教員に向いている転職先とは?転職のコツや生かせるスキルなども紹介

教員は仕事量が多く、責任が重い仕事です。生徒たちの成長を見られる喜びはありますが、さまざまな事情でほかの職業に転職したくなることがあるでしょう。教員に向いている転職先や、転職を成功させるためのポイントなどを紹介します。

教員の転職先はどこがいい?

パソコンで調べ物をする男性

(出典) photo-ac.com

教員に向いている仕事が分かっていれば、転職活動を有利に進められます。教員の経験がある人に向いている転職先を見ていきましょう。

教育関係の業種

学校以外の教育機関で子どもに勉強を教える仕事は、教員に向いている転職先です。家庭教師・学習塾・各種スクールなどの講師や、教室運営にかかわる職種は教員としての経験を生かせます。

家庭教師や学習塾の講師は学校で教えるのとは違い、子どもの成績をアップさせたり志望校に合格させたりするというように、明確な目的があることが特徴です。

子どもに勉強を教えるだけでなく、アルバイトの指導・管理や保護者対応などをしなければならないこともあり、教員の仕事と関連性が高い部分が多いので、即戦力になれるでしょう。

教室運営にかかわる場合、教員のときにはあまり経験しなかった集客や売り上げの管理などをしなければならず、苦戦する場合もあります。

学校の事務

学校の運営にかかわる事務も、教員の転職先としておすすめです。事務系の仕事は比較的残業が少なく、ワーク・ライフ・バランスを取りやすいところが魅力です。

事務といっても幅広い種類があり、教員の給与計算や決算などを担当する経理事務もあれば、学校施設の管理や生徒たちのサポートに携わるものもあります。応募の前に自分の得意分野や、どの業務を担当したいのかなどを明確にしましょう。

事務系の仕事は採用選考の際に、「パソコンスキル」をどの程度備えているかがチェックされる可能性があります。採用の確率をアップするために、ワードやエクセルなどの基本的なソフトを扱えるようにしておきましょう。

営業職

営業職は相手の心に響くように自社の製品やサービスの魅力を伝え、顧客の要望を聞き取る能力が求められます。

教員は生徒に分かりやすく勉強を教えたり、生徒の話をヒアリングしたりする仕事なので、求められる能力が似ている営業職とは好相性です。

多くの生徒たちの前に立って話をすることに慣れていることから、営業の現場でも堂々とプレゼンできます。

何を売る場合であっても、話術は大きな強みです。伝えることに自信があるなら、即戦力になれるでしょう。

未経験者を採用している業種

未経験者を積極的に採用している業種も、教員の転職先として狙い目だといえます。建築業・運送業・介護・ITなど、さまざまな分野で人手不足が起こっており、未経験者が採用されやすい状態です。

求人情報をチェックすると「未経験可」となっている仕事が、意外に多いと分かります。未経験者に対するバックアップ体制が整っている企業も多く、どのようなサポートが受けられるかもチェックしたいポイントです。

離職率や、将来性の高さなども考慮しながら選びましょう。未経験の業種に挑戦する際は向上心や学習意欲が必要になりますが、教育関連の仕事にこだわらず新しい仕事を始めたい人にはおすすめです。

教員は転職が難しい?

履歴書を手にしている女性

(出典) photo-ac.com

教員は転職が難しいとする説もあり、不安を感じている人もいるはずです。転職が難しいとされる理由を知って、対策しましょう。

ビジネスの経験が不足気味だと思われる

教員として学校で働いた経験だけでは、ビジネスの世界でやっていけないと判断する企業もあります。中途採用の場合、即戦力となってくれそうな人物を優先して採用することが一般的です。

教員の仕事は生徒に勉強を教えたり指導したりすることがメインのため、一般的な企業に求められる「ビジネスマンとしての基礎」が身に付いていないと判断されやすいでしょう。中には、ITツールを使いこなせないのではないかと心配されるケースもあります。

その企業で何が求められているのかを考え、アピールの方向を間違わないことが大事です。

転職活動のための時間が捻出しにくい

クラスを受け持っている教員はハードワークすぎて、転職活動に多くの時間を割けないことが少なくありません。また、年度の途中での退職が難しいケースがほとんどです。

運よく4月から入社できそうな転職先が見つかればよいですが、ほかの教員も同じようにタイミングよく入社したいと考えるので、そうした会社は競争率が高くなりがちです。

中途採用の場合、できるだけ早く新しい人材を確保したいと考える企業が多く、入社できるタイミングが遅いほど不利になってしまうこともあります。

転職に役立つ教員のスキルとは

ホワイトボードを使って説明する女性

(出典) photo-ac.com

教員が転職する際、どのようなスキルを生かせるのでしょう。転職に役立つ教員のスキルを紹介します。

指導力やプレゼンテーションスキル

教師が持つ指導力やプレゼンテーションスキルを上手にアピールできれば、魅力を感じる企業は多いでしょう。講師・家庭教師・インストラクターなど、教育関連の仕事に転職したい場合は、特に有利になるスキルです。

高い指導力がある講師を求めて、スクール選びをする人は少なくありません。スクール側も、経験に基づいた指導力を持つ人を優遇します。

また、人にものを教える仕事だけでなく、キャリアアドバイザーのように顧客に寄り添ってサポートする仕事でも役に立つでしょう。

そのほかには、営業職においてもプレゼンテーションスキルは重視されます。プレゼン以外の場面でも、商談で自ら情報を発信して自分の意思を伝える能力は必要です。提案内容をより分かりやすく伝える能力は、幅広い場面で生かせます。

