商社営業はきつい?仕事の内容や年収目安、適性など特徴を解説

商社営業は、ビジネスの最前線で活躍できる職業です。高収入や海外勤務など華やかなイメージがある一方で、仕事がきついかもしれないと不安に思う人もいるでしょう。業務の実態や年収の目安、向いている人など、商社営業の基礎知識を紹介します。

商社営業とは?仕事内容と役割を解説

商談

(出典) pixta.jp

商社営業には、どのような役割があるのでしょうか?総合商社と専門商社の比較や、メーカー営業との違いも交えて解説します。

売り買いの仲介が基本

商社営業の基本的な役割は、売り買いの仲介です。例えば製造に使う原材料を調達してメーカーに販売したり、メーカーの製品を必要とする場所に売り込んだりします。同時に、スムーズな取り引きを実現するための販路開拓や整備、市場分析なども担います。

商社営業は仕入れ先と販売先の、橋渡し役と考えてよいでしょう。新規事業開拓・資源開発など、成長が見込まれる分野への投資を手がける商社も多く、こうしたプロジェクトに携わるのも商社営業の仕事に含まれます。

総合商社と専門商社の比較

日本の商社は大きく「総合商社」と「専門商社」に分類されます。総合商社は以下の7社で、その他はすべて専門商社です。

  • 三菱商事
  • 三井物産
  • 伊藤忠商事
  • 住友商事
  • 丸紅
  • 双日(そうじつ)
  • 豊田通商

両者の主な違いは、取り扱う商品の範囲です。総合商社は多岐にわたる分野の商品を扱うのに対し、専門商社は特定の分野の商品を扱います。

トレーディング(売り買いの仲介)と、事業投資の比重も異なります。総合商社は大規模プロジェクトへの参画が多いなど、専門商社に比べて事業投資の割合が高いのが特徴です。

メーカー営業との違い

商社営業とメーカー営業の違いは、取り扱う商品が自社の製品かどうか、という点にあります。メーカー営業は、自社製品の販売や販売後のサポートが主な仕事です。担当する商品は決まっており、その商品のことなら何でも答えられる、深い知識が求められます。

一方、商社営業は顧客のニーズに合わせて、さまざまな商品を扱います。どのような商品が顧客の課題を解決できるのかを考え、提案するコンサルティング的な側面も持つ仕事といえるでしょう。

商社営業の具体的な仕事内容

市場調査

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商社営業の仕事は、主に市場調査・営業活動・販売までの手配の3つに分けられます。それぞれの具体的な内容を見ていきましょう。

市場調査とトレンド分析

ビジネスチャンスを見出し、利益を生み出す戦略を立てるには、市場調査が欠かせません。具体的には、展示会への参加や取引先との商談を通じて、最新の市場動向や需要、適切な価格帯などを把握します。そして収集した情報を分析し、将来的なトレンドを予測することで、効果的な仕入れ戦略を立案します。

投資事業においても市場やトレンドの分析は必須です。投資を通じて利益を得るためには、成長が見込める分野を発見・予測する力が求められるのです。

販売先・仕入れ先への営業活動

商社営業にとっては、販売先も仕入れ先も、大切な顧客です。それぞれに対して、適切なアプローチを継続することが、商談成立の鍵といえるでしょう。

販売先に対しては、新規顧客向けの展示会やイベント、既存顧客へのルート営業を通して、相手のニーズを的確に捉えた商品提案を目指します。

仕入れ先企業とは強固な信頼関係を築き、安定供給や割安な価格など、優位な条件を引き出します。これらの活動を通じて、商社営業は幅広いネットワークを構築し、ビジネスチャンスを広げていくのです。

販売までの手配と市場開拓

商社営業の仕事には、販売までの手配と市場開拓も含まれます。商談が成立した後、商品を顧客に確実に届けるために、物流会社や倉庫の手配・通関手続き・決済までを行います。納品のスピード感や経営状態など、仕入れ先の信用調査も重要な業務です。

また商社営業は、新たな市場開拓や資源開発、DX推進支援などの活動を通じて、顧客の課題解決と成長をサポートします。商品の調達から販売まで幅広い業務を担当し、売り手と買い手をつなぐ重要な役割を果たしています。

商社営業に向いている人の特徴とスキル

ビジネス交渉

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商社営業には、どのような人が向いているのでしょうか?適した人物像と必要なスキル、役立つ資格などを解説します。

商社営業に適した人物像

商社営業には、バイタリティーと行動力のある人が向いています。例えば海外企業を相手に、語学力に自信がなくても商談を進められるような胆力や積極性が挙げられます。

刻々と変化する市場環境に、柔軟かつ迅速に対応する力も必要です。常に最新の情報を収集する知的好奇心や、常識に捉われない発想力があるとよいでしょう。

出張や残業が多いため、体力に自信があることも条件といえます。海外での暮らしになじめる適応力があれば、どこへ行っても活躍できます。

必要なスキルと役立つ資格

商社営業には高いコミュニケーション能力が必須です。仕入れ先と販売先、それぞれとの交渉を成功させる必要がある上に、社内チームを円滑に動かすテクニックも求められます。

