高齢化社会の進展やデジタル機器の普及に伴い、目の健康への関心が高まっています。目の専門家である「眼科医師」は、安定した活躍が期待できるでしょう。キャリアパスや働く魅力、未経験から目指す方法を解説します。
眼科医師とはどんな職種?
眼科医師は「目のお医者さん」として、視力検査から高度な手術までを幅広く担います。眼科医師としての役割や仕事内容をチェックしましょう。
眼科診療を行う医師
眼科医師は、目に関する疾患の診断と治療を専門とする医療従事者です。医師であるため、医師免許を取得しなければ従事できません。勤務先や保有資格にもよりますが、主な仕事内容は以下の通りです。
- 視力検査・眼底検査
- 眼科疾患の診断と治療
- 眼鏡やコンタクトレンズの処方
- レーシック施術
眼科医師は、単に目の病気を治すだけでなく、患者の生活の質を向上させることも役割です。視力は生活に欠かせない重要なものであり、眼科医師はその維持・改善に貢献します。
眼科医と眼科専門医の違い
眼科医師は「眼科医」と「眼科専門医」に分かれます。どちらも同じ眼科分野で働く医師ですが、資格や経験に違いがあります。
眼科医は、眼科での診療を行う医師全般です。一方、眼科専門医は、日本眼科学会が認定する専門的な資格を持つ医師を指します。
眼科専門医になるには、一定期間の研修を経た上で、厳しい試験に合格しなければなりません。より高度な知識と治療技術を有する証しでもあり、就職・転職・開業などの場面でも役に立ちます。
眼科専門医の場合、患者はより専門的で質の高い医療を受けられる可能性が高くなります。しかし、眼科医も日々の診療経験を積み重ねており、必ずしも資格の有無だけで医療の質が決まるわけではありません。
眼科医師の主な働き方
眼科医師の主な勤務先は、病院やクリニックです。経験を積んだ後に、開業医として活躍する人もいます。主な勤務先と働き方の特徴を見ていきましょう。
勤務医
病院勤務の場合、クリニック勤務の医師に比べて、勤務がハードになることが多いでしょう。チーム医療の一員として他の診療科の医師と連携するため、幅広い知識と経験が求められるのが特徴です。
大学病院や総合病院では、高度な医療機器を駆使して難しい手術や治療を行います。夜間や休日の当直もありますが、他の診療科に比べると、救急対応は少ない傾向があります。
研修医の指導や医学生の教育にも携わる機会があり、キャリアアップやスキルアップを目指せるでしょう。
クリニック勤務
クリニックや診療所に勤務する眼科医師は、地域に密着した医療を提供します。患者との関係性を築きやすく、定期的な診察や処方を通じて、患者の目の健康を長期的にサポートできるのが特徴です。
近年は、眼科疾患の診察や治療だけでなく、「レーシック手術」を行うクリニックも増加傾向にあります。
クリニック勤務のメリットは、夜間や休日の当直が少ないことです。一方で、高度な手術や治療が必要な場合は大病院へ紹介するなど、連携体制をしっかりと整えておく必要があります。
開業医
勤務医として経験を積んだ後、独立してクリニックを開業する人もいます。開業には多額の初期投資が必要ですが、自らの理念に基づいた医療を提供できるのがメリットです。
レーシックやICL(眼内コンタクトレンズ)など、自分の得意分野に注力し、高収入を得る眼科医師も増えています。地域のニーズや客層に合わせた診療体制を構築すれば、患者との信頼関係を深められるでしょう。
勤務医やクリニック勤務との大きな違いは、経営者としての視点と手腕が求められる点です。医療の質を保ちながら収益を上げる工夫をするのは、容易ではありません。医療技術はもちろん、経営管理能力や地域とのコミュニケーション能力も重要です。
眼科医師になるには?
