「現場作業員」とは、現場仕事を行う人の総称で、さまざまな職種が含まれます。未経験者を受け入れている職場も多く、努力次第ではプロフェッショナルを目指せます。仕事内容や向いている人の特徴をチェックしましょう。
現場作業員とは?
現場作業員は、社会基盤を築き上げる縁の下の力持ちです。工事現場で働く土木作業員を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、働く場所も仕事内容もさまざまです。一般的な定義と働き方の特徴を解説します。
現場作業に携わる人の総称
現場作業員(現場スタッフ)は、現場作業に携わる人の総称です。現場作業は多岐にわたりますが、以下のような種類に大別されます。
- 土木:インフラや公共施設の建設工事に関わる
- 建築:家やビルなどの建築工事に関わる
- 設備:設備関連の工事に関わる
安全かつスピーディーに作業を進められるように、現場では作業長や職長、作業指揮者と呼ばれる者が指揮監督を担います。労働環境が厳しいというイメージを持たれがちですが、働き方改革の影響もあり、労働環境は改善傾向にあるといえるでしょう。
学歴は問われないケースがほとんど
現場作業員になるのに、学歴はほとんど問われません。学校卒業後に入職する人もいれば、他の業界から転職する人もいます。厚生労働省が提供する職業情報提供サイト「job tag」によると、高校を卒業してから入職する人が6割以上を占めていることが分かります。
学歴は問われませんが、作業内容によっては、免許の取得や講習への参加が必要です。普通自動車免許のほか、フォークリフトやクレーンといった重機に関する資格・免許があると有利でしょう。
未経験者を受け入れている企業の中には、資格取得支援制度を設けているところもあり、働きながらスキルアップを目指せます。
出典:建設・土木作業員 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
現場作業員の主な仕事内容
現場作業員として必要な資格や免許は、仕事内容によっても変わります。主な仕事内容として、「土木作業」「解体作業」「板金作業」「設備作業」の4つを取り上げます。
土木作業
土木作業とは、土・木材・鉄などの材料を用い、道路・橋・トンネル・河川などの建設および整備を行うことです。土木作業に従事する人は「土木作業員」と呼ばれ、作業内容によって「土工」と「機械土工」に区別されます。
- 土工:資材の運搬・掘削作業・コンクリートの攪拌(かくはん)作業などを行う
- 機械土工:重機を操作して作業する
重機を操作するのには資格や免許が必要なため、未経験者の場合は土工からスタートするのが一般的です。土木作業員には、現場の工事を統括・管理する現場監督(施工管理)も該当します。
解体作業
解体作業とは、建物や工作物の解体を行うことです。解体に携わる現場作業員は、「解体工」と呼ばれます。
ビルを解体する場合、取り壊しの手順を決定し、ビルに足場を組んでから解体工事に入ります。解体工事から発生される廃棄物は、再資源化のための分別が必要です。分別作業をしてトラックで運び出し、更地にして引き渡すまでが仕事です。
解体作業では、油圧ショベルなどの車両系建設機械を使用します。車両系建設機械を扱うには、運転技能講習を受ける必要があります。
板金作業
板金作業とは、金属の加工を行うことです。板金作業を行う人は「板金工」と呼ばれ、金属素材の切断・加工・溶接・取り付けなどを手掛けます。
板金の種類には、工場内で部品を作る「工場板金」のほか、屋根・外壁・ダクトなどを施工する「建築板金」、へこんだ車のボディーを修復する「自動車板金」などがあります。
板金加工では熱が生じるため、夏は体力勝負です。建築板金では、高所での作業も多く、安全には十分注意しなければなりません。
設備作業
設備作業とは、建物に必要な設備を作ったり取り付けたりすることです。代表的な作業には、以下のようなものがあります。
- 照明や配線に関する工事
- 電話やインターネットなどの通信に関する工事
- ガス工事
- 空調工事
- 配管工事
