営業に転職するとき資格があると有利?おすすめの資格6つ

転職をする際、資格を持っていると有利になるケースがあります。営業向けの資格は意外にたくさんあり、どれを取得するか悩む人は多いでしょう。これから、営業に転職しようと思っている人におすすめの資格や、選び方のポイントを紹介します。

営業向けの資格の種類

パソコンを操作する

(出典) photo-ac.com

資格を持っていなくても営業の仕事はできますが、転職の際に持っていると役立つ資格もあります。どのようなものがあるのか、見ていきましょう。

営業士

営業士は営業力アップに役立つ資格です。一般社団法人日本販路コーディネータ協会が提供している検定試験で、初級・上級・マスターの3種類に分かれています。

基本的な営業業務についての知識を深めたい人は、初級がおすすめです。営業士の資格を持っていると、未経験でも営業スキルをアピールできます。営業士初級の合格率は75~80%です。

上級は出題範囲に営業管理業務や営業指導が含まれ、マスターになると高度な専門知識が必要とされます。試験は毎年6月と11月の2回です。

マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト

マイクロソフト・オフィス・スペシャリストを取得すると、Word・Excel・PowerPointといった、マイクロソフト社のソフトを使いこなせるスキルを持っているとアピールできます。

営業は報告書やプレゼン資料などの作成をスムーズに行う必要があり、パソコンスキルがないと、これらの作業を迅速に行えません。

顧客とのコミュニケーション以外の時間は、パソコンでの作業がメインになるといっても過言ではなく、パソコンスキルを持っていることは転職活動で有利に働きます。

パソコンスキルは営業以外の仕事をする際にも活用できるので、持っていて損はありません。試験は一般レベルと上級レベルがあり、事務系の職種にとっても役立つ資格として知名度があります。

TOEIC

TOEICは英語力を測る世界共通の試験で、外資系企業では800点以上のスコアを求められることが少なくありません。グローバルな展開をしている企業や外国の商品を扱う企業で営業をしたい人は、高得点を目指しましょう。

合格基準などはなく990点が満点で、試験を受ければ自分の英語力を客観的に判断できます。あまりにも点数が低いとアピールにならず、600点以上が履歴書に記載できるレベルです。

その人の基礎的な英語力にもよりますが、600点以上の得点を狙うのであれば700~1,000時間程度の勉強時間が必要とされます。試験はマークシート方式で、リスニングとリーディングの2種類です。

試験日は年間で10日程度あり、受験のチャンスは多いといえます。

営業に役立つ資格の選び方

資格勉強のイメージ

(出典) photo-ac.com

資格にはさまざまな種類があり、選び方を間違うと無駄な労力やコストを割くことになってしまいます。どのように資格を選べばよいのか見ていきましょう。

その企業で求められている資格か

資格取得に向けての勉強を始める前に、その企業で求められている資格なのかを明確にしましょう。営業は特別な資格がなくても、適性があると判断されれば採用されることが一般的です。

その企業で必要とされていない資格を持っていても、選考で有利にはなりません。しかし、応募要項をチェックし、必須とされている資格があれば取得しておく必要があります。

例えば、車を使ってルート営業をする場合は、運転免許証が必須条件である場合が少なくありません。業種によっても求められる資格が異なるので、業界研究をして必要な資格を見極めましょう。

これから取得しようとしている資格について深く理解すれば、「必要のない資格を取るために労力を使ってしまった」という失敗をせずに済みます。

自分のレベルに合っているか

その業界に転職する際にどんなに有利な資格でも、自分のレベルよりもはるかに難しいものを選んでしまうと資格取得までに多くの時間がかかります。

資格を取得して転職活動を有利にしようと思っても、あまりにも時間がかかる場合は、転職のタイミングを逃してしまいかねません。

在職中の場合、資格を取得するための勉強時間はどうしても少なくなります。これまでのキャリアに合った資格を選べば一から学ばずに済むので、勉強時間を短縮できるでしょう。

指導者向けの資格やスペシャリスト系の資格は簡単には取得できませんし、実務経験がないと受験資格を得られないものもあります。業界未経験の場合は、基礎的な知識を身に付けられるものを選びましょう。

