部署異動や転勤を伴う異動では、さまざまな人へ挨拶をしなければなりません。挨拶のタイミングや内容、伝える相手を把握しておきましょう。メールでの挨拶と、直接挨拶する場合の例文も紹介します。部署の仲間に渡すプレゼント選びのコツも見ていきましょう。
「異動挨拶」の基本知識
辞令により、部署異動や転勤を伴う異動となった場合、各所へ挨拶が必要です。挨拶に盛り込む内容やタイミング、送る相手を紹介します。
挨拶に盛り込むべき内容
異動の際は、一般的にこれまでお世話になった人たちに挨拶をします。異動の挨拶を口頭やメールで知らせる場合、知らせる相手によって盛り込むべき内容は変わります。
上司・同僚・部下には、異動に関する具体的な情報、異動の日付、これまでの感謝の気持ちを伝えることが重要です。部署内での引き継ぎや、後任者の情報は通常共有されているため、特に新しい情報がなければ挨拶に集中しましょう。
取引先・顧客には、お世話になった感謝の意とともに、引き継ぎ予定や後任者の情報を提供します。これにより、今後の取引がスムーズに継続されることを明示し、信頼関係を維持できます。
異動先の場所や新しい肩書きについては、詳細を尋ねられた場合に限り提供する程度で十分です。そうすることで、必要な情報を提供しつつ、相手に負担をかけないように配慮することができます。
タイミングは異動が正式に決定してから
異動が正式に決定し発表されるまでは、異動の事実を話してはいけません。途中で変更になるケースも多く、場合によっては混乱を生じさせたとして異動の話が立ち消えになる可能性もあります。
挨拶のタイミングは、正式な発表後にしましょう。しかし、発表された時点で、すぐにメールで挨拶をするわけではありません。メールを送るタイミングは、状況と相手によって変化します。
取引先・顧客には、異動の数週間前までにメールで伝えられていると好印象です。後任者が決まっていない場合は、会社と相談した上で取引先へ知らせるタイミングを検討すると、混乱を防げます。
社内の関係者には、異動数日前をめどに挨拶をしておきます。口頭・メールは問わず、送別会がある場合は日にちを確認した上で、挨拶のタイミングを考えるとよいでしょう。
挨拶の相手について
一般的に、異動前に必ず挨拶をする相手は、現部署と取引先です。取引の途中で異動となれば、お世話になった顧客に連絡する人もいるでしょう。
現部署への挨拶は、主にこれまでのお礼を伝えるために行われます。取引先へは引き継ぎによる混乱がないよう、挨拶を兼ねて連絡するのが基本です。
顧客に対しては、取引の途中で異動するおわびや、異動先でも付き合いが続くときに挨拶をするケースが多いでしょう。
会社の方針・状況によっては、異動先に事前の挨拶をするパターンもあります。転勤を伴う場合は、異動先の状況が分からないことも多いため、連絡先の確認や挨拶をすべきかどうかを含めて会社に相談・確認すると確実です。
これから働く場所でうまくやっていくためにも、礼儀やマナーとして挨拶をしておくと良い印象を与えられるでしょう。
【例文】現部署への挨拶
現部署への挨拶は、全員向けの連絡と個別の挨拶に分かれます。個別の挨拶は関係性や立場によって内容が大幅に変わるため、部署全体への連絡をする際の例文を確認しましょう。
メールで挨拶をする場合
現部署へのメール連絡は、突然の異動となり全員に連絡できないときや、業務連絡が含まれるときに役立ちます。時間があるときは、直接の挨拶や個別メールも検討しましょう。
【例文】
件名:異動のお知らせ 〇〇〇〇(名前)
△△部 各位
お疲れさまです。〇〇です。
このたび、〇月〇日付で■■部へ異動することとなりました。
業務は後任の〇〇へ引き継いでおりますので、〇日以降のご連絡は以下の電話番号へお願いいたします。
電話番号:XXX-XXXX-XXXX
△△部で皆さまと働いた3年間は、私にとって貴重な財産です。特に、〇〇プロジェクトの際は多くの方に助けていただき、ありがとうございました。
本来は個別に直接ご挨拶すべきところ、メールでのご連絡となり恐縮です。
今後も何卒、よろしくお願いいたします。
なお、挨拶や感謝の気持ちを伝えるエピソードが長くなる場合は、引き継ぎ情報や業務連絡と分けて連絡すると親切です。
直接挨拶をする場合
