型枠大工はどんな仕事?年収事情や勤務の大変さ、役立つ資格まで解説

型枠大工は建設業界にとって、なくてはならない存在です。しかし具体的な仕事の内容や収入、働き方についてはあまり知られていないかもしれません。型枠大工という職業の現状や将来性について、未経験者にもわかりやすく解説します。

型枠大工とは?基礎知識を解説

工事現場の職人

(出典) pixta.jp

型枠大工とは、どのような職業なのでしょうか?具体的な仕事内容や、なり方など基礎知識を解説します。

コンクリート工事を支える職人

型枠大工は、鉄筋コンクリート工法で、コンクリートを流し込む「型枠」を組み立てる職人を指します。木造住宅を建てる大工や神社仏閣や城などの建設・補修を担う宮大工とは異なり、コンクリートの基礎をつくるのが仕事です。

型枠大工がかかわる工事は、マンションやビルなどの建物だけではありません。高速道路・橋・トンネル・立体駐車場など、コンクリートを使う土木工事全てに、型枠が必要です。このため、型枠大工がかかわる仕事も、多岐にわたります。

型枠工事の工程

型枠工事は、「拾い出し」から始まります。施工図から柱や梁・床・壁などの寸法と形状を拾い出し、型枠用の加工図をつくる作業です。

加工図を基に、工場や事業所で型枠板を加工し、現場へ搬入します。現場では、型枠を設置する位置に印を付ける「墨出し」を行い、墨に従って型枠を組み立てていきます。

組み立てが完了したら、コンクリートの圧力に耐えられるよう、しっかりと固定しなくてはなりません。生コンクリートを流し込む際、型枠の変形がないか監視するのも型枠大工の役割です。

コンクリートが固まり、十分な強度が確認できたら、型枠の解体作業に移ります。最後に現場を清掃し、次の工程へと引き継ぎます。

型枠大工になるまでの道のり

型枠大工は学歴不問で、未経験者でも挑戦できる職種です。建設会社や工務店などに入社後、見習いとして熟練者のもとで働きながら、必要な技能を身に付けていきます。

まずは木材の扱い方や工具の使用方法といった基本を学び、その後、型枠の組み立て技術や図面の読み方など、一人前の型枠大工に必要な技能を段階的に習得します。

実務経験を積むかたわら、関連資格の取得も目指す人も少なくありません。会社が資格取得を支援してくれるケースも多く、未経験・無資格からでも着実にステップアップできる環境です。

型枠大工の年収と労働環境の実態

型枠とコンクリート

(出典) pixta.jp

型枠大工になると、どのくらいの年収が見込めるのでしょうか。建設現場の労働環境も気になるポイントです。それぞれの実態を、詳しく見ていきましょう。

経験年数で変わる年収

厚生労働省の職業情報提供サイトによれば、型枠大工の平均年収は460.1万円です。2023年の日本の平均給与・460万円とほぼ同じと考えてよいでしょう。

ただし年収は、経験年数や技術力によって大きく変動します。見習い期間は当然低く抑えられますが、独り立ちすれば、実力次第で収入を増やせるようになります。

熟練工の場合は出来高払や能率給が導入されるケースも多く、効率よく稼ぐことも可能です。

出典:型枠大工 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))

出典:令和5年分 民間給与実態統計調査|国税庁

季節や天候による労働環境への影響

型枠大工は屋外での作業が基本なので、季節や天候の影響を大きく受けます。夏は炎天下での作業となり、照り返しも加わって体力的な負担が大きいでしょう。冬は寒風にさらされ、手がかじかんで細かい作業に支障が出ることもあります。

雨天時は足場が滑りやすく、転倒などの事故リスクが高まります。強風の日は高所作業が制限され、工期に影響が出ることも珍しくありません。

ただし現場では、冷房完備の休憩所設置や防寒具の支給など、労働環境の整備に取り組んでいます。天候不良による作業中止の判断基準も明確に定められており、作業員の安全確保が最優先されています。

