ツアーナースになるには?仕事の特徴や適性、収入の目安を解説

看護師の専門知識を生かしながら、旅行の醍醐味も味わえるツアーナースに興味を持つ人も多いでしょう。しかし、その実態や必要なスキル、給与事情などについては、あまり知られていないかもしれません。ツアーナースの仕事内容や求められる能力、実際の働き方について詳しく解説します。

ツアーナースとは

笑顔のツアーナース

(出典) pixta.jp

看護師のキャリアを生かせる場所は、病院やクリニック以外にもあり、ツアーナースもその1つです。特徴や一般の看護師との違いを見ていきましょう。

旅行や学校行事などに同行する看護師

ツアーナースとは、旅行や宿泊を伴う学校行事などに同行し、参加者の健康管理や急病・けがの手当てに従事する看護師のことです。修学旅行や企業の研修旅行、高齢者向けツアーなどさまざまな場面で、参加者の安全と健康を守る重要な役割を担います。

主な役割は、参加者の健康状態の把握、食事や服薬の管理、そして緊急時の応急処置です。基本的には1~2人で勤務することが多く、急病人・けが人が出れば、たとえ深夜でも対応する必要があります。

一般の看護師との違い

一般的な看護師と違い、ツアーナースには決まった職場がありません。病院やクリニックに所属するのではなく、毎回違う場所で働きます。またツアーナースは主に単発の派遣形式で働くことが多く、一般の看護師のように正社員やパートとして勤務することは稀です。

一般の看護師は医師や検査技師などと協力して患者のケアにあたることがほとんどですが、ツアーナースの現場に医師は不在です。移動中のバスの中やホテルの部屋など、医療機器を使えない場所で、1人で応急処置にあたることもあるでしょう。

このためツアーナースには、どのような状況にも適応し、自分で判断する力が必要とされます。

ツアーナースの仕事内容と必要なスキル

荷物を持ち笑顔の看護師

(出典) pixta.jp

ツアーナースの具体的な業務内容や求められるスキル、適性について詳しく解説します。高度な看護技術や臨機応変な対応力、幅広い医療知識に加え、コミュニケーション能力や体力も重要な要素です。

仕事内容

ツアーナースの主な仕事は、旅行中の参加者の健康管理と緊急時の対応です。具体的には、参加者の健康状態の把握、けがや体調不良時の初期対応、食事内容のチェックなどを行います。

例えば修学旅行に同行する場合、事前に旅行の概要を確認し、当日は参加者の健康状態をチェックします。宿泊先では、アレルギー対応の食事や環境面のチェックも重要な業務です。

頭痛・すり傷・発熱・熱中症などの症状に対応することが多く、緊急時には応急処置を施します。また、主催者との事前打ち合わせや、参加者の服薬管理なども重要な役割です。

求められるスキルと資格

ツアーナースになるには、いうまでもなく看護師資格が必須です。また高度な看護技術と実務経験も求められます。外科や内科での経験はもちろん、救急外来での経験があると緊急時に役立つでしょう。子どもの遠足や合宿に同行する場合は、小児科の経験が生きてきます。

看護技術としては、急な体調不良やけがへの対応、薬の管理、アレルギー対応などが挙げられます。AEDやエピペンの使用方法など、緊急時対応の知識も必須です。

旅行中の健康管理に関する専門知識も重要です。高山病や熱中症対策、食中毒予防など、旅行特有のリスクに対する理解は欠かせません。

ツアーナースに向いている人の特徴

ツアーナースには、高い判断力と柔軟な対応力が求められます。医師が同行しないことが多いため、参加者の健康と安全を1人で管理する責任があります。

優れたコミュニケーションスキルも重要です。参加者・主催者・バス会社のスタッフなど、さまざまな人と円滑に意思疎通ができなければ、業務を全うできません。特に、参加者との信頼関係を築き、体調不良のサインを見逃さない観察力が求められます。

体力に自信がある人も、ツアーナースに向いているでしょう。目的地まで長時間歩かされたり、深夜に急病人が出て寝不足になったりするケースは少なくありません。看護師が倒れてしまっては同行する意味がないため、基礎体力は必須といえます。

