自分に合った営業の種類は?業界や商材、手法によって変わるやりがい

営業職への転職を検討しているなら、営業の種類について知っておくとよいでしょう。さまざまな種類があることを理解すれば、転職先選びに役立てることが可能です。営業の種類とそれぞれの特徴、営業に必要なスキルについて解説します。

まずは業種の違いで3つに分類

三本指を出す男性

(出典) photo-ac.com

営業の種類は、業種の違いによりメーカー営業・商社営業・代理店営業の3つに分類されます。それぞれの特徴を理解しましょう。

メーカー営業

メーカーとは、何らかの製品を生産している企業のことです。食品メーカー・自動車メーカー・アパレルメーカーなど、世の中にはさまざまなメーカーが存在しています。

メーカー営業が取り扱う商材は、自社で生産する製品です。例えば、自動車メーカーの営業なら、自社が展開しているブランドの自動車を顧客に紹介します。

メーカー営業は、既存顧客に自社製品をさらに利用してもらうことに加え、新規顧客に自社製品を購入してもらう業務もあります。製造部門と顧客との仲介役を担うのも、メーカー営業の役割です。

商社営業

他社商品を仕入れて別の他社に販売し、売り手と買い手の取引を仲介する企業が商社です。自社製品を売るメーカー営業と異なり、商社営業は複数の企業の商材を販売します。

既存顧客への対応・新規顧客の開拓・仕入先の確保など、商社営業はさまざまな業務をこなさなければなりません。マーケットの分析が必要になることもあるでしょう。

また、複数の商材を取り扱うことになるため、それぞれの商材に関する深い理解も求められます。輸入品を取り扱う商社で働く場合は、英語をはじめとする語学力も必要です。

代理店営業

代理店営業とは、自社の商品・サービスを販売してくれる代理店に、商材を売り込む営業です。エンドユーザーとなる個人や法人には、直接営業をかけません。

代理店営業を展開する代表的な業界が、保険業界・携帯電話業界・IT業界です。例えば、保険会社の代理店営業は保険代理店にアプローチし、自社の保険を取り扱ってもらえないか商談を行います。

代理店営業は、代理店の利益が上がることを優先的に考える必要があります。代理店が顧客に対して商材を売りやすくなるように、代理店向けのサポートを充実させることも重要です。

扱う商材の違い

コンサルタントの男性

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営業の種類は、取り扱う商材の違いによっても分けられます。商材の種類は、無形サービスと有形サービスの2種類に大別することが可能です。

無形サービス(IT・金融・コンサルなど)

無形サービス営業とは、IT・金融・コンサル・人材など、形がない商材を扱う営業のことです。顧客がサービスをイメージしにくいため、個人の営業力が売上を大きく左右します。

無形サービスを扱う営業には、商材を使うとどんなメリットがあるのかを、顧客に理解してもらうプレゼン力が必要です。また、顧客のニーズを引き出すヒアリング力や、営業自身が信頼されるための高い人間力も求められるでしょう。

大半の無形サービスにはコストがほとんどかからないため、営業の売上が給与に反映されやすいメリットがあります。成果が目に見える形で上がっていけば、やる気も高まりやすくなるでしょう。

有形サービス(日用品・不動産・食品など)

形あるものを商材として扱う営業が、有形サービス営業です。日用品・不動産・家電・医薬品・食品といった商品・サービスが、有形サービスに該当します。

商材の特徴や使用イメージをつかみやすいことが、有形サービスの大きな特徴です。顧客に試用してもらえるためメリットを伝えやすく、顧客の反応もダイレクトに得られるのでやりがいも感じやすいでしょう。

ただし、有形サービスはさまざまなコストがかかることから、利益を増やすためには工夫が必要です。在庫リスクや返品リスクがある点も、デメリットといえるでしょう。

営業手法・目的の違い

名刺交換のイメージ

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新規開拓営業とルート営業とでは、目的やアプローチの方法が異なります。それぞれの特徴や違いをチェックしておきましょう。