現部署では、退職日や送別会の際にスピーチを求められることがあります。当日に慌てないよう、内容を考えておきましょう。
【例文】
お疲れさまです。
このたび、〇月〇日付で■■部へ異動することとなりました。
△△部の皆さまには、この3年間大変お世話になり、感謝の気持ちでいっぱいです。
新しい部署でも、これまでの経験を生かし、頑張っていきます。
■■部に異動後も皆さまと仕事をする機会があるかと思いますので、今後も変わらずよろしくお願いいたします。
基本的な内容以外に、部署内でのエピソードや心に残ったことがあれば、付け加えましょう。スピーチの時間を2~3分程度に収めると、長すぎず短すぎない挨拶になります。
【例文】異動先への挨拶
異動先への挨拶は、事前連絡と着任当日のスピーチがあります。事前連絡は状況によって割愛するケースもありますが、それぞれの例文を確認しましょう。
メールで挨拶をする場合
異動先へ事前の挨拶をする場合、適切な連絡先を確認した上でメールを送りましょう。責任者や部署全体など、宛先によって盛り込む内容も変わってきます。
【例文】
件名:異動のご挨拶 △△部〇〇(名前)
お疲れさまです。〇〇です。
取り急ぎ、ご挨拶としてご連絡いたしました。
このたびの辞令により、〇月〇日付で■■部に着任いたします。
着任までに共有事項がございましたら、△△部または個人連絡先までご連絡ください。
不慣れな点もあるかと思いますが、これからどうぞよろしくお願いいたします。
(署名・連絡先)
状況によっては、電話での確認や責任者への直接連絡が適しているケースもあります。着任前の連絡先を伝えておくと、スムーズに伝達ができるでしょう。
直接挨拶をする場合
朝礼や業務連絡で着任者の紹介があれば、全員の前でスピーチを求められることがあります。事前に考えておけば、戸惑う心配はないでしょう。
【例文】
お疲れさまです。〇〇と申します。
本日より■■部のマネージャーとして働くことになりました。
△△部では〇〇の業務を担当しており、■■部でも皆さまのサポートができればと考えております。
慣れるまでは皆さまに助けていただくことも多くなると思いますが、どうぞよろしくお願いします。
着任後のスピーチは、特別な交流やエピソードがなければ短くまとめます。業務内容や部署の雰囲気がつかめないときは、簡単な挨拶と協力のお願い程度でも支障はないでしょう。
【例文】取引先への挨拶
取引先への挨拶は、異動までの日数や直接の交流があるかどうかで連絡方法が変わります。直接会う時間がない場合は、メールで連絡をしておくと誠意が伝わりやすいでしょう。
メールで挨拶をする場合
取引先への挨拶は、直接の連絡が基本です。しかし、時間がないときやもともとメールだけの交流であれば問題はありません。
【例文】
件名:異動のお知らせ 社名・部署・名前
〇〇株式会社 〇〇部 〇〇様
いつもお世話になっております。〇〇株式会社の〇〇です。
突然ではございますが、このたび〇月〇日付で▲▲へ異動となりました。
直接お伺いできず、メールでの連絡となり申し訳ございません。
〇日には後任者の■■がお伺いする予定ですが、それまでにご質問などございましたら、私か■■までご連絡ください。〇日以降は■■が対応いたしますので、よろしくお願いいたします。
(後任者の氏名・連絡先)
〇〇様には、大変お世話になりました。担当は変わりますが、今後も変わらぬお引き立てをお願い申し上げます。
(署名・自分の連絡先)
後任者の情報や、異動日などは必ず伝えましょう。
直接挨拶をする場合
取引先に直接挨拶をする場合、アポイントメントが必要なケースがあります。特に後任者とともに責任者・担当者へ挨拶する場合は、予定を確認しておきましょう。
【例文】
お世話になっております。
急なことで申し訳ありませんが、このたび〇月〇日付で▲▲に異動することになりました。
〇〇様には長い間懇意にしていただき、感謝しております。
〇日までは後任者の■■と2人でお伺いし、ご挨拶をさせていただく予定です。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
異動日や後任者の話以外に、連絡先や引き継ぎ中の注意点、引き継ぎ後の変更点があれば併せて伝えておきましょう。
異動の挨拶ではプレゼントが必要?
