派遣社員として働いていて契約満了の知らせを受けた場合、どのように行動すればよいのか分からなくなるかもしれません。誤った認識を持っていると、不利な立場になってしまう可能性があります。契約満了の意味や対処法などを確認しましょう。
契約満了の意味
契約社員や派遣社員など有期労働契約で働いている人にとって、契約満了は重要な意味を持ちます。どのような状況を指す言葉なのかを知っていれば、適切な対応が可能です。契約終了やクビとの違いも見ていきましょう。
定められた契約期間が終わりを迎えること
契約満了とは、契約社員や派遣社員など期間の定めがある雇用契約の、契約期間が終わることを指します。有期労働契約の場合、労働条件を確認する際に半年あるいは1年などの契約期間が提示されます。
どの程度の期間で契約をするかは、ケースバイケースです。契約期間が終わる日を契約満了日と呼び、契約が更新されなければ退職となります。今後も働き続ける予定なら、満了日を迎える前に身の振り方を考えなければなりません。
派遣社員の場合、通常は登録先から新しい仕事を紹介してもらうなどの行動が必要です。有期労働契約に対して、正社員のように期間の定めがない労働契約を無期雇用契約といいます。
契約終了やクビとの違い
契約満了と混同しがちなものに、契約終了やクビがあります。状況は似ていますが、以下のように意味が異なるので注意しましょう。
- 契約終了:定められた期間の途中で雇用契約を解除すること
- クビ:解雇を指し、会社側が一方的に労働契約を解除する際に使う
契約終了は契約解除と同じ意味を持ち、特別な理由がない限り、簡単にできるものではありません。体調不良や身内の世話など、やむを得ない事情で仕事を続けるのが困難になった場合に適用されます。
解雇とは労働者の同意の有無にかかわらず、会社側が一方的に労働契約を解除することです。従業員が就業規則を守らない場合や、会社の経営が著しく悪化したときなどに行われます。
重大な違反行為をした従業員に対しては、懲戒解雇と呼ばれる重い処分が下されるケースもあります。
契約満了が近づいたら
契約満了になると仕事を失ってしまうため、どのようなタイミングで仕事を探すか悩む人もいるでしょう。あらかじめ流れが分かっていると、退職の準備をしやすくなります。派遣社員を例に、契約満了から新しい仕事を見つけるまでの流れを確認しましょう。
契約満了の30日前に告知される
有期労働契約を結んでいる派遣社員は、契約満了日が来ると自動的に労働契約が終了します。
1年を超えて勤務している人、3回以上契約更新をしている人について、契約を更新しない場合、会社は契約満了の30日前までに労働者に告知しなければならない決まりです。
何の知らせもないままに、ある日突然、契約満了になって仕事がなくなることはありません。
次の働き先が決まるまでに間を空けたくないのであれば、契約満了日を迎える前に、新しい仕事を探し始めるのが一般的です。告知を受けたタイミングで仕事を探し始めてもよいでしょう。
新しい派遣先を紹介してもらう
派遣会社に登録している場合は、担当者と話し合ってキャリアに合う仕事を紹介してもらいましょう。担当者は、登録している派遣社員のこれまでの経歴や得意分野などを把握しているので、スムーズに話が進むはずです。
今後、どのようなスキルアップを目指すかなどを話し、希望の勤務先のイメージを伝えましょう。業務を通じて新しく身に付けたスキルや働きやすいと感じた点などを伝えると、より自分に合う勤務先が見つかりやすくなります。
派遣会社の求人票をチェックし、自ら積極的に新しい仕事を探す方法もおすすめです。
派遣会社を変える
現状に不満があり、ステップアップしたいなどの気持ちがあるなら、派遣会社を変える方法もあります。ライフステージが変化したため働き方を変えたくなった人や、新しいキャリアへの興味が湧いてきた人も、いるかもしれません。
派遣会社にはそれぞれ得意分野があります。現在の会社で希望の仕事が見つからなくても、違う会社では好条件の仕事に巡り会える可能性があります。今後の展望や理想の働き方に合いそうなところを探し、登録してみましょう。
例えば、スキルアップやキャリアアップを希望するなら、研修制度が充実している会社を選ぶのも一案です。希望する職種や業界があれば、そこに強みを持つ会社を選ぶとよいでしょう。
転職する
これまでのキャリアを生かし、正社員に転職する方法もあります。契約更新の必要がなく、安定して働ける点は正社員になるメリットの1つです。非正規社員に比べて、賞与や退職金、福利厚生などが手厚い傾向にある点も見逃せません。
転職活動でアピールするポイントは、これまでの派遣社員としての経験から得たスキルなどです。多くの仕事を経験してきたことで、得意分野を複数持っている人もいます。希望する職種とのマッチング度合いが高いものを中心にアピールすることが大切です。
雇用契約が更新されない理由
契約満了後に、新たに有期雇用契約を更新する場合もありますが、そうでない場合もあります。有期契約労働者の雇用契約が更新されない理由には、どのようなものがあるのでしょうか。
労働者と使用者のどちらかが更新に応じない
労働契約は労働者と使用者の両方が合意して結ぶものです。更新も同じで、労働者側が更新に応じないこともよくあります。
労働者側が更新を断る背景には、勤務先との相性やキャリアップ、家庭の事情などさまざまな理由が考えられます。
