給料手渡しだと税金を払わなくてもばれない?脱税のリスクも解説

給料を手渡しで受け取った場合でも、税金を支払う義務は免れません。しかし、「ばれないのでは?」と考える人もいるかもしれません。なぜ税金を支払う必要があるのでしょうか?脱税のリスクについても見ていきましょう。

給料が手渡しなら税金を支払わなくてもばれないのか

給料袋

(出典) pixta.jp

給料を手渡しでもらっても、税金を払わなければならないのは当然です。しかし、「ばれないのでは?」と考える人もいるかもしれません。なぜ、税金を払わなければならないのでしょうか?脱税のリスクについても見ていきましょう。

給料手渡しでも原則税金を払う必要がある

給料を手渡しで受け取ると、その場では税金が引かれていないことがあります。そのままにしていても発覚しないように思えるかもしれませんが、実際には発覚する可能性が高いでしょう。

基本的に、会社は人件費を経費とするために、給与の支払先と金額を税務署に申告します。また、対象者については、源泉徴収票や支払調書を税務署に提出しなければなりません。

現金での手渡しであっても、会社の事務処理は同じです。さらに、マイナンバー制度によって、税務署は誰がどこで収入を得ているかをひも付けて確認できます。

もし、多くの収入を得ている人が確定申告をしていなければ、調査によって気付かれてしまうでしょう。

税務署はさまざまな方法で収入を把握することができるため、必ず確定申告を行い、正しく納税することが大切です。

出典:No.2110 事業主がしなければならない源泉徴収|国税庁

出典:No.7431 「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出範囲と提出枚数等|国税庁

脱税がばれたらどうなる?

脱税が発覚した場合、厳しい罰則が科されます。単なる申告漏れであっても、期限内に申告がされていなければ加算税の対象です。

意図的に収入を隠していたなど、悪質と判断されると、罰金刑や懲役刑といった刑事罰に加えて、重加算税という行政罰も課されます。

実際に、芸能人や企業経営者の脱税が話題になることがありますが、一般の個人でも金額の大小にかかわらず調査の対象となる可能性があります。税金の支払いが必要な場合は、必ず確定申告を行い、トラブルを未然に防ぎましょう。

出典:No.2024 確定申告を忘れたとき|国税庁

給料が手渡しになるケースと法律上の問題

お札が入った封筒を手にしている人物

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アルバイトや副業で給料を手渡しでもらうケースは、意外と多いものです。特に短期・単発のアルバイトによく見られます。

短期間、または単発のアルバイトでは、勤務先と雇用契約を結んでいないケースが多いためです。そのほか、長期のアルバイトでも、現金での手渡しを希望すると対応してくれる会社もあります。

即日払いが多く、その日のうちに現金を受け取れます。源泉徴収なしで保険料や税金を引かずに、時給で計算した金額をそのまま渡されることも多いため、税金を引いた後の金額なのか、給与明細などで確認しておきましょう。

手渡しで給料を渡しても問題はない

給料を手渡しで渡すことや受け取ることは、労働基準法上で認められています。そもそも、法律上は通貨での手渡しが基本です。

銀行振込で給料を支払う場合は、労使協定を結び、労働者が同意していることが前提となります。しかし、現代では口座振込を拒否する労働者は少なく、実質的には銀行口座への振込が一般的です。

一方で、現金手渡しで源泉徴収が行われていない場合は、税金面での自己管理が求められます。収入や支出の記録を正確に残しておくことが重要です。

出典:労働基準法第24条 | e-Gov 法令検索

出典:所得税法第238条 | e-Gov 法令検索

確定申告が必要になる主なパターン

確定申告

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給料を手渡しで受け取っている場合でも、確定申告が必要になるケースがあります。特に副業や複数の収入源がある場合、または年末調整を受けていない場合は注意が必要です。以下に、具体的にどのような場合に確定申告が必要となるのかを確認しましょう。

副業の収入が20万円を超えたとき

副業の収入が経費を除いて年間20万円を超えた場合、確定申告が必要になります。給与所得や退職所得以外の収入が年間20万円を超えると、税務署への申告義務が生じます。

ただし、この「副業」は、給与所得以外の収入に限定され、業務委託や個人事業主として副業をしている場合、それは「給与所得」ではないため、年間20万円を超えると確定申告をしなければなりません。

税務署はさまざまな方法で副業収入を把握することができるため、「手渡しだからばれない」と考えるのは危険です。

また、20万円以下でも、他の事情で確定申告が必要になることがあります。

もし、自分のケースが該当するのか分からず不安になる場合は、副業を始めたら専門家に相談するのがおすすめです。適切な申告は、将来的なトラブルを未然に防ぎます。

出典:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁

複数の収入源がある場合

複数の収入源がある場合、確定申告が必要になることが多いです。年末調整は1カ所でしかできないため、原則として確定申告を行わなければなりません。

複数の収入から源泉徴収がされていて、収入が少ない場合は確定申告が不要なケースもありますが、税金を払い過ぎている可能性があります。そのため、確定申告を行うことで税金が還付されるケースも少なくありません。