異動の際、現部署や異動先に対してプレゼントを持参するケースがあります。送別会や歓迎会のお返しという側面もありますが、プレゼントは必須なのでしょうか?
プレゼントは義務ではない
異動時には、送別会や歓迎会で物をもらう機会が増えます。自分もプレゼントをするべきなのか、悩む人もいるでしょう。
基本的に、現部署・異動先へプレゼントをするかどうかは、会社の慣習や状況によって変わります。義務ではないため、プレゼントをする慣習があるときや、お礼の気持ちを表したいときには検討しましょう。
今後、現部署や異動先の社員と交流するのであれば、何らかのプレゼントを用意しておく方がスムーズなコミュニケーションが取れるかもしれません。
プレゼント選びの基本
異動の際、現部署や異動先へのプレゼントを用意するときは、職場の人が受け取りやすいものを選択しましょう。部署全体・個人宛てを問わず、食品などの消えものがおすすめです。
基本的には、好みが分かれにくく賞味期限の長いものが適しています。焼き菓子・和菓子・チョコレート・紅茶・コーヒーなど、相手の好みに合わせて選ぶとよいでしょう。
特に、分けやすい個包装になっているものが向いています。お菓子は職場で食べることを考え、こぼれにくく手が汚れにくいものが喜ばれるでしょう。
異動の挨拶に関するQ&A
異動の挨拶でメールを送る場合、把握しておきたいポイントがあります。Q&A方式で、疑問への回答を確認しましょう。
挨拶メールは一斉送信でもOK?
挨拶メールが一斉送信OKかどうかは、メールを送る目的によって変わります。通常、現部署の上司・同僚・部下は、目の前で引き継ぎや辞令を見ているため、直接挨拶するのが自然です。
ほとんどの人に直接挨拶を済ませた状態で、異動日・異動先・引き継ぎの詳細を知らせる挨拶メールであれば、一斉に送信しても問題はありません。
それぞれのメールアドレスが見えないように、BCCでメールを送信しましょう。会えていない人や、特にお世話になった人には別途メールを送ります。
急遽異動が決まったときや、人数が多く異動の事実を知らない人が多いときも、一斉送信はやむを得ないでしょう。この場合も、BCCを使ってアドレスが見えないようにします。特にお世話になった人には個別でメールを送り、お礼を伝えるのがマナーです。
返信が来たら再度返信が必要?
異動の挨拶に対して、返信が来ることもあるでしょう。その場合、内容によって返信の有無を決めます。
挨拶メールに対する返信は、何らかの質問事項や激励の言葉などでしょう。質問があれば、答えるのがマナーです。
単なる激励の言葉であれば、すぐに返信が必要なものではありませんが、お礼とメール終了の合図を返信すると気持ち良くやりとりが終わります。
相手のメールに「返信不要」「こちらからまた連絡します」「締めの挨拶」など、返信が要らない旨が書かれていれば、特別な質問がない限り返信しなくても問題ありません。
現部署から取引先まで気配りを忘れずに
異動が決まったときは、お世話になった人たちへ挨拶をします。必要に応じて、異動先への連絡もしておきましょう。
直接挨拶できる相手には、直接会って挨拶するのがマナーです。メール連絡になるときは、直接挨拶できなかったことのおわびを伝えると誠意が伝わります。
異動前と着任後のスピーチも練習しておくと、緊張せずに異動を迎えられるでしょう。