キャッチアップとはどういう意味?使い方の例やスキルの高め方を解説

「キャッチアップ」は、「追い付く」という意味があるビジネス用語の1つです。業界や使用するシーンによって意味が異なるため、正しい使い方を理解しておきましょう。業界別の使い方の例や、キャッチアップのスキルを高める方法について解説します。

キャッチアップの基本的な意味は?

デスクワーク

(出典) pixta.jp

「キャッチアップ」は、ビジネスシーンでもよく使われる言葉です。正しく用いるために、まずは基本的な意味から押さえておきましょう。

追い付く・追いかけるという意味

キャッチアップとは、英語の「catch up」が語源となっている言葉で、「追い付く」「追いかける」という意味があります。

優位に立つものに遅れず付いていくというニュアンスがあり、ビジネスシーンでは「まだ把握できていない情報・知識を追って理解する」という意味で使われるのが、一般的です。

常に状況が変化するビジネスの世界では、競争に勝ち抜くために環境の変化や市場の動向に素早く対応し、競合他社に後れを取らないことが重要だと考えられています。

ビジネスシーンでの使い方

ビジネスシーンでは具体的にどのような使われ方をするのか、例文を見ていきましょう。

会議に参加できなかった人は、議事録を読んでキャッチアップしてください。

会議・ミーティングの結果を知らずにいると、その後の業務に支障を来してしまうため、内容を把握しておくことが大切です。

市場調査によって、最新のトレンドをキャッチアップする必要がある。

ビジネスで優位に立つためには、常に最新の市場動向をチェックし、不足している情報を補う必要があります。

ミーティングでプロジェクトの進捗状況をキャッチアップする。

プロジェクトを円滑に進めるには、チーム内で最新の進捗状況を共有しておくことが重要です。

転職したら、なるべく早く新しい職場にキャッチアップすることが大切だ。

転職の場面で使われる際には、「新しい職場に慣れる」という意味も含まれます。

業界で異なるキャッチアップの使われ方

医療業界

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キャッチアップは、業界によっても使われ方や意味が異なります。違いについても確認しておきましょう。

経済・産業分野での使われ方

経済・産業分野では、特定の領域で後れを取っている企業が、先行している企業の技術・ノウハウなどを取り入れる意味として使われます。

競合他社のサービスに劣らぬようキャッチアップを図る必要がある。

また、インフラなどの面で先進国に後れを取っている発展途上国が、技術面などの差をなくそうとする意味でも使われます。

先進技術のキャッチアップにより、発展途上国の工場は生産性を向上させた。

ただし、これはあくまでも一般的な構図であり、必ずしも先進国が全てにおいて優れているとは限りません。先進国が劣っている分野に関して、発展途上国をキャッチアップするケースもあります。

医療業界での使われ方

医療業界では、特定の症状・状況を指す用語として使われます。「後から追い付く」という意味として使われる用語は、以下の2つです。

  • キャッチアップ現象:何らかの原因によって一時的に胎児の成長が遅れていても、出生までに症状が改善されて成長が追い付き、問題なく生まれてくること
  • キャッチアップ接種:ワクチン接種の機会を逃した人に、改めて接種する機会を設けること

そのほか、「取り込む」という意味として使われている用語もあります。

  • キャッチアップ障害:卵巣から排出された卵子を卵管に取り込む機能が、うまく働かない状態

IT業界での使われ方

IT業界では、利用するサービスによって使われ方や意味が異なります。

  • ニュースリーダー(RSS)で最新の記事に追い付く機能:新しい記事が追加されると、読まずにたまった記事は自動的に既読になり、更新された内容だけを確認できること
  • 画像を取り込む機能:アプリなどのサービスを使い、ワンクリックでインターネット上の画像・動画をまとめて取り込むこと
  • ゲーム業界での用語:敵を倒したときに得られる経験値のこと

放送業界での使われ方

放送業界には、リアルタイムで見逃した人が番組を視聴できるように、放送終了後に再放送する「キャッチアップ放送」「キャッチアップ配信」という用語があります。

従来の再放送は、テレビの番組枠を使って放映するのが一般的でした。しかし、近年はYouTubeをはじめとするオンデマンド配信が普及し、テレビ番組においても「見逃し配信」などとして、インターネット上で視聴できるようになっています。

キャッチアップ放送も、YouTubeなどと同じオンデマンド配信の1つではありますが、配信される動画がテレビ番組に限られる点が大きな特徴です。

キャッチアップミーティングとは

会議

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ビジネスシーンでは、「キャッチアップミーティング」という用語もよく聞かれます。通常のミーティングとの違いや、メリットについて見ていきましょう。

1on1で行われるビジネスミーティング

キャッチアップミーティングとは、主に1on1で行われるビジネスミーティングを指す言葉です。一般的に、上司が部下に業務の進捗状況を確認したり、仕事内容・職場に対する意見を聞いたりしながら、お互いに情報交換することを目的としています。

