民間企業と公務員で転職先を迷っているなら、それぞれの意味を理解しておくのがおすすめです。特徴や違いを把握すれば、自分がどちらに向いているのか判断しやすくなるでしょう。民間企業とは何か、公務員との相違点も併せて解説します。
民間企業とは
民間企業という言葉自体は見聞きしたことがあっても、具体的にどのようなものなのか、説明できない人もいるのではないでしょうか?まずは、民間企業の意味を押さえておきましょう。
利益の追求を目的とする組織
民間企業とは、商品・サービスを販売して利益を得ることを活動目的とする組織体です。行政機関・独立行政法人といった、公的機関に属していない企業を指します。公的機関に属する企業は「公企業」です。
民間企業の活動資金は、事業で得る利益や金融機関からの融資、株主が出資した資本金などです。一方の公的機関は、税金を主な活動資金としています。公的機関で働く人の大半は公務員です。
民間企業と公務員にはさまざまな違いがあるため、転職先をどちらにするか悩む場合は、それぞれの特徴を把握した上で比較する必要があるでしょう。
民間企業の職種
総務省の「日本標準職業分類」では、民間企業の職種が大きく12種類に分けられています。日本標準職業分類における大分類は、次の通りです。
- 管理的職業従事者
- 専門的・技術的職業従事者
- 事務従事者
- 販売従事者
- サービス職業従事者
- 保安職業従事者
- 農林漁業従事者
- 生産工程従事者
- 輸送・機械運転従事者
- 建設・採掘従事者
- 運搬・清掃・包装等従事者
- 分類不能の職業
上記の項目はそれぞれ、さらに中分類・小分類に分かれています。例えば、販売従事者の中分類の1つ「商品販売従事者」には、小分類として「小売店主・店長」や「販売店員」などがあります。
なお、上記の職種には一部公務員が含まれるものもあることを覚えておきましょう。
出典:総務省|統計基準等|日本標準職業分類(平成21年12月統計基準設定) 分類項目名
公務員との相違点
民間企業と公務員は、主に仕事内容・安定性・待遇・就職方法が異なります。4つの相違点をチェックし、転職先をどちらにするか決める際の参考にしましょう。
仕事内容
民間企業の活動目的は、自社の利益を生み出すことです。消費者に商品・サービスを提供する仕事を行い、対価として得た利益を活動資金や従業員の給料に充てています。
一方の公務員は、国・地方自治体のために仕事をしています。利益を得ることではなく、行政サービスを提供して日本国民の暮らしを良くすることが目的です。
民間企業がより多くの利益を生み出すためには、価格や技術を工夫して他社との差別化を図る必要があります。同業他社との競争や利益を増やす努力は、民間企業にのみ求められるものです。
安定性
民間企業と公務員は、安定性の面でも違いがあります。安定性が高い公務員に対し、民間企業は決して安定性が高いとはいえません。
公務員は勤務先の倒産リスクが極めて低く、一度就職してしまえばよほどのことがない限り職を失うことはないでしょう。
一方の民間企業は、経営状況が売り上げに左右されやすいため、事業がうまくいかなければ倒産するリスクがあります。
仕事の安定性は、個人の信用にも大きく関わるポイントです。公務員は安定性が高いため、民間企業の社員よりローン・クレジットカードなどの審査に通りやすくなります。
待遇
公務員は、必ず昇給・ボーナスがあります。雇用の安定度も高いため、収入面に関しては長期間にわたり安心できるでしょう。
一方の民間企業では、昇給・ボーナスがあるとは限りません。ただし、企業規模・事業内容・業績などにより収入は大きく変わるため、公務員より待遇が良いと感じられるケースもあります。
休みを取りやすいのは公務員です。基本的に完全週休二日制となっており、生活のリズムも整いやすいでしょう。民間企業の休みに関しては、企業により大きく異なります。
就職方法
民間企業への就職については、企業により選考方法が異なります。書類選考と面接を通過すれば内定をもらえるというのが、民間企業の一般的な選考プロセスです。
公務員の場合は、筆記試験・面接を含む公務員試験に合格しなければなりません。試験合格後に内定決定の通知を受けたら、公務員としての内定が正式に決まります。
選考の日程に関しては、公務員はある程度スケジュールが決まっていますが、民間の場合は企業によりさまざまです。両方に応募する場合は、スケジュールを上手に組む必要があります。
民間企業と公務員のどちらを目指す?
民間企業と公務員には、さまざまな違いがあります。どちらを目指すべきか迷っているなら、自分がどちらに向いているのかを確かめてみましょう。
民間企業に向いている人
利益を得ることを活動目的とする民間企業では、貪欲に仕事に取り組んで利益を追求できる人が向いています。成果を上げ続けて自社に貢献すれば、会社からの評価が高まり収入もアップしていくでしょう。
何かを生み出すことにやりがい・興味を感じられる人も、民間企業に向いています。同業他社との競争に勝つためには、新しいアイデアを生み出せる人材が必要です。
民間企業では1人の社員として、周囲と切磋琢磨しながら成長していくことも求められます。競争意識や向上心が強い人は、スキル・経験を積んで優秀な人材になれるでしょう。
公務員に向いている人
公務員に向いているのは、社会や人の役に立ちたい人です。国・地方自治体のために仕事をする公務員になれば、行政サービスの提供を通して世の中の役に立てます。
公務員は、取り組む仕事が国民の生活に直接関わってくるため、強い責任感が必要です。何事にも責任を持って向き合える人も、公務員に向いています。
真面目にコツコツと業務を進められる人や、生活・収入に安定を求める人も、公務員を目指すのがおすすめです。
民間企業への転職後のキャリア形成
民間企業に転職した場合、どのようなキャリアプランの選択肢があるのでしょうか?民間企業に就職した後のキャリア形成について、解説します。
別の民間企業への転職
民間企業からの転職では、同じ民間企業を目指すのが一般的です。最初に就職した企業でスキルアップしながら経験を積めば、同じ業界・職種へのキャリアアップを成功させやすくなります。
ただし、次の転職がキャリアアップにつながるかどうかは、自身の成長や転職先企業次第です。現在の状況に甘んじることなく、常に向上心を持って成長を図ることが重要になります。
別の民間企業に転職せず、最初に就職した企業でキャリアアップを目指すのも1つの方法です。専門性を高めながらマネジメントスキルも磨いていけば、自社の重要なポジションに就ける可能性もあります。
公務員に転職
民間企業から公務員への転職は、ハードルが高めです。公務員の中途採用を目指す場合、上限年齢・勤務条件などの応募基準をクリアしなければなりません。
公務員試験に合格する必要があることも、大きなポイントです。民間企業で働きながら試験勉強を進めなければならないため、勉強時間の確保が難しいといった問題が発生しやすくなります。
ただし、近年は民間企業で経験を積んだ人を対象とする中途採用も、積極的に行われています。最終的に公務員への転職を目指すなら、なりたい職種の応募条件を確認し、無駄のない計画を立てましょう。
民間企業とは何かを理解して転職しよう
民間企業とは、利益の追求を活動目的とする組織のことです。公務員と違う点としては、仕事内容・待遇・就職方法などが挙げられます。
貪欲に仕事に取り組める人や、競争意識・向上心が強い人は、民間企業に向いています。民間企業と公務員の違いや、向いている人の特徴を理解し、どちらを目指すのか慎重に検討しましょう。
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