コミュニケーションスキル

教員は多くの生徒や保護者たちとコミュニケーションを取るので、自然とコミュニケーションスキルが磨かれます。ほかの教員と連携して仕事をする機会も多く、対人スキルに自信がある人が多いでしょう。

自分1人で完結する仕事以外、どの職業でもコミュニケーションスキルが必要です。しかし、子どもたちを中心としたやりとりの経験を伝えるだけでは、ビジネスマンに求められるスキルとして弱いと思われる可能性があります。

これまでに培ってきたコミュニケーションスキルを、「新しい仕事にどのように生かしていけるか」を伝えられるように準備しておきましょう。

教員が転職するコツ

履歴書に記入する手元

(出典) photo-ac.com

教員が転職するコツが分かっていれば、転職に成功する可能性が高まります。転職活動を始める前に、押さえておきたいコツをチェックしましょう。

経験を生かした転職先を探す

教員としての経験を生かせる仕事を選ぶと、スムーズに転職しやすくなります。例えば、教育にかかわる民間企業や教育施設の講師などは、即戦力として採用される可能性が高い職業です。

学校事務や大学職員などの事務系の職種も、教員としての経験を前向きに受け取ってもらえるはずです。英語力に自信があるなら、「留学エージェント」なども狙い目だといえます。

留学エージェントは留学したい学生のカウンセリングや留学先の手配などを行う仕事で、若い世代が顧客となります。これまで培ってきたコミュニケーションスキルやプレゼンテーションスキルを発揮できる仕事といえるでしょう。

目指す業界のスキルを身に付ける

教育関連以外の転職を目指す場合、希望する業界でどんな人材が求められているのかを調べ、必要とされるスキルを身に付けましょう。

例えば、IT系の職種に就きたいならプログラミングを学び、学校事務の経理を担当したいなら簿記の資格を取るというように、その業界で持っていると有利になるスキルを身に付けることが大事です。

実務経験がなかったとしても、学ぶ姿勢を見せることでプラスに働く可能性は高くなります。

また、どのような企業でもビジネスマナーが重視されるので、自信がない場合は「ビジネス実務マナー検定」などを利用してスキルを身に付けることもおすすめです。

転職する時期を決める

忙しい教員が転職を成功させるには、転職する時期を明確にして行動を開始することも重要です。

「よい求人があったら転職の準備をしよう」と考えていると、日々の忙しさによってタイミングを失ったり、退職時期の関係で応募が難しかったりとうまくいかない状況に陥ります。

4月の転職を目指すなら、年内には転職先のイメージを固めて年明けから求人への応募を開始するというように、転職時期を意識して動き出しましょう。いつ、何をすべきなのか判断しやすくなり、時間を無駄にするリスクを減らせます。

教員が転職する際の注意点

面接の様子

(出典) photo-ac.com

転職先に求められるスキルを持っていたとしても、伝え方を間違うと採用が遠ざかります。どんなことに注意すればよいのか見ていきましょう。

転職理由でネガティブなことをいわない

転職理由を伝える際に「教員の仕事が自分に合わない」「教員の仕事が嫌だから転職したい」などの言い方をするのは避けましょう。

嫌なことから逃げ出そうとしているような、ネガティブな印象に受け取られてしまいます。本心ではそう思っていたとしても、ポジティブな言い方に変換することが大事です。

「自分の〇〇なところを生かすために転職を決意した」という言い方をすれば、前向きに聞こえますし説得力も感じられます。

ただ嫌だから転職したというだけでは、新しい仕事もすぐに嫌になって辞めるのではないかと思われてしまうでしょう。

年収が下がってしまう可能性が高い

一般的な企業にも同じことがいえますが、教員は基本的に「年功序列」で給料が決まるので、30代以降に転職する場合は給与が下がってしまう可能性があります。

20代で転職を決断する際は大幅に給与が下がることは少なく、あまり気にならないかもしれませんが、30〜40代でほかの職業に転職する際は覚悟しましょう。

教員としてのキャリアがあっても、未経験の職種に就く場合には1からのスタートになるので、年収が上がることは期待しない方がよいといえます。

もちろん全てのケースで当てはまるわけではなく、インセンティブのある仕事や給与水準が高い業界に転職する場合は、大きく下がらないこともあるでしょう。

注意点を確認して教員からの転職を検討しよう

窓の外を見る教員

(出典) photo-ac.com

教員が転職をする際、教育関連の仕事であれば持っているスキルを生かして即戦力として働ける可能性があります。

教員のキャリアを生かせる仕事を選べば、未経験の業種に挑戦するよりも確実性が高いでしょう。今までとは全く違ったタイプの仕事がしたい場合は、未経験者を歓迎する業界を狙うのも1つの方法です。

教員の仕事は忙しいので、退職したい日から逆算して必要な期間を導き出し、転職活動をスタートさせることがおすすめです。「スタンバイ」では教育関連の仕事や、未経験者を求めている求人情報を探せます。

条件やキーワードを絞り込んで希望に合うものを見つけられるので、ぜひ利用してみてください。

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鈴木邦明
【監修者】All About 子育て・教育ガイド鈴木邦明

教師歴22年の小学校や幼稚園・保育園に精通した子育て・教育の専門家。神奈川県、埼玉県の公立小学校に22年勤めた後、短大、大学での教員養成、保育者養成に移り、現在に至る。現在は、大学での講義を中心に、保護者向けに子育て・教育、教員向けに授業方法・学級経営などのテーマで執筆、講演などに幅広く活躍中。
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著書:
子どもの心と体のストレスを緩和する リラックス学級レク75
オンライン、ソーシャルディスタンスでできる 学級あそび&授業アイスブレイク