訪問営業はプレッシャーが大きい?必要なスキルと向いている人の特徴

顧客先に直接足を運んで行う「訪問営業」は、多くの企業で重要な役割を果たします。一方、デジタル化が進む現代において、訪問営業は時代遅れとの声も聞かれます。訪問営業の目的やメリット、向いている人の特徴をチェックしましょう。

訪問営業とは?

訪問

(出典) pixta.jp

顧客との直接的なコミュニケーションを重視する訪問営業は、企業の成長に欠かせない営業手法の1つです。訪問営業の特徴と目的について、詳しく見ていきましょう。

顧客先に出向いて商談を行う営業方法

訪問営業とは、営業担当者が顧客の元に直接出向き、商品やサービスの提案を行うことです。営業は、法人向け(法人営業)と個人向け(個人営業)の2つに大別されます。

法人向けの訪問営業では企業や店舗に出向きますが、個人向けの訪問営業では個人宅を訪問します。個人宅に訪問して商品やサービスを販売する小売形態は、「訪問販売」と呼ばれることも覚えておきましょう。

訪問営業の特徴は、顧客の生の反応を直接観察でき、その場で疑問や不安に対応できる点です。顧客との直接的なやりとりを重視し、個別のニーズに合わせたアプローチを行います。

訪問営業をする目的

企業が訪問営業をする目的は、商品を売ることだけではありません。

  • 自社の商品・サービスの紹介と提案
  • 顧客ニーズのヒアリング
  • 有益な情報の提供
  • トラブル発生時の対応や困りごとの解決
  • 営業担当者の引き継ぎのあいさつ

商品・サービスを売ったら終わりではなく、契約が成立した後も顧客先を定期的に訪れ、さまざまなサポートをするのが一般的です。

訪問営業の種類

電話をかけるビジネスパーソン

(出典) pixta.jp

訪問営業には「アポあり営業」と「アポなし営業」の2種類があります。それぞれに特徴やメリット・デメリットがあるため、状況に応じて使い分けることが重要です。

アポあり営業

アポあり営業は、事前に顧客との約束を取り付けてから訪問する営業スタイルです。「アポ(アポイント)」とは、約束・予約の意味を持つ「アポイントメント(appointment)」の略称です。

アポあり営業のメリットは、顧客の時間を尊重しつつ、効率的な商談を実現できることです。顧客のニーズに合わせた提案やプレゼンテーションにより、成約率の向上が期待できます。顧客側も心の準備ができ、落ち着いた雰囲気で商談を進められるでしょう。

ただし、初回のアポイントは取得自体が難しい場合もあり、効果的なアプローチ方法を考える必要があります。綿密な事前準備と情報収集も欠かせません。

アポなし営業

アポなし営業とは、事前に約束をせず訪問する手法です。「飛び込み営業」とも呼ばれ、新規顧客の開拓や市場調査で多く見られます。

相手の都合を考慮せずに訪問するため、顧客のプライバシーや時間を尊重し、迷惑にならないような配慮をしなければなりません。断られるリスクが高く、効率が良いとはあまりいえないでしょう。

ただし、営業担当者の熱意や積極性を示す機会となり、予期せぬチャンスをつかむこともあります。成功率を上げるには、事前の情報収集や訪問のタイミングを見極める洞察力が求められるでしょう。

訪問営業のメリット

インターホンを押す

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訪問営業には、他の営業手法にはない独自のメリットがあります。顧客と直接対面することで得られる利点は、ビジネスの成功に大きく貢献します。メリットを理解し、効果的に活用することで、営業活動の成果を最大化できるでしょう。

信頼関係の構築がしやすい

1つ目のメリットは、顧客との信頼関係が構築しやすいことです。近年は、オンライン商談が普及し、顧客と直接対面する機会が減っている傾向にあります。

電話やオンラインは便利な半面、相手の表情や反応が分かりにくく、スムーズなコミュニケーションが妨げられることも珍しくありません。

訪問営業では、言葉以外のコミュニケーションが活用できるため、顧客との絆が深まりやすいのがメリットです。顧客は営業担当者に対し、「わざわざ自分を訪ねてきてくれた」「誠意がある」というプラスの感情を抱きやすいでしょう。

相手のニーズをつかみやすい

対面でのコミュニケーションにより、顧客の表情や態度から真のニーズを読み取れるのがメリットです。

顧客の環境を実際に見ることで、潜在的な問題点や改善の余地を発見しやすくなります。相手のニーズや状況に応じた最適な提案ができれば、成約率が大幅に向上するでしょう。

顧客のニーズを適切に把握するためには、傾聴力や観察力、そして的確な質問力が欠かせません。これらのスキルを磨くことで、訪問営業の効果を最大限に引き出せます。

訪問営業が「時代遅れ」とされる背景

街を歩くビジネスパーソン

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訪問営業は、従来の営業手法として重要な役割を果たしてきましたが、近年では「時代遅れ」と評価されることがあります。これらの要因を理解することで、現代のビジネス環境に適した営業戦略を考える手がかりが得られるでしょう。

オンライン商談の普及や働き方の変化

コロナ禍をきっかけに、オンライン商談やビデオ会議を取り入れる企業が増えました。リモートワークなどによってオフィスに常駐しない人が増えている事情もあり、「訪問営業は時代に合っていない」という声が聞かれます。

