製薬会社や医療機器を扱うメーカーなどのコールセンターでは、看護師の有資格者を募集しているケースがあります。求人の特徴や、看護師の資格・経験が役立つ理由を解説します。また、転職を成功させるためのポイントも見ていきましょう。
看護師の有資格者を求めるコールセンターとは?
コールセンターの求人の応募条件に、「正看護師資格」や「准看護師資格」が記載されているのを見たことがある人もいるでしょう。
医療機関ではないため、医師の診療・治療の補佐をする業務はありません。看護師の有資格者を求めるのは、どのようなコールセンターなのでしょうか?
製薬会社のカスタマーサービス
カスタマーサービスとは、製品やサービスの購入前・購入中・購入後において、顧客の問い合わせに答えたり、苦情を受け付けたりする部門です。
製薬会社のカスタマーサービスには、医療従事者や一般の顧客から、薬の効能や副作用などについての問い合わせが寄せられます。
問い合わせに迅速かつ適切に答えられる人材として、看護師の有資格者が求められるケースが多いようです。臨床現場での経験が長ければ、医療従事者とのやりとりもスムーズに進むでしょう。
医療機器メーカーのカスタマーサービス
医療機器メーカーのカスタマーサービスでも、看護師の有資格者が活躍しています。医療従事者や、自宅で医療機器を使っている患者からの問い合わせが多く、主に機器の扱い方やトラブルの苦情、購入に関する相談などが寄せられます。
オペレーターは、インスリン注射器やバルーンカテーテルといった、さまざまな領域の機器に関する問い合わせに対応しなければなりません。相手の状況を理解した上で、分かりやすく説明をするには、一定の医療知識と臨床経験が必要です。
保険会社やカード会社の健康相談サービス
保険会社やクレジットカード会社、セキュリティーサービス会社などでは、会員向けの健康相談サービス(電話・チャット)を実施しています。利用は基本的に無料で、24時間・365日対応しているところも珍しくありません。以下は、相談内容の一例です。
- 自分や家族の健康に関する悩み
- 育児・介護の悩み
- 感染症についての相談
- けがをしたときの対処方法
- 医療機関・健診・ドック施設の情報
相談内容は、健康・育児・メンタルヘルス・介護と多岐にわたります。医療の現場に携わった、もしくは携わっている者の視点から適切にアドバイスする必要があるため、医師・看護師の資格を持つ人は重宝されるでしょう。
自治体の救急相談センター
自治体の救急相談センターとは、各自治体に設けられた無料の救急電話サービスです。
救急相談センターのオペレーターは、「具合が悪いが、病院に行かずに様子を見るべきか?」「救急車を呼んだら、近所迷惑にならないだろうか?」などの相談に対し、医療機関への受診を勧めたり、対処方法をアドバイスしたりします。
相談は、診療・医療行為ではなく、あくまでも相談者が判断の参考とするものです。医師の協力の下、看護師の有資格者が対応するケースが多いでしょう。
新型コロナウイルスやワクチンに関する自治体の相談窓口でも、看護師の有資格者が活躍しています。
出典:救急安心センター事業(#7119)ってナニ? | 救急車の適時・適切な利用(適正利用) | 総務省消防庁
コールセンターで採用されやすい人の特徴
看護師の有資格者が歓迎されるのは、医療やヘルスケアに関する相談を受け付けるコールセンターです。看護師資格を持っていることのほかに、どのような人材が採用されやすいのでしょうか?
