事なかれ主義とはどういう意味?職場に与えるメリット・デメリット

事なかれ主義とは、どのような主義・主張を指すのでしょうか?ネガティブなイメージを想像する人もいますが、職場に与える影響も気になるところです。意味や使い方、事なかれ主義の人が職場にいるメリット・デメリットも解説します。

事なかれ主義の意味について

人差し指を立てるジェスチャーをする男性

(出典) pixta.jp

「あの人は事なかれ主義」「自分は事なかれ主義といえるかもしれない」など、他者にも自分にも使われることのある「事なかれ主義」ですが、どのような意味を持つ言葉なのでしょうか?主な意味と、使い方を紹介します。

波風を立てることを嫌う主義を指す

事なかれ主義の「事なかれ」は、「無事で済むように」と願うときに使う、古くからある言葉です。

無事を祈るときのように、平穏無事であってほしいと強く願い、何事もなければそれだけで構わないと、消極的な態度を取る人を「事なかれ主義」と呼びます。

消極的な態度には、「何もしない」「意見を出さない」「問題から逃げる」といった行動が該当するでしょう。無事を願って積極的に発言・行動する人とは、考え方が異なります。

事なかれ主義の人は、平穏な日常を維持するために、波風を立てることを嫌います。けんか・トラブルが起きないようにと考えると、強い主張や問題提起はしにくいでしょう。

自らの発言以外に、周囲の人が波風を立てることも嫌い、場を収めようとする傾向があります。

言葉としての使い方・例文

「事なかれ主義」は、誰かの考え方や性質を表すときに使われます。主に、重大な事案が発生したときに対応してくれない人や、何事も起きていないかのように振る舞う人に対して使われることが多いでしょう。

【会話例1】

A:〇〇さんにひどいことを言われて困っているから、〇〇部長に相談しようと思うんだけど…

B:〇〇部長は事なかれ主義なのよね。■■さんも相談したみたいだけど、曖昧に笑ってごまかされたらしいよ。▲▲課長に相談してみたら?

【会話例2】

A:私は多分、事なかれ主義なんだと思う。

B:ああ、確かに、そういうところはあるかもしれないね。

事なかれ主義になりやすい人の特徴

ぼーっとしている女性社員

(出典) pixta.jp

事なかれ主義は、「平穏無事を強く願い、あえて消極的な行動を取る人」や「そう見える行動を取る人」が該当します。どのような人が「なりやすい」といえるのでしょうか?該当するケースを紹介します。

当事者だという意識が薄い

当事者意識を持っている人は、問題に対して積極的に行動しようとします。しかし、自分は無関係だと考えていると、問題を避け平穏無事を願う気持ちが強くなりがちです。

周囲の人に対して全く興味がない場合も、適当な返事をして問題を避けているように見えるため、事なかれ主義と判断される可能性があります。

興味の有無とは無関係に「トラブルを起こすなら自分の見えない場所でやってほしい」という他人事のような考えも、事なかれ主義につながるでしょう。

自分に自信がない

自分に自信がない人は、問題が起きたときに意見を求められても発言を避けてしまいます。自分の意見が正しいと確信できず、自己主張によってさらに問題を悪化させてしまうリスクを危惧するためです。

しかし、ほかの人が発言・行動するのを待っているだけでは、問題が解決するとは限りません。場合によっては、黙っていることで余計に状況が悪化する可能性もあります。

問題があると分かっていても消極的な態度を取ってしまう自信のない人は、周囲から事なかれ主義に見えてしまうでしょう。

責任を負うことが苦手

責任を負いたくない気持ちが強い人は、事なかれ主義になりがちです。何かが起きても、自分ではない誰かが解決するまで待とうと考えてしまいます。

発言や行動をすると責任が伴うため、できる限り避けたいという気持ちが出てきてしまうのです。責任を避けようとすると、誰かに相談されても適当に濁してしまったり、別の人へたらい回しにしてしまったりと、責任感のない対応を取ってしまうでしょう。

ちょっとしたトラブルの場合、解決しようと動かなくても自然にどうにかなるのではないかと、問題を先送りにするケースもあります。

【メリット】事なかれ主義が職場に与える影響

資料を見ながら会議をする

(出典) pixta.jp

事なかれ主義の人は、職場にどのような影響を与えるのでしょうか?メリットといえる内容を解説します。ネガティブな印象を持たれがちな言葉ですが、悪い部分だけではありません。

トラブルが起きにくい

事なかれ主義は、「何も起きないこと」を重視しています。自分から発言し問題提起をする行動も嫌うため、多少気になることがあっても口には出しません。

多くの人が集まる職場では、性格や考え方の違いでトラブルが発生するケースがあります。しかし、事なかれ主義の人であれば、相手に合わせた行動が可能です。

ほかの人が問題を起こしそうになったときも、場を収めるために仲介役となってくれる可能性もあります。積極的な行動は取りませんが、事なかれ主義の人にとって「重大なトラブルが発生すること」は一番避けたい状況です。

