PM理論とは?4タイプのリーダーの特徴や機能の伸ばし方を解説

「PM理論」という言葉を聞いたことはあっても、正しい定義や具体的な内容についてよく知らない人も多いのではないでしょうか?理論の定義や4つのタイプに分類されるリーダーの特徴、リーダーシップに必要な機能の伸ばし方について解説します。

PM理論とは?

ミーティングテーブル

(出典) pixta.jp

PM理論とは、リーダーとしてのスキルを向上させるために、活用される理論です。詳しい定義や、同じようにリーダーシップの在り方について提唱している「SL理論」との違いについて解説します。

リーダーシップに関する行動理論

PM理論とは、社会心理学者の三隅二不二(みすみ・じゅうじ/じふじ、1924~2002)が提唱したリーダーシップに関する行動理論です。リーダーとして取るべき行動に着目しており、P機能(目標達成機能)とM機能(集団維持機能)の2軸で定義されています。

  • P機能:目標を達成することに重点を置いて発揮される能力。明確なゴール設定や達成までの行動計画、業務の進捗管理・効率化などに関する指導をする
  • M機能:チーム内の人間関係を良好に保つための能力。部下への声掛けや、チーム内のトラブル・個別の悩みを解消するためのサポートなどを行う

PM理論では、P・M両方の能力のバランスによって、どのようなタイプのリーダーなのかを分類します。

SL理論との違い

SL理論は、「Situational Leadership(状況に応じたリーダーシップ)」の頭文字を取って名付けられた理論です。SL理論では、部下の成熟度に応じて、リーダーとしての対応を変える必要があると考えられています。

PM理論が「リーダー自身の特性」を軸にタイプ分けしているのに対し、SL理論では「部下の成熟度」「部下への接し方」の2軸で、リーダーシップのスタイルを分類するのが特徴です。

どちらもリーダーの育成に活用される理論ですが、何を軸に定義しているかという点が異なります。

PM理論による4タイプのリーダーシップ

ビジネスパーソン

(出典) pixta.jp

PM理論では、リーダーとしての特性を軸に、4タイプのリーダーシップに分けています。それぞれのタイプについて、詳しく見ていきましょう。

理想的なリーダー「PM型」

PM型は、P・Mのどちらの機能においても優れているタイプです。チーム内の人間関係を良好に保ちながら、明確なゴール設定・計画立案・進捗管理など、目標達成に向けた指導もできるため、PM理論では最も理想的なタイプだとされています。

このタイプが率いるチームのメンバーは、職場への満足度が高く、仕事へのやりがいも感じやすい傾向にあります。メンバー各自がリーダーからのサポートを受けながら、自発的に行動して成果を出していこうとするでしょう。

理想的なリーダーを目指すには、目標を達成させる機能だけでなく、チームをまとめる機能もバランス良く持ち合わせていることが必要だといえます。

成果を重視するリーダー「Pm型」

Pm型は、目標を達成させることは得意としているものの、組織をまとめるのが苦手なタイプです。つまり、チームとして成果を出すための指導はできても、部下との関係性構築やチームビルディングが難しいことを意味します。

結果を出すことに重点を置いているため実績は残せますが、メンバーへのフォローが手薄になり、チーム全体のモチベーションが低下する可能性もあるでしょう。

また、Pm型が率いるチームは、トップダウン型になりやすいのが特徴です。部下の自発性が育ちにくく、組織に対して不満を持つメンバーも出てくる可能性があります。

チームワークを重視するリーダー「pM型」

pM型は、組織をまとめる力に優れているタイプです。チームワークを重視しており、部下との関係を良好に保つことを得意としています。

このタイプが率いるチームは、和気あいあいとした雰囲気になりやすく、メンバー同士のトラブルも起こりにくいのが特徴です。しかし、目標を達成させるための指導力が弱く、成果を上げにくい傾向にあります。

