観光大使という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。しかし、どのような仕事をしているのかは、あまり知られていないかもしれません。観光大使の活動内容や、選ばれるための条件などについて解説します。
観光大使とはどんな役割?
観光大使とは、簡単にいうと観光地をPRするために選ばれた人です。どのような役割として期待されているのか、詳しく見ていきましょう。
観光地の認知度向上を担う
観光大使は、特定の地域や観光地の魅力を広める人のことを指します。観光大使を任命する目的は、地元の特産品・文化・歴史・自然などの魅力を伝えて地域のイメージアップを図り、観光地としての認知度を向上させることです。
地域の観光業を活性化させ、経済振興に寄与する役割といえるでしょう。また、単なるPR活動だけにとどまらず、地域のまちづくりに関して助言することもあります。
観光大使に任命されるということは、地域を代表して地元の良さをアピールする立場になるといってよいでしょう。
基本的に任期のあるボランティア
観光大使は、自治体や観光協会などによって任命される役割で、あくまでもボランティアという立場になります。そのため、基本的に活動に対する報酬は発生しません。
ただし、活動に必要な交通費・宿泊費が支給されることや、自治体によっては予算の範囲内で謝礼金が支払われるケースもあります。
また、地域によって任命される期間は異なるものの、任期が定められているのが一般的です。活動実績によっては、自治体が定めた期間で更新されることもあるようです。
観光大使の主な活動内容
観光大使の主な活動内容についても見ていきましょう。代表的な3つの活動を紹介します。
観光イベントやフェアでのPR活動
観光大使の役割としてよくあるのが、イベントやフェアでのPR活動です。全国各地で開催される観光フェアや地域の祭りに参加し、会場に設けられたブースでパンフレットの配布や特産品の案内などを行って観光客を誘致します。
場合によっては、ステージ上で地域の魅力をアピールすることもあるでしょう。観光大使のPR次第で地域が大きく注目されることもあるため、対外的な認知度を向上させる重要な活動といえます。
メディア出演や広報活動
より広範囲なPR活動をするために、テレビやラジオなどのメディアに出演することもあります。情報番組などに観光大使が出演し、イベントの告知をしているのを見たことがある人も多いのではないでしょうか。
また、最近ではSNSなどのデジタルメディアを活用し、日常的な広報活動を行うことも一般的になりました。例えば、観光地としての特色を動画や写真で発信することで、視覚的にその土地の魅力を伝えられます。
特に、SNSを活用した広報活動は、テレビやラジオなどをあまり視聴しない若い世代へのアプローチとしても効果的です。
まちづくりへの提言やアドバイス
観光という観点から、地域のまちづくりに関する提言やアドバイスをすることもあります。観光を考えたまちづくりの目的は、移住や定住の促進ではなく、観光客を呼び込んで地域全体を活性化させることです。
例えば、観光資源の活用方法について意見を述べたり、イベントの企画についてアイデアを出したりすることもあります。また、特産品を企画するなど、地域全体のブランディングに関わる機会もあるでしょう。
観光大使に選ばれるのはどんな人?
観光大使として地元のために活動したいと考えている人もいるでしょう。観光大使に選ばれるにはどうすればよいのでしょうか。必要な条件について解説します。
観光大使に選ばれるための条件
自治体や観光協会によって異なりますが、基本的には地元に何かしらのゆかりがあることを条件とするのが一般的です。多くの場合、現在その地域に在住・在職・在学している、あるいは、過去にしていたことが求められます。
性別や配偶者の有無などは問われないケースもありますが、観光大使として任命されている期間を通じて、指定されたイベントに参加できることが必要です。
また、地域の魅力を発信する役割として、地元の観光資源に関する知識をある程度身に付けていることが理想でしょう。さらに、地元を代表する立場でもあるため、地域に対する愛着はもちろん、誠実さや責任感といった人間性も重視されます。
地元出身の著名人が選ばれる理由
観光大使には、地元出身の著名人が選ばれることもよくあります。著名人としての知名度を生かすことで、観光地のPR効果が高まるためです。
例えば、俳優やスポーツ選手などが観光大使に就任すると、その人のファン層を通じて観光地として関心を持ってもらえる効果が期待できるでしょう。
また、地元出身の著名人が観光大使を務めると、「地元愛」を象徴する存在となり、多くの人に親しみを持ってもらえるというメリットもあります。
一般人が就任する方法
観光大使は著名人だけでなく、一般人から選ばれることもあります。自治体によっては、公募を通じて観光大使を選ぶケースもあるので、観光協会のホームページなどをチェックしてみるとよいでしょう。
一般人が就任する場合は、地元の観光地を愛し、その魅力を積極的に伝えたいという熱意を持っていることが重要です。
一般人の場合は、地域住民としての視点を生かしながら、観光地としての魅力をアピールすることが期待されるでしょう。中には、地元が好きなら誰でも観光大使として登録できる自治体もあります。
観光大使に似た役割
観光大使以外にも、地元の魅力をアピールするさまざまな役割が存在します。代表的な役割を3つ挙げて紹介します。
ふるさと大使
ふるさと大使も観光大使と同様に、地域の魅力をアピールする役割です。しかし、ふるさと大使は観光大使に比べて活動の幅が広く、地域の全般的な魅力を発信する役割を担います。
また、ふるさと大使になるためには、必ずしもその地域に在住している必要はありません。地域外に在住していても、地元出身者であれば、ふるさと大使に任命される可能性はあります。
ただし、観光大使のように公募によって選出されるのではなく、自治体の首長などが地元にゆかりのある人物から選ぶのが一般的です。
親善大使
親善大使は、地元の魅力を伝えるだけでなく、異なる地域間の交流を促進して友好を深めるのが役割です。国際的な場面で活動することも多く、地域の魅力を発信しながら友好関係を深める役割を担っています。
また、地域だけでなく、「ユネスコ親善大使」や「ユニセフ親善大使」のように、世界的に活動を展開している団体から任命されることもあります。親善大使も観光大使と同様に、無報酬のボランティアとして活動するのが一般的です。
ゆるキャラ
ゆるキャラとは、「ゆるいキャラクター」または「ゆるいマスコットキャラクター」の略で、地域の特徴を反映したかわいらしいマスコットキャラクターのことをいいます。親しみやすいデザインで、子どもや若者をはじめ、幅広い世代に地域の魅力をアピールできるのが特徴です。
キャラクター化されているため、商品のパッケージデザインなどに使われることもあり、知名度が上がるほどPRの効果も期待できるでしょう。さらに、キャラクターグッズなどを展開している自治体もあり、地域経済の活性化にもつながっています。
観光大使は地域の認知度向上に貢献する役割
観光大使とは、観光地としての地域の魅力をPRする役割を担った存在です。観光イベントやフェアでのPRのほか、さまざまなメディアでの発信やまちづくりに関する提言など、活動内容は多岐にわたります。
著名人が任命されるケースが多く見られますが、公募している自治体もあり、一般人でも就任できることがあります。地元愛があり、地域の魅力を伝えたいという人は、観光大使にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。