受付は「会社の顔」として、来訪者の対応や電話・メールの応対、会議室の予約管理など、幅広い仕事に携わります。コミュニケーションスキルやビジネスマナーが求められますが、未経験でも挑戦可能です。求人数は地域差があり、派遣社員が多い傾向があります。
この記事のポイント
- 受付の仕事内容
- 受付は「会社の顔」として、来訪者の対応から庶務業務まで幅広く担当します。
- 受付の給与と求人数
- 正社員における受付の平均年収は367万円です。求人数は地域差があり、派遣社員の割合が高い傾向があります。
- 受付に求められるスキルと将来性
- 受付には高いコミュニケーション能力やビジネスマナーが求められます。未経験でも挑戦可能で、キャリアアップや異業種への転職も目指せます。
受付の仕事内容とは
受付は、主に以下の業務を担当します。ここでは、それぞれの内容について詳しく解説します。
- 来訪者の応対
- 来訪者の情報登録と管理
- 電話・メールの応対
- 会議室の予約管理
- 備品管理などの庶務業務
来訪者の応対
受付は、来訪者が会社に足を踏み入れて最初に接する場所です。そのため、受付の対応は会社の印象を左右する大切な仕事といえます。
主な役割は、来訪者の目的を確認し、担当部署へスムーズに取り次ぐことです。セキュリティ管理の観点から、入館証の発行や立ち入りエリアの制限を行う場合もあります。
商談などの重要な用件で訪れる来訪者の中には、緊張している人もいるかもしれません。そのため、マナーを守りながら丁寧な対応を心がけ、来訪者が安心できる環境を作ることが求められます。受付の対応が良ければ、会社のイメージアップにもつながるでしょう。
来訪者の情報登録と管理
受付では、来訪者の企業名・氏名・訪問目的などの情報を登録・管理します。これにより「誰が・いつ・何の目的で訪れたか」を記録し、会社のセキュリティを強化できます。
また、スムーズに情報を登録できないと来訪者に不便な思いをさせるため、迅速な対応も重要です。登録した情報が外部に漏れないよう、セキュリティ意識を持つことも欠かせません。
近年は受付業務の負担を減らすため、タブレット端末を設置し、来訪者が自分で情報を入力するシステムを導入する企業も増えています。
電話・メールの応対
会社の代表電話や代表メールに届いた問い合わせに対応する業務です。電話の場合、企業名・氏名・用件を確認し、担当部署や社員へ取り次ぎます。担当者が不在のときは、折り返しの連絡を手配するか、かけ直してもらうように案内します。
社内の部署構成や担当者を把握していないと対応が遅れる原因になるため、会社全般の知識も求められるでしょう。
また、メールの対応は、できるだけ早く返信することが基本的なマナーです。企業によっては「24時間以内に返信する」といったルールを設けている場合もあります。
会議室の予約管理
来訪者が社内で打ち合わせをする際は、執務スペースではなく会議室を利用するのが一般的です。そのため、会議室の予約管理も受付の業務の1つです。
会議の予定変更やキャンセルがあった場合、情報を正しく更新し、ダブルブッキングを防ぐ必要があります。会議が長引いた結果、次に予約している人が時間通りに使えなくなることもあるため、スケジュール管理には細心の注意を払わなければなりません。
会議開始や終了予定の時刻が近づいた際に、会議室の利用者にリマインドする場合もあります。
備品管理などの庶務業務
備品管理や郵便物の受け渡しなど、さまざまな庶務業務も仕事の1つです。備品管理では、受付で使用するバインダー・筆記用具・ファイルなどの補充・発注を行います。
また、社外へ発送する荷物の手配や社外から届いた郵便物・荷物の受け取りも引き受けます。受付エリアや会議室・応接室の清掃を、受付担当者が行うことも少なくありません。
受付の年収や時給は?