新規開拓

まだ取引したことのない個人や法人に、アプローチをかけるのが新規開拓営業です。企業は既存顧客を大事に扱うのと並行して、新しい顧客も獲得していく必要があります。

営業先が増えることで売上の向上を見込めるところが、新規開拓を行うメリットです。新しい顧客を増やしていけば、既存顧客との取引が不調に陥った際のリスクも軽減できます。

新規開拓営業は、「インバウンド営業」と「アウトバウンド営業」の2種類に大きく分けられます。自社メディアやセミナーで顧客を開拓するのがインバウンド営業、電話や飛び込みでアプローチをかけるのがアウトバウンド営業です。

初対面の相手にうまく売り込む必要があるため、トーク力や積極性が求められます。

ルート営業

多くの企業は、既存顧客による売上で経営が支えられています。既存顧客に定期的なアプローチをかけ、売上を維持・向上させる目的で活動するのがルート営業です。

初対面の相手とやりとりしなければならない新規開拓営業に比べ、ルート営業は楽なイメージを持たれがちです。しかし、既存顧客を失うと経営に大きなダメージを与えかねないため、ルート営業の責任も非常に大きいといえます。

ヒアリング力・提案力・管理能力が高い人は、既存顧客との良好な関係を維持しやすいでしょう。

外回りの有無による役割の違い

外回り営業をする女性

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営業の種類は外回りの有無により、フィールドセールスとインサイドセールスに分けられます。それぞれ役割が違うことを理解しておきましょう。

フィールドセールス

フィールドセールスは、外回りで顧客にアプローチするスタイルの営業です。日本における従来型の営業手法で、顧客のもとを直接訪ねて対面で商談を行います。

商材の魅力を顧客に直接アピールできることが、フィールドセールスのメリットです。相手の反応を見ながら臨機応変に対応できるため、手応えが悪ければその場で異なる商材を紹介できます。

フィールドセールスに求められる能力は、プレゼン力やコミュニケーション能力です。マーケティング部門がない企業の場合、マーケティング力も重要な能力の1つになります。

インサイドセールス

非対面で顧客にアプローチをかける営業手法が、インサイドセールスです。電話・メール・DMなどで営業活動を行うため、外回りを行う必要がありません。

かつての営業は、インサイドセールスが行う活動も全て担っていました。しかし近年では、コストの削減や営業活動の効率化を図るために、インサイドセールスを設置する企業が増えています。

インサイドセールスの主な役割は、マーケティング部門が発掘した見込み顧客の育成です。顧客の購買意欲を高めてからフィールドセールスに引き継げば、成約率の大幅な向上を期待できます。

個人?法人?対象顧客で変わるやりがい

データを見せながら打ち合わせする

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法人営業と個人営業を比べる際は、やりがいの内容に注目してみましょう。どのような点が異なっているのかを紹介します。

法人営業(BtoB)

企業を相手に行う法人営業は、取り扱う商材の規模・金額がBtoCよりも大きくなりやすいのが1つの特徴です。組織を相手に営業活動を行うことによる難しさもありますが、成約につながれば大きな金額が動くため、報酬も高くなりやすい傾向があります。

担当者と決裁者が異なるケースが多く、最終的には経営層と商談を行うこともあるため、ビジネスの取引をしている実感が湧きやすいでしょう。

法人営業として活躍するためには、的確に情報を収集できる能力や、合理的に説明できる能力が求められます。加えて、法人向けの知識も必要です。

個人営業(BtoC)

個人営業では、決裁者と直接商談するケースが多いため、成約までの期間が短くスピード感のある営業活動を行えます。インセンティブが設定されやすいことも魅力です。

また、法人営業と異なり、個人営業では顧客から直接感謝されることが多いでしょう。顧客との距離感が近く、感謝されて得られる達成感からやりがいを覚えやすい点もメリットです。

ただし、ルート営業がメインとなる法人営業に対し、個人営業では電話や飛び込みでの新規開拓営業が多くなります。数字・ノルマに追われやすいことも、デメリットといえるでしょう。

課題へのアプローチ方法の違い

対面で説明するビジネスマン

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営業の種類は、プロダクト営業とソリューション営業にも分けられます。課題へのアプローチ方法が違う、2つの営業の特徴を見ていきましょう。