たとえ、チーム内のメンバーが目標を達成できる能力を持ち合わせていたとしても、十分なパフォーマンスを発揮できない可能性もあるでしょう。

未熟なリーダー「pm型」

目標達成・集団維持のどちらも弱いpm型は、4つの中では最もリーダーに適さないタイプです。リーダーとしてのけん引力に欠け、目標を達成させるための指導力を発揮できません。

部下からの人望も薄いため、チームをまとめることも難しいでしょう。pm型の人がリーダーを務めてしまうと、チームとして機能しなくなるばかりか、メンバーの離職を引き起こす可能性もあります。

このタイプをリーダーとして育成するには、リーダーとしての指導力とチームをまとめるための力の、両方の機能を伸ばすことが必要です。

PM理論のP機能を伸ばす方法

やる気のイメージ

(出典) pixta.jp

目標達成率が低いリーダーは、P機能を伸ばす必要があります。どのような方法があるのか、具体的に見ていきましょう。

明確な目標を設定する

まずは、組織全体の方向性を認識した上で、チームが達成すべき目標を明確にし、メンバーへしっかり伝えることが必要です。

さらに、設定した目標を達成するために何をやるべきか、具体的なイメージを描けるように提示しましょう。

「いつまでに何をやる」と、期限を決めることも大切です。明確な目標や行動計画を伝えることで、メンバー各自が自分の役割を把握し、仕事に対して自発的に取り組めるようになります。

目標達成に向けた行動を徹底させる

目標を伝えたら、必ず達成するという意識をチーム全体に浸透させることが重要です。そのためには、メンバー全員に「目標を達成させるのは自分」という当事者意識や、責任感を持たせる必要があります。

目標に向けた行動が取れているか、定期的に振り返る時間・場所を設けることも大切です。業務の進捗状況などを報告させ、遅れが出ている場合は、必要に応じて計画を立て直します。

チーム全体で進捗状況を把握する場として、定期的なミーティングを開くのも効果的です。

PM理論のM機能を伸ばす方法

会話をする会社の先輩と後輩

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まとまったチームを作り上げるには、集団維持に必要なM機能を伸ばすことが大切です。M機能を伸ばす方法について解説します。

しっかりコミュニケーションを取る

「上司と部下」という縦の人間関係を良好に保つために、メンバー1人1人としっかりコミュニケーションを取ることが大切です。

日頃から積極的に声掛けをするように心掛けるほか、定期的な1on1ミーティングを行い困っていることがないか話を聞きましょう。1on1ミーティングでは、相手の話に共感しながら聞く「傾聴」の姿勢を示すのがポイントです。

困り事・相談事があったときは、解決方法を一緒に考えるなどのサポートをすることも大事です。小まめにコミュニケーションを取ることで、メンバーとの間に信頼関係が生まれます。

チームの人間関係を良好に保つよう配慮する

結束力の強いチームを作るには、上司と部下の関係だけでなく、メンバー同士の横のつながりを良好に保つことも重要です。

定期的なミーティングのほかに、メンバー同士が気軽に交流できる場を増やすことで、チーム内のコミュニケーションを活発化できるでしょう。

また、各自の個性・価値観の違いを尊重し、誰もが気兼ねなく自分の意見を言えるような、風通しの良い環境をつくることも大切です。

メンバーの間でトラブルが起こったときは、公平な立場で対応しつつ、早期に解決できるよう取り組む必要もあります。

PM理論をリーダーシップに生かそう

ビジネスの打ち合わせ

(出典) pixta.jp

PM理論は、リーダーシップに関する理論の1つです。リーダーとしての特性を軸に、4つのタイプへ分類しています。

PM理論では、結束力の強いチームを作り、仕事の成果も上げられるタイプが、理想的なリーダーだとされています。

PM理論を生かしてリーダーシップを磨くには、まず自分がどのタイプのリーダーに該当するかを把握し、足りない機能を伸ばす取り組みを続けましょう。