多岐にわたる業務を効率的にこなすため、時間管理ツールなどを使いこなすセンスもあるとよいでしょう。

商社営業に役立つ資格としては、英語力を証明するTOEICが挙げられます。国際的な取り引きが多い商社で活躍するには、英語力が欠かせません。最低でも700点、できれば800点以上のスコアを目指すことをおすすめします。

商社営業のやりがいと魅力

町を歩くビジネスパーソン

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商社で働くことには、さまざまなメリットがあります。収入面と将来性の観点から、商社営業の魅力を紹介します。

高年収の可能性

商社営業は、高年収を実現できる職種として知られています。厚生労働省の職業情報提供サイトによると、商社営業の平均年収は579.5万円です。2023年の日本の平均給与・460万円を大きく超えており、高い水準にあると分かります。

実際の年収は会社の規模や年齢、役職の有無によって異なりますが、大手総合商社では30代で1,000万円を超えるケースも珍しくありません。

商社は在庫を持たないため、利益を人件費に還元しやすい構造があります。グローバルな事業展開により海外赴任の機会も多く、手当が支給されることも高年収の一因です。忙しい分、ボーナスも多いとされており、努力次第で高収入を得られる可能性が高いでしょう。

出典:商社営業 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))

出典:令和5年分 民間給与実態統計調査|国税庁

幅広い知識と商談スキルが身に付く

幅広い知識と高度な商談スキルが身に付くことは、商社営業の魅力の1つです。食品から大型機械まで多様な商品・サービスに携わるため、各業界の特性や最新トレンドを自然に学べます。

取引先や仕入れ先との交渉を通じて、高度な商談力も磨かれます。大規模案件に関わる機会も多く、企業間の利害を調整して最適な条件を導き出す交渉術は、ビジネスパーソンとしての大きな強みとなるでしょう。

これらの知識やスキルがあれば、どのような業界でも高く評価され、転職にも有利です。常に新しい知識を吸収し、実践的なスキルを磨ける環境が、商社営業の大きな魅力といえます。

グローバルに活躍できるチャンスも

商社営業は、グローバルな環境で働きたい人にとって、望みを叶えやすい職種です。商社の多くが早くから海外に進出しており、世界を舞台にしたビジネスを展開しています。

特に総合商社では、世界各国に支店があるほか、開発途上国の大規模プロジェクトに関わる機会も多く、若いうちから貴重な経験を積むことができます。

事業の多角化に伴い、海外に支店を構える専門商社も少なくありません。語学力を生かしたい人や、異文化に興味がある人は、やりがいを持って働けるでしょう。

商社営業のきつい点

疲れているビジネスパーソン

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商社営業は、決して楽な仕事ではないのも事実です。就職や転職を目指すなら、仕事がきついと感じるポイントもしっかりと押さえておきましょう。

多忙な業務

商社営業は、取引先との商談や情報収集、社内での報告書作成など、さまざまな業務をこなす必要があります。毎日が非常に忙しく、終わらなければ残業や休日出勤することになるでしょう。

海外とのやりとりが多い場合、時差の都合で勤務時間が不規則になるケースも珍しくありません。多忙な業務をこなしながらも、ワークライフバランスを保つには、時間管理や業務効率化の工夫が求められます。

頻繁な出張・転勤

商社営業に出張や転勤はつきものです。同じ勤務地に長くいることは少なく、入社から数年程度で海外駐在となることもあります。出張はともかく、頻繁な転勤は、家族がいる人や生活の変化を好まない人にとって、大きなストレスとなるでしょう。

転勤が多いと、家を買うタイミングなど人生計画にも影響が出ます。ただし転勤は、国内外の市場を肌で感じ、グローバルな視点を養うよい機会です。例えばアジア圏への転勤で現地の商習慣を学び、帰国後はその経験を生かして新規事業を立ち上げるなど、キャリアアップにつながる可能性があります。

出張や転勤を前向きに捉え、新しい環境で積極的に学ぶ姿勢が、商社営業としての成功につながるでしょう。

厳しい自己管理

商社営業はさまざまな相手と交渉するため精神的な負担が多く、ストレスがたまりがちです。多忙な上に勤務時間が不規則で長距離の移動も余儀なくされるので、心身の健康維持は大きな課題といえます。

ストレスを軽減し、毎日元気に仕事をこなすには、定期的な運動や十分な睡眠の確保、食生活を整えるなど、自己管理が欠かせません。業務の合間にジムで体を鍛えたり、規則的な食事を心がけたりするのは容易ではなく、強い意思が必要です。

きつい一方で、やりがいも多い商社営業

前向きなビジネスパーソン

(出典) pixta.jp

商社営業とは、モノやサービスの売り買いを仲介する仕事です。取り扱うジャンルは幅広く、グローバルに活躍できるチャンスも用意されています。給与水準は高めで、努力次第で高収入も期待できます。一方で、成功するには多忙な業務や頻繁な転勤に耐える体力・精神力が必要です。

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