営業の仕事内容と大まかな流れ。営業の種類が違うと仕事内容も変わる

営業への転職を検討しているなら、具体的にどのような仕事をするのか知っておく必要があります。それに加えて、営業の種類も把握すれば、転職先を探す際の参考になるでしょう。種類別の仕事内容や、業務の大まかな流れについて解説します。

営業の具体的な仕事内容

デスクワークする女性

(出典) photo-ac.com

営業を目指している人の中には、営業が具体的にどのような業務を行っているのか知らない人もいるでしょう。営業の一般的な仕事の流れと内容を紹介します。

顧客の選定

営業における最も重要な仕事は、顧客に商品やサービスを買ってもらうことです。営業活動を行う場合は、最初に顧客の選定作業を行います。

優先的に選定する顧客は、成約に持ち込める可能性が高い顧客や、高額取引が成立しそうな顧客です。顧客リストを全て洗い出し、これらの条件に合った顧客をピックアップします。

営業の部署では、あらかじめ個人目標を個別に設定するのが一般的です。ノルマを達成するための第一歩として、見込み顧客の選定はとても重要な作業といえます。やみくもに営業をかけるわけではないことを覚えておきましょう。

営業活動・商談

見込み顧客を選定したら、電話やメールにより、アポイントを取る作業を行います。その上で、アポイントを承諾してくれた顧客との商談に臨みます。

営業プロセスにおいては、顧客との信頼関係を高めながら、顧客の課題や悩みを探し出します。解決策の提案やプレゼンを行い、商材に興味を示した顧客に見積もりを提示するのが商談の主な流れです。

成約につなげることで売上が発生するため、商談は営業にとって最も重要なプロセスであるともいえます。商談の成功率を高めるためには、ヒアリング力やプレゼン力、クロージング力を磨かなければなりません。

チームとしての売上を高めるために、他のメンバーのフォローに回る場合もあるでしょう。営業は個人目標だけでなく、部署や企業全体の目標も意識することが求められます。

商材の手配

営業の仕事は、商品やサービスを売れば終わるわけではありません。商談がまとまり契約を結んだら、次は商材を手配する必要があります。

商材を手配する際は納期や数量を確認し、ミスのないように業務を進めることが重要です。チームのメンバーや担当部署とも連携しながら、迅速に作業を進めなければなりません。

商材の手配にもたもたしていると、顧客の購買熱が冷めて入金前にキャンセルされる恐れもあります。頑張った商談が無駄にならないよう、手配のプロセスでは迅速かつミスなく動くことが大切です。

納品・請求

商材の手配が済んだら、顧客へ迅速に納品を行います。契約通りに納品できたかを営業がきちんとチェックしなければなりません。最後まで責任を持って動くことで、顧客からの信頼を高められるでしょう。

納品が完了したら請求書を作成し、顧客へ提示します。請求金額や支払いの方法・期限等を契約時に決めておけば、納品後のトラブル最小限にすることが可能です。

期限までに入金されたかどうかも、基本的には営業が確認する必要があります。入金が確認できたら、お礼を兼ねて顧客に連絡を入れておくとよいでしょう。

アフターフォロー

顧客からの入金をもって取引自体は完了しますが、営業としてはアフターフォローも意識する必要があります。商材の利用中に困ったことはないか、アフターフォローで定期的に確認することが重要です。

納品後にトラブルが発生した場合は、速やかに対応しなければなりません。商材を渡してお金を受け取れば終わりではなく、営業は納品後もきちんと顧客をサポートする必要があるのです。

アフターフォローを徹底することで、顧客満足度の向上につながります。顧客とも定期的に接することになるため、新たなニーズの発掘や提案にも発展しやすくなります。

アフターフォローは電話やメールで行うことも可能ですが、できるだけ顔を出すのがおすすめです。顧客と良好な関係を維持できれば、リピーターになってくれるだけでなく、他の顧客候補を紹介してもらえる可能性もあります。

【業種別】営業の種類

外回りのイメージ

(出典) photo-ac.com

営業にはさまざまな種類があり、仕事内容も種類ごとに異なります。まずは業種の違いにより3つに分類できることを知り、それぞれの特徴も理解しておきましょう。

商社営業

商社とは、他社の商品を仕入れて別の企業に販売し、取引で発生した仲介手数料を利益とする企業です。自社の製品を販売するメーカーと異なり、商社は複数企業の商品を取り扱います。

商社営業は、自社で扱える商品を幅広く知っておくことが重要です。顧客の課題を解決する際は、取り扱う商材の組み合わせ次第で提案内容が異なるため、課題解決力の高い人が向くでしょう。

テレアポや新規顧客開拓が多いのも、商社営業の特徴です。さまざまな物事に興味を持てる人や、テレアポ・飛び込み営業をさほど苦にしない人なら、商社営業として活躍しやすいと思われます。

メーカー営業

特定のモノづくりを行っている企業をメーカーといいます。食品・自動車・アパレル・家具・電化製品・薬品など、メーカーが製造するモノはさまざまです。

メーカーは取り扱う製品の種類がある程度限られることから、メーカー営業には自社商品に関するより深い理解が求められます。同業他社との差別化を図るために、他社製品の特徴や動向をチェックしておくことも重要です。

