インフラエンジニアの仕事内容を紹介!種類や向いている人の特徴も

インフラエンジニアとは、サーバーやネットワーク、データベースやセキュリティIT基盤の設計・構築・運用を担う職種です。

この記事ではインフラエンジニアを目指される方に向けてインフラエンジニアの種類や行程毎の仕事内容、向いている人などを解説します。

インフラエンジニアの仕事内容

パソコンで作業する男性

(出典) photo-ac.com

インフラエンジニアは、サーバー・ネットワークなどのシステムやアプリケーションを動かすためのIT基盤の設計・構築・運用を担当するエンジニアの総称です。インフラエンジニアが担当する仕事の内容は、大きく構築と運用の2つのフェーズに分けて考える事が出来ます。

「要件定義・設計・構築」の構築フェーズ

通常、システム開発を行う際には、要件定義・設計・開発というプロセスを経ますが、インフラ設計でも同様に要件定義・設計・構築といったプロセスを経てIT基盤の構築を行います。

システム開発において、どのような業務をどのようなシステムで実現するかは機能要件として定義され、システムを動作させるために必要な性能や信頼性、冗長などの要件は非機能要件として定義されます。システム開発のスタートともいえる要件定義の工程において、クライアントから性能や冗長性、セキュリティの要件と予算をヒアリングし、予算にみあう非機能要件を定義するのもインフラエンジニアの重要な仕事です。

設計の工程では、クライアントからヒアリングした要件と要望・予算などを考慮し、サーバーや・ネットワークなどの機器選定、ならびにサーバの搭載位置やサーバとネットワーク装置の物理的な配線の設計などを行って物理的なシステム構成を確定し、機器の発注等を行う物理設計と、サーバやNW機器を動かすためのパラメータ設計を行う論理設計を行います。

設計が完成したら、プランに基づいてスイッチ・ルーターなどをラックに搭載し、ケーブリングやOSのインストール、パラメータ設定などの構築作業を行います。

「保守・監視」の運用フェーズ

構築したIT基盤の保守・監視といった運用もインフラエンジニアの重要な仕事です。運用フェーズにおける主な業務は、サーバーの故障や、ネットワーク障害を検知し、適切な解析を行ってシステムを復旧することです。

監視用のツールを用いてシステムのアラームや性能を監視し、故障や異常動作をいち早く検知するほか、最近ではハッキングなどのセキュリティインシデントを検出して対応する、セキュリティオペレーションを行う企業も増えてきました。

監視で障害や異常を検知した後、問題の原因や対応策を検討し、システムが正常動作するように復旧作業を行います。多くの場合、IT基盤の障害はシステムの異常に直結するため、システムのミッションクリティカル性に応じて、複数のシフトで構成される24時間保守の体制を敷くこともあります。

運用フェーズでは、対応マニュアルが整備されている中で保守を行う事が多く、監視や一次対応は比較的初心者の方でも採用されやすい領域です。一次対応者が解決できない問題の場合には、より高いスキルを持つインフラエンジニアにエスカレーションを行う形での保守体制を構築することが一般的です。

インフラエンジニアの主な種類

パソコンを操作する男性

(出典) photo-ac.com

インフラエンジニアは、担当する業務によって大きくサーバ、ネットワーク、セキュリティの3つの種類に分かれます。しかしながら、近頃ではAWSなどのパブリッククラウドをIT基盤として利用することも増えてきましたので、AWS上で仮想マシンを展開したり、仮想ネットワークを構築したり、クラウド事業者が提供するデータベースやセキュリティの機能を利用するクラウドエンジニアの需要も高まっています。

ここでは、代表的なサーバ、ネットワーク、セキュリティといったエンジニアの種類ごとの名称・担当する業務の例を確認しましょう。

サーバーエンジニア

サーバーエンジニアは、基本的にアプリケーションを動作させるサーバーを構築・運用する業務を担当します。システムに使うサーバー機器の選定・調達や、OSのインストール、稼働に必要な初期設定なども、サーバーエンジニアの仕事です。

システムが稼働した後には、サーバーの故障がないかを監視し、障害を検知した後は原因を分析し、システム復旧の対応を行います。また、システムの性能を計測し、定期的にサーバ増設の要否を検討することもサーバエンジニアの重要な仕事です。

ネットワークエンジニア

ネットワークエンジニアが担当するのは、サーバ同士をつないだり、インターネットや自社のネットワークと接続するためのネットワークを構築・運用する業務です。クライアントの要望・予算などを考慮してネットワークを設計・構築するだけではなく、稼働した後にはネットワークの監視や保守も行います。

トラブルなどが起きてネットワークが遮断された場合には、障害箇所をつきとめ必要な復旧措置をネットワークエンジニアが中心となって対応します。

未経験の場合には、シニアエンジニアが設計したNWをコンフィグとして設定する構築業務や、マニュアルで対応出来る監視・保守の一次対応などの業務からスタートし、ある程度の経験を積んでから設計やマニュアルで対応出来ない保守作業などの仕事を任されるのが一般的です。