顧客側はアポイントのない訪問を好まない傾向にあります。在宅勤務をしている人にとって、突然の自宅訪問は迷惑に感じるでしょう。

しかし、対面でのコミュニケーションの重要性は依然として高く、状況によっては訪問営業が効果的なケースもあります。複雑な商談や高額商品の販売では、訪問営業の有効性は変わりません。

業務効率の悪さ

訪問営業の効率の悪さも、時代遅れと評価される理由の1つです。顧客先への移動に多くの時間とコストがかかるため、一日の対応可能な顧客数が限られてしまいます。

アポイントが取れないことや、訪問しても担当者に会えないことも多く、無駄足のリスクが高いのが現状です。個々の営業担当者のスキルに依存する部分が大きく、品質の均一化が難しいという課題もあります。

一方、デジタルマーケティングやインサイドセールスは、より多くの見込み客にアプローチでき、データ分析による効率的な営業活動が可能です。

訪問営業に向いている人の特徴

訪問営業中のビジネスパーソン

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訪問営業での成功には、その人の性格や能力が大きく影響します。自分の適性を知り、必要なスキルを磨くことで、訪問営業のプロフェッショナルとして活躍できるでしょう。

前向きで失敗を引きずらない

訪問営業に携わる人には、前向きな姿勢と素早い気持ちの切り替えが求められます。顧客の反応は千差万別で、断られることも少なくありません。失敗を引きずらず、断られた理由を冷静に分析して、次回の改善点を見いだすことが重要です。

また、一日に複数の顧客先を訪問するため、各商談の間で気持ちをリセットし、常に最善のパフォーマンスを発揮する必要があります。

前向きさと柔軟な思考を持ち合わせた人材であれば、訪問営業で高い成果を上げられる可能性が高いでしょう。

初対面の人とも臆せずに話せる

初対面の人とも臆せずに話せる能力は、訪問営業において重要です。顧客先を訪れた際は礼儀正しくあいさつし、自己紹介をします。明るく丁寧な話し方を心がけ、相手の立場を尊重する姿勢を示さなければなりません。

初対面でも自然に会話を展開できる能力は、信頼関係構築の第一歩となり、商談成功の可能性を高めます。

逆に、初対面の相手とコミュニケーションを取るのが苦手な人や、相手の情報がないと動けない人にとっては、訪問営業のハードルは高いといえるでしょう。

相手の立場に立った考え方ができる

相手の立場に立った考え方も、訪問営業の成功に欠かせません。顧客のニーズや課題を深く理解し、適切な提案をするためには、相手の視点で物事を捉える必要があります。

法人向け営業の場合、顧客の業界特有の課題や競合他社との比較など、相手の立場でしか分からない情報を把握することで、より的確な提案が可能になります。

顧客の時間や予算の制約を考慮し、無理のない提案をすることも大切です。顧客の感情や価値観に寄り添った対応をすることで、信頼関係を築きやすくなるでしょう。

訪問営業に求められるスキル

コンサルティング

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訪問営業で成功するには、特定のスキルが不可欠です。これらのスキルは、顧客との信頼関係構築から効率的な業務遂行まで、幅広い場面で活用されます。就職・転職・キャリアアップに役立つ資格もチェックしましょう。

営業全般に必要な基本スキル

訪問営業の担当者は、以下のような「営業全般に欠かせない基本スキル」を身に付ける必要があります。

  • コミュニケーション能力
  • プレゼンテーション能力
  • 交渉力
  • スケジュール管理能力
  • 課題発見力
  • トラブルへの対応力
  • ロジカルシンキング

コミュニケーション能力というと、弁が立つ人を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、営業担当者に求められるのは、相手のニーズや本音をくみ取る「傾聴力」です。相手の考えや気持ちに寄り添う「共感力」も欠かせません。

就職・転職・キャリアアップに役立つ資格

保険・不動産・ソフトウエアといった無形商材の営業は、未経験者でも採用されやすく、本人の努力次第で収入アップが目指せます。営業職に従事する上で必須というわけではありませんが、以下のような資格があると、就職・転職・キャリアアップに有利でしょう。

  • 営業士検定
  • ビジネス実務法務検定
  • プレゼンテーション検定
  • マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)

「営業士検定」は、営業に必要なマーケティング知識や営業技術などのスキルを測る検定です。契約書の不備やトラブルを回避するために、「ビジネス実務法務検定」を通じてビジネス上の法律知識を学ぶ人も少なくありません。

業界によっては、「宅地建物取引士」「証券外務員資格」「ファイナンシャル・プランニング技能検定」も重宝されます。

訪問営業は苦労が多い分やりがいも大きい

訪問営業をするビジネスパーソン

(出典) pixta.jp

訪問営業は、対面でのコミュニケーションを重視する営業手法です。アポありとアポなしの手法があり、後者は必ずしも話を聞いてもらえるとは限りません。

訪問時の門前払いや初対面の人への提案など、苦労やプレッシャーの多い仕事ですが、契約が成立したときの喜びはひとしおです。自分の力を試したい人やコミュニケーションに自信がある人は、ぜひ訪問営業に挑戦してみましょう。

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