眼科医師になるためには、長期的な教育と訓練が必要です。眼科医師を目指す人が踏むべき具体的なステップと、眼科専門医の資格を取得するまでの道のりを解説します。
医学部に入学して医師免許を取得する
眼科医師を目指す第一歩は、医学部への入学です。医学教育を経て、医師国家試験に合格し、医師免許を取得する必要があります。
医師免許の取得後は、2年間の初期臨床研修を受けます。その後、4年間の後期研修にて専門的な経験を積まなければなりません。この過程では、眼科特有の診断技術や手術手技を習得していきます。
後期研修を受けるには、2つのルートがあります。
- 大学で教育や研究をする
- 大学病院などで臨床経験を積む
教授を目指す人や研究に携わりたい人は、大学に残るルートを、眼科医師として患者に関わりたい人は、臨床経験を積むルートを選択するのが一般的です。
眼科専門医の資格取得を目指す
眼科専門医の資格取得は、眼科医師としてのキャリアを確立する重要なステップです。この資格を得るには、日本眼科学会の専門医制度に登録した上で、専門医認定試験に合格する必要があります。
眼科専門医の資格取得後は、十分な知識・経験を有する者として、正しい眼科医療を自信を持って提供できます。患者からの信頼が得られやすくなるほか、病院やクリニックへの就職・転職でも有利になるでしょう。
なお、眼科専門医の資格は5年ごとの更新制であり、継続的な学習と技術向上が求められます。
眼科医師を目指す魅力
眼科医師になるまでの道のりは長く厳しいものですが、他の診療科の医師にはない多くの魅力があります。将来性も高く、自分の努力次第では安定した収入を維持できるでしょう。
患者の増加で需要は安定
眼科医師の将来性は高く、今後も安定した需要が続くと予想されます。その背景には、加齢に伴う疾患の増加や、デジタルデバイスの普及による目の健康への関心が挙げられます。
特に、白内障や緑内障などの加齢性疾患の患者数は年々増加傾向にあり、眼科医師の専門的な指導とケアが欠かせません。近視や乱視などの屈折異常に対する治療や、コンタクトの処方に対するニーズも高まっており、眼科医師の役割はますます重要になっています。
新しい治療法や診断技術の開発により、眼科医療の可能性は広がり続けています。そのため、眼科医師は、安定したキャリアを築きやすい職種の1つといえるでしょう。
キャリアの選択肢が多い
眼科医師は、継続的な学びと挑戦によって、自分の価値を高め続けられる魅力的な職種です。眼科専門医の資格取得はその一例で、高度な診療技術と豊富な知識を証明できます。
特定の疾患や治療法に特化したサブスペシャリティを持つことで、より専門性の高い医療を提供できるようになるでしょう。 大学病院や研究機関での研究活動に携わることで、最新の医療技術の開発に貢献することも可能です。
こうしたキャリアアップは、年収の向上にも直結します。 例えば、眼科専門医の資格取得後は、年収が大きく向上するケースも珍しくありません。開業して自分のクリニックを経営することで、さらなる収入アップを目指せます。
ワークライフバランスを実現しやすい
勤務先にもよりますが、眼科医師は、他の診療科と比較してワークライフバランスを実現しやすい傾向にあります。
その要因の1つには、緊急性の高い症例が比較的少なく、夜間や休日の呼び出しが少ないことが挙げられます。手術は大部分が計画的で、突発的な長時間労働は少なめです。
また、多くのクリニックでは土日診療を行いません。そのため週末は、家族と出掛けたり趣味を楽しんだりと、好きなように過ごせます。クリニック勤務は勤務時間が規則的なので、自分のライフスタイルに合った働き方を選択しやすいでしょう。
眼科医師は将来性の高い職種
眼科医師は、目の健康を専門とする医療従事者です。病院やクリニックなどに勤務し、さまざまな眼科疾患の診断・治療を行います。
眼科医師を目指す人の多くは、医学部卒業後に計6年もの研修を経て、眼科専門医の資格を取得します。眼科専門医になれば、高度な専門性と技術を生かして、より多くの患者の治療に携われるでしょう。
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