本の香りに包まれ、読書好きの人々と日々触れ合える書店員に憧れを抱く人も多いかもしれません。書店員になるには、どのようなステップを踏めばよいのでしょうか?書店員という職業の魅力や課題、目指す方法について詳しく解説していきます。
書店員の仕事内容と役割
書店員の仕事は、本と人をつなぐ重要な役割を担っています。魅力的な売り場づくりや丁寧な接客、幅広い知識を生かした案内など、業務内容が多岐にわたる点が特徴です。まずは主な業務内容や、一般的な年収を確認しましょう。
書店員の主な業務とは
書店員の主な業務は、魅力的な売り場づくりと顧客サービスです。開店前には新刊の陳列や本の撤去、棚の整理を行います。
POPの作成や追加発注も重要な仕事です。 接客では、レジ打ちのほか、顧客の要望に応じて本の案内や在庫確認、取り置きなどを行います。
体力仕事もあり、新刊の搬入や返品本の運搬が必要になる場面も多いでしょう。さまざまな業務に対応するには、幅広いジャンルの本に関する知識や、分かりやすく伝えるコミュニケーション能力が求められます。
書店員の一般的な年収
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、書店員の年収は約361万円です。
「令和5年分 民間給与実態統計調査」では、給与所得者の平均給与が約460万円となっており、書店員の年収は給与所得者全体と比べて低いといえます。
年収を重視して転職先を検討している場合は、不向きな業種と考えられるかもしれません。
しかし、本への愛情や顧客との関わりから得られる満足感は、金銭では測れない価値があります。
また、書評や選書など、個人の才能を生かせる機会も多いのが特徴です。金銭的な報酬以外の面でやりがいを見いだせる人にとっては、魅力的な職業といえるでしょう。
出典:書店員 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
書店員に求められる資質と能力
書店員には、顧客と本を結び付ける重要な役割があります。そのため、特定の資質や能力が求められます。書店員に必要不可欠な資質や能力を紹介します。
周囲とのコミュニケーション能力
書店員にとって、同僚・顧客・取引先に対するコミュニケーション能力は不可欠です。顧客の多様なニーズに応えるため、丁寧な接客と的確な本の提案が求められます。
また、同僚との協力も重要で、情報共有や連携がスムーズな店舗運営につながります。
さらに、出版社や取次会社との良好な関係構築も欠かせません。新刊情報や在庫状況の確認、イベントの企画など、外部とのやりとりも多いのが特徴です。
このように、書店員は単に本を売るだけでなく、人と本、人と人をつなぐ架け橋としての役割を担っています。コミュニケーション能力を磨くことで、書店員としてしっかり活躍できるでしょう。
本に関する幅広い知識と情報収集力
書店員には、本に関する幅広い知識と情報収集力が求められます。 まず、自店の売り場構成や在庫状況を把握することが大切です。
顧客のニーズに応えるため、ジャンルごとの売れ筋や新刊情報を常にチェックしましょう。
情報収集の方法としては、書評や出版社の宣伝、オンラインの売れ筋ランキングなどを活用します。
また、実際に本を手に取って読むことも欠かせません。幅広いジャンルの本に触れることで、多様な要望に対応できるようになります。
SNSを活用した情報収集も効果的です。著者や出版社のアカウントをフォローすると、最新の出版情報をいち早くキャッチすることができます。
本の知識と情報収集力は、魅力的な売り場づくりや的確な本の提案につながり、顧客の期待に応える書店員になるための重要なスキルとなるのです。
売り場づくりのセンスと創造力
売り場づくりのセンスと創造力は、書店員にとって重要なスキルです。魅力的な陳列は、顧客の購買意欲を刺激し、新たな本との出会いを生み出します。
例えば、「ファンタジー風の本を読みたい」「仕事に役立つ情報を知りたい」といった顧客の感情に寄り添ったテーマ設定で、関連する本を集めたコーナーを作ることができます。