通常の会議・ミーティングよりもラフに行われることが多く、場合によってはランチタイムを活用して部下の悩み・困り事などを聞くケースもあるでしょう。ミーティングを開くタイミングは、週1回・隔週・月1回などさまざまです。

キャッチアップミーティングのメリット

キャッチアップミーティングでは、業務の進捗状況を確認するだけでなく、部下が悩み・困り事を抱えていないかなどもヒアリングします。

部下から個別に業務内容について直接聞けるため、他のメンバーを意識せず率直な意見を得られるのが、上司にとってのメリットです。部下にとっても、同僚が聞いていない状況で話せるため、心理的安全性を保ちながら悩み事を相談できるでしょう。

日々の忙しさからおろそかになりがちなコミュニケーション不足を改善できるほか、信頼関係の構築や仕事へのモチベーションアップなど、さまざまな利点があります。

転職におけるキャッチアップとは

履歴書に書き込む

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転職におけるキャッチアップの重要性についても、確認しておきましょう。転職後にキャッチアップするポイントについても解説します。

新しい職場に適応するために重要

転職では、新しい職場に適応し、組織の一員として他のメンバーと同じように活躍するためのキャッチアップが必要です。同じ業界への転職でも、企業によって仕事の進め方などが異なり、前職で身に付けたノウハウが通用しない場合もあります。

そのため、それまでに培ったスキルを生かしつつ、新しい知識を身に付けなければなりません。中途採用者は即戦力として期待されるケースが多いため、受け身の姿勢にならず、自分から積極的にキャッチアップする意識を持ちましょう。

また、職場の雰囲気に早く溶け込めれば、良好な人間関係も構築しやすくなります。

転職後にキャッチアップするポイント

転職先でスムーズにキャッチアップするには、周囲とのコミュニケーションが不可欠です。転職したばかりの頃は分からないことがあって当然なので、恥ずかしいと思わず、積極的に質問しながら仕事を覚えていきましょう。

職場になじむためには、自分からコミュニケーションを取ることが大切です。円滑に仕事を進める上では、職場の人間関係についても把握しておく必要があります。

業務上で分からないことがあったら誰に聞けばよいのか、決定権は誰が持っているのかといった点を確認しておくのがおすすめです。

入社して数カ月程度の期間は失敗することもありますが、周囲がフォローしてくれます。少なくとも3カ月間は、キャッチアップに取り組んで知識を身に付けていく姿勢が大切です。

キャッチアップ力を高めるための対策

手帳に書き込む

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仕事で成果を出したり、新しい知識を身に付けたりするには、キャッチアップのスキルを磨いておくことが大切です。スキルを高めるために効果的な対策を、3つ紹介します。

自分を客観視する

まず、自分を客観的に見るところから始めましょう。情報・知識を身に付けるためには、自分に不足しているものを把握しておく必要があります。

仕事で成果を上げている同僚と比較して、自分が身に付けるべき情報・知識は何なのか分析してみるのもおすすめです。

足りないものが分かっていない状態で、周りに追い付こうとやみくもに頑張っても、効果的なキャッチアップは期待できません。いったん立ち止まり、現状を見つめ直すことが大切です。

最新情報をキャッチする

常にアンテナを張り巡らせて、最新情報を敏感にキャッチできるようにしておきましょう。仕事に必要な知識だけでなく、時事ニュースなども含めて幅広い情報をチェックすることが大切です。

その場ですぐに使わない情報でも、知識としてインプットしておくことで、後になって役立つ可能性があります。

ただし、情報の発信源には注意が必要です。近年はインターネットで手軽に情報を得られる半面、信ぴょう性に関して疑わしいものも少なくありません。信用できる情報なのか確認することも重要です。

分からないことは周りに聞く

情報・知識をアップデートするには、分からないことをそのままにせず、周りに聞いて早い段階で解決しておく必要があります。

分からないことを放置しておくと、何度も同じ問題でつまずいてしまい、業務効率が下がるだけでなく、自己成長の妨げにもつながるからです。

とはいえ、ただ人を頼ればよいというわけではありません。分からないことがあったときは、まず自分で調べてみて、解決できなければ誰かに質問しましょう。

固定観念を持たない

思い込みや固定観念を持たない姿勢も大切です。固定観念を持ってしまうと、思考がそこで止まってしまい、その先に進めません。キャッチアップを阻害する原因になってしまいます。

視野を狭めないためには、柔軟な思考力を身に付けることが必要です。転職の場合も、「前の職場ではこうだった」という考えはいったん捨てましょう。

固定観念にとらわれず、新しい職場でのやり方を受け入れることが、スムーズなキャッチアップにつながります。

ビジネスではキャッチアップが重要

後輩に仕事を教える男性

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キャッチアップには、「自分が把握できていない新しい情報・知識を追って知る」という意味があります。変化の激しいビジネスシーンにおいては、常に最新の情報を把握しておくことが重要です。

また、転職の際にも、職場に適応するためのキャッチアップが求められます。転職を検討している人は、日頃から意識してキャッチアップのスキルを磨いておきましょう。

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