多くの人に当てはまる項目にもかかわらず、自分のことを言われた気分になる「バーナム効果」は、占いをはじめ、ビジネスシーンなどでも使われるテクニックです。バーナム効果の活用方法や注意点などを解説するので、この機会に覚えておくとよいでしょう。
バーナム効果とは何か?
バーナム効果は、占いや血液型のテストなどで使われているテクニックで、ビジネスシーンでも営業・マーケティングに活用されています。まずは、どのような効果なのか、基本的なところを理解しておきましょう。
個人的なことを言われた気分にさせる効果
多くの人に該当する内容にもかかわらず、個人的なことを言われた気分になるのが、バーナム効果と呼ばれるものです。
例えば、占い師がよく使う「何か悩んでいますね」といった質問は、誰にでも当てはまることでしょう。ほとんどの人が、仕事やプライベートで何らかの悩みを抱えているものです。
しかし、実際に問いかけられると、まるで自分だけに当てはまるような気分になるため、相手を信頼してしまう傾向があります。これがバーナム効果であり、相手からの信頼・好意を得るテクニックとして知られています。
バーナム効果の具体例
「何か悩んでいますね」といった質問をはじめとして、誰にでも該当する可能性が高いにもかかわらず、それを自分だけに当てはまると思い込んでしまう例は多くあります。
「過去に悲しい経験をしましたね」「最近腹の立ったことがあるでしょう」といった問いかけも同様です。
また、星座占いや血液型診断などによくある「几帳面なところがある」「創造的」といった性格や特性も、一般的で曖昧なものであり、誰でも多少は当てはまるところがあるでしょう。
自分の星座や血液型に該当すると言われると、何となく「そうかもしれない」と思ってしまうものです。
バーナム効果が利用できるシーン
バーナム効果は、占い師がよく使うテクニックとして知られていますが、ビジネスシーンでも営業・マーケティングに活用できます。
多くの企業やビジネスパーソンが抱えている悩みは、ある程度は共通しているため、営業活動でその部分をうまく指摘すると、興味を持ってもらえる可能性が高いでしょう。相手を理解しているように振る舞うことで、後の商談や成約へと結び付けられます。
マーケティング活動においても、メルマガやLPなどで、まず多くの人に当てはまる悩みを提示し、そこから話を発展させると効果的です。
バーナム効果により、読み手に「自分の問題の解決に役立つ」と思ってもらえる可能性があり、資料請求や問い合わせにつなげられるでしょう。
バーナム効果を活用する方法
バーナム効果をうまく活用するには、以下の点を意識することが大切です。相手が自分のことを想起する呼び方を徹底したり、うまく権威性を高めたりすることで、効果を高められます。
主語・情報の選択にこだわる
相手に問いかけをする際には、主語の選択にこだわることが大事です。「皆さん」ではなく「あなた」など、特定の人を思わせる主語を使いましょう。
不特定多数に向けてではなく、自分に向かって語りかけていると思わせるのがポイントです。実際、メルマガを使ったマーケティングでは、送信する1人1人に語りかけるような文章にすると、効果を高められることが分かっています。
誰もが抱えるような悩みを提示し、うまく解決策に誘導することで、信頼性を高めるとともに、商品・サービスの営業につなげられます。
納得できるだけの信頼性が必要
バーナム効果を得るには、相手が納得できるだけの信頼性が必要です。信頼できない相手からの情報では、そもそも受け取る気にならない人が多く、かえって失礼な発言だと思われてしまうので注意しましょう。
ある程度は、自分の権威付けを意識することも大切です。単に相手の悩みを聞き出そうとするよりも、まずは自分がその分野のエキスパートであることや、十分な実績がある点などをアピールすると効果的です。
これまでの実績をデータとして示した上で、相手の悩みについて質問をすれば、話に耳を傾けてくれる人が増えるでしょう。
バーナム効果を使う上での注意点
バーナム効果は、うまく活用すれば営業・マーケティングの効果を高められますが、以下の点には注意しなければいけません。
誇大表現は、後から問題になる恐れがあります。また、使用する場面を誤ると十分な効果を得られないので、表現方法やタイミングをよく考える必要があります。
誇大表現はNG・話を盛らない
バーナム効果で相手の信頼性を高めるために、行きすぎた表現を多用していると、景品表示法などに抵触する恐れがあります。その時点では大きな効果を上げられたとしても、後から問題・トラブルに発展する場合もあるでしょう。
特にビジネスシーンでは、長期的に相手と良好な関係を構築する必要があります。行きすぎた表現で問題になった場合、一気に信頼を失うことになるでしょう。
結果として、売り上げにつながらないだけでなく、企業全体の評判を落とす可能性もあります。提示する情報や表現方法には、十分注意しなければいけません。
出典:景品表示法 | 消費者庁
使うタイミングは慎重に
バーナム効果を生み出す言葉を多用すると、逆に相手の信頼を損なう可能性があります。相手の置かれた状況・気持ちを無視して、一方的に言葉を重ねたところで、不快にさせてしまうこともあるでしょう。相手に怪しいと思われてしまう場合もあります。
誇大表現を避けるとともに、言葉を用いるタイミングを見極める必要があります。初めに「自分のことを言っている」と思わせることに成功したら、自然な流れで解決方法を提示したり、アドバイスにつなげたりすることが大事です。
どのような流れで話を進めるか、事前にシミュレーションしておくとよいでしょう。トークスクリプトを作成し、ブラッシュアップを重ねると効果的です。
効果と注意点を正しく把握して活用しよう
バーナム効果は、占いや血液型診断などの場に加えて、ビジネスシーンでもテクニックとして使われることが珍しくありません。うまく活用すれば相手の信頼を得られますが、多用すると相手を不快にさせたり、疑われてしまったりする可能性があります。
使用するタイミングや提示する情報、問いかけの内容などに注意しつつ、うまく話を進められるように工夫しましょう。あくまでもテクニックの1つなので、過度に使用せず、相手の抱える問題・課題に寄り添う姿勢を見せることが大事です。