問題が大きくならないよう、当事者をなだめる役割を果たすケースもあるでしょう。

柔軟性がある

事なかれ主義の人は、さまざまな相手に合わせる柔軟性を持っています。自分が問題の発端にならないよう、敵をつくるような行動もほとんど取りません。

事なかれ主義の人が嫌う「大きな問題が発生しそうな状況」にならない限り、人間関係をうまく構築できます。

周囲の空気を読み、トラブル発生を未然に防ぐタイプの人もいるでしょう。柔軟な対応力によって、職場の雰囲気が良くなる可能性もあります。

【デメリット】事なかれ主義が職場に与える影響

考え事をする女性

(出典) pixta.jp

他者から「事なかれ主義である」と判断されるような行動を取る場合、悪い影響を与える可能性もあります。デメリットといえる特徴を確認しましょう。

新しいことに挑戦しなくなる

問題・トラブルだけでなく、新しい挑戦も事なかれ主義の人が苦手な分野です。挑戦すると、失敗のリスクがあります。失敗によって状況が悪化する可能性を危惧し、新たな課題の発生を避けようとする心理から挑戦をしない傾向です。

「自分の意見を口に出さない」という傾向も、挑戦できなくなる要因になります。たとえ頭の中で素晴らしいアイデアを持っていても、周囲が知らなければ形にはなりません。

挑戦しなくても済む保守的な考えが1人・2人と拡大していくことで、結果として職場全体が挑戦を避ける風土になってしまう可能性もあります。

指示待ち・受け身になる

何も問題が起きてほしくない気持ちが強いと、自分から行動する意欲が低下します。「もし勝手に動いて問題が起きたらどうする」「そのとき誰が責任を取るのか」と考えてしまい、積極的な行動を控えてしまうのです。

誰かの指示を受け、指示をした人の責任の下であれば、事なかれ主義の人も安心して働けます。的確な指示を出せる人がいない状況になってしまうと、業務が滞るリスクもあるでしょう。

また、受け身の姿勢になる点も、問題といえます。会議でも発言できず、誰かのアイデアに賛成するだけになりがちです。

責任の所在が不明確になるケースも

事なかれ主義の中には、「責任を取りたくない」という気持ちが強い人もいます。責任を取りたくないがために、問題を隠し、見なかったことにしてしまう人もいるでしょう。

自分が関わっていないとしても、問題発生に気付きながら黙っていると、事態は悪化しやすくなります。時間が経過するに従って、誰がどのように問題を起こしたのか分からなくなり、責任の所在が不明確になるリスクが高まるでしょう。

自分がミスをした場合でも、責任を取りたくない気持ちが強いと事実を受け入れられません。「指示をした人のせい」「ミスとは言い切れない」のように言い訳をしてしまい、状況の悪化が考えられます。

事なかれ主義を改善する方法

打ち合わせ

(出典) pixta.jp

事なかれ主義の悪い部分が強く出てしまっている場合は、改善を検討する必要があります。特に、周囲からの評価が下がりそうなケースや、職場の雰囲気が悪くなりそうな場合は、早めに対策を取りましょう。改善につながる主な方法を紹介します。

話し合うことから逃げない

何でも話し合い、オープンに意見を伝えるようにすると「事なかれ主義」と判断されてしまうリスクは低下します。

自分の意見を伝えることに不安がある場合は、簡単なことからでも構いません。自分から意見を出さないとしても、相手の意見を聞いてどう思ったか伝えることはできます。

相手の話をしっかり聞き、問題解決の方法を一緒に考えるだけでも、状況は改善するでしょう。

直接伝えるのが難しいときは、手紙やメールを活用するのもおすすめです。文章の場合、じっくり考えて意見をまとめられるため、すぐに答えを出せない人でも伝えやすくなります。

自分に自信を持つ

自信がないために意見を言えず、過度に対立を避けてしまう場合は、自己肯定感を高めましょう。

自己肯定感を上げるには、自分自身を理解することが大切です。自分の性格・傾向を把握し、受け入れるところから始めましょう。自分の意思を尊重し、楽しめる行動を取るのもおすすめです。

また、合わない環境にいると、卑屈になってしまうケースもあります。能力を生かせる職場への転職や、自分に合う仕事を探すことも自己肯定感を高め、自信アップにつながるでしょう。

失敗を過度に恐れない

失敗を恐れすぎると、事なかれ主義につながります。職種によっては許されないミスもあるものの、取り返しのつく範囲まで過度に恐れるのは避けましょう。

失敗してしまった場合、ポジティブに考える方が次の成功につながります。失敗がなかったかのように振る舞うのではなく、事実を受け入れた上で反省し、努力する姿勢が大切です。

過度に失敗を恐れて挑戦を避けるのではなく、成長につながる行動を取るよう心掛けましょう。

事なかれ主義の改善で仕事・日常を楽しもう

ミーティング

(出典) pixta.jp

「事なかれ主義」は、トラブルを避けるため、消極的になってしまう人を指します。周囲から見ると、問題から逃げているようにも見えてしまうので、悪い部分が出ているときは改善を検討する方がよいでしょう。

自分に自信をつけ、失敗を恐れず挑戦する姿勢が、事なかれ主義の改善には効果的です。自分の意見を伝え、仕事に生かすことができれば、職場環境の改善だけでなくプライベートの充実にもつながっていくでしょう。

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