セキュリティエンジニア

システムの安全性に欠かせないセキュリティに関わる業務は、原則としてセキュリティエンジニアが担当します。

セキュリティエンジニアの主な業務は、クライアントが希望するシステムに必要なセキュリティ対策を提案し、障害・サイバー攻撃などによるトラブルを検知しこれに対処することです。

また、IT基盤で利用するOSやミドルウェア、開発しているアプリケーションなどのセキュリティ監査を何度も行って、システムの脆弱性を発見するのはもちろん、既知の脆弱性の情報展開や、アップデートの勧奨、セキュリティ事故が起きた際の対応もセキュリティエンジニアの業務に含まれます。

インフラエンジニアに向いている人の特徴

パソコンを修理する手元

(出典) photo-ac.com

システムを使う上で欠かせないサーバー・ネットワークなどの業務を行うインフラエンジニアには、向き・不向きがあるのも事実です。適性の目安として、インフラエンジニアに向いている人の特徴を4つ紹介します。

機械を触るのが好き

インフラエンジニアは、他のエンジニアに比べるとサーバー・ネットワークなどのハード機器に触れる機会が多い職種です。パソコン・スマートフォンなどの機械を触るのが好きな人は、インフラエンジニアの業務にやりがいを感じられるでしょう。

ときにはシハードウェア障害の原因を解析したり、メモリやHDDを増設するためにサーバやネットワーク機器を分解することもあります。

パソコン・スマートフォンなどの機器機械を分解したり、組み立てたりすることが好きな人はインフラエンジニアに向いているかも知れません。

好奇心・探求心が強い

サーバー・ネットワークなどのハードウェアは日々めざましく進化しており、また新しい技術が次々と登場しているため、知識のアップデートが欠かせません。新しい技術に興味を持つ好奇心や、未知の知識を理解しようとする探求心は、インフラエンジニアにとって重要な素質です。

また、サーバー・ネットワークのトラブルに対応するためには、あらゆる方法を試して問題点を見極めていく必要があります。

自分の知識で解決できないことも、答えが見つかるまで調査や解析を行える人は、インフラエンジニアの仕事に負担を感じにくいと考えられるでしょう。

小さなミスに気付く丁寧な性格

インフラエンジニアには、小さなミスに気付く丁寧さが必要です。

インフラエンジニアの仕事をする中で、指示書に書かれている内容を見落とすことなく確実に確認しながら慎重に作業を進める必要がある他、機器のトラブルなどが原因で指示書に沿って設定を行ったとしたとしてもシステムが稼働しないケースは少なくありません。

予想外のトラブルが起きた際に、作業の手順を見直したり、機器のランプやログファイル、設定ファイルなどを確認して原因を見極める必要があります。うっかりと見落としてしまいがちな小さな間違いに気付ける人は、インフラエンジニアに向いているといえます。

コミュニケーション能力がある

機械を相手にするインフラエンジニアであっても、コミュニケーション能力が必要です。

通常、インフラエンジニアはサーバやネットワークなどの領域で分担して業務を行い、ネットワークの設定後にサーバの設定を行うなど作業の前後性が発生します。積極的に作業の進み具合・疑問点などを共有する双方向の伝達スキルが求められます。

また、システムの設計を考える際のヒアリングでは、クライアントと話をしながら相手の要望などを引き出していくのが一般的です。さらに、トラブルが起きたときに、クライアント・チームのメンバーなどに状況・原因を説明するケースもあるでしょう。

未経験からの転職に役立つ資格

手帳に記入する男性

(出典) photo-ac.com

未経験からインフラエンジニアへの転職を目指す場合には、ITスキルの証明ができる資格が役立ちます。転職の際にITスキルを証明できる資格を、初心者から中級者・上級者向けまで確認していきましょう。

ITパスポート

ITパスポートは、ITスキルの基礎を理解している1つの証明として使える情報処理技術者試験という国家資格のうちのひとつです。初心者でも比較的合格を目指しやすい資格なので、プログラミングをした経験がない人にもおすすめです。

社会人を対象に、ITの基本的な知識に関する問いが4択で100問出題されます。特別な受験資格などはなく、ビッグデータ・AIのようなITの常識が身に付けられるのが特徴です。ITの基本的な知識を学ぶためにも、1度チャレンジしてみてはいかがでしょうか?