看護師としての臨床経験が3年以上ある
看護師資格を持っていても、臨床経験が全くない新人では、雇ってもらえないケースがほとんどです。逆に、看護師としての十分なキャリアがあれば、オペレーター業務が未経験でも採用される可能性は高いといえます。
相手の状況をスムーズに理解し、適切な助言をするためには、看護師としての臨床経験が3年以上あることが望ましいでしょう。治療の補助や療養上のケアをするわけではないため、出産や子育て、介護などでブランクがある人も応募が可能です。
パソコン操作が問題なくできる
コールセンターのオペレーターは、ヘッドセットを装着し、会話しながらパソコンに入力するのが基本です。
Word・ExcelなどのOfficeツールはあまり使用しませんが、顧客情報の入力やチャット対応をする上では、パソコン操作が問題なくできる必要があります。タッチタイピングができると、より効率的に業務がこなせるでしょう。
ストレスのコントロールができる
「見知らぬ人と会話しなければならない」「苦情やクレームの対応がある」などの点において、コールセンターの仕事はストレスがたまりやすいといえます。
ストレス耐性が高く、ストレスのコントロールがきちんとできる人ほど、長く活躍できるでしょう。ネガティブな出来事を成長の機会と捉え、前向きに解決策を見いだせる人もオペレーター業務に向いています。
面接では、精神的なタフさや気持ちの切り替えの早さ、冷静に対処できる力などをアピールするとよいでしょう。
コールセンター看護師のメリットとデメリット
コールセンター勤務を考えている看護師の有資格者は、働くメリットとデメリットをよく理解した上で、求人に応募するかどうかを決めましょう。以下で、具体的なメリット・デメリットを紹介します。
【メリット】勤務形態が柔軟で働きやすい
コールセンターで働くメリットは、柔軟な働き方ができることです。雇用形態は非正規雇用(時給制)と正規雇用があり、どちらもシフト制が基本です。
日勤のみ・夜勤のみ・平日のみ・土日のみ・時短勤務などの働き方が選べるため、仕事と家庭の両立を求める人や、副業・ダブルワークを希望する人にとっては働きやすいでしょう。
また、オペレーター業務は完全なデスクワークです。精神的なプレッシャーを感じることはあっても、肉体的な負担はほとんどなく、年齢を重ねても長く働けます。
【デメリット】臨床現場への復帰が遠のく
ブランクがある人でも働ける上に、看護師の知識・経験が生かせるのは大きなメリットです。しかし、患者を直接看護する機会がないため、看護師の臨床技術が低下する可能性があります。
医療機関への就職・転職において、コールセンターでの勤務期間がブランクと捉えられることも珍しくありません。働く期間が長ければ長いほど、臨床現場に復帰しにくくなるでしょう。
将来的に医療機関で働きたい人は、自分のキャリアの道筋をしっかりと立て、コールセンターで働く目的を明確にする必要があります。
コールセンターへの転職を成功させるヒント
書類選考や面接では、転職理由・志望動機は必ずといってよいほど聞かれます。看護師がジョブチェンジする場合や、ブランクのある看護師の有資格者が就職活動をする場合、履歴書・面接ではどのような点を意識すればよいのでしょうか?
転職理由はポジティブな表現を心掛ける
病棟勤務の看護師がコールセンターへのジョブチェンジをする場合、転職理由を詳しく聞かれることがあります。
「業務が多い」「夜勤がつらい」「スタッフとの仲が悪い」といった不満をストレートに伝えると、採用担当者は「また同じ理由で辞めるのでは?」と疑ってしまいます。うそをつくのはNGですが、できるだけポジティブな表現を心掛けましょう。
例えば、「給与が低い」という不満があった場合は、「これまでの経験を生かして成果を上げ、キャリアアップを目指したい」という表現に言い換えます。
入社後にどう活躍できるかを伝える
キャリア採用の場合、会社側は「この人材を採用して自社にどのようなメリットがあるのか」を重視する傾向があります。熱意や意欲をアピールするだけでなく、以下のポイントをしっかりと伝えましょう。
- 自分の強み
- 会社に貢献できること
- 応募企業・応募職種との相性の良さ
特に、未経験の業種・職種に転職するときは、自分の経験をどのように生かせるかを伝えるのがポイントです。採用担当者に、「入社後に活躍している姿」をイメージさせられれば、採用の可能性はぐっと高まります。
何を伝えればよいかが分からない人は、「求められる人材のリサーチ」と「自分のスキルの棚卸し」を行い、互いの接点を探りましょう。
看護師はコールセンターでも活躍できる
医療やヘルスケアに関わるコールセンターでは、看護師資格を持つ人材を募集しています。出産・子育てなどでブランクがある人でも応募でき、これまでに得た知識・経験を生かせるのがメリットです。
コールセンターの仕事は、看護師の副業・ダブルワークとしてもおすすめです。平日は病院・クリニックで働き、休日や夜間のみアルバイトをする人も少なくありません。
求人情報の一括検索サイト「スタンバイ」で、自分の条件に合う仕事がないかをチェックしてみましょう。