アセットマネージャーの仕事とは?業務内容やおすすめ資格などを解説

アセットマネージャーに興味はあるけれど、具体的な仕事の中身や、必要なスキル・資格がわからない人も多いのではないでしょうか。ここでは注目度の高い不動産投資のアセットマネージャーについて、詳しく解説していきます。

アセットマネージャーの定義と役割

不動産屋

(出典) pixta.jp

アセットマネージャーとは、どのような人を指すのでしょうか。定義と不動産業界での位置づけ、プロパティマネージャーとの違いを紹介します。

アセットマネージャーの基本的な役割

アセットマネージャーの役割は、資産の最適な管理・運用です。アセットは資産、マネージャーは管理者を意味します。不動産業界では、投資家や所有者に代わって不動産の資産価値最大化と、安定収益の確保を目指すのがアセットマネージャーの仕事です。

具体的には、投資戦略の立案から始まり、物件の選定と購入・テナント管理・施設改修計画・運用状況報告まで多岐にわたる業務を行います。市場動向を分析し、最適な売却のタイミングも判断します。

主な活躍の場は、J-REIT(日本の不動産投資信託)の委託会社や、不動産投資顧問会社、信託銀行などです。

プロパティマネージャーとの違い

プロパティマネージャーも、不動産投資において物件の資産価値を高める役割を担う仕事です。主にアセットマネージャーからの委託を受け、物件の日常的な管理や入居者対応などの実務を担当します。

不動産運営には、入居者募集から退去後のリフォーム、賃料回収などさまざまな実務があります。相場に合う賃料を設定したり、物件の価値が下がらないよう適切に改修したりするには、豊富な実務経験が必要です。

プロパティマネージャーは、不動産オーナーに代わって実務を担うことで、物件の資産価値向上に貢献します。

アセットマネージャーの具体的な業務内容

不動産資産算出

(出典) pixta.jp

アセットマネージャーの業務は、不動産の買い付け・運用・売却の3つに分けられます。各段階で専門知識と戦略的思考が必要とされ、幅広い責任を担います。それぞれの業務内容を見ていきましょう。

不動産の買い付け業務

不動産買い付けは、投資戦略の要となる業務です。まず、投資家のニーズや市場動向を分析し、最適な物件を探します。候補が見つかると、立地や築年数、競合状況など多角的な視点から調査・査定を実施します。

所有者との価格交渉や契約条件の調整も、重要な業務の1つです。専門知識と交渉力を駆使し、投資家にとって有利な条件を引き出すことが求められます。大型案件では、複数の投資家から資金を集めるファンドを組成することもあります。

不動産の運用業務

不動産の収益性向上と資産価値の維持・向上を実現し、投資家の期待に応えるには、適切な運用が欠かせません。運用の主な業務には、年間計画の策定・定期的な報告・資金管理・テナント管理などがあります。

物件の価値を高めるため、リーシング戦略の立案や実行、建物の修繕計画の管理も重要です。また、テナントとの良好な関係維持や賃料の適正化、空室率の低減にも注力します。商業施設の場合は、テナントの売上向上のための施策も業務の一部です。

不動産の売却業務

不動産売却は、投資サイクルの最終段階で発生する業務です。まず、市場を分析し、売却に最適なタイミングを見極めます。次に、物件の価値を最大化するための戦略を立て、潜在的な買主の選定や交渉を進めます。

売却価格の設定や契約条件の調整には、高度な専門知識と交渉力が必要です。各種書類の作成、決済手続きなども行い、最終的には投資家に運用益を還元して次の投資機会の検討へとつなげていきます。

アセットマネージャーになるために有利な資格

不動産鑑定

(出典) pixta.jp

アセットマネージャーになるための資格はありませんが、能力の証明に有効な資格はいくつかあります。取得をおすすめしたい3つの資格について、特徴と取得のメリットを解説します。

不動産鑑定士

不動産鑑定士は、アセットマネージャーに求められる専門知識の証明において、特に有利といわれています。不動産の適正価格算出能力を証明する国家資格でもあり、アセットマネージャーとしての価値を高めてくれるでしょう。

