されやすくなるでしょう。

金融機関なら融資の、監査法人なら上場支援の経験を積めるため、融資や上場支援に強いCFOとして認められるケースもあります。コミュニケーションスキルや、交渉力が鍛えられることもメリットです。

また、コンサルティングファームで働くことも、CFOへの有効なキャリアパスの1つです。経営コンサルティングでは、財務面からも企業をサポートするため、CFOに必要な知識・スキルを習得しやすいでしょう。

公認会計士や税理士からの転職

公認会計士や税理士として活躍しているなら、CFOに転職する際に経理・財務のプロとして迎えられます。高い専門スキルを認められやすくなることが、大きなメリットです。

税務コンサルティングや国際会計に携わった経験があれば、大企業・外資系企業に転職できるチャンスも広がります。

ただし、公認会計士や税理士の資格を持っているだけでは、CFOへの転職は難しいでしょう。実務経験に不安がある場合は、金融機関・監査法人・コンサルティングファームなどで実績を積んだ後に、満を持してCFOへ挑戦するのも1つの方法です。

CFOは企業のお金を統括する役職

重役

(出典) pixta.jp

CFOは、経営層の一員として、財務面から企業を支える役職です。主な仕事内容としては、資金調達や財務戦略の策定・実行、内部統制や監査などがあります。

CFOに求められる代表的なスキルは、会計・財務に関するスキルやコミュニケーションスキルなどです。関連資格やキャリアパスもチェックし、CFOへの転職にチャレンジしてみましょう。

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