樹木医になるには?資格取得のステップと仕事内容、年収を徹底解説

樹木医は、樹木の健康管理や病気診断、治療などを行う専門家です。調査研究や緑地設計にも携わり、業務を通して自然環境の保護・改善を手助けします。樹木医に興味がある人に、具体的な仕事の内容や資格取得の方法、働き方について解説します。

樹木医とは?役割と仕事内容

木をチェックする人物

(出典) pixta.jp

樹木医はその名の通り、樹の医者としての知識やスキルを持つ人のことです。樹木といっても天然記念物から街路樹、庭木までさまざまで、樹木医の活動も多岐にわたります。具体的な役割と、仕事の内容を見ていきましょう。

樹木医の定義と役割

樹木医は、公益財団法人日本緑化センターが認定する民間資格です。巨木や古木、街路樹、森林などさまざまな場所で、樹木の保全に携わります。

主な役割は、樹木の調査・研究、診断・治療、そして公園緑地の計画・設計・管理などです。具体的には、樹勢回復や保護管理、落枝や倒木による被害の抑制、後継樹の育成などを行います。樹木に関する知識の普及・指導も重要な任務です。

近年、環境悪化や病虫害により樹木の衰弱が進んでいることから、専門家による適切な保護対策がますます求められています。樹木医は緑を守り、健全な生態系を維持する上で欠かせない存在といえるでしょう。

樹木医の具体的な仕事内容

樹木医の仕事は、樹木の診断から始まります。現地で樹高・樹齢・幹の太さ・葉の状態などを調査し、ときには幹に穴を開けて、内部の状態を確認することもあります。

カルテと治療計画書を作成し、依頼主の確認を取ったら、治療開始です。必要に応じて、病害虫の駆除や消毒・枝の剪定・土壌改良などを実施します。重機を使用した大がかりな移植や、長期的な治療が必要になるケースも少なくありません。

樹木医の専門知識は、診断・治療だけでなく、住宅開発に伴う古木の移植や街の緑化計画など、幅広い分野で生かされます。地域のイベントや学校などで、樹木の大切さや保護する方法などを教えることもあります。

樹木医資格の取得方法

木を見る人

(出典) pixta.jp

樹木医になるには、公益財団法人日本緑化センターが実施する資格審査に合格しなくてはなりません。資格取得の具体的な手順を見ていきましょう。

樹木医資格の取得要件と試験内容

資格審査を受けるには、以下の要件のいずれかを満たす必要があります。

  • 樹木関連の業務経歴が5年以上
  • 樹木医補認定後、業務経歴が1年以上

樹木関連の業務とは、「調査・研究、診断・治療、保護・育成・管理、公園緑地の計画・設計・設計監理など」です。

審査は2段階あり、1次審査では筆記試験と業績審査が行われます。2次審査は、講習や実習がメインです。最終日に面接があり、資格審査を経て合格発表となります。

合格後「樹木医登録申請書」を提出し、登録が終わると晴れて樹木医を名乗れます。

出典:(一財)日本緑化センター 樹木医制度

樹木医補資格について

樹木医補とは、学生を対象に、樹木医の資格を取りやすくするために設けられた資格です。樹木医同様、公益財団法人日本緑化センターが認定します。

通常、樹木医試験を受けるには、5年以上の業務経歴が必要ですが、樹木医補は1年でよく、受験料も優遇されます。

資格養成機関に認定・登録された大学などで、申請に必要な科目を履修し、卒業した人は、日本緑化センターに申請することで認定されます。

出典:樹木医補資格認定制度/(一財)日本緑化センター

樹木医の需要と働き方の実態

木を調べる

(出典) pixta.jp

樹木医資格を取得した後の働き方や、収入が気になる人もいるでしょう。主な就職先や将来性、年収などについて解説します。

樹木医の主な就職先と需要動向

樹木医の主な就職先は、造園業者や林業会社です。大手から地域密着型まで、さまざまな規模の会社が存在します。地方公共団体の農林・緑化関係職に就くケースも少なくありません。

樹木医が対象とする樹木は、天然記念物や神社の御神木から街路樹・公園の樹木・一般家庭の庭木まで多岐にわたります。しかし業界全体で見ると樹木医の数は十分とはいえない状況です。

業界が後継者の育成活動に力を入れている現状から考えても、樹木医の需要は今後も安定して続くと予想されます。

樹木医の年収と昇給の可能性

樹木医の年収に関する公式なデータはありません。専業で働く人は少なく、多くは造園会社などに勤務しているため、勤務先の給与体系によって異なるのが実情です。

なお造園工の年収は約374万円、林業技術者の年収は約554万円です。樹木医の年収も、同じくらいと考えてよいでしょう。

より高収入を得るには、大学教授になる・大手企業で役職に就く・独立して造園業を営むなどの方法があります。

ただしいずれも、樹木医としての経験やスキルだけでなく、知名度を上げたり業界ネットワークを構築したりといった、ほかのビジネススキルが求められることは言うまでもありません。

出典:造園工 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))

出典:林業技術者 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))

樹木医としてのキャリアパス

樹木医としてのキャリアパスは多様です。樹木医の需要は安定しており、経験を積むほどキャリアの可能性が広がります。

例えば造園会社や公共機関での勤務を通じて、さまざまな樹木の診断・治療技術を磨くことで、研究機関での調査活動や大学での教育活動など、活躍の場を広げる機会が生まれます。

環境保護団体や国際機関での活動を通じて、グローバルな視点で樹木保護に貢献することも可能です。継続的な学習と実践を重ねることで、樹木医としての価値が高まり、より高度な案件を担当できるようになるでしょう。

樹木医は自然環境や景観を守る仕事

木に聴診器を当てる

(出典) pixta.jp

樹木医は、樹木の健康を守る専門家として、造園会社や自治体などさまざまな場所で需要があります。資格取得には、一定の要件と試験合格が必要です。

仕事の内容は健康診断や治療、保護対策の立案など多岐にわたります。自然環境保護への関心が高まっている近年、樹木医は不足しており、安定したニーズが見込めます。

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