使用者側が労働者との契約を更新しない理由としては、担当業務の中止・事業縮小・能力不足などが代表的です。
一時的な繁忙期への対策や、休業中の社員の穴埋めなどで派遣社員を採用する場合もあり、本人の能力とは関係ない理由で更新されないケースも少なくありません。
正社員登用されることになった
企業が正社員登用制度を設けている場合や、紹介予定派遣で働いている場合は、契約満了後に正社員登用されるケースもあります。労働契約の内容が変われば、結果的にそれまでの有期雇用契約の更新を終えることになるのです。
正社員登用制度のある会社では、契約社員や派遣社員として働いている間に高い評価を受ければ、話し合いや選考などを経て無期雇用契約に変更されます。
紹介予定派遣は、正社員や契約社員への切り替えを前提とした制度です。企業と労働者の双方が、相性を確認できるメリットがあります。
実際に働いてから希望を決められるので、お互いに後悔が少ない方法です。今は派遣社員でも、いずれ正社員になりたいと考えているなら、利用する価値があるでしょう。
派遣社員として働き始めて3年がたった
派遣社員として働き始めて、3年経過したときも、契約更新とはなりません。派遣法によって、同じ派遣先企業の同一部署で3年以上は働けないルールが設けられているのです。
ただし、派遣元で無期雇用されている場合は対象外になるなどの例外もあります。また同じ会社で働き続けたい場合、別の部署に異動すれば問題ありません。
例えば、総務課で3年、人事課で3年というように、異なる課であれば3年を超えて同じ会社で働くことも可能です。
契約満了した場合の履歴書や退職届の書き方
契約満了後の仕事を探し始めるにあたって、履歴書にどのように記載するか迷う人もいます。契約満了時の職歴や退職届の書き方を見ていきましょう。
履歴書には「契約期間満了につき退職」と記載
自己都合で退職する人は履歴書に「一身上の都合により退職」と記載するのが一般的ですが、契約満了を迎えて退職する場合は、以下のように記載しましょう。
2024年4月 株式会社○○ 入社(派遣社員)
2025年3月 契約期間満了につき退職
退職年月の後に続けて、理由を書きます。契約社員か派遣社員かといった、雇用形態を書いておくと、退職理由が伝わりやすくなります。
原則として退職届は不要
退職届は自己都合による退職の際に準備します。例えば、契約途中で病気療養のために退職することになったなどの場合は、自己都合での退職となるので退職届が必要です。
契約満了の場合は退職届の必要はありませんが、求められたら「契約期間満了に伴い退職」と記載しましょう。
契約満了のタイミングで会社側に退職を促されたケースでは、会社都合での退職となる旨を記載します。退職理由は失業保険を受け取る時期や期間などに関係するので、正確に書くことが大切です。
契約満了後に失業保険がもらえる場合も
雇用保険に加入している人は、契約満了後に失業保険を受け取れる可能性があります。失業保険を受け取るための条件や、退職理由の違いによる支給日数の違いなどを見ていきましょう。
雇用保険への加入が必須
雇用保険は1週間の所定労働時間が20時間以上、31日以上雇用される見込みなどの条件が満たされた場合に加入する義務があります。加入手続きは雇用主側が行うので、条件を満たす場合は派遣会社が手続きを済ませているでしょう。
離職前の勤務先で一定期間以上雇用保険に加入している場合は、失業保険を受け取れます。原則として、離職日以前の2年間で、被保険者である期間が通算1年以上なければなりません。
倒産や解雇などを理由に退職したケースでは、離職日以前の1年間で6カ月以上雇用保険に加入していればよいという決まりです。
失業保険は再就職を目指す人の生活をサポートするためのものなので、すぐに働ける状態にあることも求められます。出産や病気療養などですぐには就職できない場合、一定期間は働けないと判断できるため対象外です。
支給日数は自己都合か会社都合かで異なる
失業保険の支給日数は、退職理由によって異なります。退職理由によって受給資格者の区分が異なるためです。
契約満了で更新せずに退職する場合、基本的には一般的な受給資格者になります。7日間の待期期間を経て、被保険者だった期間に応じた日数分が給付されます。例えば1年以上5年未満なら90日間、基本手当の支給を受けられる仕組みです。
会社の倒産や解雇、派遣会社から1カ月以上仕事を紹介してもらえないなどの事情があるならば、会社都合での退職です。この場合は特定受給資格者に該当し、一般的な受給資格者よりも内容が手厚くなります。
特定受給資格者は年齢や被保険者だった期間に応じて、決められた日数分の支給を受けられる決まりです。例えば、30歳以上35歳未満で、被保険者だった期間が1年以上5年未満なら120日間の給付を受けられます。
出典:ハローワークインターネットサービス 基本手当の所定給付日数
契約満了の意味を理解し新しい仕事を探そう
契約満了は有期雇用契約の期間が終わることを意味し、契約を更新しない限りは退職となります。使用者は、満了日の30日前までに従業員に対して告知する義務があります。
派遣社員は同じ職場で3年以上は働き続けられないというルールがあり、期限が来れば新しい派遣先を探すことが必要です。すぐに仕事が見つからない状態ならば、失業手当を受け取りましょう。
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