資格取得には、短答式と論文式の2段階の試験に合格後、実務修習を修了する必要があります。試験は毎年実施されますが、論文式の合格率は例年15%前後と難関です。

ただし取得できれば、不動産投資の専門家としての信頼性が大きく向上し、キャリアアップの可能性が広がるでしょう。

出典:土地・不動産・建設業:不動産鑑定士試験 - 国土交通省

不動産コンサルティングマスター

不動産コンサルティングマスターは、不動産投資や有効活用についてのコンサルティング能力を証明する資格です。受験には以下の国家資格のうちいずれか1つと、5年以上の実務経験が必要です。

  • 宅地建物取引士
  • 不動産鑑定士
  • 一級建築士

実務経験が3年以上5年未満の場合、指定の講座を受講すれば受験できます。試験内容は経済・金融・建築・税制など幅広い分野に及び、合格後は5年ごとに更新しなくてはなりません。

決して簡単ではありませんが、取得できれば顧客からの信頼度や複雑な案件への対応力向上につながるでしょう。

出典:公認 不動産コンサルティングマスター | 公益財団法人不動産流通推進センター

不動産証券化協会認定マスター

不動産証券化協会認定マスターは、不動産証券化に関する幅広い知識と専門性を証明するものです。マスター養成講座を受講・修了と、法令などの順守誓約書や氏名公表承諾書提出の両方を満たすと、マスターとして認定されます。

最新の市場動向や法改正に関する知識を常にアップデートできるよう、認定後も継続教育が義務付けられているのも特徴的です。不動産証券化協会による、ネットワーク形成の機会も提供され、新たなビジネスチャンスの創出にもつながります。

アセットマネージャーを目指す人にとって、キャリアアップや転職の際にも有利に働く、価値ある資格といえるでしょう。

出典:不動産証券化協会認定マスター取得ガイド│不動産証券化に関する唯一の資格

アセットマネージャーに向いている人

訪問営業

(出典) pixta.jp

アセットマネージャーには、どのような人が向いているのでしょうか。活躍が期待できる人の特徴や、求められるスキルを紹介します。

継続的な学習意欲がある

アセットマネージャーに向いている人の特徴として、継続的な学習意欲の高さが挙げられます。不動産市場は常に変化し、社会情勢や経済状況、法規制の変更が資産価値に大きな影響を与えるため、最新の情報と知識を常に吸収する姿勢が求められます。

専門知識の習得はもちろん、幅広い分野の動向にアンテナを張り、自己研鑽に励む必要があるでしょう。資格取得も有効ですが、それだけでなく、日々の市場分析や経済指標の理解など、実践的な学びも重要です。

自ら学習し続ける姿勢が、顧客の資産価値を高めることにつながり、自身の評価にも反映されていきます。

分析力とコミュニケーション力に長けている

アセットマネージャーには、高度な分析力とコミュニケーション能力が求められます。資産の管理・運用には、市場動向を的確に読み取り、投資戦略を立案する分析力が不可欠です。

コミュニケーション力は、投資家や不動産オーナーへの説明や、プロパティマネージャーなど関係者との円滑な意思疎通に役立ちます。

ただしどちらも、すぐに身に付くわけではありません。不動産業界や金融業界でさまざまな実務経験を積まなければ、アセットマネージャーとしての成功は難しいといえるでしょう。

アセットマネージャーは資産管理・運用の専門家

不動産管理

(出典) pixta.jp

アセットマネージャーは、資産を適切に管理・運用し、投資家やオーナーに利益をもたらす仕事です。不動産の場合は物件の運用戦略立案・収益性分析・テナントリーシングなどが主な業務です。

活躍するには、法律や市場動向に関する幅広い知識とビジネススキルに加え、業界での経験が求められます。能力を証明できる資格もいくつかあるので、有効に活用しましょう。

アセットマネージャーを目指せる企業への転職を考えているなら、豊富な求人情報を提供する国内最大級の求人情報一括検索サイト「スタンバイ」がおすすめです。無料で利用でき、希望の条件に合った求人を見つけられます。アセットマネジメントの世界で新たなキャリアを築きたい人は、ぜひ活用してください。

スタンバイ|国内最大級の仕事・求人情報一括検索サイトなら