業界ごとに求められる資格は異なる

調べ物をしながら勉強する女性

(出典) photo-ac.com

どの業界で営業をするかによっても、求められる資格が変わってきます。業界ごとに、どのようなスキルや資格が求められるのか見ていきましょう。

IT業界

IT業界の営業は、ITによる問題解決を提案できるスキルが必要です。ITに関するある程度以上の専門知識がないと、営業先で説得力のある説明ができません。

「ITパスポート」は、難易度が低く初心者でも取得しやすい資格です。これを持っていると、基礎的な知識が身に付いていることをアピールできます。

ITの技術者向けの「基本情報技術者」や、さらに上級の「応用情報技術者」を取得すれば、現場で必要な基礎知識と応用的な知識を持っていると判断してもらえるはずです。

IT業界の仕事は需要が高くニーズに対する供給が追い付いていない状態なので、未経験者でも採用されやすい傾向があります。特に、即戦力となる人材は慢性的に不足しているため、資格を持っているとより良い条件で採用されやすいでしょう。

金融・保険業界

金融・保険業界の営業には、コミュニケーション力・情報収集力・判断力などが求められます。身近なお金の知識を身に付けたい人は、「ファイナンシャルプランナー」がおすすめです。

また、金融・保険業界では資格を持っていないと、特定の業務を行えない職種もあります。例えば、株式や債券といった金融商品を取り扱うには、「証券外務員」の資格が必要です。

保険商品の勧誘や販売をするには「保険募集人」を持っていなければなりませんが、保険募集人は未経験で保険業界に転職する場合、入社後に取得するのが一般的です。

広告・マーケティング業界

広告・マーケティング業界で営業の仕事をするには、世の中のニーズを調査し消費者から求められる商品やサービスを効率よく生み出すための知識やスキルが必要です。

業界未経験の人は、マーケティングの基礎的な資格である「マーケティング検定」や「マーケティング・ビジネス実務検定」などの資格を持っていると、実務に必要な最低限の知識が身に付いていると判断してもらえます。

インターネット広告に関する知識を身に付けたい人は「Google 広告の認定資格」がおすすめです。合格すれば、オンライン広告についての知識を持つエキスパートとして一定水準を超える知識があると証明できます。

業界別の営業におすすめの資格

会計処理

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職種は同じでも、目指す業界によっておすすめの資格は異なります。業界別に、営業に転職する人におすすめな資格を見ていきましょう。

IT営業を目指す人向け「基本情報技術者」

基本情報技術者は、IT技術者の登竜門として知られる国家資格です。取得すれば、ITエンジニアとしての基本的な知識や、実践的な活用能力を身に付けていると証明できます。

IT業界で営業をするのに、エンジニアとしての専門的な知識は必要ないと考えがちですが、基本情報技術者に合格すれば、IT関連のサービスや商品を扱う際に必要なITリテラシーを身に付けている証明になります。

2022年度秋期テストの合格率は40%程度となっていますが、毎回合格率は異なり30%を切ることも珍しくありません。試験は年2回で、試験会場に設置されたパソコンから試験を受けられるCBT方式が採用されています。

参考:情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験:統計情報|独立行政法人 情報処理推進機構 

金融系なら「ファイナンシャルプランナー」

ファイナンシャルプランナーは、金融・保険・不動産など、さまざまな業界で役立つ国家資格です。取得すると、住宅ローン・税金・年金・教育資金など、家計にまつわる金融の知識を身に付けていると判断してもらえます。

営業の仕事は経済や金融に関する知識が必要ですし、営業以外でもお金のやりくりに関する知識は持っておいて損はありません。

1~3級に分かれており、2級以上を持っていると転職の際に有利ですが、2級以上は受検資格があり、2年以上の実務経験や3級の取得が必要です。

ファイナンシャルプランナー業務に携わったことがないのであれば、3級から取得することをおすすめします。3級の試験日は毎年1月・5月・9月の3回です。

マーケティングの基礎が身に付く「マーケティング・ビジネス実務検定」

マーケティング・ビジネス実務検定は特定の業種にとらわれない、幅広いマーケティングの知識を身に付けたい人におすすめの資格です。

A級・B級・C級の3つのレベルがあり、広告やマーケティング業界以外で営業や販売の仕事をしたい人に有益な時事情報や、実務知識を習得できます。

マーケティングの初心者は、最も難易度が低く基礎知識を測れるC級から受けましょう。C級を取得すれば、基本的なマーケティングの知識があり、定型業務を問題なくこなせると証明できます。

資格を取得するメリット

パソコンで作業をする

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転職をする際に資格を取得するメリットはさまざまです。どのようなものがあるのか見ていきましょう。

採用確率が高まる

その業界で求められる資格を持っていれば、採用される確率が高まります。とりわけ、仕事への関連性や希少価値が高い資格を持っていると、選考の際にさらに注目度が上がるでしょう。

仮に、基礎的な資格であったとしても、仕事に必要な知識を勉強している人とそうでない人とでは、入社後のスタートダッシュが違います。

基礎的な知識がある人の方が新人教育がスムーズに進むので、入社後の教育にあまり時間をかけず即戦力になってもらいたいと考えている企業では、資格の有無を重要視する傾向があります。その点でも、資格がある方が有利になるでしょう。