受付の給与について、雇用形態ごとに紹介します。一般的に給料は基本給を指し、諸手当を含めませんが、本記事では諸手当を含めた給与を給料としています。
正社員の年収
求人情報一括検索サイト「スタンバイ」の求人統計データによると、2025年2月における受付の正社員の平均年収は367万円、年収の中央値は368万円です。このデータは、2025年2月1日~2月28日に掲載された求人情報をもとに算出されています。
ただし、地域差はもちろん、企業規模や勤続年数、経験、担当業務、求められるスキルによって差が生じます。
アルバイト・パートの時給
求人情報一括検索サイト「スタンバイ」のデータによると、受付のアルバイト・パートの平均時給は1,216円、中央値は1,188円です。
地域ごとのデータでは、首都圏・東海・関西の三大都市圏が上位を占めており、地方ではより低い時給となることがほとんどです。
派遣社員の時給
求人情報一括検索サイト「スタンバイ」のデータによると、受付の派遣社員の平均時給は1,435円、中央値は1,402円です。
スタンバイ内にある求人情報を詳しく見ると、時給2,000円以上の求人もあり、勤務先や経験によって大きな差があることが分かります。
受付の求人数
ここでは、受付の仕事の有効求人倍率や雇用形態について見ていきます。
有効求人倍率は1.05倍
厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「jobtag(ジョブタグ)」によると、受付の全国有効求人倍率は2023年時点で1.05倍です。
有効求人倍率とは、公共職業安定所(ハローワーク)における求職者1人当たりの求人数を示す指標です。
全国的には求職者よりも求人数がやや多い状況ですが、地域によってばらつきがあります。例えば、東京都の有効求人倍率は1.27倍ですが、神奈川県では0.7倍と、地域によって大きな差があります。
なお、厚生労働省の発表によると、2023年の全国平均の有効求人倍率は1.31倍です。これと比較すると、受付の有効求人倍率はやや低めといえます。
出典:受付事務 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
出典:一般職業紹介状況(令和5年12月分及び令和5年分)について |厚生労働省
派遣社員の割合が高い
「jobtag」によると、受付業務は人材派遣会社に委託されることが多く、派遣社員の割合が高い傾向があります。直接雇用の場合、総務部に所属するケースが多いようです。
派遣社員の割合が高い理由として、企業が即戦力を求めている点が挙げられます。
受付は会社の顔といえる存在です。対応がしっかりしていれば企業の印象は良くなります。このような理由から、経験の浅い新入社員よりも、即戦力となる派遣社員を採用する企業が増えています。
受付の業務に求められるスキル
受付の仕事では以下のスキルが求められる傾向があります。それぞれのスキルについて詳しく見てみましょう。
- コミュニケーションスキル
- 情報処理スキル
- ビジネスマナー
- 基本的なパソコンスキル
- 実践的な語学力
コミュニケーションスキル
受付スタッフは来訪者だけでなく、社内外のさまざまな人と関わります。どのような相手にも失礼のない対応を心がけ、円滑なやり取りをすることが重要です。
また、対面だけでなく、電話やメールといったさまざまな手段を用いた対応も求められます。会社の顔としてふさわしい振る舞いをするために、社会人としての基本的なマナーも身に付ける必要があります。
書類や連絡先などの情報処理スキル
受付では、書類の管理や連絡先の整理など、多くの情報を扱います。そのため、日々増えるデータを正確に処理する能力が不可欠です。
アポイントのない来訪者の対応や会議室のスケジュール変更といった突発的な事態に対して、冷静に対処する柔軟性が求められます。来訪者と話すだけでなく、情報を適切に整理し、迅速に伝達する能力が必要です。
ビジネスマナー
受付は企業の第一印象を左右する重要な役割を担います。清潔感のある服装や適切な言葉遣い、丁寧な対応を心がけることが大切です。
また、お辞儀の仕方や名刺交換の手順など、基本的なビジネスマナーも身に付ける必要があります。自分本位ではなく、相手を尊重した行動を意識することが求められます。
基本的なパソコンスキル
来訪者情報の管理や会議室の予約など、パソコンを使う業務が数多くあります。特に、WordやExcelを使ったデータ入力や文書作成の機会が多いため、基本的な操作スキルは必須です。
来訪者対応をしながら書類を作成したり、電話を受けながらスケジュールを確認したりする場面もあり、ツールをスムーズに操作する力も求められます。企業によっては専用システムを使用することもあるため、新しいツールへの適応力も必要です。
実践的な語学力
海外顧客と取り引きがある企業では、英語を使う機会があります。流暢でなくても、基本的なフレーズを理解し、簡単な対応ができると業務の幅が広がるでしょう。
また、言語だけでなく、相手の文化や習慣を理解することも国際的なコミュニケーションには欠かせません。受付業務にはさまざまなスキルが求められますが、基本を押さえれば、より円滑に対応できます。
未経験でも受付の仕事は挑戦できる?