- 建物にエレベーターなどを取り付ける工事
設備作業に携わる作業員は、「設備工」と呼ばれます。設備工事の会社に就職するのが一般的で、雇用形態は正社員が中心です。
未経験者を受け入れる会社もありますが、工業高校や専門学校、職業訓練校などで関連分野を学んだ方が就職・転職に有利でしょう。
現場作業員に該当する職種一覧
ひと口に現場作業員といっても数多くの職種があり、現場によって仕事内容が大きく変わります。現場作業員に該当する代表的な職種をピックアップして紹介します。
植木職人・造園職人
植木職人や造園職人(造園工)は、庭造りを行う技術職です。庭や公園などに出向き、剪定(せんてい)・植え替え・芝の手入れ・庭石の配置・害虫対策などを行います。
剪定をするときは、周囲の木々との相性や空間のバランスを考えなければなりません。造園工事では、建設機械を使って開墾や切土などを行うケースもあります。
必須の資格はありませんが、「造園技能士」や「造園施工管理技士」などの資格があると、就職・転職に有利でしょう。植林会社や造園会社に入社する人もいれば、親方に弟子入りして経験を積む人もいます。
大工
大工は、主に木造一般住宅の新築や増改築に関わる職種です。建築主と相談しながら、建築計画や見積もりを行い、工事に必要な技能者を手配します。
現場では、のこぎりやかんななどの道具を使って資材の組み立てや取り付けを行ったり、工事全体の流れを管理したりする役割を担います。鉄筋コンクリート建築で、内装の木造部分のみを担当するケースも少なくありません。
学歴や資格は必要とされませんが、仕事の幅を広げたい人は、「2級建築士」や「木造建築士」の資格取得を目指すとよいでしょう。既存住宅のリフォームやリノベーションの増加により、大工の需要は安定しています。
左官
左官(さかん)は、建物の壁や床を塗り上げるのが仕事です。土やセメントなどで下地塗りをした後、砂や小石などを調合した材料で表面を美しく仕上げていきます。
主な職場は、ビルや大型施設の建築現場である「野丁場(のちょうば)」と、一般住宅の建築現場である「町場(まちば)」です。就職先にもよりますが、町場での仕事が大部分を占めるでしょう。
左官として働くには、左官工務店に就職して、見習いからスタートするのが一般的です。男性の労働者が多いものの、材料の軽量化で女性の左官も増加傾向にあります。
現場作業員に向いている人の特徴
どのような仕事にも向き・不向きがあります。自分に合った仕事に就けば、活躍のチャンスが増えるでしょう。現場作業員が適しているのは、どのようなタイプの人でしょうか?
体力・気力に自信がある
現場作業員には、体力と気力が求められます。特に、工事現場で働く場合は、重い機材や資材の運搬作業が伴うため、力仕事が得意な人に向いています。
職種にもよりますが、屋外での作業が圧倒的に多く、天候の変化に耐えられる人でなければ務まらないのが実情です。土木工事の場合、早朝からのスタートになるのが一般的です。現場によっては、夜間まで作業が続くケースもあります。
体力や持久力があることに加え、早朝・夜間の作業を問題なくこなせる人が重宝されるでしょう。
注意深く行動する
現場作業員に向いている人の性質として、注意深く行動できることが挙げられます。危険な場所での作業が多く、気の緩みや小さなミス、安全対策の不備が、重大なトラブルにつながるケースがあるためです。
とりわけ、つり作業や高所作業では、作業物の落下や転落といった命に関わる事故が起きやすい傾向があります。現場監督や先輩の指示に従い、安全面のルールを守って行動しなければなりません。
注意力が欠けやすい人や決まりを守れない人、管理がずさんな人は、現場作業員にはあまり適していないといえます。
現場作業員は未経験からでも目指せる
現場作業員は、現場で働く人の総称であり、さまざまな職種が含まれます。学歴は求められず、資格や免許は入社後に取得が可能です。未経験からでも目指しやすい仕事のため、体力や気力に自信がある人は挑戦してみるのもよいでしょう。
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