資格手当がもらえる

特定の資格を持っている従業員に対し、資格手当を支給する企業もあります。資格手当を採用している企業は業務に役立つ資格の取得を奨励しており、社員が資格を取得したときに、お祝い金を支給する制度を導入していることが珍しくありません。

もし、応募先が資格手当を採用しているなら、収入アップにつながります。対象となる資格を持っていれば、毎月数千円~1万円程度の資格手当が支給される仕組みです。

ただし、業界や企業によって対象の資格は異なる点を押さえておきましょう。例えば、IT業界なら基本情報技術者や応用情報技術者などが、資格手当の対象になっているケースが大半です。

キャリアアップを目指せる

資格を持っていると、キャリアアップを目指せるところもメリットです。資格取得が昇進や昇給の条件となっている企業は少なくありません。

実用性が高い資格を持っていれば、転職活動の際もより条件のよい企業に就職できる可能性が高まります。

特定の資格を持っていると、業務の幅が広がるところも見逃せません。例えば、ファイナンシャルプランナーの資格を持っている人は、住宅ローンや税金に関する知識を生かした総合的なアドバイスができます。

3級から2級、2級から1級というようにグレードアップしていけば昇進が狙えるだけでなく、独立を視野に入れることも可能です。

資格の勉強を続けるコツ

パソコンで作業をする女性

(出典) photo-ac.com

未経験の業種に転職する際に役立つ資格を取得するには、一定以上の勉強時間が必要です。以下に、勉強を続けるコツを紹介します。

毎日の勉強時間を決めてしまう

まずは、本格的な勉強を始める前に、スケジュールを立てることから始めましょう。その際、毎日確実に勉強時間を確保するのがお勧めです。

例えば、朝の出勤前に専門用語を覚え、帰宅後の夕方は基礎問題を1題解くというように、勉強をするタイミングとやることを習慣付けてしまえば、だんだんと勉強することが苦ではなくなるでしょう。

在職中は忙しいため、勉強に取り組みやすい時間帯を見つけて、スケジュールを組むことが大事です。

過去問をたくさん解く

資格取得の勉強をする際は、過去問を中心に解きましょう。早めに問題の傾向をつかむことで、どんな勉強をすればよいのか明確になります。

問題を解いてから、参考書を読み込むという順番で勉強すれば、自分の苦手な部分が明らかになり、集中して取り組むことが可能です。

苦手な部分を集中的に勉強すれば、欠点をなくし得点を伸ばせます。解けなかった部分を参考書で確認する流れで勉強し、試験問題を解くために必要な知識を効率よく身に付けましょう。

モチベーションを維持する

資格を取得するための勉強をするときは、目標達成後のイメージを明確に持ちましょう。勉強を始めた当初はモチベーションを意識できても、だんだんとモチベーションが低くなってしまうことは珍しくありません。

モチベーションを維持するには、資格取得後の転職活動に役立てている様子や現場で活躍している自分の姿を思い浮かべて勉強に取り組みましょう。また、資格を仕事に役立てている人の話を聞くのも、モチベーションがかき立てられるので効果的です。

途中で挫折しないようにするには「○月○日までに資格を取得し、転職活動を有利にする」というように、はっきりとした目標を立てることでます。試験日までに、いくつかの小さな目標をに分解した上で、勉強に取り組むのはさらにおすすめです。

「○日までに過去問の○ページを全問正解する」など、短期的な目標を少しずつクリアしていくと、最終的な目標に向けて着々とステップアップしていけます。

営業に役立つ資格を取得し転職活動を有利にしよう

勉強をする女性

(出典) photo-ac.com

実用的な営業の資格を持っていると、転職活動や入社後の仕事を楽に進められるでしょう。企業が求める資格や、資格手当の対象になっているものを取得すれば、さらにメリットが大きいといえます。

業界ごとに評価の対象となる資格は異なるので、よく調べた上で、関連性の高いものを選びましょう。パソコンスキルやマーケティングの知識などは、どの業界で営業をする際にも役に立ちます。勉強を続けるコツなども押さえ、効率よく取得しましょう。

西野浩輝
【監修者】All About 営業ノウハウガイド西野浩輝

大阪大学大学院修了。リクルート在籍時は部門初のMVPに2度輝くなどトップ営業として活躍。2003年にマーキュリッチを創業し一部上場企業の経営者から新人まで対象層は幅広く、顧客数は300社超。著書は「5分で売れる! 営業ノウハウ」「営業力がUPするプレゼン術」等12冊、計21万部のベストセラー作家。
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