基本情報技術者・応用情報技術者

ITパスポートはエンジニアというよりも仕事に必要な基本的なIT知識を証明する資格であるため、エンジニアとしての知識を証明したい場合は、基本情報技術者試験・応用情報技術者試験を取得する方がよいでしょう。

基本情報技術者試験・応用情報技術者試験は、いずれもITパスポートと同じ国家試験である情報処理技術者試験のうちの一つで、エンジニアとして働くための技術的な知識がある証明として使うことが可能です。

応用情報技術者は、基本情報技術者よりもさらにランクの高い資格であり、ある程度の業務知識を求められる資格です。エンジニア未経験や学生の方であればまずは基本情報技術者の取得を目指し、ある程度業務になれたところで応用情報技術者試験の取得を目指すと良いでしょう。

両資格とも、多くのエンジニアが挑戦する試験だけあって、エンジニアとしての基本的な知識・技術を幅広く学習できます。

CCNA・CCNP

CCNA・CCNPは、ネットワーク機器のメーカー「Cisco Systems」が提供するベンダー資格です。ベンダー資格は、ハードウェア・ソフトウェアなどを販売する企業が行う試験に合格することで取得できる資格を意味しています。

両資格ともCisco社のネットワーク機器の設定や、機能を組み合わせてどのようにネットワークを構築するかを問われる実践的なネットワークの技術を証明する資格なので、インフラエンジニアの中でもネットワークエンジニアを目指す人におすすめです。プロジェクトでCisco社の機器を使っていない場合でも、CCNAやCCNPを保持していることで一定のネットワーク構築の知識を持っていると証明できます。

CCNAは基本的なNW構築の知識やCisco機器の設定方法が問われる資格試験で、CCNPは大規模なNW構築が行える知識やプロフェッショナルレベルの高度なNW知識が問われる資格試験であり、資格を取得するためには5つの認定コースの内2つに合格する必要があります。未経験でこれからネットワークエンジニアを目指される方はまずCCNAの取得から挑戦してみましょう。

インフラエンジニアに関するQ&A

パソコンとメモ帳

(出典) photo-ac.com

インフラエンジニアの仕事内容・適性などを知り、さらに転職への意欲が高まった人もいるのではないでしょうか?最後に、インフラエンジニアの転職に役立つ情報をQ&Aの形式で解説します。

未経験でもインフラエンジニアになれる?

結論からいうと、インフラエンジニアは比較的他のエンジニアと比べて未経験からの転職を目指しやすい職種です。未経験の場合は、基本的に作業書に則った構築作業、運用マニュアルが整備された監視や障害の一次対応の業務を任されます。

「スタンバイ」で未経験でも可能な求人を探して、インフラエンジニアとして働きながら知識・経験を積み上げていくのも1つの方法です。インフラエンジニアとしてのキャリアパスや資格の支援制度などの有無をチェックしておくと、インフラエンジニアとしてのキャリアアップにも役立ちます。

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インフラエンジニアの仕事に将来性はある?

インフラエンジニアは、ITの中でも将来性の高い仕事の1つです。あらゆる業界でIT化が進む反面、IT業界ではインフラエンジニアをはじめとする人材が不足しています。

さらに、インフラエンジニアが担当するのは、ITシステムの基盤といえるサーバー・ネットワークなどの部分です。近年は物理的なサーバやネットワークを構築せずに、AWSやGCPなどのクラウド基盤を用いることが増えてきましたが、クラウド上に仮想マシンや仮想ネットワークを構築することもインフラエンジニアの重要な役割です。

ITシステムが変化したとしても、IT基盤であるサーバー・ネットワーク或いはそれらを仮想化するクラウドを構築・運用するためのインフラエンジニアの需要は続くと考えられます。

インフラエンジニアはIT社会を支える仕事

パソコンを見ながらメモする

(出典) photo-ac.com

インフラエンジニアが担当する仕事内容は、構築フェーズと運用フェーズの2つに分けられます。

構築フェーズでは要件定義・設計・構築の順に、ITサービス・システムを動かすためのIT基盤構築を行います。一方運用フェーズでは、開発したシステムの保守・監視などを行い、障害・トラブルを速やかに検出し、原因を追及して復旧あるいは定期メンテナンスで障害を未然に防止するなどの業務を行います。

未経験からでも比較的転職しやすいインフラエンジニアは、IT社会の基盤を支える将来性のある仕事です。

「スタンバイ」でも、未経験歓迎のインフラエンジニアの仕事を検索できます。手順書やマニュアルに従った作業を行うエンジニアから、要件定義や設計が行えるよりハイスキルなエンジニアにステップアップを目指せるインフラエンジニアに転職し、新たなキャリアの1歩を踏み出しましょう。

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北真也
【監修者】All About デジタルガイド北真也

モバイル業界のシステムエンジニアとして18年以上勤務し、サーバやネットワークのインフラ構築から大規模システムのプロジェクト管理、設計、開発まで幅広く携わる。自身が主宰するブログ「Hacks for Creative Life!」と「アシタノレシピ」、勉強会「東京ライフハック研究会」にて実践的な仕事術を研究・発信中。
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著書:
新時代のワークスタイル クラウド「超」活用術
シゴタノ!手帳術―クラウド&スマホ×アナログ手帳で人生を楽しく自由にする方法