特に、複数の会社で働いていて、年間の収入が103万円を超えている場合は注意が必要です。家族の扶養控除の対象から外れる可能性があり、所得税も発生します。適切に確定申告を行い、税務処理を正確に行いましょう。

出典:No.2520 2か所以上から給与をもらっている人の源泉徴収|国税庁

年末調整を受けていないとき

年末調整を受けていない場合、確定申告が必要になるケースがあります。例えば、年の途中で退職し、その後再就職しなかった場合が該当します。

この場合、所得税が納めすぎになっている可能性があるため、確定申告を行うことで、所得税の還付を受けられることがあります。

給料を手渡しで受け取っている場合でも、年末調整が行われており、源泉徴収が適切にされているのであれば、別途確定申告を行う必要はありません。

出典:No.1910 中途退職で年末調整を受けていないとき|国税庁

給料を手渡しで受け取るメリット

お札

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給料を手渡しでもらうことには、いくつかのメリットがあります。手渡し給与の主な利点を2つ紹介します。メリットを理解することで、給与の受け取り方を適切に選択できるでしょう。

すぐにお金が使える

給料を手渡しでもらうメリットとして、すぐにお金を使える便利さがあります。ATMや口座確認の手間がなく、その場ですぐに現金を受け取れる点が大きな利点です。特に急な出費がある場合や、生活費が足りない時には大変助かります。

また、ATMの利用手数料も不要なので、少額の給与でも無駄なコストがかかりません。銀行の営業時間を気にする必要がないため、深夜や休日のアルバイトでも問題なく給料を受け取れます。

銀行口座がなくても大丈夫

給料を手渡しでもらうのであれば、銀行口座を持っていなくても給与を受け取れます。 銀行口座の開設にはさまざまな手続きが必要ですが、現金での受け取りなら気にする必要はありません。

また、銀行口座を持っているとしても、他人に教えたくない人もいるでしょう。 しかし、銀行振込で給料を支払うスタイルを採用している会社は多いものです。長期的には、口座開設の検討をおすすめします。

給料を手渡しで受け取るデメリット

家計簿

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給料を手渡しでもらうことには、いくつかのデメリットがあります。将来的なトラブルや税金の問題につながる可能性があるため、十分に注意しましょう。

記録が残りにくい

給料を手渡しでもらうと、記録が残りにくいという問題があります。銀行振込と違い、現金でのやり取りは第3者からの確認が難しいのです。

これは、雇用主側にとっても労働者側にとっても、後々トラブルの種になる可能性があります。例えば、支払いの有無や金額について問題が起きた場合、証拠が乏しいため証明ができません。

また、税務署からの調査の際にも、収入の証明が難しくなります。そのため、給与明細書の発行や受け取りサインなど、何らかの形で記録を残すことが重要です。記録をしっかり残すことで、将来的なトラブルを防ぎ、適切な税金の納付にもつながります。

トラブルが起きやすい可能性がある

給料を手渡しでもらうことで、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。多いのは、「約束した給料が支払われない」というケースです。何らかの事情で給料を直接受け取りに行けなくなったとき、そのままになってしまう可能性も考えられるでしょう。

また、労働時間や残業代の計算ミスも起こりやすいかもしれません。トラブルを防ぐためには、給与明細の発行を依頼したり、自分で労働時間と給与額を記録したりすることが大切です。

税金の管理が難しい

手渡しで給与をもらう場合、税金の管理が難しくなる点は大きな課題です。銀行振込と異なり、収入の記録が残りにくいため、確定申告の際に正確な金額を把握するのが困難になります。

特に、複数の副業がある場合や収入が不定期な場合は、より一層の注意が必要です。また、源泉徴収されていないケースが多いため、自分で税金を計算し納付する必要があります。

都度、金額や日付を細かく記録することが重要です。可能であれば、給与明細や支払調書の発行を依頼するのもよいでしょう。

給料が手渡しでも税金はきちんと支払おう

電卓をたたく

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給料の手渡しは、特定の状況で行われることがありますが、メリットとデメリットがあります。一定の収入を超えると税金を払わなければならないため、確定申告が必要です。 副業や、年間103万円超の収入には特に注意しましょう。

給与の受け取り方にかかわらず、正しい税務処理を行えば、トラブルを防げます。 アルバイトや副業の収入に対する税金の取り扱いについて、理解した上で仕事探しを始めることが大切です。収入の管理や、把握がしやすい仕事先を国内最大級の仕事・求人情報一括検索サイト「スタンバイ」で探してみましょう。

出典:スタンバイ|国内最大級の仕事・求人情報一括検索サイトなら