型枠大工のやりがいと厳しさ、向いている人の特徴

基礎工事

(出典) pixta.jp

どのような仕事にも、良い面と厳しい面があります。型枠大工の仕事を通して感じるやりがいと、仕事の厳しさについて、向いている人の特徴も併せて解説します。

建設現場で感じる達成感

型枠大工は、現場で大きな達成感を味わえる職業です。解体が終わり、自分たちが作り上げた美しいコンクリートの壁面を目にする瞬間には、職人としての誇りを強く感じるでしょう。

建物は永く残るため、「あの建物は自分が手掛けた」と胸を張れる喜びもあります。また型枠大工は図面を読み解き、複雑な形状の型枠を精密に組み立てる専門家です。

建設業界のデジタル化が進んでも仕事がなくなる心配はなく、業界を支える存在として長く活躍できます。

仕事で直面する身体的・精神的な厳しさ

型枠大工の仕事は、体力的にも精神的にも厳しい側面があります。重い型枠を建物の上の階へと運び上げる作業は、大変な重労働です。炎天下では特に過酷で、体力に自信のある人でもきついと感じるでしょう。

また現場では安全確保や、作業のやり方などに対する、先輩職人からの指導が厳しくなりがちです。騒音の中でも確実に指示を伝えるため、大きな声で注意されることも多く、精神的に負担を感じる人もいます。

型枠大工に求められる適性

型枠大工に向いている人の特徴として、正確な作業への強いこだわりを持てる性格が挙げられます。型枠の組み立てでは、わずかなズレが建物の強度に影響を与える可能性があるためです。

チームワークを重視し、先輩職人の指導を素直に受け入れられる柔軟さも重要です。建設現場では複数の職種が連携して作業を進めるため、協調性も欠かせません。

体力面では、重い型枠材を扱える筋力が必要です。高層ビルやマンションの現場では、高所への恐怖心がないことも求められます。

型枠大工の将来性と取得すべき資格

型枠にコンクリートを流しこむ

(出典) pixta.jp

型枠大工は、将来性のある仕事とされています。関連資格を取得することで、好条件な会社への転職や独立による収入増も期待できるでしょう。

建設業界における型枠大工の需要と、役立つ資格について解説します。

建設業界における型枠大工の需要

型枠大工の需要は、今後も安定的に高く推移すると予測されています。高度経済成長期に建設された建築物の老朽化に伴い、建て替え需要が増加しているためです。特に都市部では、再開発プロジェクトや大規模商業施設の建設計画が続いていることもあり、需要は堅調です。

災害に強い建築物への関心が高まる中、コンクリート造りの建物の重要性も増しています。また熟練工の高齢化と後継者不足が深刻となっており、技術を継承する若手の活躍が期待されています。

こうした状況から、型枠大工は将来性の高い職業といえるでしょう。

キャリアアップに役立つ資格

型枠大工の代表的な資格として「型枠施工技能士」があります。1級から3級まであり、2級の受験には2年以上の実務経験が必要です。2級取得後、さらに2年の実務経験を積むと1級の受験資格が得られます。

もう1つの重要な資格が、「型枠支保工の組立て等作業主任者」です。3年以上の実務経験と指定講習の受講が必要ですが、取得すると現場のリーダーとして活躍できます。作業の安全管理や品質管理の責任者として、工事全体を統括する立場となります。

いずれも就業時に必要なわけではなく、実務経験を積みながら取得するのが一般的です。

型枠大工は地図に残る仕事

工事現場の職人

(出典) pixta.jp

型枠大工は、コンクリート型枠の組み立てが主な仕事です。未経験でも見習いからスタートし、実務経験の積み重ねや資格取得によって、独り立ちできます。

気候や天候に左右され、重い型枠を運ぶなど厳しい側面はありますが、建物が完成したときの喜びは格別です。

建設計画の継続と職人不足から、安定した需要が見込まれ、会社が資格取得の費用を出してくれるなど好待遇も期待できます。

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