即戦力になる派遣社員が多い受付業務ですが、未経験でも挑戦できるでしょうか。採用に有利な資格と併せて解説します。
未経験でも挑戦可能
jobtagの調査によると、68%の受付業務の従事者が「入社前の訓練・学歴は特に必要ない」と回答しています。さらに、入職前の訓練期間も「特に必要ない」が62%という結果が出ています。入職後の訓練期間が不要と答えた人も28%いました。
企業は即戦力を求める一方で、以下のような素養も重視しています。
- 人と関わるのが好き
- 気配りができる
- 臨機応変な対応ができる
- 礼儀正しくコミュニケーションが取れる
実際に「未経験者可」としている求人も多く、未経験でも受付の仕事に挑戦するチャンスは十分にあります。
出典:受付事務 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
採用にあたって有利になる資格がある
受付の仕事をするために、必須の資格はありません。しかし、関連する資格を持っていると採用時に有利になることがあります。特にリーダーやマネージャー職を目指す場合、資格が強みになることもあるでしょう。役立つ資格には以下のようなものがあります。
- 接客サービスマナー検定
接客の基本やビジネスマナー、クレーム対応のスキルを評価する資格 - サービス接遇検定
サービス業における接客スキルを測る試験 - 秘書検定
秘書業務に必要な知識やマナーを問う資格で、受付の基本業務にも応用可能
上記の資格を取得しておくと、受付業務だけでなく、将来的なキャリアアップにも役立ちます。
受付の将来性について
あらゆる業界や職種でデジタル化が進む一方、マルチな業務をこなす受付はまだまだ活躍の場がある仕事です。以下で受付のキャリアステップを2つ紹介します。
キャリアアップを目指す
受付スタッフとして経験を積んだ後は、受付部門のリーダーとしてメンバーの指導や監督をし、マネージャー職にキャリアアップする道があります。
マネージャー職には、イレギュラーな状況に柔軟に対応する力やチームをまとめるマネジメント力が求められますが、経験を積むことで身に付きます。
語学力があれば、海外顧客の対応能力を高め、企業の海外部門に異動する道も開けるでしょう。また、接遇やスケジュール管理に優れた能力がある人は、社長や役員の秘書職に就くチャンスもあります。
より専門的な異業種・異職種に転職する
受付の経験は、異業種や異職種への転職で生かせます。転職先として考えられる業種は多岐にわたります。例えば、接客業は顧客とのやりとりが多く、受付業務で培った顧客対応力やコミュニケーションスキルが強みとなるでしょう。
パソコンスキルを生かして一般事務職に転職するのも1つの選択肢です。事務職は資料作成やデータ入力、スケジュール管理とパソコンを用いる場面が多いため、受付業務での経験が役立ちます。
受付で必要なスキルを身に付けて転職を成功させよう
受付で経験を積むことで、さまざまなスキルが身に付きます。例えば、ビジネスマナーやコミュニケーションスキル、イレギュラーな事態への臨機応変な対応能力、事務処理スキル、パソコンスキルが代表的です。
これらのスキルは転職する際にも大きな強みとなります。受付の経験をもとに転職を成功させるには、まず自己分析をしっかりと行い、自分の強みを明確にすることが大切です。身に付けたスキルの中でも、特に自分が強みとするものを理解するとよいでしょう。
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