プロダクト営業

プロダクト営業とは、紹介する商品・サービスをあらかじめ決まっている営業手法です。顧客ごとに商品の仕様変更などをあまり行わないため、商材に対するニーズありきの営業になります。

競合する商材が少なかった時代は、顧客のニーズに合った商材を提案するだけで売上につながっていました。しかし、インターネットが普及している現代では、顧客自身が商品・サービスを比較できるため、御用聞き営業が通用しなくなっています。

御用聞き営業に代わる手法として用いられるようになったのが、プロダクト営業です。売る商材を決めた上で、他社商品との差別化を図らなければ、顧客を獲得できない時代になっているのです。

ソリューション営業

顧客の潜在的な課題を察知し、さまざまな解決策を提案するのがソリューション営業です。

例えば、高性能のスマホを欲しがっている顧客がいる場合、プロダクト営業では自社のスマホの魅力をアピールすることになるでしょう。

一方のソリューション営業では、なぜ高性能のスマホが欲しいのかを掘り下げます。理由によっては、スマホ以外に課題を解決できるサービスがあるかもしれないと考えるのです。

課題を的確に把握する力や幅広い知見が求められるため、ソリューション営業は難易度が高くなります。

できる営業マンに必要なスキル

握手をする二人のビジネスパーソン

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営業の種類にかかわらず、優れた成果を上げる営業マンには共通の特徴があります。営業として活躍するために、必要なスキルを覚えておきましょう。

クライアントに会いたいと思わせる情報提供力

成果を出せる営業マンになるためには、高い情報提供力が必要です。顧客を惹きつける情報を提供できれば、また会いたいと思ってもらえるようになります。

情報を収集する際は、顧客を納得させるデータやトレンドを意識する必要があります。業界特有の課題・顧客の特徴に当てはまる課題を、情報として示すのも効果的です。

近年はインターネットで簡単に情報を収集できるため、自分の足で集めた生の情報や、お金をかけなければ入手できない情報も提供できるようにしましょう。

課題発見・解決に導く観察力

営業には、課題発見力や解決に導く観察力も求められます。顧客の課題を的確に把握するためには、顧客から潜在的な悩みを引き出すヒアリング力も必要です。

営業の仕事は、課題の発見・解決の連続であるともいえます。顧客の課題だけでなく、営業としての自分自身の課題も意識しなければなりません。

例えば、特定エリアの売上がなかなか上がらない場合は、課題としてきちんと分析する必要があります。解決に導ければ、成績にもつながっていくでしょう。

時間配分や目標設定などの自己管理

営業は、自己管理もきちんとできていなければなりません。時間配分や目標設定をしっかりと行えてこそ、優秀な成績を収められる営業マンになれます。

毎日のように商談を重ねていると、頑張っているような錯覚に陥りがちです。しかし、商談の時間が長くなろうが、成約につながらなければ営業としての評価は下がってしまいます。

目標に対し、どれだけの時間をかけられるのかを考えることも必要です。自己管理を徹底して仕事の効率化を図り、少ない時間でも確実に受注を取れる営業マンを目指しましょう。

ヒトとコトを分けて考えられる

商談がうまくいかなかった場合、優れた営業マンはヒトとコトを分けて考えます。ヒトとは対人間の出来事、コトとは断られたという事実です。

商談で相手に断られたとき、人によっては自分を否定されたような感情を抱くこともあるでしょう。なかなか成約につながらない状況が続くと、精神的なストレスで体調を崩すことにもなりかねません。

しかし、ヒトとコトを分けて考えれば、「単に今は顧客が商品を必要としていなかっただけだ」と思えるようになります。断られるのが常である営業には、ヒトとコトを分けられるタフさも必要です。

種類が変わるとやりがいも変わる

横向きの男性

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営業にはさまざまな種類があり、特徴の違いを知ることで自分に向いている営業を見つけやすくなります。種類が変わるとやりがいも変わるため、現在の営業職から違う種類の営業職に転職するのもおすすめです。

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