これにより、思わず手に取りたくなるような陳列が実現できるでしょう。 また、顧客の声を収集するアンケートBOXの設置や、日々の接客を通じたニーズ把握も大切です。
こうして得たデータを基にテーマを設定することで、より効果的な売り場づくりが可能になります。
書店員独自の企画力も求められます。著者のトークイベントや、季節に合わせた特集コーナーの設置など、書店ならではの魅力を創出することで、顧客の興味を引き付けることができるのです。
書店員になるための具体的ステップ
書店員になるには、何らかの特別な資格や、スキルが必要なのでしょうか?書店員を目指す上で、具体的な準備と行動のステップを紹介します。
必要な資格と経験
書店員になるために必須の資格はありませんが、書店の採用試験に合格する必要があります。正社員を目指す場合、学歴が有利に働くこともあるでしょう。
実務で役立つ資格としては、リテールマーケティング(販売士)検定やマーケティング・ビジネス実務検定があります。
リテールマーケティング検定は、「販売士」の資格を取得するための検定です。書店に限らず、さまざまな小売業で役立つ販売の知識を得られます。
マーケティング・ビジネス実務検定は、マーケティングについて学べる検定です。書店に限らず、さまざまな分野に関連するスキルといえるでしょう。
顧客のニーズやトレンドを理解し、売り場づくりに役立てられます。 また、書店でのアルバイト経験は大きな強みになります。実際の業務を通じて、接客スキルや本の知識を身に付けられるからです。
出典:マーケティング・ビジネス実務検定(R)|どこでも通用するマーケティングのスキルを磨く
求人サイトを活用し応募する
書店員を目指す上で、求人サイトの活用は効果的な方法です。雇用形態や希望するエリアなどで絞り込みをかけて求人を閲覧でき、自分の希望条件に合った職場を効率的に探せます。
自分に合った職場を見つけるには、大手チェーン店から地域の独立系書店まで、幅広く探すことが大切です。
求人サイトを利用すると、応募後は書店の採用担当者と直接やりとりができるため、選考プロセスがスムーズに進むメリットもあります。
スタンバイでも書店員の求人が探せるため、チェックしてみましょう。うまく活用できれば、理想の職場に出会える可能性が高まります。
書店員の一般的なキャリアパス
書店員になった後は、どのようなキャリアパスを描けるのでしょうか?長く書店員として活躍するためにも、転職後の方向性を把握しておくことをおすすめします。
マネージャーや店長を目指す
書店員として働き始めたときは、店舗スタッフの一員として日常の仕事を担当することが一般的です。
ただし、店舗によっては店舗スタッフのほとんどがアルバイトで、正社員は店長候補または店長として採用されるケースもあります。
仕事に慣れ、一連の業務を進められるようになると、さらに上の役職を目指すことになるでしょう。
店長として経験を積むと、大手書店の場合、エリアを統括するマネージャーを目指すのも主なキャリアパスの流れです。
独立して書店を開く
書店員の中には、独立して自分の店を開く人もいます。個人で経営する書店は独立系書店と呼ばれ、個性を生かした売り場づくりが特徴です。
書店に訪れる顧客のニーズをつかみ、魅力的な売り場づくりができていれば、店を盛り上げることもできるでしょう。
勤務している書店で昇進が期待できない場合や、自分の思い通りの店を経営したいと考える場合は、独立を視野に入れて資金をためておくことをおすすめします。
本が好きなら書店員を仕事にするのもおすすめ
書店員は、本と人を結び付ける重要な役割を担っています。主な仕事内容には、陳列や接客、整理があり、コミュニケーション能力や本への知識が求められます。
書店員になるには、求人に応募したり、アルバイトから正社員を目指したりするのが一般的です。労働条件は書店によって異なりますが、給与や休暇などを確認しましょう。
書店員の求人情報は、求人情報一括検索サイト「スタンバイ」で簡単に探すことができます。豊富な求人情報から、あなたにぴったりの職場が見つかるかもしれません。