ツアーナースの働き方

屋外で笑顔の看護師

(出典) pixta.jp

ツアーナースの雇用形態や収入は、一般的な看護師とは大きく異なります。求人情報を効率的に探す方法も併せて、チェックしましょう。

単発の派遣が基本

ツアーナースの雇用形態は、基本的に単発の派遣です。求人案件ごとに契約を結び、その期間のみ勤務します。契約期間は案件によって異なり、1泊2日から数週間までさまざまです。報酬額や拘束時間なども、案件ごとに変わると考えてよいでしょう。

雇用形態が一般的な看護師とは異なるため、注意が必要な点もあります。収入が不安定になりやすく、ほとんどの場合社会保険にも加入できないでしょう。一方で、ライフスタイルに合わせて、自由に働く日を選べるメリットもあります。

1日の収入の目安

ツアーナースの日給の相場は、1万~1万5,000円程度です。3泊4日の国内旅行に同行する場合、合計4万~6万円の収入が見込めます。宿泊日数が多い海外旅行では、国内旅行よりも多くの報酬が得られるでしょう。

基本的に交通費や宿泊費、食費は主催者負担となるため、実質的な収入はもう少し多いと考えられます。

一方で、単発の案件が多いため安定した月収を得ることは難しく、閑散期には仕事が見つからない可能性もあります。拘束時間が長いことを考慮すると、時給換算では一般の看護師よりも低くなるかもしれません。

求人の探し方

求人を探す際は、専門の人材紹介会社を利用するのが効果的です。一般的な転職サイトでは、ツアーナースの求人が少ないため、看護師の派遣に特化した会社に登録することをおすすめします。

人材紹介会社のWebサイトで登録申請を行い、面接を経て、希望の案件に応募する流れが一般的です。

会社選びの際は、派遣実績や案件の多さ、サポート体制をチェックしましょう。未経験者の場合、登録スタッフ向けのセミナーやスキルアップ講座を設けている会社を選ぶと安心です。研修は、ツアーナースとして必要な知識やスキルを習得する良い機会となります。

ツアーナースの魅力と大変さ

笑顔でタブレットを見ながら会話する看護師

(出典) pixta.jp

ツアーナースには、仕事で旅行ができる、自由に働けるなど、いくつかの魅力があります。一方で、大変な側面もあることを押さえていないと、こんなはずではなかったと後悔するかもしれません。それぞれ具体的に見ていきましょう。

働きながらさまざまな経験ができる

旅行が仕事になることは、ツアーナースの最大の魅力といえます。交通費や宿泊費をかけず、かつ報酬を得ながら、国内外のさまざまな場所に行くことができます。

旅行の内容や参加者の属性が毎回異なるため、病院勤務では得られない、幅広い看護知識や臨機応変な対応力が身に付き、看護師としての経験値も向上するでしょう。

現場には看護師が1~2人しかいないケースが多く、医師も同行しないため、あらゆる状況に対応できる知識と判断力が求められます。この責任の重さを、やりがいとして感じる看護師も少なくありません。

心身に大きな負担がかかることも

ツアーナースの大変なところは、旅行中に何が起こるのか、予測できない点にあります。相談できる医師も仲間の看護師もいない中、緊急時の判断や対応を全て1人で行うときには、大きな重圧を感じるでしょう。

宿泊を伴うイベントでは、24時間体制で対応するのが基本です。早朝や深夜に起こされて急病人を手当てする日が続けば、十分な休息が取れず、肉体的・精神的な負担が大きくなる可能性があります。

収入の不安定さも課題です。閑散期に収入が減少し、経済的に厳しい状況となって気持ちが落ち込んでしまうことも考えられます。

ツアーナースは看護師経験を生かせる仕事

青空の下で微笑むナースの姿の女性

(出典) pixta.jp

ツアーナースは、看護師の経験を生かしながら、旅行も楽しめる魅力的な職業です。収入は不安定ですが、空いた時間に効率よく働けるメリットがあります。毎回違った場所に行き、さまざまな人と関われるため、人生経験も積めるでしょう。

看護師に特化した人材紹介会社に登録すると、ツアーナースの求人を探せます。応募の際は日給だけでなく、宿泊費や食費が含まれているかどうかなども、しっかりと確認することが重要です。

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