メーカー営業は一般消費者だけでなく、企業との商談も多くなります。既存顧客と新規顧客の比率は会社により異なり、新規顧客の比率が高いほど忙しくなる傾向があります。

代理店営業

代理店営業とは、自社の商品やサービスを販売してくれる代理店に商材を売り込む営業です。基本的に個人に対しては営業活動を行いません。

代理店営業が活躍する主な業界としては、携帯電話業界や保険業界が挙げられます。例えば保険業界の代理店営業なら、自社の保険商品を保険代理店に紹介して商談を行います。

自社商材の売り込みだけでなく、代理店の売上アップにつながるサポート業務も、代理店営業の重要な仕事です。代理店がエンドユーザーに商材を販売して初めて、代理店営業の成績になります。

【目的別】営業の種類

手帳を手に考え事をする男性

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目的およびアプローチ方法によって営業の種類を分けると、新規開拓営業とルート営業に大別できます。両者の特徴を確かめておきましょう。

新規開拓営業

新しい顧客を獲得したい場合に行う営業が、新規開拓営業です。企業が売上を伸ばしていくためには、既存顧客を大事にしつつ、新規開拓で顧客を増やしていく必要があります。

新規開拓営業で着実に顧客数を増やせるなら、既存顧客との取引実績が現象した場合でも、全体の売上が大幅に下がるリスクを抑えることが可能です。

新規開拓営業は、インバウンド営業とアウトバウンド営業の2種類に大きく分けられます。ホームページやセミナーに集客して顧客を増やす手法がインバウンド営業、電話や訪問で顧客にアプローチをかける手法がアウトバウンド営業です。

ルート営業

ルート営業とは、既存顧客に定期的にアプローチをかけ、企業の売上を維持・向上させるための営業です。大半の企業では、ルート営業からの売上が企業活動の下支えとなっています。

初対面の相手と接する機会が少ないルート営業は、新規開拓営業に比べて楽だと思われがちです。しかし、既存顧客との取引が不調に陥ると経営に大きなダメージを与えかねないため、ルート営業も決して楽な仕事ではありません。

ルート営業として活躍するためには、既存顧客が抱える課題・悩みの見極めと、新しい商材の適切な提案が不可欠です。仕事を丁寧に進めながら、顧客と深い人間関係を構築できる能力も求められます。

【顧客別】営業の種類

パソコンを操作する男性

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商材を販売する相手をは主に個人と法人に分かれ、それぞれの営業の特徴は大きく異なります。個人営業と法人営業で何が違うのか見ていきましょう。

個人営業

個人営業では、電話や飛び込み訪問での新規開拓営業が多くなります。法人営業に比べて取引で動く金額が大きくない分、たくさんアプローチし、取引数を増やして売上を確保しなければならないためです。

決裁者に対して直接商談を行うケースが多く、商材を気に入ってもらえれば成約までの時間が短い傾向があります。インセンティブで稼ぎやすい点も個人営業の魅力です。

顧客との距離感が近いため、商材を使ってくれた顧客からの感想が直接耳に入りやすい傾向があります。感謝されればより大きな達成感を得られ、モチベーションも高まりやすくなります。

法人営業

企業に対して商材を提供する法人営業は、取引の規模や金額が大きくなる傾向があります。営業スキル的には難易度が高い分、成約できれば大きな成果につながるという点で、やりがいを感じやすいでしょう。

商談初期では決裁者以外の担当者と進め、最終的に経営陣などの決裁者と商談を行うのが一般的です。的確に情報を収集できるスキルや、相手を納得させられる高いプレゼンスキルが求められます。

法人営業はルート営業が多くなりやすい点も特徴です。フットワークの軽い人が向く個人営業と異なり、法人営業は細かく複雑な業務をきっちりと遂行できる性格の持ち主が適しているでしょう。

【商材別】営業の種類

リスト作成

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営業の種類は、取り扱う商材の違いによっても分類が可能です。商材の種類の違いと、それに伴う営業の違いを解説します。

有形商材営業

有形商材とは、不動産・日用品・家電など実際に形のある商品のことです。顧客が見たり触ったりできるため、有形商材営業は顧客に使用イメージをつかんでもらいやすい特徴があります。

形のない無形商材を扱う営業に比べ、有形商材営業の方が難易度は下がります。しかし、顧客が商品を比較しやすくなるため、営業は同業他社の商品についても深く理解しておくことが重要です。

原価率が高い点や在庫・返品リスクがある点も、有形商材営業の特徴です。プレゼンの難易度が低い一方で、これらのリスクを考えながら業務に取り組む必要があります。

無形商材営業

金融・IT・人材・保険など、形を持たない商材を扱う営業が無形商材営業です。顧客にサービスの詳細をイメージしてもらいにくいため、営業には高いプレゼン力が求められます。

実際に使ってみなければ効果が分かりにくいことから、営業の信用力も売上を大きく左右します。したがって、顧客との信頼関係が高いほど有利です。

無形商材は、原価という面ではコストがあまりかからないものが多いため、インセンティブが高くなりやすいメリットがあります。営業のコツをつかんで成果を出せるようになれば、やりがいを感じやすいでしょう。

営業を目指すなら仕事内容を知っておこう

タブレットをチェックする女性

(出典) photo-ac.com

営業は商材を販売するだけでなく、顧客の選定からアフターフォローまで行わなければなりません。また、営業の種類ごとに仕事内容が異なる点もポイントです。

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西野浩輝
【監修者】All About 営業ノウハウガイド西野浩輝

大阪大学大学院修了。リクルート在籍時は部門初のMVPに2度輝くなどトップ営業として活躍。2003年にマーキュリッチを創業し一部上場企業の経営者から新人まで対象層は幅広く、顧客数は300社超。著書は「5分で売れる! 営業ノウハウ」「営業力がUPするプレゼン術」等12冊、計21万部のベストセラー作家。
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